2015年度公務労協情報 6 2014年12月18日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

2015年度基本要求に対する回答を引き出す−12/18

 公務員連絡会は12月18日、内閣人事局、人事院との交渉を実施し、11月20日に提出した2015年度の基本要求に対する回答を引き出した。回答はいずれも具体性がなく不満な内容に止まったが、公務員連絡会は、解決が図れなかった課題については、春季生活闘争に引き継いでいくこととし、基本要求に関わる交渉・協議に区切りを付けることとした。


<内閣人事局との交渉経過>
 内閣人事局との交渉は、13時30分から行われ、公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が臨み、内閣人事局からは川淵内閣審議官らが対応した。
 要求提出にあたり、大塚副事務局長が「11月20日に、2015年度の基本要求を提出させて頂いたが、本日は内閣審議官から回答を頂きたい」と述べたのに対し、川淵審議官は「先日受け取った基本要求事項について、この時期における私からの回答をさせていただく」と述べ、次の通り答えた。

一、賃金と雇用・労働条件に関わる事項
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢である。
 平成27年度の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
二、労働時間、休暇及び休業等に関わる事項
 超過勤務の縮減については、男女全ての職員の「働き方改革」を進めることが重要であるとの観点から、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」をとりまとめ、本年10月に公表したところであるが、この中で、超過勤務縮減に向けた取組として、@超過勤務の必要性の事前確認の徹底、A事務次官等による部局ごとの超勤の状況把握、B各府省等にまたがる調整業務による超過勤務の縮減等についても盛り込んでいるところであり、引き続き、皆様の御意見も伺いながら、政府一丸となって、超過勤務の縮減に向けて取り組んでまいりたい。
三、ワークライフバランスの推進、女性の労働権確立に関わる事項
 女性の活躍推進については、「隗より始めよ」の観点から国が率先して取り組むとともに、職員のワークライフバランスについても一体的に推進しているところである。
 各府省においては、前述した取組指針に基づき、それぞれの実情を踏まえて創意工夫し、実効的な取組等を盛り込んだ取組計画を本年末を目途に策定することとしている。各府省においては、大臣、事務次官等のリーダーシップの下、各職場・各世代の声も広くくみあげることができるような推進体制を整備の上、取組を進めていただくこととしており、内閣人事局としても、各府省の取組を毎年度フォローアップするとともに、必要に応じて各府省の取組の促進に資するようなサポートを行うことで、男女問わず、すべての職員のワークライフバランスと女性職員の活躍を推進してまいりたい。
四、福利厚生施策等に関わる事項
 福利厚生施策について、心の健康づくり対策については、平成22年度からe-ラーニングによるメンタルヘルス講習を実施しており、平成25年度からは、それまでの「ラインケア(部下を持つ上司としてのメンタルヘルスケア対策)」のほか「相談対応(部下に対しての傾聴の方法)」を加えるなど、内容の拡充を図ったところである。
 さらに、平成25年度において、メンタルヘルス対策の予防の観点から、セルフケア(メンタル自己診断)を行うことを目的として、メンタルヘルスシートの電子化及び各府省への提供を行ったところである。
 なお、福利厚生施策の効率かつ効果的な推進方策等については、引き続き検討を進めてまいりたい。
五、人事評価制度に関わる事項
 人事評価制度については、評語区分のレベル感の整理・徹底及び所見欄の充実など、評語区分の趣旨の徹底を図っているところである。また、人材育成等への一層の活用として、職員の能力開発やスキルアップ、さらには組織のパフォーマンスの向上につながるように指導・助言を行うなど、面談での対応の仕方等、被評価者の指導に役立つ評価者訓練の充実等に努めているところである。
 政府においては、今後とも、皆様とも十分意見交換し、理解を得られるよう努め、円滑かつ効果的に制度を運用していきたいと考えている。
六、雇用と年金の接続に関わる事項
 雇用と年金の接続については、昨年3月の閣議決定に沿って、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進してまいりたい。
 なお、本年8月の人事院勧告を受け、所要の法改正等を行い、再任用職員に対し、単身赴任手当を支給することとしたところであるが、人事院報告では、再任用職員の給与水準について、民間の動向等を注視するとともに、各府省における今後の再任用制度の運用状況を踏まえ、諸手当の取扱も含め、必要な検討を行っていくこととされており、政府としても人事院における所要の検討を踏まえ、適切に対応してまいりたい。
 また、雇用と年金の接続については、先般成立した国家公務員法等の一部を改正する法律の附則第42条の規定において、平成28年度までに、定年の段階的引上げ、再任用制度の活用の拡大その他の措置を講ずることについて検討するものとされているところである。政府としては、同規定及び昨年3月の閣議決定を踏まえ、再任用制度の活用状況や民間の高年齢者雇用確保措置の実施状況等を勘案し、雇用と年金の接続の在り方について改めて検討しているところであり、検討に際しては、皆様も含めた関係者の意見を聞いて進めてまいりたい。
七、非常勤職員制度等に関わる事項
 非常勤職員の処遇改善については、平成22年10月から期間業務職員制度を導入したところ。また、育児休業等の取得も平成23年4月から可能になったところである。
 非常勤職員の給与については、人事院から出された給与に関する指針を踏まえ、各府省において支給されているとともに、休暇については、人事院において、一定の非常勤職員に対する夏季における弾力的な年次休暇の付与についての措置が検討されているものと承知している。
 内閣人事局としては、人事管理官会議等の場を通じて、期間業務職員制度の適正な運用や非常勤職員に対する適正な給与の支給など、非常勤職員に対する適正な処遇に努めるよう各府省に対し引き続き周知を図ってまいりたい。
八、公務員制度改革に関わる事項
 自律的労使関係制度については、国家公務員制度改革基本法第12条において「政府は、協約締結権を付与する職員の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とされている。
 この自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、今回のような意見交換の機会を活用し、引き続き意見交換をさせていただきたい。
九、その他の事項
 障害者雇用については、チャレンジ雇用の取組を推進しているところであり、平成22年度から本府省を対象とした連絡会を開催しているほか、昨年度は地方ブロックにおいて人事担当課長会議を開催し、障害者の雇用促進を各府省に要請したところである。
 なお、本年度は新たに、複数の障害者を内閣人事局内に集めて、各部局から集約した業務を行う「障害者ワーク・サポート・ステーション」を試験的に設置するなど、障害者の雇用促進を図る取組を進めているところである。

 これに対して、公務員連絡会側は次の通り質すとともに重ねて要請を行った。
(1) 来年度に向けては、本年を上回る賃上げを実現することが官民それぞれの労働組合の共通課題となっており、内閣人事局は公務員賃金取扱いの当事者であるため、16日の政労使における合意も踏まえ、内閣の一員として人事院に積極的な賃上げ勧告を要請すべきと考えるがどうか。少なくとも財政赤字や増税により、公務員に負担を押しつけるような対応は間違った議論であり、行わないよう強く要請しておく。
 諸手当については、16日に合意された「経済の好循環に向けた政労使の取組について」の7番目「女性が働きやすい制度等への見直し」に関して、民間準拠の原則のもと、民間労使における在り方の検討を踏まえた検討を求める。
(2) ワークライフバランスの推進については、ワークの方がディーセントでなければライフとのバランスは取れない。超勤は長期にわたって様々な取組みが進められているが一向に減らない。2013年度で平均240時間弱、年間所定労働時間の1割を超える。根本的な原因は人が足りないことであり、現場からはそういった声が多く出ている。定員確保について、超勤縮減、労働条件の確保という観点から考えを伺う。
 720時間を超える超勤は禁止すべきであり、「働き方の改革」につなげるため、少なくとも「半減」を掲げて働き方を抜本的に見直すべきだ。
(3) WLB、女性活躍取組指針に基づく取組計画は、取組主体とその責任を上から下まで明確化して着実に成果を上げる必要がある。取組みの最中でも、ローリング方式で常に見直しながら進めるべき。
(4) メンタルヘルスへの取組みは、仕事の内容や進め方、勤務時間など職場の環境や働き方の観点を含めた対策を講じて行く必要があるのではないか。  
 レクリエーション予算の復活について積極的対応を求める。
(5) 雇用と年金の接続について、来年度に向けた再任用希望とマッチングの状況はどうか。できるだけ職員の希望を叶えるべき。中途半端では勤務意欲もわかないのではないか。
 雇用と年金の接続に係る職員調査の結果はいつ頃まとまるのか。
 人材活用という意味でしっかり働いてもらうため、定年延長は公務が率先して道筋をつけるべきであり、年金支給が62歳となるときまでには実現して頂くことを重ねて要請する。
(6) 非常勤職員の課題について、給与法等改正案の附帯決議について、具体的に検討していることがあれば示して頂きたい。
 あわせて、諸手当を含めて給与指針が完全に順守できる必要な予算を確保すべきだ。
 非常勤職員等への対応については、業務の円滑な運営、雇用の安定と処遇の改善に繋がる運用となるよう、引き続き問題点の把握に努め、直すべきところはきちんと措置すべきだ。
(7) 公務員制度改革については、自律的労使関係制度を措置することが政府の責務であり、引き続きわれわれとの真摯な議論を求めておく。

 これらに対して、川淵内閣審議官らから次の通り回答があった。
(1) 内閣人事局としては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢である。民間賃金が変動すれば公務員給与についても改定を行っており、来年度においても人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立って、国政全般の観点から、国家公務員の賃金・労働条件が適切に措置されるよう今後も内閣人事局の責務を果たしていく。
(2) 定員配置については、必要なところに機動的・戦略的にメリハリのある適切な定員配置を行うことが基本であると考えている。実効性のある取組を通じて、職員やこれから公務員をめざす人が能力を最大限に発揮できるよう、仕事の仕方や働き方の抜本的な改革を行い、超勤縮減等を図っていく。また、ワークライフバランスの推進、女性活躍推進にむけ、フォローアップやサポートが内閣人事局の役割であり、具体的な取組を通じて、取組指針の着実な実行となるよう、今後も皆さんと意見交換を行いながら、取組んでまいりたい。
(3) メンタルケアについては、ラインケアなど、マネジメントとして大切な部分にしっかりと取組み、必要な対策を講じていく。また、レクリエーションなどを含む福利厚生については、国民の理解を得られるような仕組みや施策の効率的かつ効果的な方策についても引き続き取組んでまいりたい。
(4) 雇用と年金の接続については、希望者とのマッチング作業により、希望どおりの再任用となるよう取組を行っている。定年の段階的引上げ、再任用制度の活用の拡大その他の措置を講ずることについても、改正国公法附則第42条に基づいて必要な検討を重ねていく。
(5) 非常勤職員の課題については、人事管理官会議で周知を図ったところ。実態を把握し、必要な対応も考えてまいりたい。

 最後に、大塚副事務局長は「本日の回答の中身は抽象的で、具体性がなく不満だが、少なくとも課題の共有はできたと認識している。来年2月に改めて春季要求書を提出するので、公務員の賃金・労働条件の改善のみならず、人事行政全般の改善に向け、引き続き努力することを強く求めておく」と重ねて要請し、要求回答交渉を終えた。


<人事院職員団体審議官交渉の経過>
 人事院の川崎職員団体審議官との交渉は、14時45分から行われた。
 冒頭、公務員連絡会側が、11月20日の申入れに対する回答を求めたのに対し、審議官は「今後引き続き検討すべき事項が多いが、主な要求事項について現時点での検討状況等について申し上げる」として次の通り人事院の現段階の見解を示した。

一、賃金に関する事項
(1) 給与水準について
 公務員給与の改定については、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢に立った上で、職員団体の皆さんの意見も聞きながら適切に対処していきたいと考えている。
(2) 官民の給与の比較方法について
 官民の給与の比較に関しては、平成18年の勧告において、民間給与をより適正に公務の給与に反映させるため、比較対象となる企業規模の見直しを行い、民間企業従業員の給与をより広く把握し反映させることができたものと考えており、比較対象企業規模については現行の取扱いが適当と考えている。
(3) 諸手当について
 住居手当については、民間の状況や公務における実態等を踏まえ、総合的に検討してまいりたい。
 月45時間を超え60時間を超えない超過勤務に係る超過勤務手当の支給割合については、民調による昨年4月の民間企業の状況をみると、割増賃金率を30%以上としている事業所の従業員の割合は、50.3%(一昨年49.1%)と半数程度の状況にとどまっており、今後も民間企業の動向を注視していく必要があると考えている。
二、労働時間、休暇、休業に関する事項
(1) 超過勤務の縮減について
 超過勤務の縮減については、管理職員による厳正な勤務時間管理の徹底や、業務の改善・効率化などの取組を推進することが肝要であり、国会関係業務などについては、関係各方面の理解と協力を得ながら、改善を進めていくことが重要であると考えている。
 今回、超過勤務が生じている主な要因や縮減の効果的な取組についての職員の意識調査を行い、縮減策の検討を行うこととしているところであり、今後とも、関係機関と連携しながら、より実効性のある超過勤務の縮減策について検討を進めてまいりたい。
(2) 休暇について
 職員の休暇、休業については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところである。ご要求の各休暇についても、引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
三、ワーク・ライフ・バランス、女性の労働権確立に関する事項
 両立支援制度の拡充等については、男女ともに働きやすい勤務環境の整備を積極的に進めているところであり、職員の具体的なニーズ、公務運営への影響等を精査しながら、引き続き検討してまいりたい。
 フレックスタイム制の適用拡大等やテレワークに係る勤務時間の在り方については、適切な公務運営を確保しつつ、職員のワーク・ライフ・バランス等を図るための一方策として、職員団体の皆さんの意見も聞きながら所要の検討を進めてまいりたい。
 メンター制度については、メンター導入の手引き及びモデル例を各府省に通知するとともにメンター養成研修を実施しているところである。
 また、平成26年度において、係長級の女性職員に対し、マネジメント能力開発の機会や自らのキャリアアップについて考える機会を付与する「女性職員キャリアアップ研修」を実施する等、新たな取組を行っているところである。
 今後とも引き続き、各府省の取組をフォローアップしつつ、支援してまいりたい。
四、福利厚生施策に関する事項
(1) 心の健康づくり対策について
 心の健康づくり対策については、平成16年3月に発出した「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として対処しているところである。
 また、心の不調者の発生を未然に防ぐ1次予防の観点から、職員がセルフケアに関する知識を身につけるための自習用の研修教材としてe-ラーニング教材を今年度中に作成し配布するとともに、職場のストレス要因等を職場単位で把握・改善するための職場環境改善の取組を引き続き推進したいと考えているところである。
 これからも、これら施策の充実などにより、より一層の各府省の心の健康づくり対策の支援を行っていく所存である。
(2) 労働安全衛生法の改正を踏まえた対応について
 労働安全衛生法の改正を踏まえ、公務においても、ストレスチェック制度の導入、受動喫煙防止対策の推進、化学物質管理のあり方などについて、所要の措置を行う所存である。
(3) パワー・ハラスメント対策について
 いわゆるパワー・ハラスメントについては、平成22年1月に「パワー・ハラスメントを起こさないために注意すべき言動例」を作成して各府省に周知するとともに、平成23年7月にパワハラに関するアンケート調査を実施し、平成24年1月にその結果を取りまとめて各府省にフィードバックしたところである。
 今後とも、公務における実態とともに、平成24年3月の厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議における提言」やパワハラに関する裁判例など社会的な動向等にも留意しつつ、パワハラ防止のための施策等について検討するとともに、パワハラを分かりやすく解説するハンドブックを作成するなど、職員の意識啓発に努めてまいりたい。
(4) セクシュアル・ハラスメント対策について
 セクシュアル・ハラスメントについては、各府省を対象にセクハラ防止担当者会議やセクハラ相談員セミナーの開催、セクハラ防止研修をはじめとする各種研修の実施などを行うとともに、セクハラ防止週間を毎年設定し、シンポジウム及び講演会の開催、啓発資料の配付等を通じて職員の意識啓発等に取り組んできている。
 これらの取組に加えて、本年7月に各府省に対し、昨年実施した意識調査の結果をフィードバックし、合わせてセクハラ防止を目的とした研修の実施の徹底や職員が相談しやすい苦情相談体制の整備を図るよう「セクシュアル・ハラスメントの防止等について」(職員福祉局長通知)を改正したところである。
 セクハラは、職員の尊厳や人権を侵害する行為であり、人事院としてはその防止を図るため、引き続き取組を進めてまいりたい。
五、雇用と年金の接続に関する事項
 本年4月に公布された国家公務員法等の一部を改正する法律の附則では、政府は平成28年度までに人事院の意見の申出を踏まえつつ、雇用と年金の接続のための措置を講ずることについて検討するものとされている。人事院としても、引き続き、再任用の運用状況や問題点等の把握に努めるとともに、民間企業における継続雇用等の実情、定年前も含めた人事管理全体の状況等を詳細に把握し、意見の申出を踏まえ、雇用と年金の接続のため、適切な制度が整備されるよう、積極的に取り組む所存である。
 再任用職員の給与の在り方については、本年の勧告においては、転居を伴う異動をする職員の増加と民間の支給状況を踏まえ、平成27年4月から再任用職員に対して単身赴任手当を支給することとしたところであるが、今後も民間給与の動向等を注視するとともに、各府省における今後の再任用制度の運用状況を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聞きながら必要な検討を行ってまいりたい。
六、非常勤職員制度等の改善に関する事項
 非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律、人事院規則等に規定しており、期間業務職員、育児休業など、これまで職員団体の皆さんの意見も聞きながら見直しを行ってきたところである。今後とも皆さんの意見も聞きつつ、期間業務職員を含む非常勤職員の任用、勤務条件等について、関係方面と協力しながら適切に対応してまいりたい。

 これらの回答に対し、公務員連絡会側は、次の通り人事院の考えを質すとともに重ねての要請を行った。
(1) 2015年度の給与については、本年を上回る賃上げを実現することが官民共通の課題。消費者物価が3%上がって、生活水準は間違いなく低下している。公務員が国民の期待に応えていくため、賃金を引き上げる必要がある。人事院としての積極的な対応を求める。
 官民比較方法については、基本的には比較企業規模以外の要素を含めて、地域区分を除いて本年と同様と受け止める。
 諸手当の具体化については人勧期に向けての課題と言うことになるが、16日に合意された「経済の好循環に向けた政労使の取組について」の7番目「女性が働きやすい制度等への見直し」に関して、民間準拠の原則のもと、配偶者手当については、民間労使における在り方の検討を踏まえた検討を求める。
(2) 超勤縮減の意識調査はどんな状況か。超勤は、2013年度で平均240時間弱、年間所定労働時間の1割を超える。720時間超の超勤は禁止、少なくとも全員が360時間に収まることをめざすべき。少なくとも、超勤を半減するぐらいの意気込みが必要ではないか。
(3) ワーク・ライフ・バランス及び女性の労働権に関わっては、まずワーク、仕事、働き方をディーセントにすることが基本。それがベースでないとどこかにしわ寄せが生じる。バランスをいう前にディーセントワークを優先すべき。
 フレックス、とくにテレワークについては、政府として民間企業への取組支援を行っているが、公務自らがしっかり活用できるようにすべき。公務のフレックスタイムは、職員の選択の余地、自由度が小さい。民間並みに柔軟化すべき。さらに、要件を問わない短時間勤務制度を導入してもらいたい。
(4) 心の健康づくりは、職員個人の問題ではなくて、仕事の仕方、働き方、職場環境、人間関係など複合的な課題だが、基本は無理のない勤務条件が確保されているかどうかだ。何よりも超勤縮減に力を入れていただきたい。
 メンタルヘルス確保のための職場環境改善について、取り組む府省が少しでも増えて成果を共有できるよう積極的な働きかけをお願いしたい。
(5) 労働安全衛生法のストレスチェックに関わっては、2016年度の予算で要求すると聞いているがそれでは遅くないか。パワハラについては、団結権がないところで多く発生しており、そういった職場を含めて手本となるような対策を講じてもらいたい。
(6) 今年度の定年退職者の来年度の再任用について、職員の希望通りの再任用となる見通しは立っているのか。問題を生じている府省があれば、人事院として、問題解決に努めるべきだ。
 すでに定年退職と年金支給の間にギャップが生じており、このままでは2015年度の定年退職者について最長2年に拡大するなど、事情は意見の申出当時と大きく変わっている。追加的な意見の申出も含めた対応も必要ではないか。
 当面の措置としての再任用者の給与については、さらなる改善を求めておく。
(7) 非常勤職員の課題については、給与法の附帯決議を踏まえるならば、給与指針の見直しが必要だ。
 任用形態にかかわらず、職務・職責に応じた均等処遇を徹底すべきであり、休暇、休業制度について、運用改善に止めず制度を含めて順次改善を図るべき。
(8) 配偶者手当に関する人事院の見解を伺いたい。配偶者手当に関する官民の状況を踏まえれば、官民較差を拡大するような引下げを官が率先して行うようなことは原則に反する。

 これに対し、川崎審議官は次の通り答えた。
(1) 平成23年の勧告時報告で民調対象産業や職種の定義、官民比較における対応関係の見直しを課題として挙げた。平成24年には定義見直しとして係長の人数要件を廃止、平成25年には産業を拡大、平成26年には基本となる職制段階の中間に位置する従業員について比較対象とした。平成23年度で掲げた課題については、既に対応したということで、さらなる見直しは予定していない。
(2) 超勤縮減の意識調査は、今まさにWEB調査を行っている最中で、年明けにその結果を集計・分析し、施策検討の素材としたい。
 超過勤務は色々な要素があり、720時間となるのは国会対応等の他律的業務が大きなウエイトを占めている。地方においては、人員と業務量の関係もあるかもしれない。これまでは、現場の管理者の意識改革で対応してもらうということをベースに取り組んできており、これは今後も推進していく。一方で、それ以外の要因もあると思われるが、それぞれの職場によって要因が違っているので、今回の意識調査で状況を確認してまいりたい。
(3) 職員がセルフケアに関する知識を身につけるための自習用の研修素材としてのe-ラーニングについては、専門医の意見も踏まえた検討の上で作成しているものであり、一般職員も対象となるものだ。もうすぐ完成する。
(4) 改正労働安全衛生法への対応については、同法の施行日を踏まえ、準備期間も考慮しつつ規定を整備していくことになる。
(5) 今年度の定年退職者の来年度の再任用については、今まさに取り組んでいるところである。従来の部分年金が支給される再任用から、今年初めて無年金の再任用になったことで、各省は、従来2級であったものを3級にする、5割勤務である短時間勤務を8割にするなどの取組みを進めていると承知している。
 定年退職と年金支給の間のギャップについては、人事院は、意見の申出通り定年延長があるべき姿だと考えている。5月の改正国公法において「平成28年度までに」という附則が付いたので、それに向かって政府の検討を支援していきたい。
(6) 非常勤職員の給与指針については、これまでに各省の運用を検証してきたが、1級初号俸については全省庁でクリアされている。通勤手当については、全額実費の省庁と、一部上限を設けている省庁があり、必ずしも全てでクリアされているわけではない。期末手当に相当する支給については、指針では努力義務としているが、省庁によって大分取扱いが違っている。予算の確保も必要であり、ご指摘の指針の見直しには至っていない。
(7) 配偶者手当に関するご指摘について、給与については情勢適応の原則、民間準拠であり、民間の動向を見て、合わせることを基本としている。

 以上の議論を踏まえ、大塚副事務局長が「本日の回答の中身は抽象的で具体性がなく不満だが、課題の共有はできたと認識している。本日の回答も踏まえ、来年2月に改めて春季要求書を提出するので、賃金・労働条件が改善され、組合員が意欲を持って勤務できるよう、引き続き努力することを強く求めておく」と要望し、本日の交渉を締めくくった。

以上