2016年度公務労協情報 35 2016年10月4日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が、 地方公務員給与の改定等に関する総務省交渉−10/4
−地公の給与決定は、地方の自主的・主体的決定を尊重するよう強く求める−

 公務労協地方公務員部会は、10月4日12時50分から、地方公務員給与の改定等に関わり、高市総務大臣に提出した申入書に対する現時点での検討状況を質すため、総務省交渉を実施した。地方公務員部会からは幹事クラス交渉委員が出席し、総務省からは笹野給与能率推進室長らが対応した。
 冒頭、加藤事務局長が、現時点での検討状況について回答を求めたのに対し、笹野室長は以下のように答えた。

(1) 地方公務員の給与については、地方公務員法の趣意を踏まえ、各団体の議会において条例で定められるものである。総務省としては、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきものとの考えに立ち、必要な助言を行っていく所存である。
(2) 技能労務職員等の給与については、一般行政職とは異なり、労使交渉を経て労働協約を締結することができる。その上で給与の種類、基準については条例で定めるものとされている。一方で職務の性格や内容を踏まえつつ、同一または類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与などを考慮することが法律上求められている。しかし、技能労務職員などの給与については、同種の民間事業の従事者に比べ、高額となっているのではないかという国民等からの厳しい批判があるところ。各地方公共団体においては、このような考え方に立って、給与に関する情報の開示を進めながら、住民の理解と納得が得られる適正な給与とすることが重要であると考えている。

 これに対し、地方公務員部会側は、以下の通り総務省の考えを質した。
(1) 人事院は、扶養手当の見直しを本年勧告した。他方、既に勧告を出した人事委員会においては、今後の検討としているところが多く見られる。地方の実情や地方自治体の支給実態を十分に勘案すべきと考えるが、総務省としての考え方如何。
(2) 地域手当の導入により、手当の有無や支給率の差による自治体間の賃金格差が生じ、このために、新規採用を含め人材確保が難しくなっているという声が高まっている。地域手当についても、地方の実情や自主性等を勘案し、国の制度を画一的にあてはめるような指導・助言は慎むべきと考えるが、総務省の考え方如何。

 これに対し、笹野室長は以下の通り回答した。
(1) 地方公務員の給与については、国家公務員の給与を基本として決定すべきもの。したがって、今般の扶養手当の見直しについても、各地方公共団体において、国の見直しの趣旨を踏まえ、適切に対処いただくことが基本となると考えているが、いずれにせよ、総務省としての考え方については、今後、発出する副大臣通知において、お示ししたいと考えている。
(2) 地方公務員の給与は、地方公務員法第24条の給与決定原則に基づき、地域民間給与や国家公務員の給与等を考慮して定められるべきもの。地域手当については、地方における給与制度の総合的見直しの対応について議論した総務省の有識者検討会において、「専門的な第三者機関である人事院が行う客観的な統計データに基づくもの以外の要素を考慮することは技術的に困難な面があり、地域民間給与の適切な反映を目的とする地域手当の趣旨を踏まえれば、地方公務員給与においても、「人事院が作成した基準にのっとって支給地域・支給割合を定めることが原則」と考えられる」との提言がなされている。総務省としては、地方公務員の給与については、国民・住民の理解と納得が得られる適正な内容とすべきものとの考えに立ち、地域手当の支給地域及び支給割合については、国の指定基準に基づき定めることが原則である旨助言しているところ。

 さらに、加藤事務局長は意見・要望として以下のように求めた。
(1) 今後、各自治体において、賃金確定に向けた労使交渉に入り、人事委員会勧告・報告などを踏まえ、検討・協議が行われることとなる。先ほどの回答にもあったが、地方公務員の給与は、労使交渉・協議とそれに基づく労使合意を前提に、地方議会の条例で定めるのが原則であり、扶養手当の見直しも含め、地方自治体において自主的、主体的に決定するということを、改めて強調しておく。
(2) 国家公務員の給与について、今年は臨時国会が召集されたが、重要法案がいくつかある中、早期に人事院勧告どおりの実施を閣議決定し、給与法が国会に提出されるよう、総務省、総務大臣の立場からも尽力いただきたい。

 最後に加藤事務局長が「いくつか指摘したが、前向きに検討し、しかるべき時期に公務員部長から回答をいただきたい」と求めたのに対し、笹野室長がこれを了としたことから、本日の交渉を締めくくった。

以上