2018年度公務労協情報 16 2018年3月14日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

2018年春季要求で書記長クラスが内閣人事局と交渉−3/14
−公務員制度担当大臣回答に向け、「前向きな検討」を要請−

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、3月14日15時から、内閣人事局人事政策統括官との交渉を実施し、2018春季要求に対する現段階における回答を引き出した。
 冒頭、吉澤事務局長が現段階の回答を求めたのに対し、植田人事政策統括官は次の通り答えた。

2.2018年度賃金について
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
 本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
 非常勤職員の処遇改善については、昨年5月に、非常勤職員の基本給・特別給・給与改定に係る平成30年度以降の取扱いについて各府省で申し合わせたところであるが、皆様とも引き続き意見交換を重ねつつ、各府省において申合せに沿った処遇改善が着実に進むよう、関係機関とも連携しながら必要な取組を進めてまいりたい。

4.労働時間、休暇及び休業等について
 平成26年10月に取りまとめた「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、政府一丸となって、長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革や業務の効率化等を通じた超過勤務の縮減、テレワークや、フレックスタイム制などによる働く時間と場所の柔軟化等に取り組んできたところ。
 昨年4月からは、超過勤務を実施する際に、その理由や見込時間等を上司が把握するなど、勤務時間の適切な管理を更に徹底することとしたところ。今後とも、リモートアクセスとペーパレスの推進、マネジメント改革等にも積極的に取り組みつつ、全ての職員が存分に能力を発揮できる環境づくりに努めてまいりたい。

5.女性公務員の労働権確立について
 男女双方のワークライフバランス及び女性職員の活躍については、平成27年12月に閣議決定された「第4次男女共同参画基本計画」等を踏まえ、平成28年1月に改正した「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」や、平成28年4月に施行された女性活躍推進法等に沿って、取組みを進めているところ。
 内閣人事局としては、これら取組指針等に基づき、各府省の取組みを引き続きフォローアップし、各府省の取組を促進させるようなサポートを行うことにより、職員のワークライフバランスを実現し、女性活躍の動きを更に加速してまいりたい。

6.高齢者雇用施策について
 国家公務員の定年の引上げについては、関係省庁の局長級により構成される「公務員の定年の引上げに関する検討会」において論点を整理し、本年2月16日付で、人事院に対して検討を要請したところである。今後、人事院における検討を踏まえた上で、具体的な制度設計を行い、結論を得てまいりたいと考えている。その際、皆様も含めた関係者の意見も聞きつつ、進めてまいりたい。
 なお、定年退職者の再任用については、引き続き平成25年3月の閣議決定に沿って、政府全体で着実に推進していまいりたい。

7.福利厚生施策の充実について
 平成28年3月に改正した「国家公務員健康増進等基本計画」に基づき、職員の心身の健康の保持増進等に努めているとろであり、引き続き各府省における基本計画の実施状況を把握し、各府省において必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。

8.公務員制度改革について
 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたい。

 これに対して、吉澤事務局長は次の通り人事政策統括官の見解を質した。
(1) 公務における働き方改革について、勤務条件に関しては、一義的には人事院が検討すべきものであるが、人事院の検討を待たずにできることがあるのではないか。とりわけ、超過勤務の問題については労使で共通認識を持ち、減らしていく必要があると考える。
(2) 働き方改革関連法案における高度プロフェッショナル制度は、公務には関係がないと理解しているがそれで良いか。
(3) 本年の給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討するとのことだが、「国政全般の観点」とは何か。財政の深刻さは承知しているが、政府が一方的に判断して決定できるとすれば制度上の欠陥だ。
(4) 公務員人件費について、本年は財政再建における取扱いが焦点となるが、給与制度の総合的見直しが終了するなか、骨太の方針への対応など現時点での考え方如何。政府が一方的に公務員人件費の取扱いを決定し、人事院に押しつけるようなことは断じてないことを確認したい。
(5) 非常勤職員給与について、昨年5月に勤勉手当や給与改定時期を内容とする各府省の申合せがなされ、7月には非常勤給与決定指針も改正されたが、その後の各府省の動向如何。予算制約等を要因として処遇改善が進まなかったのが実情であり、同一労働同一賃金の議論が進められているなか、可能な限り全府省統一的に対応すべきだ。
(6) 定年引上げについて、2月16日の論点整理に基づき人事院に検討が要請されたが、それを踏まえ具体的に制度設計する場合には、われわれとの十分は交渉・協議、合意に基いて進めていくことを強く求める。
  他方、この問題のスタートは雇用と年金の接続だが、論点整理では年金について何ら触れられていない。定年引上げとの整合性如何。いずれにしても、早期に定年を引き上げるべきだということを強調しておく。
(7) 定員問題について、現場では人員不足のなか、増大する業務に対応しており限界だ。内閣人事局として、定員確保に向け具体的対応を図ることは当然のことながら、今の削減・抑制基調を転換すべきだ。

 これらに対して、植田人事政策統括官は次の通り応えた。
(1) 働き方改革については、民だけでなく公においても大きな課題であると認識している。長時間労働は官民共通の問題であるが、官民の業務が性質的に異なることを踏まえつつ、労使で協議してまいりたい。
(2) 高度プロフェッショナル制度について、内閣人事局においては検討している状況ではない。
(3) 国の財政状況や経済動向など、様々な要素が考えられるが、民主主義国家の下で主権者である国民の理解を得るためにどうすることが必要かということから、国政全般の観点に立って検討することとしている。
(4) 公務員人件費の取扱いについては、内閣人事局としては、人事院勧告を尊重するとの基本姿勢のもと、民間準拠の原則に基づき、国政全般の観点から対応してまいりたい。
(5) 非常勤職員の給与について、昨年5月に各府省の課長級申合せを行い、平成30年4月以降段階的に実施するとしたところ。各府省の状況については厳密な調査は行っていないが、概ね申合せの趣旨に沿って適切に対応していただけると認識している。引き続き、各府省の状況を注視していくとともに、必要な取組を行ってまいりたい。
(6) 定年引上げについて、内閣人事局としては人事院における検討を踏まえた上で、具体的な制度設計を行うこととしており、その際には、皆様からの意見も聞きつつ、進めてまいりたい。また、この間、平成25年の閣議決定に基づき、年金支給開始年齢の段階的な引上げ時期ごとに見直しを行ってきており、現時点でこの方針に変わりはない。今回の定年引上げに関する検討については、少子高齢化が進行し、複雑・高度化する行政課題に対応するため、公務において高齢層職員を一層活用するとの観点に基づき検討を行うこととしたところであり、定年を引き上げれば結果的に年金支給開始年齢と一致するものであると認識している。
(7) 定員問題について、皆様からもご意見をいただいているが、公務に対する国民の理解を得るとの観点からも、現時点では方針を変えることは考えていない。

 また、交渉委員からは、定員削減によりフルタイム再任用を希望しても短時間での再任用が強いられており、生活が逼迫している状況を改善すべきとの要望が出された。

 さらに、吉澤事務局長は、自律的労使関係制度について、「2014年の国公法改正以降、具体的検討がなされておらず、一言一句違わぬ回答に終始していることは極めて不誠実だ。この問題の進展に向け、連合として本年のILO総会に向け重大な決意を持って臨む」と表明し、公務労協・公務員連絡会としての強い意志を示した。
 その上で、「国民生活の安定確保のために奮闘している組合員の期待に応えるためにも、23日の国家公務員制度担当大臣からの最終回答にむけ、要求に則した真摯で前向きな検討を求める」と強く要請し、本日の交渉を終えた。

以上