みんなの力で、労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.18 2001年5月23日

連合官公部門連絡会

「5.22シンポジウム」開催

労働基本権問題で活発な論議



 連合と連合官公部門連絡会は5月22日、東京・田町交通ビルホールで共催による「21世紀の公務員制度のあり方を考えるシンポジウム」を開催した。会場には各構成組織の組合員、連合本部、民間組合の代表、マスコミ関係者など350名が集まり、会場を埋め尽くした。
 シンポジウムは午後1時に開会、基調講演とパネルディスカッションの2部構成で行われ、現在のキャリア公務員を中心とした特権的・閉鎖的な制度から脱却し、民主的な公務員制度をめざし、@求めれれる公務員制度とは何か、A公務員制度改革はどう進められるべきか、をテーマに各界各層から意見がだされた。
 轆轤副事務局長(全官公事務局長)が司会にあたり、主催者を代表して榎本連合会長代行(対策本部長)が次のようにあいさつし、闘う決意をのべた。
@ 政府は3月27日に「公務員制度改革の大枠」を決定し、6月の「基本設計」に向けて作業を進めているが、この間、検討状況を一切提示しないという当事者を無視したやり方は過去に例がなく、重大な危惧の念を持っている。
A 公務員制度については、新しい時代に対応して改革をしなければならないことは認めるが、問題はその方向と内容である。連合は官民共通の課題であるとの認識から「21世紀の公務員制度・労働基本権確立の基本要求」を、連合官公部門は当事者として「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた私たちの提言」をまとめ、改革設計を示した。
B われわれは、国民に開かれた中立・公正で透明な制度に改め、仕事に働きがい、生きがいを求められる公務員制度とし、国際労働基準に沿った労働基本権の確立と労働関係制度の抜本改革を強く求めていく。
 主催者あいさつに次いで、第1部では、「求められる公務員制度と『大枠』の問題点」をテーマに佐藤英善早稲田大学副総長から基調講演を受けた。
 佐藤教授は、冒頭で、「現代は情報公開の時代であるにもかかわらず、政府の公務員制度改革は秘密裏に作業が進められている。国民と働いている公務員の声を聞くべきではないのか」と、まず、その進め方を批判した。続いて、行政課題・行政領域・行政手法が変化していることを取り上げて、「行政のあり方が、事前規制型から事後監視型に変わりつつある。そのため、公務員制度だけでなく、司法制度の改革についても同時に進められていくべきである。また、改革には、女性の参加、視線が不可欠だが、政府の改革にはその観点がないのではないか」と全体の問題について指摘した。その後、検討されるべき公務員制度改革の基本的方向として、@民主的で信頼のおける公務員制度の構築、Aこれからの行政サービスのあり方をにらんだ公務員の役割と公務員制度、B公務員の意識・行動原理の改革、C行政の組織・活動原理の改革、D公務員制度改革と労働基本権問題、などの課題を取り上げて、政府の「大枠」の内容を批判しつつ、あるべき改革の方向性について問題意識を提起した。
 第2部のパネルディスカッションは、@現在進められている公務員制度改革の問題点、A求められる21世紀の公務員制度のあり方、をテーマに行われた。森田朗東京大学法学部教授がパネリストを兼ねてコーディネーターとなり、パネリストの太田誠一自民党行政改革推進本部長、佐藤英善早稲田大学副学長、藤森研朝日新聞論説委員、成川秀明連合総合政策局長、丸山建藏対策本部副本部長の間で議論が交わされた。
 太田氏は、「大枠」の基本的考えとして「政府を一体のもの、一元的なものとして扱い、政治主導、国民が選んだ政治家がリーダーシップをとって動かす考えで統一されている」としたうえで、労働基本権問題について、「身分保障が過大に運用されている点を改め、成果・能力主義を導入して公務部門に活力が引きだせるようになるなら、労働三権の回復も辞さずというのが党内の議論である」とのべた。
 藤森氏は、「90年代以降、市民の自主的参加型の運動が強まり、情報公開、NPOの発足など国民主権の実質化が進んできている。市民主権の時代になり、公務員制度改革もこうした観点が必要である。国民主権の実質化にいかに適応させていくのかが課題である」と指摘した。
 成川氏は、「連合は国民の気持ちがわかる公務員制度を目指し、『基本要求』を取りまとめた。公務で働く者の意見がだせるよう労使の話合いシステムの確立が必要だ」として、労働基本権の確立を前面にだした「基本要求」の考え方をのべた。
 丸山氏は、「昨年12月の政府の行革大綱以降、3月の『大枠』から6月の『基本設計』の流れは、それまでの公務員制度調査会答申とは異質のもので、政治主導で進められている」とのべ、さらに「各省大臣が人事管理を行うのであれば、労働基本権を確立するのは当然のことであり、『私たちの提言』の実現に全力で取り組む」と訴えた。
 パネルディスカッションは2時間にわたって行われ、閉会にあたって轆轤副事務局長が@組合員と家族を対象とした「労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を求める緊急署名」を精力的に取り組むこと、A6・14全国統一行動の成功にむけて中央、地方一体となって取り組むこと、を訴えシンポジウムを締めくくった。

以上