2020年度公務労協情報 26 2020年10月5日
公務公共サービス労働組合協議会
公務員労働組合連絡会

委員長クラスが人事院総裁と交渉し回答を引き出す−10/5
〜一時金は0.05月の引下げとなる見込みと回答〜

公務員連絡会柴山議長ほか委員長クラス交渉委員は、10月5日、一宮人事院総裁と交渉し、8月5日に提出した本年の人勧期要求書に対する回答を引き出した。

交渉の冒頭、柴山議長が「8月5日に本年の人勧期の要求書を提出し、今日まで、交渉を積み上げてきている。本日段階での総裁からの回答をいただきたい」と求めたのに対し、一宮総裁は次の通り回答を示した。

1.民間給与との較差に基づく給与改定について
本年は、まず、特別給に関する勧告を行うこととしており、その勧告日は、10月7日(水)となる予定である。
特別給は、0.05月分の引下げとなる見込みである。
引下げ分は、今年度については、12月期の期末手当から差し引くこととする。
来年度以降については、0.025月分ずつ、6月期と12月期の期末手当から差し引くこととする。

2.公務員人事管理に関する報告について
報告では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や大規模な自然災害などの事態が発生している中において、全国各地で多くの国家公務員が、国民の安全・安心を確保するために日々全力で職務にまい進しているという現状について述べた上で、在宅勤務等の新たな働き方への変革といった課題も踏まえた取組などを推進するため、次のことについて言及することとしている。

○ 新型コロナウイルス感染症に係る取組については、
時差出勤のための勤務時間割振りの特例の措置、職場の感染拡大防止対策等の周知、非常勤職員も含め出勤困難な場合の特別休暇の適用などを行うとともに、公務災害認定等の事務が速やかに行われるよう指導を行ってきたところである。今後においても、感染拡大の予防を図りつつ、必要な取組を進めていくことについて言及することとしている。
○ 長時間労働の是正については、
  今後、超過勤務命令の上限を超えた場合における各府省による要因の整理・分析・検証の状況を把握し、必要な指導を行うことについて言及することとしている。
○ ハラスメント防止対策については、
  本年6月からパワー・ハラスメントの防止等のための人事院規則等が施行されたところであり、今後も、各府省における防止対策を支援していくことについて言及することとしている。
○ 定年の引上げについては、
  定年を段階的に65歳に引き上げるための措置が早期に実施されるよう改めて要請することとしている。
このほか、
・ 人材の確保及び育成
・ 仕事と家庭の両立支援
・ 心の健康づくりの推進
・ 非常勤職員の適切な処遇の確保
・ 能力・実績に基づく人事管理の推進
についても言及することとしている。

以上の回答に対し、柴山議長は以下の通り公務員連絡会としての見解を述べ、交渉を締めくくった。

(1) いま、本年は、先行して調査を行った特別給に関する勧告を行うとし、一時金を0.05月引き下げるとの回答であった。新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢のもとで、われわれとの交渉・協議を踏まえ、民間賞与の客観的な支給実態に基づくものではあるが、コロナ禍においても国民の命と暮らしを守るため職務に奮闘している職員の努力を踏まえると、支給月数の引下げは残念である。
今後、月例給の報告・勧告に向けた人事院の作業が進められるが、公務員連絡会の要求である、水準の維持を最低として、われわれとの交渉・協議、合意による措置を強く求めておく。

(2) 職員は、未だ収束の見えない新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた対策や近年多発する自然災害への対応などに全力をあげて取り組んでいる。一方、職場では、「新しい生活様式」「新しい日常」での対応が求められるもと、テレワークをはじめとする働き方改革や職員の健康確保措置なども引き続いての課題であり、職場実態を踏まえた改善に向けて、われわれとの建設的な議論を求めておく。
長時間労働の是正については、改正人事院規則のもとで、節目となる一年が経過をしている。人事院においては、各府省の超過勤務実態の整理・分析・検証を踏まえて、適時適切に指導助言を確実に行うとともに、公務員連絡会への情報提供と超過勤務縮減に向けて継続した協議を求めておく。
また、本年6月からは、パワー・ハラスメント防止対策に関する人事院規則が施行されたところである。人事院に寄せられる苦情相談で最も多いのは、パワハラであり、職場からあらゆるハラスメントがなくなるようわれわれも組合の立場で努力していくが、人事院の役割として、苦情相談等にあたっては今まで以上に解決に向けた適切な対応をはかっていただきたい。

(3) 本年は、コロナ禍での異例な日程での報告・勧告となるが、最終的には、月例給の報告・勧告等が行われる段階で、公務員連絡会としての本年の報告・勧告の総体に対する態度を表明することとしたい。