2021年度公務労協情報 11 2021年2月15日
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会

地公部会が、全人連に対し2021春闘期要請書を提出-2/9

 公務労協地方公務員部会は、2月9日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して、2021年度地方公務員の賃金・労働条件等に関する要請を行い、要請書に対する回答を引き出した。

 新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言発令中のため、全人連への要請には、加藤事務局長が出席し、全人連事務局が対応した。
 冒頭、加藤事務局長は、要請書(別紙1)を手交し、新型コロナウイルス感染拡大の収束の見通しが立たない中、厳しい勤務環境や、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供するための賃金・労働条件の改善・確保の必要性等を述べた上で、各人事委員会が労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識し、要求事項の実現に向け、最大限の努力をするよう要請した。
 続いて、要請事項について説明した上で、「コロナ禍にあっても、厳しい勤務環境下で良質な公務・公共サービスを実現するべく各職場では奮闘が続いている。その期待に応えるためにも、各人事委員会にはご尽力いただきたい」と、全人連としての努力を強く求めた。
 
 こうした地方公務員部会の要請に対し、全人連事務局は「いただいた要請については、後日書面にて回答させていただく」と回答し、この日の要請を終えた。全人連の書面回答は(別紙2)の通り。



(別紙1)

2021年2月9日

全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  ●(やすし) 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健男


要 請 書

 各人事委員会における地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、新型コロナウイルス感染拡大は収束の目途が立たず、各自治体職場においては、感染防止対策への対応に伴う業務量や時間外勤務の増、業務の見直しによる他部署への支援体制等、その勤務環境は依然として厳しい状況に置かれています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 一方、連合は、2021春季生活闘争方針において、日本の抱える構造課題とコロナ禍によって明らかとなった社会の脆弱さを克服していくためにも、「誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながり得る賃上げに取り組み、『感染症対策と経済の自立的成長』の両立と『社会の持続性』の実現をめざす」と提起しています。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2021春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等の実現をめざして取組を進めています。
 このような状況のなか、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。




1.2021年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を精確に把握するとともに、地 方公務員の賃金水準を維持・改善すること。
2.公民給与比較方法について、当面現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会 的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、 月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
3.諸手当の改定については、地域の実情や、新型コロナウイルス感染症拡大防止の 関連業務をはじめとする職務や生活実態を踏まえ、組合との十分な交渉・協議に基 づき進めること。
4.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度につ いて、改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、人事委員会として改善に向けて必要な 措置をはかること。
5.公立学校教員の賃金に関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成 する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。
6.公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理をはじめ、 長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策の構築など、人 事委員会として必要な対応をはかること。とりわけ、「特例業務」における上限時 間を超えて時間外勤務を命じた場合の要因の整理・分析・検証を行うこと。
7.実効性のあるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。とくに、パワー・ハラスメント対策については、労働施策総合推進法の改正を踏まえ、地方公務員における措置について、人事委員会として必要な対応をはかること。
8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。とくに、 妊娠・出産・育児に関わる休暇制度について、新設を含め改善をはかること。また、 育児休業に関して男性の取得促進のための必要な措置を講ずること。
9.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策 の確立をはかること。

以上






 (別紙2)

<全人連会長回答>

令和3年2月12日


要請に対する全人連会長回答


 この度の要請につきましては、確かに承りました。
 速やかに、全国の人事委員会にお伝えします。
 現在、10都府県を対象に緊急事態宣言が発令されており、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響は、引き続き予断を許さない状況にあります。
 最近の経済状況を見ますと、本年1月22日に発表された政府の月例経済報告では、「景気について依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」とする一方で、「内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」としています。
 本年の春季労使交渉では、コロナ禍で企業の経営環境の先行きが不透明な中、雇用の維持や賃上げ等について議論がなされているところであり、今後の行方を注意深く見ていく必要があると考えております。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各企業においてテレワークの導入など働き方改革が進んでいることや、公務員の定年引上げに関する法案の取扱いについても、引き続き注視してまいります。
 現在、人事院及び各人事委員会では、民間給与の実態を的確に把握できるよう、本年の民間給与実態調査の実施に向け、その準備を進めているところです。
 今後、各人事委員会においては、社会経済の動向なども踏まえながら、本日の要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになろうかと思います。
 改めて申すまでもありませんが、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することは、人事委員会の重要な使命であると認識しております。
 全人連といたしましては、本年も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に努めてまいります。

全国人事委員会連合会

会長 青山 ●(やすし)