2015年度公務労協情報 22 2015年6月18日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院総裁に2015人勧期要求書提出−6/18

 公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、6月18日10時30分から、一宮人事院総裁との交渉を実施し、「2015年人事院勧告に関わる要求書」(別紙)を提出した。これにより、2015人勧期の取組みは正式にスタートした。
 本年の人勧期をめぐっては、民間の賃上げ状況を踏まえ、月例給、一時金の引上げ勧告の実現、超過勤務の着実な縮減等が重要課題となっている。公務員連絡会は、勧告に向けて、交渉を強化することはもとより、7.28中央行動や地方における決起集会などを実施して、要求の実現を図るべく、取組みを進めることとしている。

交渉に臨む委員長クラス交渉委員
 交渉の冒頭、石原議長は、提出した要求書について次の通り述べ、要求の実現を迫った。
(1) 2015年人事院勧告の要求書提出に当たって、一言考え方を述べさせていただく。
(2) 連合が、本年の春季生活闘争に全力で取り組んだ結果、定昇・賃金カーブ維持分に加えて2,039円の賃上げ(6月1日現在)が実現した。加えて、「底上げ・底支え」「格差是正」の取り組みによって、賃上げの流れが中小・地場組合、非正規労働者にも波及することとなった。
  こうした民間の賃上げ状況は、造幣局及び国立印刷局の賃上げについて、昨年を上回る1,970円の調停案受諾で決着することにつながった。
  民間では、交渉を継続している組合が残っているが、一時金を含め、昨年を上回る賃上げ状況であることに間違いはないと認識している。
(3) これらの賃上げ状況や物価の動向を踏まえたとき、公務員自身の処遇改善はもとより、社会的な波及力を含めて、月例給、一時金の何れについても引上げ勧告を強く要求する。とくに地方では、段階的に実施されている給与制度の総合的見直しで影響を受ける職員が多いことについて、本年勧告で留意すべきである。
(4) 女性活躍推進やワークライフバランスの実現、「ゆう活」など、国を挙げての「働き方改革」の取組みが進められているが、その基本は超過勤務の着実な縮減でなければならない。しかし、職場では、あいかわらず、要員不足の中で業務過重となり超過勤務が蔓延し、心身に不調を来している組合員が少なくない。国民の期待に応え、必要な事務・事業を確実に実施できる要員を確保し、公務員に人間として相応しい働き方を取り戻さなければいけない。超勤縮減を柱とする労働諸条件を改善するための具体的な措置を講じていただきたい。
(5) 来年度から、定年後、最長2年間は公的年金が支給されなくなる。民間と異なって公務の再任用は短時間勤務が極めて多く、高齢期の生活はさらに厳しくなる。定年延長の実現に向けて、政府に対する働きかけを強めてもらいたい。
(6) 本日提出した要求書では、公務員の賃金をはじめとする労働条件をめぐる様々な課題について、具体的な要求事項の実現を求めているので、人事院の使命としてその解決を図っていただきたい。
  本日の要求提出を機に、事務レベルで交渉を積み上げさせていただくが、然るべき時期に、要求に対する最終的な回答をいただきたいと考えているので、よろしくお願いする。

 続いて吉澤事務局長が要求事項を説明。これを受けて一宮総裁は、「ご要求は確かに受け取った。公務を巡る情勢は依然として厳しい状況にある。人事院としては、国会と内閣に必要な報告・勧告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たしていく所存である。今後、本年の勧告に向けて、要求された課題について皆さんの意見も聞きながら、検討を進めて参りたいと考えている」と応えた。


(別紙)2015人勧期要求書

2015年6月18日


人事院総裁
 一 宮 な ほ み 様

公務員労働組合連絡会
議 長  石 原 富 雄


2015年人事院勧告に係わる要求書

 公務員労働者は、全国の各地域で、東日本大震災等の災害からの一刻も早い復興・再生はもとより、国民生活の安心・安全を確保するため、高い使命感と責任をもって日々の職務に精励しています。
 連合が本年の春季生活闘争に全力で取り組んだ結果、定昇・賃金カーブ維持分に加えて2,039円の賃上げ(6月1日現在)が実現し、賃上げの流れは中小・地場組合、非正規労働者にも波及しています。
 また、造幣局及び国立印刷局の賃上げについては、昨年を上回る1,970円の改善、とする中央労働委員会の調停案を労使双方が受諾し、決着しています。
 このような民間等の賃上げ状況に加え、昨年4月の消費税の引上げや円安などによって消費者物価が上がっていることから、公務員給与の引上げ勧告を求める期待が一層高まっています。
 一方、職場では、要員不足の中で業務過重となり超過勤務が蔓延し、その着実な縮減を柱とする「働き方改革」など、労働諸条件の改善が喫緊の課題となっています。加えて、年金支給開始年齢の62歳への引上げが迫り、無年金期間の長期化に伴う定年後の生活不安が強まっています。雇用と年金の接続については、一刻も早く再任用から定年延長に転換していかなければなりません。
 公務員連絡会は、2015年の人事院勧告に関わる要求を提出します。貴職におかれては、下記事項の実現に向け、最大限努力されるよう要求します。


1.賃金要求について

(1) 月例給与について
  2015年の給与改定勧告に当たっては、公務員労働者の月例給与水準の引上げ勧告を行うこと。また、較差の配分等については、早い段階から公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。
(2) 一時金について
  一時金については、精確な民間実態の把握と官民比較を行い、支給月数を引き上げること。
(3) 諸手当について
  諸手当については、官民較差の見通しを踏まえ、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて勧告作業を進めること。また、住居手当及び扶養手当は、つぎのとおり対応すること。
 @ 住居手当については、国家公務員宿舎の削減及び宿舎使用料等の段階的引上げを踏まえ、総合的に改善すること。
 A 扶養手当については、民間準拠のもと、民間実態を踏まえた対応とすること。
(4) 再任用職員の給与について
  再任用職員の給与制度については、経済的負担、定年前職員との均衡を考慮して改善することとし、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。
(5) 給与制度の総合的見直しに関わる今後の対応について
  2016年度以降の地域手当・単身赴任手当の支給割合・支給額の改定及びその他の措置の具体化に当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。

2.労働諸条件の改善について

(1) 労働時間の短縮及び休業制度等について
 @ 本府省における在庁時間削減の取組みの実施状況を踏まえ、その取組みの強化・徹底を図ることとし、人事院として積極的役割を果たすことにより、在庁時間の一層の削減に努めること。
 A 他律的業務を含む超勤上限目安時間については、完全に遵守できるよう各府省に対する指導を強化すること。
 B これらの取組みに基づき、新たな上限規制を含めた厳格な勤務時間管理とより実効性のある超過勤務縮減策を取りまとめ、着実に実施すること。
 C 1か月当たり45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率については、民間企業の実態を踏まえた引上げを行うこと。あわせて、超過勤務手当の全額支給を徹底すること。
 D 家族介護を理由とした離職を防止するため、介護休業制度を整備すること。
 E フレックスタイム制度の適用拡大等やテレワークに係る勤務時間の在り方等の見直しに当たっては、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。あわせて、関連する諸制度の改善を図ること。
(2) 男女平等の公務職場の実現について
 @ 次世代育成支援対策推進法及び「女性国家公務員の採用・登用拡大に関する指針」に基づく各府省の計画等の着実な実施に向けた指導、メンター制度の実効性確保に向けて引き続き取組みを強化すること。
 A 育児休業及び育児のための短時間勤務等について、非常勤職員を含めて制度を十分に活用できるよう、引き続き周知と取得しやすい職場環境の整備を図ること。
(3) 高齢者雇用施策について
  雇用と年金の接続について、年金支給開始年齢が62歳になる2016年度までに段階的定年延長を実現するため、政府に対する具体的な対応を図ること。
(4) 福利厚生施策の充実について
 @ 心の健康づくりについては、勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいた心の健康診断、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策の着実な推進を図ること。
 A 労働安全衛生法の改正を踏まえ、公務においても所要の措置を速やかに実施すること。
 B パワー・ハラスメント及びセクシュアル・ハラスメント等について、必要な対策を強化すること。

3.非常勤職員等の制度及び処遇改善について

(1) 非常勤職員等の給与を引き上げること。
(2) 「非常勤職員給与決定指針」の実施状況を丁寧に点検し、その遵守を徹底すること。
(3) 期間業務職員制度について、当該職員の雇用の安定と処遇の改善となるよう、適切な運用に努め、必要な改善措置を講じること。
(4) 非常勤職員の休暇制度について、常勤職員との均衡を基本として、改善すること。
(5) 非常勤職員制度の改善に関するこれまでの取組みを踏まえ、制度の抜本的改善に向けた検討を継続することとし、公務員連絡会と十分交渉・協議し、作業を進めること。

以上