2019年度公務労協情報 2 2018年11月2日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

内閣人事局と人勧取扱い等に関わり議論−11/2
−書記長クラス交渉委員が内閣人事局人事政策統括官交渉−

 公務員連絡会は、11月2日15時から、本年の人事院勧告の取扱いに関する政府の検討状況を質すため、内閣人事局交渉を実施した。公務員連絡会からは書記長クラス交渉委員が出席し、内閣人事局からは植田人事政策統括官らが対応した。
 冒頭、吉澤事務局長が、「本年の人事院勧告・報告、意見の申出がなされてからまもなく3か月、先日召集された臨時国会においても補正予算案の審議が進み、各委員会が動き始めようというところだが、8月10日に提出した要求に対する現時点での検討状況を伺いたい」と求めたのに対し、植田統括官は次の通り回答した。

(1) 8月10日に提出のあった「2018年人事院勧告の取扱い等に関する要求書」について、本日までの検討状況を回答する。
(2) 去る8月10日に人事院から国家公務員の給与についての報告及び勧告があったことを受け、同日、第1回の給与関係閣僚会議が開催されたところ。
  本年の給与改定の取扱いについては、労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢の下、国政全般の観点から検討を進めているところであり、早急に結論が得られるよう努力してまいりたい。
(3) 国家公務員の定年の引上げについては、その論点を整理し、本年2月に、人事院に対して検討を要請していたところであるが、本年8月、「意見の申出」という形で定年の引上げについて第三者機関である人事院の見解が示されたところ。
  平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえると、公務において培った知識、技術、経験等が豊富な高齢期の職員の最大限の活用を目指すことは、人的資源の有効活用や、複雑高度化する行政課題への的確な対応などの観点から合理的であり、重要な意義を有すると考える。
  公務員の定年の引上げについては、人事院の意見の申出も踏まえつつ、国民の理解が得られるよう、政府として更なる検討を重ね、結論を得てまいりたいと考えているところであり、その際、皆様も含めた関係者の意見も聞きつつ、進めてまいりたい。

 これに対し吉澤事務局長は、以下のとおり、植田統括官の考えを質した。
(1) 労働基本権制約の代償措置として、人事院勧告を尊重するとの基本姿勢のもと、国政全般の観点から検討を進めているとのことだが、「国政全般の観点」から政府が一方的に判断するということは許されない。
(2) 公務員人件費については、給与制度の総合的見直しが完了したが、本年骨太方針の新経済・財政再生計画との関係で、人勧取扱い方針に関する閣議決定で公務員人件費について議論があるのか。労働基本権制約のもと、少なくとも給与について、政府が一方的に、あるいは人事院に圧力をかけるということは断じてあり得ない。
(3) 定年の引上げについて、人事院より意見の申出があったが、臨時国会での法案提出はないことを確認する。今後、改正法案提出にあたっては、われわれとの交渉・協議をしっかりと丁寧に議論することが前提であることを確認したい。
(4) 人事院による、定年の引上げに関する意見の申出は、2011年に続いて2回目となるが、前回と異なり、今回は政府が見解を人事院に求めたものに対する答えとして返ってきたもの。意見の申出は勧告と同等の強い性質のものと考えているが、どのような認識か。

 これらに対し植田統括官は、以下のとおり答えた。
(1) 人事院勧告を尊重するという基本姿勢のもと、国の財政状況、経済・社会情勢など国政全般を考慮し、みなさまの意見を伺った上で決定することとしている。
(2) 給与の取扱いについて、政府が則を越えてやっていることはない。
(3) 法案提出時期についての明言はできかねるが、今の臨時国会に法案を提出できる状況にはない。定年引上げについては、みなさんの関心が非常に高いと考えており、十分に意見を伺いながら、検討を進めていきたい。
(4) 政府から人事院に要請したという点では、2011年の意見の申し出とは異なるものであると考えている。意見の申出に対する政府の見解への言及は控えるが、第三者機関の権限により意見の申出を行ったことに対して、最終的な判断は政府および国会によるものと考えている。

 最後に、吉澤事務局長は、「給与の取扱いについては、人勧通り実施すると改めて大臣から明確な見解があるものと承知している。政府として、早期の法案成立に向け尽力することを強く求める」と述べ、本日の交渉を締めくくった。

以上