2015年度公務労協情報 28 2015年8月6日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院が月例給・一時金を引き上げる勧告・報告とフレックスタイム制を拡充する内容の勧告−8/6
−公務員連絡会は声明を発出し、勧告通りの実施を要求−

 人事院は8月6日15時41分に、国会と内閣に対して@月例給を0.36%、1,469円、一時金を0.10月引き上げる勧告・報告、Aフレックスタイム制を拡充する内容の勧告などを行った。政府は人事院の勧告等を受けて、給与関係閣僚会議を開催し、その取扱いを検討していくことになるが、日程は未定である。
 公務員連絡会は、これを受けて、@月例給及び一時金を2年連続で引き上げることとしたのは、組合員の期待に一定程度応えるとともに、民間の賃上げ動向を踏まえた当然の結果、A給与制度の総合的見直しの段階的実施、現給保障が行われているもとで、俸給月額の幅広い改善は現給保障解消後の給与水準を引き上げるものであり、経過措置廃止時の影響を緩和するとともに退職手当に反映されることから、高齢層にも配慮したものと受け止める、Bフレックスタイム制の拡充勧告は、働き方の幅を広げるもので、女性職員活躍、ワークライフバランス確保の推進等に資するよう、具体化されなければならない、などを内容とする声明(資料1)を発した。なお、連合においても2015人事院勧告について、資料2の通り事務局長談話を発している。
 また、代表者会議で、6日の人事院勧告等を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに各構成組織の実情に応じ時間外職場集会等を開催することなどを確認した。


資料1−公務員連絡会の声明
声  明

1.人事院は、本日、月例給を0.36%、1,469円引き上げ、一時金の支給月数を0.10月引き上げる勧告・報告とフレックスタイム制を拡充する内容の勧告を行った。
2.2015人勧期の取組みについて、公務員連絡会は、民間等の賃上げ状況や物価の動向を踏まえ、月例給、一時金のいずれについても引上げ勧告を実現するため、中央・地方、職場での取組みを進めてきた。
  6月18日の要求提出では、「給与制度の総合的見直しで影響を受ける職員が多いことについて、本年勧告で留意すべき」ことを要請し、以降、幹事クラス交渉委員による職員団体審議官交渉、全国から3,000名を結集した7.28中央行動を背景として書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交渉を行うなど、人事院との交渉・協議を最終盤までねばり強く取り組んだ。
3.給与について、月例給及び一時金を2年連続で引き上げることとしたのは四半世紀ぶりのこととなるが、組合員の期待に一定程度応えるとともに、民間の賃上げ動向を踏まえた当然の結果である。
  給与制度の総合的見直しが段階的に進められ、現給保障が行われているもとにあって、俸給月額の幅広い改善は現給保障解消後の給与水準を引き上げるものであり、経過措置廃止時の影響を緩和するとともに退職手当に反映されることから、高齢層にも配慮したものと受け止める。一方、結果として原資の多くを地域手当の4月遡及改定に充てたことは制度上やむを得ないとしても、不満が残るものであった。
  一時金について、昨年に引き続き勤勉手当の引上げに充てたが、育児休業者や非常勤職員等への配慮については課題が残った。
  勤務時間関係について、超勤の縮減に積極的な姿勢を示したことは評価できるが、問題は、真に実効性のある縮減策が具体化できるか否かにある。フレックスタイム制の拡充勧告は、働き方の幅を広げるものであり、女性職員活躍、ワークライフバランス確保の推進等に資するよう、具体化されなければならない。
  再任用について、職員の希望に沿ったフルタイム勤務重視を明確にしたことは当然のことであるが、それを保障する具体策を提案しなかったこと、段階的な定年延長の早期実施に向け踏み込まなかったことは残念と言わざるを得ない。
4.以上のことから公務員連絡会は、今後、政府に対して、本年の給与改定及びフレックスタイム制の拡充について、勧告通り実施することを求めていく。
  さらに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の取組みにおいても、全力で取組みを進めることとする。

2015年8月6日

公務員労働組合連絡会



資料2−連合事務局長談話

2015年8月6日


平成27年人事院勧告に対する談話


日本労働組合総連合会
事務局長 神津里季生


1.人事院は、8月6日、政府と国会に対して、2015年度の国家公務員の月例給を1,469円(0.36%)引上げ、一時金の支給月数を0.1ヶ月増とする勧告を行った。この勧告は、2015春季生活闘争における民間企業の賃上げ・一時金の回答状況を踏まえたものであり、月例給および一時金のいずれも2年連続の改善となったことは評価できる。政府と国会は、勧告どおり実施すべきである。

2.また、勧告では、勤務時間関係として、超過勤務の縮減に向けた積極的な姿勢が示されるとともに、フレックスタイム制の拡充が盛り込まれた。フレックスタイム制の活用が、育児や介護をしながら働く職員の能力の発揮やワーク・ライフ・バランスの推進等につながるよう、関係法令の改正を行うべきである。併せて、長時間労働の是正と働き方改革を進めようとしている政府に対しては、率先して公務の職場において超過勤務の縮減を実践することを求める。

3.今後、地方公務員の給与にかかる人事委員会勧告が予定される。質の高い公共サービスの実現と地方自治の原則の観点から、月例給および一時金のいずれも改善する勧告を行った上で、地方自治体に対しては、労使交渉を尊重するよう強く求めていく。

4.連合は、民主的な公務員制度の確立に向け、引き続き、関係する組織と連携しながら取り組みを進め、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする公務員制度改革の実現をめざしていく。

以上