2017年度公務労協情報 12 2017年3月16日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2017年春季要求で書記長クラスが内閣人事局と交渉−3/15
−公務員制度担当大臣回答に向け、「前向きな検討」を要請−

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、3月15日14時から、内閣人事局人事政策統括官との交渉を実施し、2017春季要求に対する現段階における回答を引き出した。
 冒頭、吉澤事務局長が現段階の回答を求めたのに対し、三輪人事政策統括官は次の通り答えた。

1.2017年度賃金について
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
 本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員については、その処遇について把握するための実態調査を行い、昨年9月にその調査結果を公表したところ、その実態を把握できたことは、一定の意義があるものと考えている。
 なお、この実態調査の結果等を踏まえ、各府省等において、非常勤職員を採用する場合、採用予定者に対して勤務条件等の内容を適切かつ明確に説明する旨、昨年末、課長級の申合せを行ったところ。
 引き続き、民間の同一労働同一賃金の実現に向けた検討を含む「働き方改革」の動向等も注視しつつ、関係機関と連携し、今後の対応について検討してまいりたい。

3.労働時間、休暇及び休業等及びワーク・ライフ・バランスの推進、女性の労働権確立について
 「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」や「霞が関の働き方改革を加速するための重点取組方針」等に沿って、働き方改革、育児・介護等と両立して活躍できるための改革、女性の活躍推進のための改革に取り組んでいるところであり、男女全ての職員のワークライフバランスの実現と女性職員の採用・登用の拡大に向け、取組を推進してまいりたい。
 超過勤務の縮減や休暇等の取得促進については、昨年7月・8月に「ワークライフバランス推進強化月間」と「ゆう活」を実施したところ。フォローアップ調査結果から、「ゆう活」の取組が着実に浸透し、ワークライフバランス推進に一定の成果があったと考えている。「ゆう活」の成果を今後の具体的取組につなげていくことが必要であり、「働き方改革」を更に進めてまいりたい。
 加えて、フレックスタイム制を昨年4月から拡充したほか、育児・介護のための両立支援制度についても改正を行い、本年1月より施行されているところ。今後も、職員がより柔軟な働き方ができるよう、制度の円滑な運用に向けて適切に対応してまいりたい。
 職員の皆さんが、その能力を存分に発揮できるよう、皆様のご意見も伺いながら、超過勤務の縮減等に政府一丸となって取り組んでまいりたい。

4.高齢者雇用施策について
 雇用と年金の接続については、引き続き平成25年3月の閣議決定に沿って、定年退職者の再任用を政府全体で着実に推進していく方針である。
 今後、再任用職員の数が増加していくことが見込まれる中、組織の活力を維持しつつ、再任用職員の能力や経験をより一層本格的に活用していくための方策について検討してきているところであり、各府省の協力を得ながらスピード感を持って検討を進めてまいりたい。
 また、昨年の人事院勧告時の報告において、再任用職員の給与について、民間企業の再雇用者の給与の動向や各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえ、引き続き、その在り方について必要な検討を行っていくこととされており、政府としても人事院における所要の検討を踏まえ、適切に対応してまいりたい。
 今後の雇用と年金の接続の在り方については、平成25年3月の閣議決定において、年金支給開始年齢の段階的な引上げの時期ごとに、再任用制度の活用状況や民間の高年齢者雇用確保措置の実施状況等を勘案し改めて検討を行うこととされており、検討に際しては、皆様も含めた関係者の意見も聞きつつ、進めてまいりたい。

5.福利厚生施策の充実について
 昨年3月に改正した「国家公務員健康増進等基本計画」に基づき、職員の心身の健康の保持増進等に努めて参りたい。
 この中で、管理職員、課長補佐及び係長等に昇任した際に、e−ラーニング講習の活用により、心の健康づくりやハラスメント防止に関する研修の受講を必修化するなど、管理監督者を対象とした研修を強化することとしたところである。
 また、ストレスチェック制度を適正に実施するとともに、必要とする職員が専門家に相談できる体制の整備に努めることとしている。
 今後も、福利厚生施策の効率的かつ効果的な推進に努めて参りたい。

6.退職手当について
 国家公務員の退職手当は、勤続報償的な性格が強いものであるが、職員一般の関心が高い事項であることから、人事院の調査結果及び見解が公表されれば、皆様方から十分に御意見を伺ってまいりたい。

7.公務員制度改革について
 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたい。

 これに対して、吉澤事務局長は次の通り人事政策統括官の見解を質した。
(1) 働き方改革については、主体は民間でその動向を見てという部分もあるが、共通の課題や公務が率先してやるべきことがあるし、人事院を含めて、何をどこでどう議論するのか。内閣人事局として公務における働き方改革をどうすすめるかについて考え方を伺いたい。
(2) 良質な公共サービスの提供や長時間労働の解消、ワーク・ライフ・バランスの確保、雇用と年金の接続など、定員に関わる課題を解決していく必要があるが、内閣人事局としての考え方如何。長年にわたって定員削減が進められており、その背後には公共サービスに対する国民などの意向があるのではないか。国民に対して公共サービスの重要性を訴えて行く必要があるし、世論喚起のためには公共サービス基本法は重要なツールになる。定員問題も含めた対応を求める。
(3) 民間の賃上げ動向が昨年より厳しくなり、また、消費税増税の再延期等により、国の財政事情は昨年に比べより一層深刻化している。今後の公務員給与について、特別な動きはないか。現に給与制度の総合的見直しを進めており、それ以外の要素はあり得ないことを確認したい。
(4) 非常勤職員採用等について、昨年末に行った課長級申合せ以降の各府省の状況如何。未だ各府省によって、時給額、諸手当、社会保険等の適用の有無など募集内容等に違いが散見され、申合せ事項等が徹底されていないのではないか。内閣人事局として、実態を把握した上で各府省に対し指導を行うなど、必要な対応を求める。あわせて、給与法等改正に伴う給与改定も含め、可能な限り全府省統一的に対応すべきだ。
(5) 退職手当について、人事院による調査結果の公表及び見解の表明がなされていないが、仮に見直すこととなる場合には、然るべき時期にわれわれと十分に交渉、協議を行い、合意のもとに対応するよう求める。

 これらに対して、三輪人事政策統括官は次の通り応えた。
(1) 働き方改革については、さまざまな議論がなされてきたところ。民間等の動向を注視しつつ、超勤縮減など、公務においても今の枠組みの中で改善できるものについては、さらにすすめていく。
  また、非常勤職員の処遇改善について、各府省の対応について統一していくべきものについては政府として引き続き配慮していきたい。勤務条件については、人事院が指針などで示すのであれば、必要な議論を行って対応していく。
  働き方改革に関わる非常勤職員の処遇、長時間労働の問題の解決など、内閣人事局としての役割を果たしていきたい。
(2) 定員問題については、この間の抑制、削減基調によって厳しい状況にある中、それぞれの職場、現場で必要なサービスを提供できるよう努めているが、結果としてどのようなサービス提供になっているかを踏まえ、工夫が必要であり、実態をしっかり把握しつつ様々な観点から検討してまいりたい。
(3) 公務員人件費や処遇のあり方などについては国会でも様々な議論がなされているところだが、内閣人事局としては、給与制度の総合的見直しをはじめとする取組みを行ってきたところであり、総人件費基本方針に基づき対応するとの基本姿勢について、現段階で変わりはない。他方、国の財政状況が依然として厳しい中にあって、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けた対応が求められているところであり、引き続き、動向等を注視してまいりたい。
(4) 非常勤職員の採用については、実態調査と合わせて実施した非常勤職員への聞き取り調査も踏まえ、採用予定者に対する勤務条件等を適切かつ明確に説明する旨の各府省の課長級申合せを行ったところ。内閣人事局としても、各府省の一方的な説明ではなく、勤務条件等を採用予定者にしっかりと理解してもらうことが重要だと考えている。4月が採用の大きな節目であり、今後、各府省の採用条件の説明状況等を注視し、申合せ事項の徹底など必要な対応を行ってまいりたい。
(5) 退職手当については、人事院からの調査結果及び見解が表明されたのち、皆さんのご意見も伺いながら、適切に対応してまいりたい。

 最後に、吉澤事務局長は、「24日の国家公務員制度担当大臣からの最終回答にむけ、要求に則した前向きな検討を求める」と強く要請し、本日の交渉を終えた。

以上