2017年度公務労協情報 31 2017年8月10日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人勧取扱いで国家公務員制度担当大臣、厚生労働大臣に要求書を提出−8/8・10
−併せて公務労協が退職手当の見直しに関わる要求書を提出−

 人事院勧告・報告が8日昼に行われたことを受けて、公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、同日に梶山国家公務員制度担当大臣、10日に加藤厚生労働大臣にそれぞれ要求書(資料1参照)を提出した。
 あわせて、本年4月に人事院が公表した「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」を踏まえ、内閣人事局において退職給付の見直しが検討がされつつあることから、公務労協として、国家公務員制度担当大臣に対して「退職手当の見直しに関わる要求書」を提出した(資料2参照)。
 要求提出の経過は次の通り。

<国家公務員制度担当大臣への要求書提出の経過>
 梶山国家公務員制度担当大臣への要求書提出は、8日13時30分から行われ、委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、石原議長は、次の通り要請した。
(1) 人事院は本日、本年の給与に関する勧告・報告と公務における働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告を行った。本年の給与改定に関する勧告は、月例給、一時金のいずれについても、4年連続の引上げとなった。人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや、国家公務員給与が民間給与に影響する観点を踏まえ、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考える。
(2) また、国全体で長時間労働の是正を含む「働き方改革」に向けた取り組みが進められようとしているなか、報告では、公務が積極的に対応していくことの重要性が強調された。しかし、厳しい定員管理のもと、業務過多で人員不足にある状況を改善し、職員が働きやすい職場づくりが進んでいくかどうかは依然として不透明な状況だ。さらに、現行の再任用制度のもと、職員の希望通りの任用には程遠く、定年後の生活の維持も改善の見通しが立っていない。
(3) 公務が率先して、まさに「隗から始めよ」の観点から働き方改革を具体的に推し進め、超過勤務の縮減や高齢職員の活躍に新たな展望を切り拓くなど、その役割をしっかりと果たすことが不可欠であると考える。あわせて、同一労働同一賃金の観点からも、非常勤職員の処遇を改善することも重要課題だ。
(4) 大臣におかれては、内閣官房内閣人事局の意義を深く認識され、公務員の使用者としての責任において、われわれとの十分な交渉・協議、合意に基づいて、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、要求事項の実現に向けて最大限努力されることを要求する。
(5) あわせて、退職手当見直しに関わって、公務労協として要求書を提出させていただいた。現在、内閣人事局において、人事院の調査結果及び見解表明を踏まえて検討が進られていることと思うが、職員の生活や生涯設計にも大きな影響を及ぼすものであることから、見直しにあたっては、われわれとの十分な交渉・協議を行い、合意した上で、必要な対応がとられるよう、強く要求する。

 これに対し梶山大臣は次の通り回答した。
(1) 公務員の方々が国民全体のために献身的に職務に当たられていることに対し、敬意を表する。
(2) 本日、人事院から給与改定に関する勧告が提出されたところであり、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。
(3) 国家公務員の給与については、国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討を進めていく。
  その過程においては、皆様方の意見も十分にお聞きしたいと考えている。
(4) また、退職手当の見直しに関しては、国家公務員の退職手当は、勤続報償的な性格が強いものであるが、職員一般の関心が高い事項であることから、皆様方の意見も十分にお聞きしてまいりたいと考えている。

<厚生労働大臣への要求書提出の経過>
 加藤厚生労働大臣への要求書提出は、10日16時00分から行われ、同じく委員長クラス交渉委員が出席した。
 冒頭、石原議長は、要求の趣旨を説明し、「大臣におかれては、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、要求事項の実現に向けて最大限努力されることを要求する」と求めた。

 これに対し加藤大臣は次の通り回答した。
(1) 本年の人事院勧告では、初任給・若年層に重点を置いた月例給の引上げや、ボーナスの引上げが勧告されたところ。
(2) この人事院勧告については、現下の経済・雇用情勢を踏まえ、様々な角度から真剣かつ慎重な検討が加えられ、出されたものであると認識している。
(3) 厚生労働大臣としては、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を維持・尊重する立場に立って対処すべきであると考えている。
(4) 本年度の国家公務員の給与改定についても同様の基本姿勢に立ち、国民の理解を得られるような結論を得るよう、国の財政状況、経済情勢など国政全般の観点から、誠意をもって検討を進めてまいりたい。

 政府は今後、給与関係閣僚会議を開催し、2017人事院勧告の取扱いについて協議していくこととしている。

(資料1)政府宛要求書

2017年8月8日


内閣総理大臣
 安 倍 晋 三 様

公務員労働組合連絡会
議 長  石 原 富 雄


本年の人事院勧告・報告に関わる要求書

 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力いただいていることに感謝申し上げます。
 さて、人事院は本日、月例給を0.15%、631円引き上げ、一時金の支給月数を0.10月引き上げる給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務員の人事管理について、長時間労働対策の重要性を前面に打ち出したほか、公務における高齢者のより一層の活用などを求める人事管理に関する報告を行いました。
 本年の給与改定に関する勧告は、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえたものであることに加えて、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考えます。
 他方、働き方改革について、公務が積極的に対応していくことの重要性が強調されましたが、厳しい定員管理のもと、働きやすい職場づくりが具体的に進んでいくかどうかについては、相変わらず不透明な状況にあります。
 また、雇用と年金の接続に関わっては、再任用制度のもとで、定年後の生活の維持も改善の見通しが立っていません。
 公務が率先して働き方改革を具体的に推し進め、超過勤務の縮減や高齢職員の活躍に新たな展望を切り拓いていくなど、その役割をしっかりと果たしていかなければなりません。あわせて、非常勤職員の均等待遇も公務における重要課題となっています。
 貴職におかれましては、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、下記事項の実現に向けて最大限努力されることを要求します。



1、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること。

2、職員の希望に基づく再任用の実現と定年延長の早期実施、超過勤務の確実な縮減等に向けて、直ちに具体的措置を講じること。

以上


2017年8月10日

厚生労働大臣
 加 藤 勝 信 様

公務員労働組合連絡会
議 長  石 原 富 雄


本年の人事院勧告・報告に関わる要求書

 常日頃、公務員労働者の処遇改善にご努力いただいていることに感謝申し上げます。
 さて、人事院は本日、月例給を0.15%、631円引き上げ、一時金の支給月数を0.10月引き上げる給与に関する勧告・報告を行うとともに、公務員の人事管理について、長時間労働対策の重要性を前面に打ち出したほか、公務における高齢者のより一層の活用などを求める人事管理に関する報告を行いました。
 本年の給与改定に関する勧告は、人事院勧告が労働基本権制約の代償措置であることや民間企業や造幣局、印刷局の春季交渉結果を踏まえたものであることに加えて、賃上げによる経済の好循環を図るためにも、勧告通り実施すべきものと考えます。
 他方、働き方改革について、公務が積極的に対応していくことの重要性が強調されましたが、厳しい定員管理のもと、働きやすい職場づくりが具体的に進んでいくかどうかについては、相変わらず不透明な状況にあります。
 また、雇用と年金の接続に関わっては、再任用制度のもとで、定年後の生活の維持も改善の見通しが立っていません。
 公務が率先して働き方改革を具体的に推し進め、超過勤務の縮減や高齢職員の活躍に新たな展望を切り拓いていくなど、その役割をしっかりと果たしていかなければなりません。あわせて、非常勤職員の均等待遇も公務における重要課題となっています。
 貴職におかれましては、公務員労働者が意欲を持って職務に精励し、国民の期待に応えられるよう、下記事項の実現に向けて最大限努力されることを要求します。



1、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること。

2、職員の希望に基づく再任用の実現と定年延長の早期実施、超過勤務の確実な縮減等に向けて、直ちに具体的措置を講じること。

以上


(資料2)退職手当の見直しに関わる要求書

2017年8月8日

内閣総理大臣
 安 倍 晋 三 様

公務公共サービス労働組合協議会
議 長  泉 雄一郎


退職手当の見直しに関わる要求書

 貴職の公務員の人事行政に関する日頃のご尽力に敬意を表します。
 さて、4月に、人事院から「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」が公表され、秋の臨時国会に向けて、検討作業が進められているものと思います。
 貴職が所掌する退職手当は、公務・公共部門に働く労働者の退職後の生活設計の根幹をなすものであり、その水準見直しは労働条件の大きな変更となります。
 つきましては、下記事項の実現を強く求めます。



 人事院の調査結果及び見解表明を踏まえた退職手当の見直しについては、われわれと十分な交渉・協議を行い、合意した上で、所要の法案を国会に提出すること。

以上