2020年度公務労協情報 10 2020年2月19日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/19

 公務労協地方公務員部会は、2月19日、高市総務大臣に対して2020春季要求書を提出した。交渉は13時30分から総務省で行われ、地方公務員部会からは二階堂議長のほか委員長クラス交渉委員が出席した。

 冒頭、二階堂議長は要求書(資料1)を提出し、次の通り述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう求めた。
(1) 本年4月1日から、いよいよ会計年度任用職員の制度運用が始まる。この間、公務員部を中心に、総務省をあげてご尽力いただいたことに改めて感謝する。
(2) 政府は、新型肺炎への対応に伴う地方負担を含めた「令和元年度一般会計の予備費使用」を閣議決定した。先日の大臣会見においても、地方自治体への財政支援について、地方負担額の8割を特別交付税で措置すると公表され、このことは自治体にとっては大きな負担軽減につながる。自治体職員は今現在も昼夜を問わず国民が安心・安全に暮らせるよう対策にあたり、現場で奮闘していることを踏まえ、継続した支援をお願いする。

 これに対し、高市総務大臣は「日頃より地方公務員としてご活躍いただいている皆さまのためにご尽力いただき感謝する。会計年度任用職員制度は前回の大臣任期中に法改正し、ようやく実現することができる。各種報道では、期末手当を支給する代わりに給与の引下げを検討している自治体があるという話も聞き、総務委員会でもそのような議論があった。しっかりと地方財政措置をしているので、ご安心いただき、また、皆さま方にも是非しっかりとチェックをしていただき、制度の健全な運用が行われていない場合にはお教えいただきたい。各要求事項については、いずれもとても重要な点であり、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく」と応え、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

(資料1)

2020年2月19日

総務大臣
 高 市 早 苗 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男


要 請 書

 貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、2019年12月に閣議決定された2020年度政府予算案は、社会保障関係費や防衛費の増大などにより、昨年に引き続き100兆円を超え過去最大規模となっています。地方財政については、一般財源総額の確保、地方交付税の増額など一定の配慮がされましたが、社会保障関係費の動向が大きく影響することからも、地方公務員の人件費をはじめとする地方の財政状況は依然として厳しい状況にあります。
 一方、連合は、2020春季生活闘争において、すべての働く者の将来不安を払拭し、「経済の自律的成長」「社会の持続性」を実現するためには、分配構造の転換につながり得る賃上げが必要であると指摘し、「月例賃金にこだわり、賃金の引上げをめざすこと」「雇用形態間格差是正に向け、企業内最低賃金の協定化に取り組むこと」「一時金については、月例賃金の引上げにこだわりつつ、年収確保の観点も含め水準の向上・確保をはかること」等を提起しています。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2020春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等の実現をめざして取組を進めています。少子・高齢化対策、教育環境整備、地域医療の確保、環境保全など、質の高い公共サービスを提供するためには、総人件費をはじめとする財源の保障とともに、賃上げによる待遇改善、超勤縮減対策、ワーク・ライフ・バランスの実現など職員の士気を確保することも不可欠です。
 つきましては、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2020年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。


1.2020年度の賃金改善について
 (1) 地方公務員の賃金の改善のために尽力し、所要の財源を確保すること。
 (2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議・合意を尊重すること。

2.労働時間、休暇及び休業等について
 (1) 公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理や超過勤務縮減目標等の設定など、上限規制を含むより実効性のある超過勤務縮減の具体策が講じられるよう地方自治体を支援するとともに、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充、労働時間短縮のための人員確保等の施策を構築すること。
 (2) メンタルヘルスを含む職員の健康管理体制や職場の安全衛生体制の確立が一層推進されるよう求める。とりわけ、全ての職員を対象にストレスチェックが円滑に実施されるよう対応するとともに、必要な財政措置を講ずること。
 (3) パワー・ハラスメントについては、人事院規則と同等の対策を講じることを前提に、労働施策総合推進法の改正を踏まえ、紛争解決のための体制整備等、地方公務員への必要な措置を講ずること。

3.臨時・非常勤等職員の雇用確保と待遇改善について
  臨時・非常勤職員制度について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、雇用の安定、労働条件及び抜本的な待遇改善等、さらなる制度改善に向けた見直しを引き続き検討すること。
 (1) 会計年度任用職員制度の円滑な導入とともに、必要な財政措置を講ずること。
 (2) 国家公務員非常勤職員との権衡の観点から、勤勉手当の支給をはじめとする諸手当の改善をはかること。

4.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件の確保等について
 公共サービス基本法に基づく良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件の確保することとし、環境整備をはかること。

5.雇用と年金の確実な接続について
  定年の引上げに関わっては、人事院の「意見の申出」を踏まえ、地方自治体においても国に遅れないよう制度設計を進めるとともに、地方公務員部会と十分な交渉・協議を行い、合意に基づいて対応すること。定年引上げまでの間は、職員の希望する再任用の実現とともに、高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件を確保するよう対応をはかること。

以上