2020年度公務労協情報 17 2020年3月25日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

パワハラ防止の制度措置に係る人事院交渉を実施-3/25

−パワハラ防止の人事院規則、4/1公布・6/1施行を予定−公務労協は早期成立をめざし国会対策を強化する−


 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は3月25日13時30分から、パワー・ハラスメント防止対策措置に関わり、練合人事院職員団体審議官との交渉を実施した。
 冒頭、森永副事務局長が「3月3日の春季要求に関わる審議官との交渉の席上で、パワー・ハラスメントの防止のための制度措置の概略について説明を受けたところ。この間、昨年の「人事院検討会」でのヒアリングなどの場を通じ、あるいは、春季交渉の中でも、パワハラの定義や相談体制、紛争解決機能などの実効性確保について求めてきたが、現時点での作業状況について明らかにしていただきたい。」と求めたのに対し、練合審議官は「人事院規則および通達について、4月1日公布、6月1日施行の予定で詰めの作業をおこなっているところ。法制的な修正はあるが、基本的には、お示ししたパワー・ハラスメント防止のための制度措置要綱から内容面での変更はない」と回答した。

 この回答に対し、森永副事務局長は次のとおり人事院の見解を質した。

(1) パワハラの未然防止には、研修や日常的な周知啓発を行いつつ、風通しの良い職場をつくることが大切であることは、この間も主張してきたところ。具体的な方策として、人事院の「パワハラ防止ハンドブック」の改訂は行うのか。

(2) 公務労協が実施した生活実態調査の中で、「ハラスメントなどのトラブル・悩みの相談体制」についての満足度を尋ねたところ、満足が35.8%、不満が16.7%、どちらとも言えないが46.2%との結果だった。「どちらとも言えない」との回答を、どう見るかで評価は分かれるが、相談体制の満足度を高めていくことが求められている。
 「検討会報告」において、各府省庁における相談体制の整備に関わって、「相談員としての対応について相談できる外部アドバイザーを活用することも一案」「人事当局における対応の知見の蓄積や人員増を含めた体制の強化がより重要」との指摘がなされているが、いずれも定員・機構の充実や予算が必要な内容であり、直ぐに実現できることではないと思うが、人事院としてどのような対応を求めていくのか、また、人事院としての苦情相談、公平審査の体制の充実に向けて具体的にどこから手をつけていこうとしているのか、現状の認識如何。

(3) 「検討会報告」では、人事院の役割として、「各府省庁の対応では相談者が納得できる解決に至らない場合には、人事院から相談者に対し、人事院が主体的に調査・判断を行う公平審査について積極的に教示すべきと考えられる」と指摘されているが、パワハラを根絶するという人事院としての決意如何。

 これに対して、練合審議官は次のとおり回答した。

(1) 公布の際に制度の内容を示すリーフレットを配布する。また、研修教材についても新たに作成し、出来次第、各府省庁に配布する予定である。

(2) 各府省庁の相談体制について、公布する人事院規則において、各官署の規模等に応じた相談体制の整備を義務付けることとしている。また、人事院として苦情相談対応の指針を示すとともに、相談員向けのセミナーを開催するなど、相談員の能力向上支援を検討している。規則には、相談者は各府省の相談員に相談できるほか、人事院にも苦情相談できることを明記しており、人事院としても、これらの苦情相談について、本院、地方事務局・地方事務所と連携して、迅速かつ適切な解決をはかるとしている。公平審査も含めて、必要な機能が十分に発揮できるよう、しっかりと取組んでいきたいと考えている。

(3) 規則にはパワハラ防止に関する人事院の責務を明記する。人事院の役割は重要であると認識しており、役割を十全に果たすために、しっかりと取組んでまいりたい。

 また、各交渉委員からの意見として、全農林・渡辺委員は「研修の実施にあたり、パワハラの具体例や線引きを示すなど、より分かりやすい研修内容や方法を検討するべきではないか。また、パワハラへの対応では迅速さが求められるが、何か手法を検討しているのか」と求めたのに対し、練合審議官は、「研修内容については、具体的に決まっていないが、意見として承った。迅速な解決については、その通りだと考えている。苦情相談対応のための指針においても、留意すべき事項を明記している。人事院の苦情相談においても、これまでどおり、迅速な解決に取り組んでいきたいと考えている」と答えた。

 最後に、森永副事務局長が、「「検討会報告」では、「公務の職場は、パワー・ハラスメントの防止が十分に図られる必要があるだけでなく、パワー・ハラスメントの防止について、模範となる職場であるべきである」とされている。われわれも、職場の労使関係のなかで協調しながら、あらゆるハラスメントのない、より良い職場の確立に向けて取組を強化していく。是非、「パワー・ハラスメントを行ってはならない」という観点から、人事院としての力強いメッセージを内外に発信するとともに、実効性が確保される人事院規則、運用通知となるよう、最後まで、しっかりと努力することを求めておく。また、規則が出来て終わりではなく、職場の状況を踏まえ労使ともに考えていくことが重要であり、引き続き、これらの課題について前広に議論することを求めておく。」とし、交渉を締めくくった。

以上