2018年度公務労協情報 30 2018年8月10日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院が月例給・一時金の引上げ勧告、定年引上げに係る意見の申出も−8/10
−公務員連絡会は声明を発出し、勧告通りの実施を要求−

 人事院は8月10日9時50分に、国会と内閣に対して月例給を0.16%、655円、一時金を0.05月引き上げる勧告・報告等を行った。政府は人事院の勧告等を受けて、給与関係閣僚会議を開催し、その取扱いを検討していくことになるが、日程は未定である。
 公務員連絡会は、これを受けて、@月例給・一時金ともに5年連続の引上げは、組合員の期待に一定程度応える勧告となった、A月例給与の配分は、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げており、較差が小さい中ですべての公務員に配慮した措置である、一時金の引上げ分を5年連続で勤勉手当に充てたことは、育児・介護に携わる職員や非常勤職員等への配慮を欠くものである、B民間労働法制を踏まえ、超過勤務の上限時間を人事院規則で定めることは評価するが、各省各庁の長の判断に基づく特例を設けることは問題であり、上限時間の実効性確保が課題となる。労働基本権制約のもと、人事院の使命に基づく関与を強く求める、C非常勤職員の待遇について、同一労働同一賃金の原則を一層推進するため、今回措置される慶弔休暇の適用等に加えて、一層の改善が必要、D定年引上げの意見の申出は、その給与水準や役職定年制については要求を十分に満たすものとはなっていない。今回の意見の申出が着実かつ確実に実施されることが何よりも重要であり、人事院が早期実施を実現するまで、その責任を果たしていくことを求める、などを内容とする声明(資料1)を発した。なお、連合においても2018人事院勧告について、事務局長談話(資料2)を発出している。
 また、代表者会議で、10日の人事院勧告等を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに時間外職場集会等を開催することなどを確認した。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、給与勧告の早期完全実施と定年引上げについて着実かつ確実に早期実施することを求める要求書を提出することとした。


資料1−公務員連絡会の声明
声  明

1.人事院は、本日、月例給を0.16%、655円引き上げ、一時金の支給月数を0.05月分引上げる給与に関する勧告・報告と公務における働き方改革をはじめとした公務員人事管理に関する報告、国家公務員の定年の引上げに関する意見の申出を行った。
2.公務員連絡会は、6月20日に人事院に要求を提出し、以降、幹事クラス交渉委員による職員団体審議官交渉、全国から3,000名を結集した7.26中央行動を背景として書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交渉を行うなど、人事院との交渉・協議を最終盤までねばり強く取り組んだ。
  本年の人勧期における重要課題は、民間企業の賃上げの結果を踏まえ、公務員の月例給与及び一時金の引上げを勧告させるとともに、政府全体の重要課題として進められている「働き方改革」について、とりわけ時間外(超過)勤務の上限規制を民間に遅れることなく措置させること、そして雇用と年金の接続に関わって、政府からの検討要請という機を捉えて、公務員の定年引上げの着実・確実かつ早期具体化に向けた措置を行わせることであった。
3.給与の改定勧告については、民間における賃上げ等の動向を反映し、月例給・一時金ともに5年連続の引上げ・支給月数増となり、組合員の期待に一定程度応える勧告となった。月例給与の配分は、再任用者を含む俸給月額を幅広く引上げており、較差が小さい中ですべての公務員に配慮した措置と理解するが、一時金の引上げ分を5年連続で勤勉手当に充てたことは、育児・介護に携わる職員や非常勤職員等への配慮を欠くものといわざるを得ない。昨年の非常勤職員給与決定指針改正で勤勉手当の支給が明記されており、その順守を求めていくものである。
  公務における超過勤務時間については、これまでは超勤縮減指針による上限目安時間の設定に止まっていたが、民間における時間外労働の上限規制を踏まえ、命ずることのできる上限時間を人事院規則で定めることは評価する。しかしながら、大規模な災害への対応はともかく、重要な法令の立案、国際交渉その他の重要性・緊急性が高い業務について、各省各庁の長の判断に基づく特例を設けることは問題である。職員の健康安全はもとよりワーク・ライフ・バランスが確保されるためには、なによりも長時間労働が是正されなければならず、上限時間の実効性確保が課題となる。われわれ自身、職場でしっかりと取り組む決意であるが、労働基本権制約のもとで職員の利益を保護するという人事院の使命に基づく関与を強く求めるものである。
  非常勤職員の待遇について、同一労働同一賃金の原則を一層推進するため、改正された非常勤職員給与決定指針の順守はもとより、今回措置される慶弔休暇の適用等に加えて、一層の改善が必要だ。
  公務員の定年を引上げるための意見の申出は、その給与水準や役職定年制については、われわれの要求を十分に満たすものとはなっていないが、あくまで現時点の環境条件のもとにおける人事院の判断として受けとめる。2011年の意見の申出の取扱いを踏まえたとき、今回の意見の申出が着実かつ確実に実施されることが何よりも重要であり、人事院が早期実施を実現するまで、その責任を最後までしっかりと果たしていくことを求める。
4.以上のように、本年の勧告・報告、意見の申出はわれわれの要求にあまねく応えたものとはいえないが、労働基本権制約のもと、公務員連絡会は、政府に対して、給与改定を勧告通り早期完全実施することを求める。また、長時間労働の是正、意見の申出に基づく定年引上げの着実かつ確実な早期実施を求めて取組を強化していく。
 公務員連絡会は、勧告等の完全実施と、すべての公務員労働者の労働諸条件の改善、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の取組において、全力を尽くすものである。
2018年8月10日

公務員労働組合連絡会



資料2−連合事務局長談話

2018年8月10日


平成30年人事院勧告に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸


1.社会全体への賃上げ波及に向けて、勧告どおり早期の給与改定を
 人事院は8月10日、政府と国会に対して、2018年度の国家公務員の月例給を655円(0.16%)引き上げ、一時金の支給月数を0.05カ月増とする勧告を行った。これは、2018春季生活闘争における民間の妥結状況を踏まえたものであり、月例給および一時金のいずれも5年連続の改善となったことは評価できる。社会全体に賃上げを波及させるべく、政府と国会は勧告どおり早期の給与改定を実施すべきである。

2.公務においても労使協議を踏まえた実効性ある「働き方改革」が重要
 労働諸条件については、民間における時間外労働の上限規制導入を踏まえ、超過勤務時間の上限を人事院規則で定めるとされた。長時間労働の是正に向けては前進といえる。ただし、上限を超えて勤務させることのできる特例措置の扱いについては、超過勤務縮減の実効性確保のため、労使の納得を前提に限定化と厳格な運用がなされるべきである。また、非常勤職員の処遇改善として慶弔休暇の見直しが行われるが、引き続き同一労働同一賃金原則を踏まえたさらなる均等・均衡待遇の取り組みが求められる。定年年齢の65歳への引き上げについては、その具体化に向けて十分な労使協議が行われるべきである。

3.地方自治体においても人事院勧告を踏まえた対応を
 今後、人事委員会が置かれている地方自治体においても、地方公務員の給与にかかる人事委員会勧告が予定されている。人事院勧告を踏まえ、少なくとも同様の引き上げ勧告が行われるとともに、地方自治体に対しては、地方自治の原則の観点から、労使交渉が尊重されることを期待する。

4.連合は、質の高い公共サービスの提供に資する公務員制度改革をめざし取り組む
 連合は、国民の安全・安心なくらしを守る、より質の高い公共サービスの維持・発展に向け、関係する組織と連携しながら、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする、民主的な公務員制度改革の実現をめざしていく。

以上