2017年度公務労協情報 18 2017年4月11日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

民間退職給付の調査等に関わり人事院交渉−4/11

 公務員連絡会は、11日15時30分から民間退職給付の調査等に関わり人事院給与局長交渉を実施した。この交渉は、人事院が退職給付の官民比較結果に基づく見解表明を行う場合には、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づいて進めるよう求めてきたことを踏まえ実施したもの。公務員連絡会は書記長クラス交渉委員が交渉に臨んだ。

 冒頭、吉澤事務局長が、民間企業の退職給付制度等の調査結果の公表と見解表明に向けた検討状況を質した。

 これに対し、古屋給与局長は以下の通り回答した。
○ 平成28年8月、国家公務員の退職給付制度を所管している内閣総理大臣及び財務大臣から人事院総裁に対し、民間の退職金及び企業年金の実態調査の実施と見解の表明について要請があった。
○ これを受けて、本院は、職員の給与等を担当する専門機関として、平成18年及び平成23年に内閣からの要請を受けて調査を実施した経緯があることなどを踏まえ、退職給付の調査を行ったところである。
  現時点での状況についてお答えする。
 @ 昨年11月末に調査期間が終了し、現在、調査の集計の整理・分析を行っているところ。4月17日の週を目途に内閣総理大臣、財務大臣に調査結果と見解を示せるよう作業を急いでいる。
 A 民間企業の退職給付の調査については、標本企業7,355社のうち、4,493社(61.1%)について集計を行っており、十分信頼できる調査結果が得られたものと考えている。
 B 調査に当たっては、過去2回の調査と同様、企業規模50人以上の企業を対象とし、退職給付支給額については、勤続20年以上で退職した事務・技術関係職種の常勤従業員を対象としている。
 C 退職給付の官民比較に当たっては、退職事由別、勤続年数別に退職給付額を対比させ、国家公務員ウエイトでラスパイレス比較を行っている。
 D 比較の結果については、鋭意集計中であり、まだ申し上げられる状況にはないが、公務が上回るとしても、前回のような大幅な差にはならないものと見込まれる。

 これに対して吉澤事務局長は、以下の通り質した。
(1) 最大の関心は退職給付の水準にある。「公務が上回るとしても、前回のような大幅な差にはならない」というのは極めて抽象的な話であり遺憾だ。再回答を求める。
(2) 退職給付制度のある企業数は前回と比べてどうか。
(3) 企業年金と退職一時金の割合如何。民間では年金のウェイトが大きく、換算率をどう扱うかによって水準に大きな変化がでるが、人事院の考え方如何。
(4) 年金支給について、確定給付と確定拠出の割合変化如何。
(5) 見解の内容如何。今回は、較差の解消と経過措置が大きな焦点となると考えるが、人事院の考え方如何。

 これに対し古屋給与局長は、以下の通り回答した。
(1) 現時点で申し上げることはできないが、前回のような大幅な差はないと考えている。
(2) 退職給付制度のある企業数については、前回調査の93.5%とほぼ変わらない結果となる見通しである。
(3) 企業年金と退職一時金についての割合は、まだ確たることは言えないが、前回と大きく変わっていないのではないかと受けとめている。現価換算については、前回同様、厚生労働省告示の最低積立基準額の算定に用いる割引率を使用する。
(4) 見解は、まずは較差の解消についてである。経過措置については較差によるが、極めて大幅な引下げとなった前回を除き、これまでの手法が参考になるのではないか。

 また、交渉委員からは、公務の再任用の実態を踏まえた対応等について要望が出された。

 最後に吉澤事務局長が、「この課題は極めて関心の高い事項である一方、社会的、経済的にも難しい側面がある。われわれの意見を踏まえつつ、慎重な対応を求める」と強く要望し、本日の交渉を終えた。

以上