2019年度公務労協情報 10 2019年2月5日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地公部会が、全人連に対し2019春闘期要請書を提出-2/5

 公務労協地方公務員部会は、2月5日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して、2019年度地方公務員の賃金・労働条件等に関する要請を行い、要請書に対する回答を引き出した。
要請書を手交する二階堂議長(左)と青山会長(右)
 14時30分から都内で行われた全人連への要請には、地方公務員部会から二階堂議長(全水道委員長)のほか、福島企画調整委員代表、加藤事務局長および幹事が出席し、全人連からは青山会長(東京都人事委員会委員長)をはじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。

 冒頭、二階堂議長は要請書(別紙2)を手交し、地方財政や超過勤務の縮減等についての認識を述べた上で、「各人事委員会が労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識いただき、要求事項の実現に向け、最大限の努力をお願いしたい」と、要請した。
 続いて、加藤事務局長が要請事項について説明し、それに対し青山全人連会長が(別紙1)の通り回答した。
 最後に、加藤事務局長から、下記の通り教職員の超過勤務に関する意見・要望を訴え、この日の要請を終えた。
 民間労働者における労働基準法の改正、そして人事院規則並びに人事委員会規則による公務における時間外勤務命令の上限規制、これらは、歴史的な「働き方改革」に繋がるものだと認識している。
 この改革により、働く者の命と健康、人権が守られ、さらに成熟した社会がつくられるものと期待し、また、そのような社会づくりに参画する覚悟だ。
このような中、文部科学省が策定した「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」において、これまで「自主的・自発的」とされてきた「給特法第6条」の「超勤4項目」以外の業務を「在校等時間」として把握することになったことは大きな前進だ。しかし、この在校等時間については、公務における「時間外勤務命令の上限規制」に給特法上含まれないことになる。
 学校の働き方改革は、現場の教職員一人ひとりが実感するものでなければならない。そのために、保護者や地域をはじめとする社会的な理解や支援をはじめ、多くの知恵の結集、様々な立場からの検証等が必要だ。
 今後、各教育委員会において「上限ガイドライン」を参考にした「勤務時間の上限」が方針化されるにあたり、学校現場の長時間労働が着実に是正されるよう、人事委員会としても、可能な対応を是非ともお願いしたい。

<全人連会長回答>

平成31年2月5日

全人連会長の青山です。
私から全国の人事委員会を代表してお答えいたします。
ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
早速、全国の人事委員会にお伝えします。
さて、折角の機会ですので、現在の状況認識等について、ご存じのこととは思いますが、一言、申し上げます。
まず、最近の経済状況を見ますと、本年1月29日に発表された政府の月例経済報告では、景気について「緩やかに回復している」との判断が示されております。また、先行きについては、「緩やかな回復が続くことが期待される」としつつも、「通商問題の動向が世界経済に与える影響など海外経済の不確実性に留意する必要がある」としております。
そのような中、既に始まっている本年の春季労使交渉では、賃上げについて様々な議論がなされているところであり、どの程度の水準が実現するのか、賃上げの手段等を含め、今後の行方を注視していく必要があると考えております。
また、各企業における働き方改革関連法への対応や、教員の長時間労働の是正、今後予定される公務員の定年引上げに関する法案の取扱いについても、引き続き注視してまいります。
現在、人事院及び各人事委員会では、民間給与の実態を的確に把握できるよう、本年の民間給与実態調査の実施に向け、その準備を進めているところです。
今後、各人事委員会においては、社会経済の動向なども踏まえながら、本日の要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになろうかと思います。
改めて申すまでもありませんが、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することは、人事委員会の重要な使命であると認識しております。
全人連といたしましては、本年も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に努めてまいります。  私からは、以上です。

(資料1)

2019年2月5日

全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  ●(やすし) 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健男


要 請 書

 各人事委員会における地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、政府は、2018年12月、2019年度予算案を閣議決定しました。高齢化に伴う社会保障関係費の増大への対応、2019年10月の消費増税に備えた「臨時・特別の措置」などにより、はじめて100兆円を超える一方で、「経済再生と財政健全化を両立する予算」と称し、経済の成長軌道を確かなものとしていくとしています。地方財政については、一般財源総額の確保、地方交付税の増額など、一定の配慮はされましたが、社会保障関係費の動向が大きく影響することからも、地方の財政状況は依然として厳しい状況にあります。地方創生、地方の活性化が求められる中で、地域の行政需要を的確に反映させ、地域公共サービスの実態に見合った財源の保障が必要です。
 他方、人事院は、公務における超過勤務の上限等に関し、人事院規則を改正しました。これを受けて、総務省は、地方公共団体に対し、「職員の勤務時間、休暇等に関する条例(案)」に超過勤務命令の上限を定めるための委任規定を設ける改正案を示し、所要の措置を講じるとともに、2019年4月より適用すべく条例の改正等を要請しています。また、公立学校教職員の働き方改革に関して、中教審が文部科学大臣に答申し、あわせて上限ガイドラインを示しました。地方公務員においても、職員の超過勤務の縮減・多忙化解消は喫緊の課題であり、公務職場全体における実効性のある超過勤務縮減等の具体策の構築は必至です。
 国民の期待に応え、質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 そのためにも、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。



1.2019年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を精確に把握するとともに、公民較差については給料表を中心に確実に配分するなど、地方公務員の生活を改善するため、賃金水準を引き上げること。
2.公民給与比較方法について、当面現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
3.諸手当の改善については、地域の実情を踏まえつつ、組合との十分な交渉・協議に基づくこと。
4.公務における超勤縮減、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、改正労働基準法及び人事院「公務員人事管理に関する報告」を踏まえ、地方自治体においても、実効性のある超過勤務縮減策を講じること。
5.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休業制度を確立すること。とくに、家族介護を理由とした離職を防止するための介護休業制度の整備をはかること。また、育児休業・介護休暇の男性取得促進のための必要な措置を行うこと。
6.臨時・非常勤職員の任用や待遇について、地方公務員法及び地方自治法の改正法を踏まえ、人事委員会として改善に向けて努力すること。
7.定年引上げに関わっては、人事院「意見の申出」を踏まえ、確実に実現することとし、地方の実情に応じ適切に対応すること。定年引上げまでの間は、職員の希望通りの再任用を実現するとともに、高齢期の生活水準と適切な労働条件を確保するための対応をはかること。
8.公立学校教員の給与に関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。
9.公務職場における障害者、外国人採用を促進すること。とりわけ、障害者雇用については、関係閣僚会議において決定された再発防止策及び速やかな法定雇用率の 達成等の取組に向け、雇用される障害者の立場にたって、職場における環境整備や職員に対する理解を促進するよう努めること。
10.実効性あるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応をはかること。
11.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立をはかること。
12.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上