2018年度公務労協情報 31 2018年8月10日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

人事院勧告等を受け、地方公務員部会が全人連要請を実施-8/10

 公務労協地方公務員部会は、人事院勧告・報告後、各人事委員会が勧告作業に取りかかることを受け、8月10日に全国人事委員会連合会に対して「2018年給与勧告等に関する要請」を行った。

要請書を手交する二階堂議長(左)と栗原副会長(右)要請に臨む地公部会幹事
 公務労協地方公務員部会は、人事院勧告・報告等の後、各人事委員会が勧告作業に取りかかることを受け、8月10日に全国人事委員会連合会に対して「2018年給与勧告等に関する要請」を行った。
 要請には、二階堂議長(全水道委員長)、福島企画調整委員代表、加藤事務局長および幹事が出席した。全人連は、栗原副会長をはじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、二階堂議長は、要請書(別紙2)を手交し、人事院報告・勧告等についての見解、地方公務員給与を取り巻く厳しい情勢等について認識を述べた上で「各人事委員会が、専門機関としての機能を発揮されるよう期待している。2018年の勧告に向け、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に向け最大限の努力をお願いしたい」と、要請した。
 続いて、加藤事務局長が要請事項について説明した上で、「本年の人事院勧告で、月例給・一時金ともに5年連続で引き上げることとしたのは民間の賃上げ動向をも踏まえた結果であると考える。職員の士気を高め、良質な公務・公共サービスを提供するためにも、各人事委員会の尽力を期待している」と、全人連としての努力を強く求めた。
 こうした地方公務員部会の要請に対し、栗原副会長は別紙1の通り回答し、この日の要請を終えた。なお、引き続き20日に総務大臣への要請を実施する予定だ。



(別紙1)

平成30年8月10日


要請に対する全人連会長回答


 全人連副会長を務めております、大阪府人事委員会委員長の栗原です。
 所用により全人連会長が不在のため、私から全国の人事委員会を代表してお答えいたします。

 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、全国の人事委員会にお伝えします。
 さて、本日、人事院勧告が行われました。
 本年の官民較差は、民間における賃金の引上げを図る動きを反映して、民間給与が公務員給与を平均655円、率にして0.16%上回っており、この較差を埋めるため、初任給の引上げと若年層を中心とした俸給表水準の引上げを行うこととしております。
 特別給につきましても、民間事業所における好調な支給状況を反映して、民間が公務を上回ったことから、支給月数を0.05月分引き上げることとし、引上げ分は勤勉手当に配分することとしております。
 このほか、公務員人事管理に関する報告では、国民の信頼回復に向けた取組、人材の確保及び育成、働き方改革と勤務環境の整備について意見が述べられております。また同日、定年引上げについても意見の申出がされたところです。
 詳細につきましては、これから人事院の説明を受けますが、国家公務員と地方公務員の立場の違いはありつつも、人事院の勧告は、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
 今後、各人事委員会は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの実情等を勘案し、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
 改めて申すまでもありませんが、各人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしてまいります。
 全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。

私からは、以上でございます。


(別紙2)

2018年8月10日

全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  ●(やすし) 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健 男


2018年給与勧告等に関する要請書

 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、人事院は8月10日、政府と国会に対して2018年の官民較差に基づく国家公務員の給与等に関わる勧告を行いました。月例給、一時金のいずれについても、5年連続の引上げ勧告となり、職員の期待に応えたものと一定評価できます。
 一方、政府は、骨太方針2018を閣議決定し、新たな「経済・財政再生計画」を打ち出しました。財政健全化目標については、主要分野ごとの重要課題への対応、歳出改革等の加速・拡大を通して、目標の確実な達成につなげていくとしています。地方行財政改革では、一般財源総額について、2018年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する方針が示されたものの、財政問題が一層深刻化する中、人件費を含む地方財政確立への影響が危惧されます。
 他方で、大阪北部地震、西日本豪雨など、大規模な自然災害が頻発する中、様々な災害の復旧・復興は急務であり、自治体職員をはじめとする地方公務員は、公務・公共サービスに従事する労働者として精力的に職務を遂行しています。職員の士気を確保し、良質な公務・公共サービスを提供していくためにも、各人事委員会が、専門機関としての機能を発揮されるよう期待しています。
 各人事委員会におかれましては、2018年の勧告に向け、働き方改革や雇用と年金の接続など喫緊の課題への対応や、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。


1.民間賃金実態に基づき公民較差を精確に把握し、人事委員会勧告制度の下で地方公務員のあるべき賃金を勧告すること。勧告にあたっては、給料表の改善を中心に公民較差を解消すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

2.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。

4.臨時・非常勤職員の任用や待遇について、地方公務員法及び地方自治法の改正法を踏まえ、人事委員会として改善に向けて必要な対応を図ること。

5.公立学校教員の賃金に関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。また、作成に当たっては、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

6.定年引上げに関わっては、人事院「意見の申出」を踏まえ、確実に実現することとし、地方の実情に応じ適切に対応すること。定年引上げまでの間は、職員の希望通りの再任用を実現するとともに、高齢期の生活水準と適切な労働条件を確保するための対応を図ること。

7.公務における超勤縮減、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、改正労働基準法及び人事院「公務員人事管理に関する報告」を踏まえ、地方自治体においても、実効性のある超過勤務縮減策を講じること。

8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。とくに、家族介護を理由とした離職を防止するための介護休業制度の整備を図ること。また、育児休業・介護休暇に関して男性の取得促進のための必要な措置を講ずること。

9.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立を図ること。

10.実効あるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。

11.公務職場における障がい者、外国人採用を促進すること。

以上