2018年度公務労協情報 15 2018年3月7日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2018年春季要求事項で幹事クラスが内閣人事局・人事院と交渉−3/7
−中間的回答は具体性がなく、さらに誠意ある回答を求める−

 公務員連絡会は3月7日、人事院職員団体審議官、内閣人事局内閣審議官との交渉を実施し、2月20日に提出した2018春季要求に対する中間的な回答を引き出した。しかし、この日の回答は人事院、内閣人事局ともに抽象的で不満な内容にとどまった。
 このため、公務員連絡会は、書記長クラス交渉委員との交渉ではさらに誠意ある回答を行うよう要求し、回答指定日に向けて交渉を積み上げていくこととした。

<人事院職員団体審議官交渉の経過>
 人事院の池本職員団体審議官との交渉は、13時30分から行われた。
 冒頭、大塚副事務局長が中間的な回答を求めたのに対し、池本審議官は、次の通り答えた。

1.賃金要求について
 今年の春闘では、連合は「それぞれの産業全体の「底上げ・底支え」「格差是正」に寄与する取組を強化する観点から、2%程度を基準とし、定期昇給相当分を含め4%程度を賃上げとして求める」との目標を掲げ、その実現に向けて取組を進めることとしている、と承知している。
 一方、日本経団連は、賃金については、「適切な総人件費管理の下、支払能力を踏まえて決定するとの大原則に則り、個人消費活性化に向けた「3%の賃金引き上げ」との社会的期待を意識しながら、自社の収益に見合った前向きな検討を行うよう呼びかけ、特に、収益が拡大・高水準で推移している企業においては、多様な方法により年収ベースの賃金引き上げを基本としながら、月例賃金や総合的な処遇改善への積極的な対応を求めている」と承知している。
 こうした状況の中、3月中旬以降、経営側からの回答・妥結が行われるので、人事院としてもその動向を注視しているところである。
○ 国家公務員の給与について
 国家公務員の給与について、本年も情勢適応の原則に基づき、民間給与の実態を精緻に調査した上で、民間給与との精確な比較を行い、必要な勧告を行うという基本的スタンスに変わりはない。
 官民給与の比較方法については、これまでも必要な見直しを行ってきており、比較対象企業規模を含め、現行の取扱いが適当と考えている。
 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、必要となる検討を行ってまいりたい。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律や人事院規則等で規定しており、これまでも職員団体の皆さんの意見も聴きながら見直しを行ってきている。今後とも職員団体の皆さんの意見も聴きながら、適切に対処してまいりたい。
 非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、昨年7月には、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう、この指針を改正したところであり、改正後の指針の内容に沿った適切な処遇が図られるよう取り組んでまいりたい。
 非常勤職員の休暇制度については、民間の状況との均衡や常勤職員の状況を考慮し、必要な措置を行ってきているところである。平成28年12月に働き方改革実現会議で示された「同一労働同一賃金ガイドライン案」については、今後、国会審議等を経て確定することとなるものと承知しており、人事院としては、そこでの議論等を踏まえて、慶弔に係る休暇等について、必要な検討を進めてまいりたい。

3.労働時間の短縮等について
○ 超過勤務の縮減について
 昨年の勧告時報告において、長時間労働の是正のため、職場におけるマネジメントの強化を図るとともに、業務の削減・合理化に取り組むことなどが必要である旨を述べたところであり、人事院としても、官民の参考事例を収集・提供すること等により、各府省の取組を支援していくこととしている。
 また、職員の健康管理の観点からは、適切な方法により職員の勤務実態を把握することが重要であると考えており、その旨も勧告時報告において述べたところである。
 長時間労働の是正のための制度等については、今後、各府省の取組や、上限規制に係る民間労働法制の議論等を踏まえ、各府省や職員団体の皆さんの意見を聴きながら、実効性ある措置を検討することとしており、引き続き関係機関とも連携しつつ、長時間労働の是正に向けた取組を強力に推進してまいりたい。
○ 休暇・休業制度について
 両立支援制度を含む職員の休暇、休業制度については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきており、引き続き、民間の動向等を注視してまいりたい。
 また、昨年8月の勧告時報告で言及したとおり、両立支援制度の活用に関する指針の見直しを進めており、新たな指針の周知も含めて、引き続き、環境の整備等に取り組んでいきたい。
 なお、子の看護休暇等については、対象となる子の人数が減少した場合の上限日数の取扱いについて、先般、職員福祉課長通知を発出し、子の小学校入学等により、年の途中で小学校就学の始期に達するまでの子の人数が2人以上から1人となった場合は、その時点の残日数の範囲内で子の看護休暇を取得することができるよう、解釈を改めることとしたところである。
○ 勤務時間制度について
 短時間勤務制度については、育児を行う職員を対象とした制度が既に設けられているが、民間の状況等を注視しつつ、各府省における業務遂行体制や行政サービスへの影響、現行の組織管理や定員管理の在り方、職員の勤務条件の在り方などを含め、引き続き幅広い観点から検討が必要と考えている。今後とも、職員団体の皆さんの意見も聴きながら検討してまいりたい。

4.女性公務員の労働権確立について
 人事院としては、公務におけるワーク・ライフ・バランスの推進及び男女共同参画社会の実現に向けた取組を人事行政における重要施策の一つと位置付け、国家公務員法に定める平等取扱の原則、成績主義の原則の枠組みを前提とした女性の参画のための採用・登用の拡大、両立支援など様々な施策を行ってきているところであり、引き続き、各府省の具体的な取組が進むよう支援してまいりたい。
 本年2月に、各府省における職員の職場環境への円滑な適応、能力開発・専門性習得等のキャリア形成、仕事と生活の両立等に向けたメンター制度の活用に資するよう、「メンター制度実施の手引き」を作成するとともに、女性職員の登用拡大に向けたメンター制度を類型例の一つとして示し、その概要や留意点について説明するパンフレットを作成した。今後とも、各府省の具体的な取組が進むよう支援してまいりたい。

5.高齢者雇用施策について
○ 定年の引上げについて
 人事院としては、質の高い行政サービスを維持していくためには、高齢層職員を戦力として、その能力及び経験を本格的に活用することが不可欠と考えている。そのためには、65歳までの定年の引上げによって対応することが適当であると考えており、昨年の勧告時報告でもその旨を述べ、論点整理を進めてきたところである。
 政府からの検討要請も踏まえつつ、今後、定年の引上げに係る人事管理諸制度の具体的な設計を行うに当たり、平成23年以降の諸状況の変化に加え、民間の諸情勢を参考とするとともに、各府省や職員団体の皆さんの意見、行政現場の実態も聴きながら、鋭意検討してまいりたい。
○ 再任用職員制度について
 当面の措置としての義務的再任用については、新規採用者を一定数確保しながらフルタイム中心の再任用が実現できるよう、定員上の取扱いについて関係機関に働き掛けを行うなど引き続き必要な取組を行うこととしている。
 人事院としては、各府省における円滑な人事管理を図る観点から、民間企業の再雇用者の給与の動向や各府省における再任用制度の運用状況等を踏まえつつ、定年の引上げに向けた具体的な検討との整合性にも留意し、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、引き続き再任用職員の給与の在り方について必要な検討を行ってまいりたい。

6.福利厚生施策の充実について
○ 心の健康づくり対策について
 平成16年3月に発出した「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として対処しており、これまでも「こころの健康相談室」の運営など様々な取組を進めてきている。引き続き、各府省と連携しつつ、適切に対応してまいりたい。
○ ストレスチェック制度について
 平成28年度より、職員に医師等によるストレスチェックの受検機会を付与すること及び職員からの申出に応じて面接指導を実施することを義務付けることなどを内容とするストレスチェック制度が実施されているところであり、各府省と連携し、同制度の着実な実施に努めてまいりたい。
○ ハラスメント対策について
 人事院規則10―15の制定やセクシャル・ハラスメントに関する運用通知の改正など、その防止措置を講じてきているところである。
 パワー・ハラスメントについても職員の意識啓発等に取り組んできているところであり、引き続き、厚生労働省に設置された検討会での議論やパワハラに関する裁判例など社会的な動向等にも留意しつつ、パワハラの防止のための施策等について検討してまいりたい。

7.その他の事項について
 障がい者雇用の促進については、これまでも国家公務員採用試験において、点字試験の実施や点字試験に音声読み上げを補助として併用する措置のほか、障がい者に対する各種の便宜供与の実施などの措置をとってきており、平成30年4月1日の雇用促進法の一部改正法の施行後も、引き続き成績主義の原則及び雇用促進法の趣旨を踏まえ、適切な対応を行ってまいりたい。

 これに対して、大塚副事務局長は、4月の人事異動について、「運送業の人手不足等により、希望通りの引っ越しができないとの報道がなされるとともに、現場の職員からは、料金の高騰により、相当額の費用が持ち出しとなっている現状が報告されている。人事院も何らかの対応が必要ではないか」と述べた上で、早期内示や赴任旅費の改善、住居手当等が課題となっているという問題意識について意見交換を行った。
 続いて、次の通り春季要求事項に関わり人事院の見解を質した。
(1) この間、4年連続で給与引上げ改定が行われているが、生活改善の実感がないというのが組合員の率直な思いだ。人事院として、5年連続で賃上げ勧告を行うべく、積極的な姿勢で臨んでもらいたい。官民比較については、改めて現行通りであることを確認しておく。
  諸手当については、住居手当が大きな課題だ。また、「同一労働同一賃金」の議論の中で、非常勤職員等への適用を含め、その在り方が問われる。十分な議論と合意に基づく対応を求める。
(2) 昨年改正された非常勤職員給与決定指針に基づき、人事院として各府省を指導することを強く求める。あわせて、同じ非常勤職員であっても手当の適用が異なる事例が見受けられるが、人事院の問題意識如何。各府省の状況を丁寧に確認するなど、改善に向けて対応すべきだ。
  休暇について、慶弔休暇等の検討状況如何。また、公務上傷病で休暇取得の場合無給である理由如何。いずれも直ちに改善すべきだ。
(3) 労働時間の短縮に関わり、職員の勤務実態把握が前提であり、「適切に」把握する具体的な方法如何。民間の労働法が改正されれば来年4月から罰則つきで上限規制が設けられるが、公務においては、基本権制約の下、人事院の責務として上限規制を設けるべきだ。
(4) 定年引上げの早期実現に向け、十分な交渉・協議、合意の下に検討作業を進めることを強く求める。それまでの間、職員の希望通りの再任用となるよう、人事院として尽力するとともに、再任用職員に生活給的手当を支給することを求める。
(5) ストレスチェックのフォローアップ結果を見ると、全体としては実施されているが、集団的分析にバラツキがある。今後は着実に実施されるよう、各府省への働きかけを強めてもらいたい。

 これに対し、池本審議官は次の通り答えた。
(1) 国家公務員給与について、情勢適応の原則に基づき、民間における賃上げ動向を注視しつつ、皆さんからのご意見も聞きしながら適切に対応してまいりたい。
  また、諸手当について、民間実態等を踏まえ、皆さんの意見も聞きながら必要な検討を行ってまいりたい。
(2) 非常勤職員の給与については、非常勤給与決定指針に基づき適切に対応するよう各府省を指導してきており、今後も必要に応じて取り組んでまいりたい。また、諸手当については、各府省ごとに非常勤職員の業務内容等に違いがあるため、実情に応じて対応していると認識している。今後も、同一労働同一賃金の議論の動向等を注視し、処遇改善に向けて適宜必要な見直しを行ってまいりたい。その際には、皆さんからの意見もお聴きしてまいりたい。
  休暇については、民間労働法制等の議論の動向を踏まえて対応してまいりたい。
(3) 勤務時間管理について、各府省において円滑な公務運営を確保する観点から、それぞれの職場状況に応じた適切な方法で把握していると認識している。人事院としては、労働時間の短縮等に向け、昨年の勧告時報告で言及した施策等を通じて、各府省を支援することとしており、今後も必要に応じて適切に対応してまいりたい。
  公務における上限規制について、長時間労働の是正は官民を問わない課題であると認識している。他方、公務運営の確保の観点からも十分に検討する必要がある。いずれにしても、民間労働法制の議論等を踏まえて、皆さんからのご意見も聞きながら必要な検討を行ってまいりたい。
(4) 定年引上げについて、平成23年以降の状況変化等を踏まえつつ、民間の状況等を参考としながら、ご意見を聞き検討を進めてまいりたい。また、現行再任用についても、フルタイム中心の再任用実現に向けて、引き続き必要な取組を行ってまいりたい。あわせて、再任用職員の手当については、各府省や民間の状況、定年引上げとの整合性にも留意しつつ、必要な検討を行ってまいりたい。
(5) ストレスチェックについて、引き続き必要な取組を行ってまいりたい。

 また、各交渉委員からは、職場実態を踏まえ、@初任給基準の抜本的見直し、A非常勤の公務上傷病に係る休暇の改善、B超勤縮減に向けた具体的対応、C現場実態を踏まえた定年引上げに向けた検討、D人材確保の観点等も踏まえた再任用職員に対する生活給的手当の支給、などについて意見・要望が出された。

 最後に、大塚副事務局長が「春の段階の交渉では、民間の状況を踏まえつつ、夏の人勧期に向けて、課題を確認して、解決の方向性を探っていくことになるが、今日の回答は、具体性がなく、方向性が見えてきていない。賃上げはもとより、働き方改革に係る勤務時間管理、超勤の上限規制、同一労働同一賃金原則による非常勤職員の待遇改善、定年の早期引上げに向けた作業などが重要課題と考えている。今後、さらに議論を積み重ねて、15日の各局長との交渉では、われわれの要求について具体的かつ前向きな回答をお願いしたい」と要請し、本日の交渉を締めくくった。

<内閣人事局内閣審議官交渉の経過>
 稲山内閣審議官との交渉は、15時から行われた。
 冒頭、大塚副事務局長が中間的な回答を求めたのに対し、稲山審議官は「主な事項について、現時点における回答をさせていただく」と述べ、次の通り答えた。

2.2018年度賃金について
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
 本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員の処遇改善については、昨年5月に、非常勤職員の基本給・特別給・給与改定に係る平成30年度以降の取扱いについて各府省で申し合わせたところであるが、皆様とも引き続き意見交換を重ねつつ、各府省において申合せに沿った処遇改善が着実に進むよう、関係機関とも連携しながら必要な取組を進めてまいりたい。

4.労働時間、休暇及び休業等について
 平成26年10月に取りまとめた「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、政府一丸となって、長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革や業務の効率化等を通じた超過勤務の縮減、テレワークや、フレックスタイム制などによる働く時間と場所の柔軟化等に取り組んできたところ。
 昨年4月からは、超過勤務を実施する際に、その理由や見込時間等を上司が把握するなど、勤務時間の適切な管理を更に徹底することとしたところ。今後とも、リモートアクセスとペーパレスの推進、管理職をはじめとしたマネジメント改革等にも積極的に取り組みつつ、全ての職員が存分に能力を発揮できる環境づくりに努めてまいりたい。

5.女性公務員の労働権確立について
 男女双方のワークライフバランス及び女性職員の活躍については、平成27年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」等を踏まえ、平成28年1月に改正した「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」や、平成28年4月に施行された女性活躍推進法等に沿って、取組みを進めているところ。
 内閣人事局としては、これら取組指針等に基づき、各府省の取組みを引き続きフォローアップし、各府省の取組を促進させるようなサポートを行うことにより、職員のワークライフバランスを実現し、女性活躍の動きを更に加速してまいりたい。

6.高齢者雇用施策について
 国家公務員の定年の引上げについては、関係省庁の局長級により構成される「公務員の定年の引上げに関する検討会」において論点を整理し、本年2月16日付で、人事院に対して検討を要請したところである。今後、人事院における検討を踏まえた上で、具体的な制度設計を行い、結論を得てまいりたいと考えている。その際、皆様も含めた関係者の意見も聞きつつ、進めてまいりたい。
 なお、定年退職者の再任用については、引き続き平成25年3月の閣議決定に沿って、政府全体で着実に推進していまいりたい。

7.福利厚生施策の充実について
 職員の勤務能率の発揮及び増進を図るため、平成28年3月に改正した「国家公務員健康増進等基本計画」に基づき、職員の心身の健康の保持増進等に努めてまいりたい。
 基本計画には数値目標(実施率100%)を導入しているが、このうち、昨年度におけるストレスチェックの実施はほぼ100%であり、管理職員等に対する心の健康づくりやハラスメント防止に関する研修の受講率は約9割、要医療該当職員や二次健診対象職員の受診率は約6割などとなっている。
 引き続き各府省における基本計画の実施状況を把握し、各府省において必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。

8.公務員制度改革について
 自律的労使関係制度については、国家公務員制度改革基本法第12条において「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とされている。
 この自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたい。

9.その他の事項について
 障害者雇用については、障害の種別をこえた雇用への理解、促進を図るため、本府省の担当者を対象とした連絡会、地方ブロックにおける人事担当課長会議を開催するほか、昨年度に引き続き、内閣人事局で実施している「障害者ワーク・サポート・ステーション事業」において各府省に障害者を派遣し、実際に業務指示をしてノウハウを取得してもらう等の取組を進めてまいりたい。

 これに対して、大塚副事務局長は人事院と同様に4月の人事異動に関する問題意識について述べた上で、次の通り内閣人事局の見解を質した。
(1) 当方の要求である働き方改革について回答がなかったが、公務は模範的使用者として、先取り的に実現すべきだ。また、公共サービス基本法に基づいて、公務員に社会的に公正な賃金・労働条件を確保する必要がある。ディーセントワークの実現、両立支援制度などの円滑な活用、希望通りの再任用実現のため、定員削減政策を改め、必要な定員を確保する方向に転換すべきだ。
(2) この間、4年連続で給与引上げ改定が行われているが、生活改善の実感がないというのが組合員の率直な思いだ。職員がより一層意欲を持って働くために賃上げが必要だという認識をもって臨んでいただきたい。
(3) 非常勤職員にかかる本年の課題は、昨年の非常勤職員給与の申合せと改正指針に基づく待遇改善だ。あわせて、同じ非常勤職員であっても手当の適用が異なる事例が見受けられるが、見解があれば伺いたいし、統一的対応を求めたい。非常勤職員の給与改定についても、常勤職員と同様に扱うべきだ。また、申合せについて、もう一歩前に踏み出し、府省間で統一的に対応していただきたい。
(4) 労働時間短縮について、現在の取組等の回答があったが、超勤縮減につながっていない。厚生労働省が労働時間把握ガイドラインに基づき民間企業を指導しているが、客観的勤務時間把握について、政府が率先して実施すべきだ。民間の労働法が改正されれば来年4月から罰則つきで上限規制が設けられる。公務員労働者は、基本権制約の下、健康と安全を守るために自らの意思で労働時間を制限できないだけに、公務において法制上の上限規制を行う必要性は民間より高いのではないか。
(5) 定年の引上げについて、人事院に検討要請が行われたが、退職手当の取扱いなど内閣人事局の所管事項については適宜議論をさせていただきたい。それまでの間、職員の希望通りの再任用となるよう、具体的な対応を求める。特に定員事情により、各府省で待遇に大きな差があることから公平性が確保できる具体策を講じるべきだ。
(6) 勤務時間の上限規制に係わって、改めて労働基本権の重要性が浮き彫りとなった。公務員制度改革は、国家公務員制度改革基本法等に基づく政府の責務である。ILOの条約勧告適用専門家委員会は、「社会的パートナーとの継続的対話にもかかわらず意味ある進展がない」と指摘している。われわれとの交渉・協議を「進展」させ、労働基本権の回復を実現していただきたい。

 これらに対して、稲山内閣審議官から次の通り回答があった。
(1) 昨年5月に、非常勤職員の基本給、期末・勤勉手当、給与改定の平成30年度以降の取扱いについて各府省と申合わせを行った。当然予算が関連していることではあるが、着実に取組を進めてまいりたい。また、諸手当については、民間の非正規労働者の実態を踏まえつつ対応を図っていく必要があると考えている。
(2) 長時間労働を是正していくためには、勤務時間管理を適切に行うことが重要であると認識しており、有効かつ効率的な方法について、民間の事例を参考にしながら、人事院や各府省と連携しつつ、検討を行ってまいりたい。
(3) 超過勤務の上限規制等については、一義的には人事院に検討していただく必要があるが、政府としても、長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革や業務効率化等を通じた超過勤務の縮減、超過勤務を実施する際に、その理由や見込み時間等を上司が把握するなど、適切な管理の徹底等に取り組んでおり、引き続き、みなさんのご意見も伺いながら、より実効性のある対策を検討してまいりたい。

 最後に、大塚副事務局長は「今日の回答は、具体性がなく、方向性がまったく出ていない。今後、さらに議論を積み重ねて、14日の人事政策統括官との交渉では、具体的かつ前向きな回答をお願いしたい。」と強く要請し、交渉を終えた。

以上