2016年度公務労協情報 31 2016年8月8日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院が月例給・一時金を引き上げる勧告・報告と両立支援制度を改正する勧告及び意見の申出−8/8
−公務員連絡会は声明を発出し、勧告・意見の申出通りの実施を要求−

 人事院は8月8日11時54分に、国会と内閣に対して@月例給を0.17%、708円、一時金を0.10月引き上げる勧告・報告、A両立支援制度を改正する勧告及び意見の申出などを行った。政府は人事院の勧告等を受けて、給与関係閣僚会議を開催し、その取扱いを検討していくことになるが、日程は未定である。
 公務員連絡会は、これを受けて、@月例給及び一時金の3年連続での引上げは、組合員の期待に一定程度応えるとともに、賃上げによる経済の好循環をはかるという観点から当然の結果、A月例給与の配分は、昨年同様、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げており、高齢層にも配慮した措置である。一時金について、3年連続で勤勉手当の引上げに充てたが、非常勤職員等への配慮について課題を残したB扶養手当制度の見直しは、子に対する手当額を大幅に引き上げる一方、配偶者に対する手当額を半減している。今日の生活環境と働き方の変化に鑑みた見直しであるとともに、扶養手当内での配分の変更であり、経過措置が講じられることに留意する。C両立支援制度改正の勧告及び意見の申出を行ったが、働き方改革の機運が熟しているにもかかわらず、民間制度の改正に即した改正に止めたことはあまりに消極的過ぎる、などを内容とする声明(資料1)を発した。なお、連合においても2016人事院勧告について、資料2の通り事務局長談話を発している。
 また、代表者会議で、8日の人事院勧告等を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに各構成組織の実情に応じ時間外職場集会等を開催することなどを確認した。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、勧告及び意見の申出通り実施することを求める要求書を提出することとした。


資料1−公務員連絡会の声明
声  明

1.人事院は、本日、月例給を0.17%、708円引き上げ、一時金の支給月数を0.10月引き上げるとともに扶養手当制度を見直す勧告・報告と両立支援制度を改正する勧告及び意見の申出を行った。
2.公務員連絡会は、6月21日に人事院総裁に要求を提出し、以降、幹事クラス交渉委員による職員団体審議官交渉、全国から3,000名を結集した7.26中央行動を背景として書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交渉を行うなど、人事院との交渉・協議を最終盤までねばり強く取り組んだ。
  とくに、民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえ、賃上げの流れを継続させ、月例給、一時金をともに引上げる勧告を実現するため、中央・地方、職場での取組みを進めてきた。
3.月例給及び一時金の3年連続での引上げは、組合員の期待に一定程度応えるとともに、賃上げによる経済の好循環をはかるという観点から当然の結果といえる。
  月例給与の配分は、昨年同様、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げており、高齢層にも配慮した措置である。一時金について、3年連続で勤勉手当の引上げに充てたが、非常勤職員等への配慮について課題を残したことを改めて指摘する。
  一方、扶養手当制度の見直しは、子に対する手当額を大幅に引き上げる一方、配偶者に対する手当額を半減している。今日の生活環境と働き方の変化に鑑みた見直しであるとともに、扶養手当内での配分の変更であり、経過措置が講じられることに留意する。
  勤務時間関係について、人事院が超勤の縮減にこれまでになく踏み込んでいることは評価できるが、問題は、本府省から地方出先・施設等機関まで、具体的・客観的に超過勤務を縮減できるかどうかである。また、両立支援制度改正の勧告及び意見の申出を行ったが、働き方改革の機運が熟しているにもかかわらず、民間制度の改正に即した改正に止めたことはあまりに消極的過ぎる。
  雇用と年金の接続に関わって、60歳を超える職員が能力を発揮し、意欲を持って勤務できる人事制度の確立に言及し、フルタイム中心の勤務を実現するとしているが、その具体策は提案しておらず、今後に課題を残した。
4.以上のことから公務員連絡会は、今後、政府に対して、本年の給与改定及び両立支援制度の改正について、勧告・意見の申出通り実施することを求めていくが、秋の臨時国会は、消費税増税延期関連法案と財政再建問題の関係から、極めて厳しい情勢となることが見込まれる。
  公務員連絡会は、勧告等の完全実施とこれから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の取組みにおいて、全力で取組みを進める。

2016年8月8日

公務員労働組合連絡会



資料2−連合事務局長談話

2016年8月8日


平成28年人事院勧告に対する談話


日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人


 1.人事院は、8月8日、政府と国会に対して、2016年度の国家公務員の月例給を708円(0.17%)引き上げ、一時金の支給月数を0.10ヶ月増とする勧告を行った。この勧告は、2016春季生活闘争における民間企業などの賃上げ・一時金の回答状況を踏まえたものであり、月例給および一時金のいずれも3年連続の改善となったことは評価できる。

2.今後、地方公務員の給与にかかる人事委員会勧告が予定される。人事院勧告によって、月例給、一時金ともに3年連続の引き上げとなったことを踏まえ、各人事委員会においては、少なくとも同様の引き上げ勧告が行われるとともに、地方自治体に対しては、質の高い公共サービスの実現と地方自治の原則の観点から、労使交渉が尊重されることを期待する。

3.今秋の臨時国会では、多数の重要法案の審議が見込まれているが、公務員賃金が中小企業・地場産業に与える影響は大きく、「格差是正」や「経済の好循環実現」のためにも、政府・国会に対し、勧告どおりの実施を強く求める。連合は、民主的な公務員制度の確立に向け、引き続き、関係する組織と連携しながら取り組みを進め、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする公務員制度改革の実現をめざしていく。

以上