2019年度公務労協情報 13 2019年2月20日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/20

 公務労協地方公務員部会は、2月20日、石田総務大臣に対して2019春季要求書を提出した。交渉は17時15分から総務省で行われ、地方公務員部会からは二階堂議長のほか委員長クラス交渉委員が出席した。
石田総務大臣(左)に要求書を手交する二階堂議長(右)
 冒頭、二階堂議長は要求書(資料1)を提出し、次の通り述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう強く求めた。

(1) 政府は、2018年12月、2019年度予算案を閣議決定した。高齢化に伴う社会保障関係費の増大への対応、消費増税に備えた措置などにより、はじめて100兆円を超える一方で、地方財政については、一般財源総額の確保、地方交付税の増額など、一定の配慮はされたが、社会保障関係費の動向が大きく影響することからも、地方の財政状況は依然として厳しい状況にある。こうした中、地域公共サービスの実態に見合った財源の保障が必要である。
(2) 公務における超過勤務の上限等に関し、人事院規則が改正されたことを受けて、総務省は、地方公共団体に対し、超過勤務命令の上限を定めるための改正案を示し、所要の措置を講じるとともに、2019年4月より適用すべく条例改正等を要請している。また、教職員の働き方改革に関して、中教審から答申がなされ、あわせて上限ガイドラインが示された。地方公務員においても、職員の超過勤務の縮減・多忙化解消は喫緊の課題であり、公務職場全体における実効性のある施策を進めるべきだ。
(3) 質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる待遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することが不可欠であることからも、賃金・労働条件の改善をはじめとする2019年春季の要求書を提出する。石田大臣におかれては、その実現に向け最大限の努力をいただくよう要求する。

これに対し、石田総務大臣は「ただいま要求書を受けとり、要求内容について承った。各要求事項については、検討の上、回答させていただく」と応え、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

(資料1)

2019年2月20日

総務大臣
 石 田 真 敏 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男


要 請 書

 貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、政府は、2018年12月、2019年度予算案を閣議決定しました。高齢化に伴う社会保障関係費の増大への対応、2019年10月の消費増税に備えた「臨時・特別の措置」などにより、はじめて100兆円を超える一方で、「経済再生と財政健全化を両立する予算」と称し、経済の成長軌道を確かなものとしていくとしています。地方財政については、一般財源総額の確保、地方交付税の増額など、一定の配慮はされましたが、社会保障関係費の動向が大きく影響することからも、地方の財政状況は依然として厳しい状況にあります。地方創生、地方の活性化が求められる中で、地域の行政需要を的確に反映させ、地域公共サービスの実態に見合った財源の保障が必要です。
 他方、人事院は、公務における超過勤務の上限等に関し、人事院規則を改正しました。これを受けて、総務省は、地方公共団体に対し、「職員の勤務時間、休暇等に関する条例(案)」に超過勤務命令の上限を定めるための委任規定を設ける改正案を示し、所要の措置を講じるとともに、2019年4月より適用すべく条例の改正等を要請しています。また、公立学校教職員の働き方改革に関して、中教審が文部科学大臣に答申し、あわせて上限ガイドラインを示しました。地方公務員においても、職員の超過勤務の縮減・多忙化解消は喫緊の課題であり、公務職場全体における実効性のある超過勤務縮減等の具体策の構築は必至です。
 公務労協地方公務員部会は、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等の実現をめざして取組を進めています。少子・高齢化対策、教育環境整備、地域医療の確保、環境保全など、質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる待遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することも不可欠です。
 地方公務員部会は、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2019年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。


1.2019年度の賃金改善について
 (1) 地方公務員の賃金の改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
 (2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議・合意を尊重すること。

2.労働時間、休暇及び休業等について
  公務における超過勤務縮減、ワーク・ライフ・バランスを確保するため、年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充などを実現すること。
 (1) 総労働時間の短縮に向け、厳格な勤務時間管理や超過勤務縮減目標等の設定など、上限規制を含むより実効性のある超過勤務縮減の具体策が講じられるよう地方自治体を支援すること。
(2)各自治体におけるメンタルヘルスを含む職員の健康管理体制や職場の労働安全衛生体制の確立等が一層推進されるよう対応すること。とりわけ、メンタルヘルス不調を未然に防止するため、全ての職員にストレスチェックを実施するよう対応するとともに、必要な財政措置を講ずること。

3.臨時・非常勤等職員の雇用確保と待遇改善について
  民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、臨時・非常勤職員制度の改善に向けた全般的かつさらなる見直しを引き続き検討するとともに、会計年度任用職員制度が円滑に導入されるよう地方自治体を支援すること。

4.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件の確保等について
  公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件の確保することとし、環境整備をはかること。

5.雇用と年金の確実な接続について
  定年の引上げに関わっては、人事院「意見の申出」を踏まえ、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めるとともに、地方公務員部会と十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて対応すること。定年引上げまでの間は、職員の希望する再任用の実現とともに、高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件を確保するよう対応をはかること。

以上