2019年度公務労協情報 32 2019年8月7日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

人事院が月例給・一時金の引上げを勧告−8/7
−公務員連絡会は声明を発出し、勧告通りの実施を要求−

人事院は8月7日17時に、国会と内閣に対して月例給を0.09%、387円、一時金を0.05月引き上げる勧告・報告を行った。
また、公務員連絡会は代表者会議で、声明(別紙1)を確認するとともに、7日の人事院勧告・報告を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに時間外職場集会等を開催することとした。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、給与勧告の早期完全実施と定年引上げについて着実かつ確実に早期実施することを求める要求書を提出することとした。なお、連合においても2019人事院勧告について、事務局長談話(別紙2)を発出している。


別紙1−公務員連絡会の声明
声  明

1.人事院は、本日、月例給を0.09%、387円引上げ、一時金の支給月数を0.05月分引上げる給与に関する勧告・報告と働き方改革をはじめとする公務員人事管理に関する報告を行った。

2.公務員連絡会は、6月19日に人事院に要求を提出し、以降、幹事クラス交渉委員 による職員団体審議官交渉、全国から3,000名を結集した7.25中央行動を背景とし て書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交渉を行うなど、人事院との 交渉・協議を最終盤までねばり強く取り組んだ。
 本年の人勧期における重要課題は、@民間の賃金及び一時金等をはじめとする厳しい環境のもとにあっても、公務員の月例給与及び一時金の引上げを勧告させること、A住居手当については、交渉・協議、合意に基づく対応をさせること、B改正人事院規則に基づく超過勤務の縮減に向け、実効ある措置としての具体化をはかること、Cパワー・ハラスメント防止対策について民間に遅れることなく措置させること、D非常勤職員の待遇を改善させること等であった。

3.本年の給与に関する勧告・報告は、@月例給与の官民較差が387円と極めて小さいもとで俸給表の改定を勧告した。具体的には、民間の初任給との水準差を解消し、これに伴い、若年層が在職する号俸に限定して改定を行うものである。このことは、公務における人材確保や非常勤職員の待遇改善に寄与することから一定の評価はできるものの、俸給表全体を改定するための較差に至らなかったとはいえ、われわれが求めた全世代への配慮の面からは決して満足のいくものではない。A一時金については6年連続で支給月数増となり、組合員の期待に一定程度応える勧告となったが、再任用職員の改定を見送ったことは遺憾である。公的年金の支給開始年齢の引上げ以降の高齢期の雇用と給与のあり方に関わる根本的問題として捉え、定年の段階的引上げをはじめとする対応に改めて全力をあげることとする。また、本年も引上げ分を勤勉手当に充てたことは、育児・介護に携わる職員への配慮を欠くものである。非常勤職員については、改正非常勤職員給与決定指針で勤勉手当の支給が明記されており、その順守を求めていくものである。B住居手当の見直しについては、90年代前半から長年にわたり見直しが行われていないことを踏まえ、この間の国家公務員宿舎の削減に伴い、既に使用料が大幅に引き上げられている宿舎居住職員とのバランスをはかる必要に対して、見直しの内容は、手当が減額される職員への一定の配慮がなされたものといえる。基礎控除額の引き上げに伴い手当が減額となる職員が生じることはなお遺憾ではあるが、交渉・協議の到達点として見直しを受けとめるものである。
4.長時間労働の是正については、人事管理報告では、本年4月から設定した超過勤務命令の上限等に関して、制度の運用状況を把握し、必要に応じて各府省を指導すること等について言及している。本年4月から新たな制度のもとで取組が進められているもと、職場における労使交渉や政党に対する国家公務員の超過勤務時間の縮減に向けての要請行動などの取組を展開してきた。人事院には、各省における他律的業務の部署の指定や上限時間を超えることのできる特例業務の取扱いなどの実態を適時適確に把握し、強力な指導助言を行うなど、実効ある超過勤務の縮減に向けた、より一層の対応を強く求める。
  ハラスメント防止対策については、人事管理報告では、現在開催している有識者による「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」での議論の結果も踏まえて、パワー・ハラスメントに対する新たな防止策を措置することについて言及している。ハラスメント対策については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、民間法制度が先行しているもと、とくにパワーハラスメントの定義や実効ある紛争解決機能の措置に向けて、労働政策審議会の動向を踏まえた人事院規則等の改定に向け人事院との交渉・協議を継続していく。
 非常勤職員の休暇については、民間の状況等を踏まえ、夏季休暇が新設されることとなった。同一労働同一賃金の原則を一層推進するため、引き続き、人事院には、常勤職員との間で取扱いが異なる休暇・休業制度に関しての総点検の実施と公務員連絡会との協議に基づく改善を求めていく。

5.以上のように、本年の勧告・報告は、われわれの要求にあまねく応えたものとはいえないが、労働基本権制約のもと、公務員連絡会は、政府に対して、給与改定を勧告通り早期完全実施することを求める。また、長時間労働の是正やパワハラ防止対策、昨年の意見の申出に基づく定年引上げの着実かつ確実な早期実施を求めて取組を強化していく。
 公務員連絡会は、勧告等の完全実施と、すべての職員の労働諸条件の改善、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の取組において、全力を尽くすものである。

 2019年8月7日

公務員労働組合連絡会




別紙2−連合事務局長談話

2019年8月8日


2019年人事院勧告に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 相原 康伸


1.社会全体に賃上げを波及させるため、早期に勧告どおり改定すべき
 人事院は8月7日、政府ならびに国会に対して、2019年度の国家公務員の月例給を387円(0.09%)引き上げ、一時金の支給月数を0.05カ月増とすることを勧告した。これは、2019春季生活闘争における民間の妥結状況を踏まえたものであり、月例給および一時金のいずれも6年連続の改善となったことは評価できる。社会全体に賃上げを波及させるべく、政府と国会は早期に勧告どおりの給与改定を実施すべきである。

2.公務職場における実効性ある「働き方改革」の推進を
 勧告と同時に行われた「公務員人事管理に関する報告」では、非常勤職員の夏季休暇新設が盛り込まれた。常勤職員との格差是正としては一歩前進だが、均等待遇に向けたさらなる取り組みが求められる。また、本年4月から施行された超過勤務の上限規制に関する各府省における厳格な運用と人事院による指導、パワーハラスメント防止に向けた新たな対策についても、その実効性を確保するべく、労使協議も踏まえ早期の具体化を求める。

3.地方自治体における人事院勧告を踏まえた対応に期待
 今後、人事委員会が置かれている地方自治体においても、地方公務員の給与にかかる人事委員会勧告が予定されている。地域経済の底上げ・底支えに向けて、人事院勧告を踏まえ、少なくとも同様の引き上げ勧告が行われるとともに、地方自治体に対しては、地方自治の本旨を踏まえ、労使交渉が尊重されることを期待する。

4.連合は、より質の高い公共サービスに資する公務員制度改革に取り組む
 人事院勧告は、あくまで労働基本権制約の代償措置であり、労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立が早期に求められる。連合は、国民の安全・安心なくらしを守る、より質の高い公共サービスの維持・発展に向け、関係組織と連携しながら、民主的な公務員制度改革の実現をめざして取り組む。

以上