2019年度公務労協情報 24 2019年5月7日
公務公共サービス労働組合協議会

「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する政府要求・政党要請を実施

 公務労協は、4月24日及び25日、「良い社会をつくる公共サービスキャンペーン」の取組の一環として、「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する政府要求(資料2、3)及び政党要請(資料1)を実施した。(※今後、他党への要請も予定)
 公務労協からは、村上政策・制度専門委員長(全水道書記長)、荘司副委員長(国公連合書記長)、加藤専門委員会事務局長(公務労協副事務局長)が出席した。冒頭、村上専門委員長が要求書を手交したのち、趣旨及び要求事項を説明し、政府・政党の見解を求めた。また、政府・政党からの回答後、被災3県から出された現状や課題、国への要望等(別紙)について意見交換を実施した。

【要求事項】
1.「復興・創生期間」終了後も、被災地が納得する復興・再生が不可欠であることから、2021年度以降も府省横断的に復興・再生を担う組織の存続など、必要な措置を講ずること。
2.国の責任において、被災住民及び関係自治体のニーズに応じた予算措置をはかる とともに国および自治体における人員配置を充実すること。

○要求事項に対する復興庁回答
【米澤朋通参事官、田牧祐典主査】
(1)要求書の主旨は承った。本年3月8日の「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針の変更に際して、被災自治体と意見交換を行ってきたが、今回の要請と同様のご意見を多く伺った。被災地自体のご意見を極力反映して、復興・創生期間後における復興の基本的方向性を示しており、ご要求の内容も踏まえたものになっていると考えている。
(2)復興庁の後継組織については、同様に司令塔として各省庁の縦割りを排し、リーダーシップの下、東日本大震災からの復興を成し遂げる組織の設置という方向性を示したところであり、今後、具体的に検討を進めていく。
(3)地震・津波被災地域においては、復興の総仕上げに向けて復興を加速化し、福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、とりわけ原子力災害被災地域においては、復興・創生期間後も継続して国が前面に立って取り組むとしている。予算措置、人的配置など復興を支える仕組みについては、復興施策の進捗状況や効果検証、被災地方公共団体の要望等を踏まえた上で、必要な事業を確実に実施できるようあり方を検討していく。

<意見交換における復興庁の発言>
(1)これまでの被災自治体とのヒアリングにおいて、復興の仕上げに全力で取り組んでいる状況とあわせて、復興・創生期間終了後も対応が必要な課題を確実に実施できるよう対応してほしいという意見を多く頂いた。そういった要望等を踏まえ、復興期間の終了後の制度等のあり方について具体的に検討していく。
(2)全国的にも災害が発生しており、職員の自治体派遣が厳しくなる中、被災自治体自らが正規職員や任期付職員を採用してきている。その費用については、震災復興特別交付税で全額措置されている。メンタルヘルス対策に係る費用も同様であり、働いている方に過重な負担がかからないようケアする必要があることから、要望団体の執行部に、今一度確認をしていただいた方がいい。

○要求事項に対する総務省回答
【武藤真郷企画調整課長(管理官(業務・システム改革総括)代理)、原山幸一郎副管理官、水口綾子事務官】
(1)要求書の主旨は承った。「公共サービス基本法」を所管する立場から、今回、申入れをいただいた内容については、政府としても重点的な課題であると認識しており、改めて敬意を表する。
(2)復興庁の後継組織については、復興庁内ではもちろん、内閣府等をはじめとする関係各府省でも、検討が進んでいると承知している。残り2年弱ということもあり、結論が示されるまでにはそれほど時間がかかるものではないと認識している。
(3)予算や人員配置については、行政管理局が所管するものではないので本来お答えする立場にはないが、今年3月の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに基づき、被災された住民の方々や被災地方公共団体からの要望、ニーズ等が意見として数多く寄せられており、状況に応じた適切な人員配置の重要性は認識している。必要な地域に必要な人員が確保されるということ自体、「公共サービス基本法」を所管する立場として、否定できるものではないと捉えている。そういった立場から、今回このような申入れがあったことは、関係各省庁とも共有する。


<意見交換における総務省の発言>
(1)「公共サービス基本法」に基づく観点から、行政は国・自治体問わず必要とされる事に対応しなければいけないと認識している。
(2)これまで人的にも予算的にもさまざまな制約を乗り越え復興措置にあたっている。復興期間後の課題は関係各省庁で議論がされているところと把握しているが、行政として今後も求められる対応を展開していく必要がある。

○要求事項に対する公明党回答
【伊藤渉衆議院議員(公明党幹事長代理)、里見隆治参議院議員(参議院国会対策筆頭副委員長)】
(1)要請書の主旨は承った。「公共サービス基本法」に基づき、日々、国民生活の基盤である公共サービスに日夜尽力され、現場で支えておられる職員の皆様に、心から敬意を表する。
(2)復興庁の後継組織について、我が党は今国会の決算委員会総括質疑において、若松謙維参議院議員より、要請書と同様の趣旨で復興大臣に対し質疑をおこなったところである。政府の対応として、復興施策の進捗状況や効果検証、被災地方公共団体の要望等を踏まえつつ、復興・創生期間後も対応が必要な事業を確実に実施できるよう組織のあり方について速やかに検討、回答するようしっかりと取り組んでいく。
(3)復興・創生期間後も対応が必要な課題がある。復興に全力で取り組むためにも復興期間中に実施された復興施策の状況を踏まえ、今後の対応を検討する必要がある。与党としても、特に、福島県内の被災地域が原発被害との関係で非常に大変な状況にあり、インフラ整備などの進捗状況に係るハード面、被災された住民の方々の心のケアなどをはじめソフト面ともに課題を抱えているという状況は承知している。被災地の方々から引き続きヒアリングを行い、東日本大震災発生から10年経過後のあり方について対応していきたいと考えている。

<意見交換における公明党の発言>
(1)私たちも定期的に被災地に赴き、被災された方々の意見や要望、復興状況等について、復興事業におけるインフラ整備等のハード面の状況だけでなく、心のケアをはじめとするソフト面についても、情報収集に努めてきたところである。そういった思いを政府の対応にきちんと反映させていくことが私たちの役目でもある。
(2)「東日本大震災からの復興の基本方針の見直し」における後継組織についても、わが党は新しい形で継続することを要請している。そういった問題を解決することそのものが復興であり、引き続き被災地に赴き、話をお聞かせいただいて取り組んでいく。 (別紙)

<意見交換における被災3県の現状や課題、国への要望等の概要>


【福島県】
 原発事故における放射能への不安は、時間が経過しても変わらない中でそれに行政がどう応えるかが大きな課題である。また、放射線モニタリングポストの設置継続など、被災地住民等へ事実を正確に公表する手段等の存続、自治体が正確な情報を把握しきれずに混乱した経緯もあることも含めて信頼ある情報発信の重要性が課題であること、復興庁における相談窓口の一本化により利便性が高かったことも含め、復興の基本方針見直しにおける後継組織のあり方が被災地のニーズ等に応じたものであること、などが示された。

【宮城県】
 インフラ整備などを含むハード面では8割から9割程度が完成された一方、ソフト面として、心のケアをはじめメンタルヘルス対策が不十分であり未だ復興途中という感は否めない。そのような中、復旧・復興事業が、復興期間終了後も継続されるのかという不安を抱えている。また、昨今多くの地域で災害が発災している中で、多くの自治体から応援職員を派遣することが難しくなっている状況があり、復興期間の終了に伴う時限増員のあり方に対する不安やマンパワーの確保に係る財源の確保などの意見があった。

【岩手県】
 県内における復旧・復興に係る財源や交付金は使途が限定されており、必要な政策に使えていない状況がある。また、学校現場からは、経済的に困窮している家庭が非常に多く、継続した就学支援事業が重要であることや、心のケアの充実をはかるためにもスクールカウンセラーの継続配置の要望があった。沿岸部の被災地においては、まちづくりの基盤としてのインフラ整備の見通しが立ち、これから充実させる時期にあるが、復興期間終了後の予算措置を含め、国としての方向性に不安がある。
(資料1)

2019年4月24日

公明党政務調査会
 会長 石田 祝稔 様

公務公共サービス労働組合協議会
議長 岡島 真砂樹


「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する要請


 貴職におかれましては、日ごろから良質な公共サービスの提供に向けて尽力されていることに、敬意を表します。
 2009年に全会一致で成立した「公共サービス基本法」が制定されて10年を迎えますが、わが国における公共サービスを取り巻く環境は大きく変化しています。現在の厳しい財政状況下にあって、多発する災害への対応について、「公共サービス基本法」に基づく施策の充実をはかる立場から、従事する労働組合の社会的責任を強く認識をしているところです。
 なかでも、発生から8年が経過した東日本大震災の被災地では、今もなお多くの被災者が避難生活を余儀なくされています。現状の課題だけでなく、2020年度末までとされる復興期間後の課題について、最後まで国の責任において対応すべきです。
 公務労協は、東日本大震災の被災地における「公共サービス基本法」の基本的施策の実施状況や、政府が進める「東日本大震災からの復興の基本方針」の見直しなどについて、直接職場からの意見・要望等の集約を行いました。
 つきましては、「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する以下の事項について、最大限努力されることを要請します。



1.「復興・創生期間」終了後も、被災地が納得する復興・再生が不可欠であることから、2021年度以降も府省横断的に復興・再生を担う組織の存続など、必要な措置を講ずること。

2.国の責任において、被災住民及び関係自治体のニーズに応じた予算措置をはかる とともに国および自治体における人員配置を充実すること。

以上



(資料2)

2019年4月25日

復興大臣
 渡 辺 博 道 様

公務公共サービス労働組合協議会
議長 岡島 真砂樹


「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する申入れ


 貴職におかれましては、日ごろから良質な公共サービスの提供に向けて尽力されていることに、敬意を表します。
 2009年に全会一致で成立した「公共サービス基本法」が制定されて10年を迎えますが、わが国における公共サービスを取り巻く環境は大きく変化しています。現在の厳しい財政状況下にあって、多発する災害への対応について、「公共サービス基本法」に基づく施策の充実をはかる立場から、従事する労働組合の社会的責任を強く認識をしているところです。
 なかでも、発生から8年が経過した東日本大震災の被災地では、今もなお多くの被災者が避難生活を余儀なくされています。現状の課題だけでなく、2020年度末までとされる復興期間後の課題について、最後まで国の責任において対応すべきです。
 公務労協は、東日本大震災の被災地における「公共サービス基本法」の基本的施策の実施状況や、政府が進める「東日本大震災からの復興の基本方針」の見直しなどについて、直接職場からの意見・要望等の集約を行いました。
 つきましては、「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する以下の事項について、政府における対応等の実現に向け、最大限努力されることを要求します。



1.「復興・創生期間」終了後も、被災地が納得する復興・再生が不可欠であることから、2021年度以降も府省横断的に復興・再生を担う組織の存続など、必要な措置を講ずること。

2.国の責任において、被災住民及び関係自治体のニーズに応じた予算措置をはかる とともに国および自治体における人員配置を充実すること。

以上



(資料3)

2019年4月25日

総務大臣
 石 田 真 敏 様

公務公共サービス労働組合協議会
議長 岡島 真砂樹


「公共サービス基本法」に基づく東日本大震災の復興・再生に関する申入れ


 貴職におかれましては、日ごろから良質な公共サービスの提供に向けて尽力されていることに、敬意を表します。
 2009年に全会一致で成立した「公共サービス基本法」が制定されて10年を迎えますが、わが国における公共サービスを取り巻く環境は大きく変化しています。現在の厳しい財政状況下にあって、多発する災害への対応について、「公共サービス基本法」に基づく施策の充実をはかる立場から、従事する労働組合の社会的責任を強く認識をしているところです。
 なかでも、発生から8年が経過した東日本大震災の被災地では、今もなお多くの被災者が避難生活を余儀なくされています。現状の課題だけでなく、2020年度末までとされる復興期間後の課題について、最後まで国の責任において対応すべきです。
 公務労協は、東日本大震災の被災地における「公共サービス基本法」の基本的施策の実施状況や、政府が進める「東日本大震災からの復興の基本方針」の見直しなどについて、直接職場からの意見・要望等の集約を行いました。
 つきましては、「公共サービス基本法」を所管する立場から、今後の東日本大震災からの復興・再生に関する以下の事項について、政府における対応等の実現に向けた格段の配慮を求めます。



1.「復興・創生期間」終了後も、被災地が納得する復興・再生が不可欠であることから、2021年度以降も府省横断的に復興・再生を担う組織の存続など、必要な措置を講ずること。

2.国の責任において、被災住民及び関係自治体のニーズに応じた予算措置をはかる とともに国および自治体における人員配置を充実すること。

以上