2015年度公務労協情報 20 2015年4月8日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が民間給与実態調査等について全人連に申入れ−4/8

 公務労協地方公務員部会は、8日14時40分から、民間給与実態調査等について、全国人事委員会連合会に対する申入れを行った。
 地方公務員部会側は、永井議長(全水道委員長)、加藤事務局長、田中事務局次長、幹事が出席し、全人連側は、関谷会長(東京都人事委員会委員長)はじめ、都道府県人事委員会のブロック代表者が対応した。

関谷会長(右)に要請書を手交する永井議長(左)  冒頭、永井議長は、要請書(別紙)を手交し、以下の通り要請の趣旨を述べた。
(1) 連合の2015春季生活闘争は、賃上げを起点とした「デフレからの脱却」と「経済の好循環確立」に向け、すべての組合が月例賃金にこだわり、その引上げを求め交渉を繰り広げており、昨年に引き続き、先行組合は月例賃金引上げの回答を引き出している。それをいま中小、地場に広げていくため、懸命のたたかいがすすめられている。地方公務員部会も、連合に結集し、公務・公共部門で働くすべての労働者の処遇改善をめざし、公務員労働者の賃金引上げ、人員の確保と超過勤務の着実な縮減、雇用と年金の確実な接続と生活水準の確保などを最重要課題として位置づけ、具体的な取組みを進めてきた。
(2) 一方、各自治体職場においては、災害への対応をはじめ、住民の期待に応えるため、それぞれの持ち場で日夜職務に全力を尽くしているが、その勤務環境は大変厳しく、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の賃金・労働条件の改善・確保が何よりも不可欠だ。
(3) ついては、労働基本権制約の代償として、各人事委員会の中立かつ公正な第三者機関としての使命が十分に果たされるよう強く求める。

 続いて、加藤事務局長が要請書の主な課題について説明し、全人連としての努力を求めた。こうした地方公務員部会の要請に対し、関谷会長は以下の通り回答した。

<全人連会長回答>

平成27年4月8日

 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、役員道府県市を通じて、全国の人事委員会にお伝えします。

 本年の春季労使交渉における大手企業の一斉回答では、昨年に続き賃上げの動きが見られました。また、去る4月2日の政労使会議では、中小企業に賃上げを促す環境整備を進める合意があり、今後の動向を引き続き注視する必要があると考えております。

 一方、政府は今年の夏までに、新たな財政再建計画を取りまとめることとしています。現時点で、その内容は明らかにされていませんが、今後、地方公務員の給与水準についても、改めて議論される可能性も想定されます。

 こうした中、民間における賃金の状況を的確に把握するため、毎年、各人事委員会は、人事院と共同で民間給与実態調査を行っております。本年も、例年と同様の日程で実施する予定であり、5月初旬からの調査開始へ向けて、現在、準備を進めているところです。

 申し上げるまでもなく、人事委員会の重要な使命は、中立かつ公正な第三者機関として、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した、適正な水準を確保することであると認識しております。

 本日、要請のありました個々の内容は、各人事委員会において、調査の結果や各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討していくことになるものと思います。

 全人連といたしましては、今後も、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院などと十分な意見交換に努めてまいります。


(資料1)

2015年4月8日

全国人事委員会連合会
 会 長  関 谷 保 夫 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 永井 雅師


民間給与実態調査等に関わる要請書

 この間の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、連合の2015春季生活闘争は、賃上げを起点とした「デフレからの脱却」と「経済の好循環確立」に向け、全ての組合が月例賃金引上げにこだわり交渉を繰り広げています。先行組合は昨年に引き続き月例賃金引上げの回答を引き出しており、それをいま中小、地場に広げていくための闘いが進められています。
 地方公務員部会も、連合に結集し、「底上げ・底支え」と「格差是正」を図るため、公務・公共部門で働く全ての労働者の処遇改善をめざし、公務員労働者の賃金引上げをはじめとして、人員確保と超過勤務の着実な縮減、雇用と年金の確実な接続と生活水準の確保などを最重要課題として位置づけ、具体的な取組みを進めてきました。
 一方、各自治体職場においては、災害への対応をはじめ、住民の期待に応えるため、それぞれの持ち場で日夜自らの職務に全力を尽くしておりますが、その勤務環境は大変厳しいものとなっています。より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 つきましては、労働基本権制約の代償として、各人事委員会の中立かつ公正な第三者機関としての使命が十分に果たされるよう強く求めるとともに、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.2015年度の民間給与実態調査にあたっては、現行の比較企業・事業所規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう抜本的な改善を検討すること。
  また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

2.民間賃金実態について精緻に調査を行うとともに、公民較差を精確に把握し、人事委員会勧告制度の下で、地方公務員のあるべき賃金を勧告すること。
  勧告にあたっては、給料表の改善を中心に公民格差を解消すること。
  特に国の「給与制度の総合的見直し」に準じた見直しを行った自治体においては、今後の公民較差の動向に十分留意し、自主的・主体的立場からの対応を図ること。また、制度の見直しを検討するとしている人事委員会においては、組合との交渉・協議、合意に基づき対応すること。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.雇用と年金の接続について、早期の段階的定年延長実現に向けて、意見の申出を直ちに行うこと。当面、再任用職員の生活水準を確保するため、給与制度上の措置について必要な検討と報告、勧告を行うこと。

5.公立学校教職員の賃金に関わり、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。また、作成に当たっては、関係労働組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

6.人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上