2017年度公務労協情報 29 2017年8月8日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院が月例給・一時金を引き上げる勧告・報告−8/8
−公務員連絡会は声明を発出し、勧告通りの実施を要求−

 人事院は8月8日11時48分に、国会と内閣に対して月例給を0.15%、631円、一時金を0.10月引き上げる勧告・報告などを行った。政府は人事院の勧告等を受けて、給与関係閣僚会議を開催し、その取扱いを検討していくことになるが、日程は未定である。
 公務員連絡会は、これを受けて、@月例給・一時金ともに4年連続の引上げは、組合員の期待に一定程度応える勧告となった、A月例給与の配分は、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げており、較差が小さい中ですべての公務員に配慮した措置である、一時金の引上げ分を4年連続で勤勉手当に充てたことは、育児・介護に携わる職員や非常勤職員等への配慮を欠くものである、B長時間労働対策が働き方改革実行計画ロードマップに明記される中、人事院はその重要性を前面に打ち出したものの、より実効性のある具体策に踏み込まなかったことは残念なことである。あわせて、公務の勤務時間法制と労働基本権制約のもとでの代償制の問題を改めて明確にしたと言える、C雇用と年金の接続に関わって、政府が骨太方針に「公務における定年延長の具体的検討」を明記し、人事院の改めての主体的な対応が求められたが、積極的提起を見送ったことは機を失するものである、などを内容とする声明(資料1)を発した。なお、連合においても2017人事院勧告について、事務局長談話(資料2)を発出している。
 また、代表者会議で、8日の人事院勧告等を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに各構成組織の実情に応じ時間外職場集会等を開催することなどを確認した。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、勧告通り実施することを求める要求書を提出することとした。


資料1−公務員連絡会の声明
声  明

1.人事院は、本日、月例給を0.15%、631円引き上げ、一時金の支給月数を0.10月分引上げる給与に関する勧告・報告と公務における働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行った。
2.公務員連絡会は、6月20日に人事院に要求を提出し、以降、幹事クラス交渉委員による職員団体審議官交渉、全国から3,000名を結集した7.25中央行動を背景として書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交渉を行うなど、人事院との交渉・協議を最終盤までねばり強く取り組んだ。
  とくに、民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえ、賃上げの流れを継続させるため、月例給を引上げるとともに、製造業を中心に厳しい状況となった一時金については最低限月数を維持する勧告の実現をめざしてきた。
3.月例給・一時金ともに4年連続の引上げとなったが、月例給については民間の動向をも踏まえた結果である一方、一時金については産業構造が急激に転換していく中で、各種調査が製造業に偏って集計されていたものであるとともに、ウエイトが高まっている非製造業が前年同期比増と堅調であったことを反映し、引上げとなったものである。いずれにしても、組合員の期待に一定程度応える勧告となった。  昨年を下回るとは言え、月例給与の配分は、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げており、較差が小さい中ですべての公務員に配慮した措置と理解するが、一時金の引上げ分を4年連続で勤勉手当に充てたことは、育児・介護に携わる職員や非常勤職員等への配慮を欠くものである。
  長時間労働対策が働き方改革実行計画ロードマップに明記される中、人事院はその重要性を前面に打ち出したものの、勤務時間管理や上限規制などを含めた、より実効性のある具体策に踏み込まなかったことは、職員の健康安全や人材の確保、働きやすい職場づくりの観点から見ても、残念なことである。あわせて、公務の勤務時間法制と労働基本権制約のもとでの代償制の問題を改めて明確にしたと言える。
  雇用と年金の接続に関わって、政府が骨太方針に「公務における定年延長の具体的検討」を明記し、再任用制度の限界も極まりつつある中で、人事院の改めての主体的な対応が求められたが、積極的提起を見送ったことは機を失するものである。
4.以上のように、本年の勧告・報告はわれわれの要求にあまねく応えたものとはいえないが、労働基本権制約のもと、公務員連絡会は、政府に対して、給与改定を勧告通り実施することや超過勤務の確実な縮減、希望に基づく再任用実現と定年延長の早期実施等を求めていく。また、退職給付の見直しについても交渉・協議と合意に基づく対応を求めていく。
  公務員連絡会は、勧告の完全実施と、すべての公務員労働者の労働諸条件の改善、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の取組みにおいて、全力を尽くすものである。

2017年8月8日

公務員労働組合連絡会



資料2−連合事務局長談話

2017年8月8日


平成29年人事院勧告に対する談話


日本労働組合総連合会
事務局長 逢見 直人


 1.人事院は、8月8日、政府と国会に対して、2017年度の国家公務員の月例給を631円(0.15%)引き上げることや、一時金の支給月数を0.10ヵ月増(4.40ヵ月)とすることなどについて勧告を行った。月例給および一時金のいずれも4年連続の改善であり、このことは、今次春季生活闘争において、継続した賃金改善の重要性を訴えてきた連合の取り組みの成果であると評価する。政府には、本勧告どおりの早期完全実施を求める。

2.労働諸条件の改善については、本年3月に政府が決定した「働き方改革実行計画工程表」に公務員の長時間労働対策が明記される中、勤務時間管理や上限規制などを含めた実効性ある施策の勧告が期待されたが、具体策は示されなかった。「働き方改革」は、国民全体にかかわる重要な課題として、公務職場も含めたすべての職場において実行されるべきであり、とりわけ公務においては、質の高い公共サービスを維持し続けるためにも、労使関係において超過勤務の規制をはかる措置を講じるなど、より積極的かつ実効性ある施策を推進していくことが求められる。
  一方、勧告に先立ち、本年7月には8年ぶりの非常勤職員給与指針の改定が行われた。各府省は新年度を待つことなく、勤勉手当の支給などの処遇改善を早期に実現すべきである。

3.今後、人事委員会が置かれている地方自治体においても、地方公務員の給与にかかる人事委員会勧告が予定されているが、人事院勧告を踏まえ、少なくとも同様の引き上げ勧告が行われるとともに、地方自治体に対しては、地方自治の原則の観点から、労使交渉が尊重されることを期待する。

4.連合は、国民の安全・安心な暮らしを守る良質な公共サービスの維持・発展に向け、関係する組織と連携しながら、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする、民主的な公務員制度改革の実現をめざしていく。

以上