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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.23 2001年6月1日

連合官公部門連絡会

総務大臣、自民党各役員に対して申入れ

「提言」の実現と、行革推進事務局が十分な交渉を行うよう要請



 対策本部は6月1日、総務大臣と自民党の各役員に対し、6月中に取りまとめる政府の公務員制度改革の「基本設計」に「私たちの提言」を十分反映させるよう申入れた。また、同時に、行革推進事務局が、当事者である連合官公部門連絡会と十分な交渉を行わないまま作業を進めていることを伝え、交渉と協議を行うよう伝えることを要請した。
 片山総務大臣へは14時30分から、自民党5役への申入れは、11時50分から竹山参議院議員会長、15時30から政調会長(長勢副会長対応)、15時45分から堀内総務会長、16時30分から幹事長(甘利副幹事長対応)に対して行った。対策本部からは、榎本本部長(自治労委員長)、石川副本部長(全逓委員長)、石川国税労組委員長、斎藤事務局長らが出席した。
 総務大臣への申入れでは、榎本本部長が申入書(資料1)と「提言」を手渡し、次のように要請した。
 「現在、公務員制度改革が検討されているが、私たちも公務員制度を21世紀の社会にふさわしいものに改革することは必要と考えている。問題はその方向性と中身である。私たちは、公務職場で働くものと国民の立場に立って『私たちの提言』をまとめた。この『提言』の重要な点は、諸外国に比べて遅れている日本の公務員の労働基本権を確立し、国際基準に到達させることである。行革推進事務局は当事者や関係省庁の関与を排除して作業を進めている。しかし、公務員制度の改革は、公務員をはじめとして、国民の生活全般に大きな影響がある。国民各層から意見を聞き、慎重に作業を進めるのが本来の姿ではないのか。総務大臣からも行革推進事務局に対して、十分な交渉を行うよう伝えてほしい。また、地方公務員制度については、『地方自治の本旨』という言葉を建前ではなく、文字どおり、分権の視点で重視して対応してほしい」。
 これに対して、総務大臣は、「改革案をまとめるときは、あまり事前に公表するとまとまらないので、ある程度の閉鎖性についてはやむをえないのではないか。しかし、組合と話し合いを行うことについては、大切なので石原行革担当相に伝えたい。公務員制度には本質的な部分と、そうでない部分がある。根幹にかかわる部分については慎重に扱う必要があるが、そうでない部分は事態に合わせることも必要である。その仕分けが大切である」と考え方を示した。
 また、自民党の各役員への申入れでも同様に、組合側が、申入書(資料2)と「提言」を手渡し、21世紀にふさわしい民主的公務員制度を確立するために「提言」を取りまとめたこと、公務員の労働基本権を確立させ、国際基準に到達させること、行革推進事務局が、当事者である私たちの意見を聞こうとしないまま作業を進めているため、連合官公部門連絡会と十分な交渉と協議を行うよう伝えることを要請した。
 なお、6月第2週にも、官房長官、財務大臣、厚生労働大臣及び各政党に対して同様の申入れを行うことにしている。


資料1.総務大臣への申入書

2001年6月1日

総務大臣 片山 虎之助殿

連合官公部門連絡会
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏


公務員制度改革に関わる申入れ


 日頃より私たち公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
 私たち官公労働者約200万人で組織する連合官公部門連絡会は、キャリア公務員を中心とした特権的・閉鎖的な現行公務員制度を民主的で透明性の高い、開かれた政府に相応しい国民のための民主的公務員制度に改革する必要があるとの立場に立って取り組みを進めてきたところです。去る5月14日、全構成組織の討議を経て「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けての私たちの提言」を取りまとめ、自らの改革案を提示しつつ引き続き総力を傾けて取り組む所存です。
 さて、今次公務員制度改革においては、基本的な労使交渉事項である給与制度や賃金労働条件の大きな改革方針が提起されており、私たちは橋本前担当大臣への申し入れを行うと共に推進本部発足以来一貫して、公務員の使用者としての政府が一方的に制度設計を進めることは容認できず、直ちに交渉に応ずることを求め続けてきました。
 しかし、政府行革推進本部事務局長は、4月24日の申し入れに対し「交渉当事者の立場に立つ」としながら具体的な見通しや「交渉・合意に基づいて成案を得る」との見解も表明していません。
 さる29日、推進本部事務局は、はじめて組合側に対し検討案を提示しましたが、制度設計の前提となる人事院勧告制度の存否や労働基本権については一行の記述もないばかりか基本設計の性格や取りまとめへの段取りも示されず遺憾千万であります。
 現状の政府推進事務局の対応は、労働基本権制約の代償措置を機能不全に陥れ違憲状態を惹起しつつあり、労働組合としては深刻な対応をとらざるを得ません。
 つきましては以下のことを強く申し入れますので上記の経緯を踏まえ、その実現に誠意を持って尽力されますよう要請します。



一、基本的な労使交渉事項である給与制度の見直し及びそれと連動する評価制度の設計などの課題についてはILO条約並びに憲法・国内法を遵守し、交渉・協議に基づく合意によって改革案を取りまとめることを前提に交渉を行うこと。

一、「基本設計」とりまとめに当たっては、別紙、私たちの「提言」内容を十分反映すること。

一、地方公務員制度の改革については国家公務員制度と地方公務員制度それぞれの特性及び地方自治の本旨を踏まえ、地方分権をいっそう進めることに十分配意し、改革の手順を明確にすること。


資料2.自民党への申入書

2001年6月1日


自由民主党 ○○ 様

連合官公部門連絡会
代表委員 榎本庸夫
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏


公務員制度改革に関する申入れ


日頃より私たち公務・公共部門に働く労働者の処遇改善に向けて尽力されていることに敬意を表します。
 私たち官公労働者約200万人で組織する連合官公部門連絡会は、去る5月14日、全構成組織の討議を経て労働基本権の確立を含む「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けての私たちの提言」を取りまとめたところです。
 私たちは公務員制度改革は必要であるとの認識に立ち自らの改革案を提示しつつ、5月22日には貴党行政改革本部長の御参加をいただき公務員制度改革シンポジウムを開催し幅広く国民的な議論と合意をめざした取り組みを進めています。
 この間、私たちは貴党行政改革推進本部正副役員会との話し合いや与党行財政協議会実務者との率直な意見交換の機会を持つことができ大変有意義であったと考えており、今後も引き続きこうした機会を求めていきたいと考えています。
 さて、今次公務員制度改革においては、基本的な労使交渉事項である給与制度や賃金労働条件の大きな改革方針が提起されており、私たちは橋本前担当大臣への申し入れを行うと共に推進本部発足以来一貫して、公務員の使用者としての政府が一方的に制度設計を進めることは容認できず、直ちに交渉に応じ、合意に基づくことを強く求めています。
 つきましては、6月基本設計とりまとめを間近に控え以下のことを申し入れますのでその実現に誠意を持って尽力されますよう要請します。



一、基本的な労使交渉事項である給与制度の見直し及びそれと連動する評価制度の設計などの課題については、ILO条約並びに憲法・国内法を遵守し交渉・協議に基づく合意によって改革案を取りまとめるよう、貴党として政府推進事務局に必要な指導を行うこと。

一、「基本設計」とりまとめに当たっては、別紙、私たちの「提言」内容を十分反映すること。また、そのために政府推進本部事務局と連合官公部門連絡会との常設の協議の場を設け率直な意見交換を行い成案を得るよう、貴党として条件整備など必要な指導を推進事務局に行うこと。

以上