2018年度公務労協情報 29 2018年8月3日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人事院総裁と最終交渉し回答引き出す−8/3
−官民較差は0.1%台半ば、一時金は勤勉手当を0.05月増、定年引上げに関する意見の申出へ−

 公務員連絡会石原議長ほか委員長クラス交渉委員は、8月3日14時30分から一宮人事院総裁と交渉し、6月20日に提出した本年の人勧期要求書に対する最終回答を引き出した。
 公務員連絡会は、この回答を受けて、7日に代表者会議を開催し、公務員連絡会としての態度を確認し、声明などを決定する予定である。

 交渉の冒頭、石原議長が「6月20日に本年人勧期の要求書を提出し、今日まで事務レベル交渉を積み上げてきた。直前でもあるので、本日は総裁から最終的な回答を頂きたい」と求めたのに対し、一宮総裁は次の通り回答を示した。

1.民間給与との較差に基づく給与改定について
 勧告日は、8月8日(水)となる予定である。
(1) 民間給与との比較について
 月例給の民間給与との較差は、0.1%台半ばとなる見込みである。
 特別給は、0.05月分の増加となる見込みである。
 増加分は、今年度については、12月期の勤勉手当に充てる。
 来年度以降については、期末手当・勤勉手当ともに、6月期と12月期の支給月数が均等になるように配分する。
(2) 給与改定の内容について
 @ 俸給表の改定
 行政職俸給表(一)について、民間の初任給との間に差があること等を踏まえ、総合職試験(大卒程度)、一般職試験(大卒程度)及び一般職試験(高卒者)に係る初任給を1,500円引き上げることとし、若年層についても1,000円程度の改定を行う。その他は400円の引上げを基本に改定する。
 その他の俸給表については、行政職俸給表(一)との均衡を基本に改定する。なお、指定職俸給表については改定しない。
 A 初任給調整手当
 初任給調整手当については、医療職俸給表(一)の改定状況を勘案し、医師の処遇を確保する観点から、所要の改定を行う。
(3) その他
 @ 宿日直手当
 宿日直手当については、宿日直勤務対象職員の給与の状況を踏まえ、所要の改定を行う。
 A 住居手当
 住居手当については、受給者の増加の状況を注視しつつ、職員の家賃負担の状況、民間の支給状況等を踏まえ、公務員宿舎使用料の引上げも考慮して、必要な検討を行ってまいりたい。
2.公務員人事管理に関する報告について
 以上のほか、公務員人事管理に関して報告することとしている。
 報告では、まず、国民の信頼回復と職場の活性化に向けて人事管理の観点から取り組み、多様な有為の職員が高い倫理観・使命感を持って国民のために職務に精励する公務職場の実現に努力していくこととし、これらを踏まえた具体的な課題や取組の方向性について次のとおり言及することとしている。
 ○ 国民の信頼回復に向けた取組については、
  ・ 研修等を通じた倫理感・使命感のかん養
  ・ セクシュアル・ハラスメント防止対策  
  ・ 公文書の不適正な取扱いに対する懲戒処分の明確化
  について言及することとしている。
 ○ 長時間労働の是正については、国家公務員の超過勤務等に関する措置として、
  ・ 超過勤務命令の上限を人事院規則において原則1月45時間・1年360時間(他律的業務の比重の高い部署においては1月100時間・1年720時間等)と設定する。ただし、大規模な災害への対応等真にやむを得ない場合には上限を超えることができることとするが、その場合には、各省各庁の長に事後的な検証を義務付けること
  ・ 1月100時間以上の超過勤務を行った職員等に対する医師による面接指導の実施等、職員の健康確保措置を強化すること
  ・ 各省各庁の長は、休暇の計画表の活用等により、年次休暇の日数が10日以上の職員が年5日以上の年次休暇を使用できるよう配慮すること
  等について言及することとしている。
 ○ 非常勤職員の適切な処遇の確保については、
  ・ 非常勤職員の休暇について、民間の状況等を踏まえて、慶弔に係る休暇について措置すること
  等について言及することとしている。
  そのほか、
  ・ 人材の確保及び育成
  ・ 成績主義の原則に基づく人事管理
  ・ 仕事と家庭の両立支援
  ・ 心の健康づくりの推進
  ・ ハラスメント防止対策
  について言及することとしている。
3.定年の段階的な引上げのための意見の申出について
 質の高い行政サービスを維持するためには、高齢層職員の能力及び経験を本格的に活用することが不可欠であることから、定年を段階的に引き上げるため、意見の申出を人事院勧告と同日に行う予定である。
 意見の申出の主な内容として、
 ○ 定年制度の見直しについては、 
  ・ 一定の準備期間を確保しつつ、定年年齢を段階的に65歳に引き上げることとした上で、速やかに実施される必要があること
  ・ 定年の段階的な引上げ期間中は、現行の再任用制度を存置すること
  ・ 60歳以降の働き方等について、あらかじめ人事当局が職員の意向を聴取する仕組みを措置すること
  等を
 ○ 役職定年制については、
  ・ 新陳代謝を確保し組織活力を維持するため、当分の間、役職定年制を導入すること
  ・ 60歳に達した管理監督職員は、他の官職に降任又は転任(任用換)されること
  ・ 例外的に、引き続き同じ役職定年対象官職に任用すること等ができる制度(特例任用)を設けること
  等を
 ○ 定年前の再任用短時間勤務制については、
  ・ 60歳以降の職員の多様な働き方を可能とするため、職員の希望に基づき短時間勤務を可能とする制度を導入すること
  等を
 ○ 60歳を超える職員の給与については、
   ・ 民間企業の60歳を超える従業員の給与の状況等を踏まえ、60歳を超える職員の年間給与について、60歳前の7割の水準に設定すること
  ・ 具体的には、60歳を超える職員の俸給月額は60歳前の70%の額とし、俸給月額の水準と関係する諸手当等は60歳前の7割を基本に手当額を設定し、扶養手当等の手当額は60歳前と同額とすること
  ・ 60歳を超える職員の給与の引下げは、当分の間の措置とし、民間給与の動向等も踏まえ、60歳前の給与カーブも含めてその在り方を引き続き検討すること
  等について言及することとしている。

  なお、今申し上げた諸制度について、定年の引上げが段階的に行われる間においても、新たな定年制度の運用の実情や民間企業における高齢層職員の給与の状況等を踏まえて、必要な検討を行うこととする。

 ○ また、定年の引上げに関連する取組として、
  ・ 能力・実績に基づく人事管理を徹底すること
  ・ 勤務実績が良くない職員等には、分限処分が適時厳正に行われる よう、人事評価の適正な運用の徹底が必要なこと

 さらに、定年引上げを円滑に行うため公務全体で取り組むべき施策として、
  ・ 60歳を超える職員が能力及び経験をいかせる職務の更なる整備を検討すること
  ・ 定年の引上げ期間中も真に必要な規模の新規採用を計画的に継続できるよう措置すること
  ・ 職員の早期退職を支援するために、必要な方策を検討すること
  等について言及することとしている。

 以上の回答に対し、石原議長は以下の通り公務員連絡会としての見解を述べ、交渉を締めくくった。
(1) いま、本年の月例給については引上げ、一時金についても支給月数を引上げる等の回答があった。月例給・一時金のいずれについても5年連続の引上げとなるが、民間における賃上げ等の動向を反映し、組合員の期待にも一定程度応えたものと受けとめたい。月例給の配分については、この間と同様、幅広く俸給月額を改定することは、較差が小さい中ですべての公務員に配慮した措置であると理解する。
 超過勤務を命ずることのできる時間について人事院規則で上限を定めることは評価するが、大規模災害への対応を除き、各省各庁の長の判断に基づく特例を設けることは問題であり、上限時間規制の具体化における実効性を確保するため、人事院の使命に基づく関与を強く求める。
 雇用と年金の接続に関わって、この機を捉えて定年を引上げるべく意見の申出を行うとのことであり、その給与水準や役職定年制については、われわれの要求を十分に満たすものとはなっていないが、あくまで現時点の環境条件のもとにおける人事院の判断として受けとめる。2011年の意見の申出の取扱いを踏まえたとき、今回の意見の申出が着実かつ確実に実施されることが何よりも重要であり、早期実施に向けて、人事院が実現までの責任を最後までしっかり果たしていくことを求める。
(2) 今日の回答については、機関に持ち帰って報告し、われわれとしての最終的な態度を決定することとしたい。

以上