みんなの力で、労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.55 2001年11月6日

連合官公部門連絡会


連合官公部門が11.5中央行動実施
中央集会に全国から1万人参加、「労働基本権確立」に向け総力を結集

 連合官公部門連絡会は11月5日、労働基本権を確立し民主的な公務員制度の改革を求める統一行動を全国で展開した。中央行動では、連合と共催して午後3時から明治公園で中央集会を開催、全国から1万500人が参加し、労働基本権の確立に向け総力を挙げて取り組むことを意思統一した。集会後、国会請願デモを行った。これより先、行革推進事務局との交渉では、「労働基本権のあり方」について回答を迫り、石原担当大臣との交渉を6日に行うことを約束させた。霞ヶ関・さいたま新都心及び関東各県での国公職場への2万枚のビラまきや、国会議員要請行動(別紙3)も実施し、要求実現へ理解を求めた。また、早朝8時から第6回対策本部会議を開き、「労働基本権のあり方」について、未だに結論を示そうとしていない政府の姿勢に対し「強い決意で回答を求めていく」との方針を決めた。

【11.5中央集会の概要】
 中央集会は宮入対策本部副事務局長(公労協事務局長)の開会あいさつの後、議長に榊原対策本部副本部長(日教組委員長)を選出した。
 まず、主催者を代表して笹森連合会長は、「緊急雇用対策、公務の労働基本権の確立という課題に対し、官民一体で歴史的な集会を実現させた」とこの集会の意義を強調し、以下のとおり連合の決意を述べた。
@ 完全失業率が5.3%、357万人と雇用情勢が深刻な状況を迎えるなか、官民共通の課題として、雇用問題の取り組みを一層強化する必要がある。
A 政府が進める公務員制度改革は、検討の前提となる労働基本権の確立を後回しにしたまま、政府自ら都合のよい人事給与制度の検討を一方的に進めようとしている。このことは、断じて容認できない。
B これら官民労働者が直面する喫緊の課題について、連合は総力をあげてたたかう決意だ。
 次いで、連合官公部門連絡会から「対策本部」を代表して丸山本部長(国公連合委員長)があいさつ、政府の公務員制度改革を厳しく批判し、以下のとおり決意を述べた。
@ 生存権というべき労働基本権の確立を抜きに、人事給与制度の検討のみ先行、具体化しようとしており、こうした姿勢は極めて問題である。各府省の人事管理権限を強化・拡大し、信賞必罰の新たな人事・給与制度を導入しようというのであれば、当然のこととして、労働基本権を保障し、団体交渉で決定するシステムに改めるべきだ。そうした視点を欠いた制度改革は絶対に認められない。
A 労働基本権の確立と民主的公務員制度の実現は、最大のヤマ場に直面しており、中央・地方で運動を盛り上げ、要求実現に向けて取り組みを強めなければならない。
 基調報告では、山本対策本部事務局長が取り組みの現局面と今後の方針を報告し、連合と民間各構成組織の参加・協力に感謝をのべ、以下のように経過報告した。
@ 本日の石原行革担当大臣との交渉が実現せず6日になった。大臣交渉で労働基本権問題についての見解を求めることにしている。また、「公務員制度改革大綱」の基本となる「新人事制度の具体案」が大臣から提示されるので、これを受けたあと正式に交渉・協議に入る。
A 使用者権限を強化し賃金決定制度の枠組みを変えるとしながら、決定制度の組合関与のあり方を変えないとなると、制度の整合性がなくなる。こうしたことから、労働基本権の確立を強く求めていく。
B 官公部門は連合と連携を強めつつ、11月下旬〜12月上旬を最大のヤマ場とし、中央・地方で多様な取り組みを展開する。中央段階では、中央集会の開催をはじめ対政府・与党対策等の取り組みを通じ、労働基本権問題に対する明確な回答を引き出す。
 続いて、政党の代表から連帯のあいさつを受けた。
(民主党・千葉景子副代表)
 「特権、閉鎖的な公務員制度から、市民に開かれた公務員制度改革を実現するためにも労働基本権の保障を前提とした対等な労使関係の確立が不可欠である。労働基本権に関わる日本の現状は、国際労働基準からも大きく立ち遅れており、その実現のために民主党もともに取り組んでいきたい」
(社民党・福島瑞穂幹事長)
 「失業者が増大するなか、小泉内閣が掲げる構造改革路線と対決していく必要がある。また、政府の公務員制度改革は、労働基本権の議論のないまま、やりたい放題というのが現状だ。公務員労働者の労働基本権の確立、労働者の雇用確保のため、ともに取り組む決意である」
(自由党・都築労働部会長)
 「公務員労働者が安心して仕事に邁進するためにも、労働基本権を確立し、政府と対等に交渉できるようにするのは当然のことだ。労働基本権確立、天下りの禁止など、国民が期待する公務員制度改革を実現するために、みなさんと一緒に国会で頑張っていきたい」
 この後、国際労働基準の確立の観点から、ニュージーランド公務労働組合よりポール・コクラン書記長、PSI(国際公務労連)本部よりデービット・ボーイズ年金・公益事業担当が登壇し、労働基本権確立の実現にむけ、激励あいさつを行った。
 決意表明では、全造幣・松井書記長、国公連合・吉尾書記長、自治労・福山書記長、日教組・樋口副委員長、政労連・渡辺委員長が、職場・地域から取り組みをすすめる決意を述べた。
 集会は、「雇用確保と創出を求める中央集会アピール」(別紙1)と「労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を求める決議」(別紙2)を採択した。
 最後に、笹森連合会長の音頭で団結がんばろうの三唱のあと、参加者は2グループに分かれ、国会、原宿方面とデモに出発。「緊急雇用対策を実現せよ」、「労働基本権を確立しよう」、「交渉・合意なき大綱反対」、「民主的な公務員制度確立」などのシュプレヒコールを響き渡らせた。国会では、出迎えた民主党、社民党の国会議員と熱いエールを交わし、ともに取り組みをすすめる決意を固め合った。
 なお、中央集会には、連合をはじめ21の連合民間組合からも350人が参加した。その内訳は次の通り。自動車総連、電機連合、ゼンセン同盟、JAM、生保労連、情報労連、電力総連、CSG連合、運輸労連、食品連盟、造船重機労連、化学リーグ21、JR連合、JR総連、ゴム連合、損保労連、NHK労連、全国ガス、全銀連合、全労金、労済労連。

資料1:中央集会アピール

雇用の確保と創出を求める中央集会アピール


 日本は今、未曾有の雇用危機にある。
 完全失業率は、この9月に5.3%へとさらに悪化し、失業者数は357万人にもふくらみ、史上最悪を更新し続けている。失業者の4分の1は1年以上も失業しており、生活不安を強く訴えている。加えて、企業組織再編と人件費削減のリストラによって、職場の労働者は雇用不安に脅かされている。
 経済は、4月以降、輸出減やIT不況等によりマイナス成長に落ち込み、政府の進める不良債権処理も加わり、失業率がさらに悪化することが確実視されている。今や、勤労国民の生活と雇用は先行き不安の危機に直面している。
 このような状況に落ち込み、小泉内閣はようやく雇用対策をとりまとめようと腰を上げた。しかし、その内容は、3年間で臨時的雇用を50万人雇い入れるという、その場しのぎにすぎない。これでは、現在1年間に40万人も増加する失業者を減らすことすらできず、全く見せかだけの対策でしかない。本格的な雇用創出や失業者への再就職支援策もなく、従来型の対策をわずかに積み増したものにすぎない。
 連合は、「雇用対策こそ最大の景気対策であり、本来のめざすべき構造改革だ」と主張し、政府や各政党に緊急雇用対策を申し入れてきた。
 その柱は、第1に、企業はこれ以上の失業者を出さない、第2に、政府は責任をもって、社会が必要とする分野で140万人以上の雇用を創り出す、第3に、60万人規模の職業訓練事業を行い、失業者の再就職支援をはかる、第4に、失業者の雇用保険給付を延長し、生活の不安を取り除く、との対策であり、これに4兆円以上の補正予算をつけることを求めてきた。また、この10月を「雇用対策実現集中月間」として、全国一斉街頭宣伝や失業相談ダイヤル、ハローワークでの雇用アンケートなどに取り組んできた。
 いま、臨時国会は、ようやく「雇用対策」を審議する日程に入った。連合は、雇用の最大の危機を解決するため、改めて雇用を守り、雇用を創り出し、再就職を実現する、4兆円以上の補正予算を今臨時国会で実現するよう強く求める。同時に、職場においては、労使相互の努力により、失業者を出さず、雇用の安定を確保する取り組みを一層強める。
 連合加盟の全ての組合は、雇用を守り、雇用を創り出し、失業者を減らす闘いを総力をあげて推し進めよう。

 2001年11月5日

連合・連合官公部門連絡会
緊急雇用対策実現!
労働基本権確立・民主的公務員制度改革を求める11.5中央集会


資料2:中央集会決議

労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を求める決議


 労働基本権を確立し公務員制度の民主的な改革を実現する取り組みは、極めて重大な、そして緊迫した局面に至っている。
 12月の「公務員制度改革大綱」策定を目前に控えた今日なお、政府・行政改革推進事務局は、21世紀社会にふさわしい公共サービスを支える基盤としての国民の求める改革に程遠い、これまで同様の一方的・閉鎖的な検討を継続している。
 なかでも、新たな人事・給与制度設計の前提として、われわれが強く求めていた公務の労働基本権の確立について、本日の交渉においても、「結論を得ていない」ことを理由に明確な見解が示されなかった。こうした、政府の不誠実な姿勢は極めて遺憾である。
 その一方で、本来、団体交渉により決定すべき人事・給与制度について、作業の既成事実化を意図して、9月に「新人事制度の基本構造」を示し、近々に「具体案」の提示を予定している。
 これらの検討の手続きと政府・行政改革推進事務局の姿勢に対して、改めて抗議の意を表明するとともに、これまでの到達点を踏まえ、引き続き、次の取り組みを進めなければならない。
 その第一は、民主的公務員制度改革の中心的課題である労働基本権問題の早期解決をはかることであり、政府に対して明確な回答を示させること。
 第二に、賃金・労働条件にかかわる行革推進事務局の一方的検討に対して、その歯止めをかける意味からも、合意を前提とした本格的「交渉・協議」を開始・強化することである。
 「大綱」策定まで残された時間はわずかである。
 私たちは、当面する「公務員制度改革大綱」への対応に集中するとともに、労働基本権の確立を前提とした民主的な公務員制度の改革を実現するため、より一層の態勢強化をはかり、最後まで総力を挙げた取り組みを展開する。
 また、特殊法人等の改革では国民生活への必要性の観点から事業内容を見直し、政府が責任を持って雇用を保障するよう強く求める。
 以上、決議する。

 2001年11月5日

連合・連合官公部門連絡会
緊急雇用対策実現!
労働基本権確立・民主的公務員制度改革を求める11.5中央集会


資料3:議員への要請書

2001年11月5日

            殿

連合官公部門連絡会     

代表委員 大原義行
代表委員 榊原長一
代表委員 石川正幸
代表委員 中野高徳
代表委員 丸山建藏

公務員制度改革に関する要請書


 常日頃より、連合官公部門連絡会の運動にご指導ご鞭撻を賜り心から感謝申し上げます。
 私たちは国民が求める行政改革・公共サービスの確立、それを実現するための民主的公務員制度に改革するためには、労働基本権の確立など国際労働基準を満たした近代的労働関係制度の確立が不可欠であるとの観点から、「公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた私たちの提言」を取りまとめ、その実現を目指し、組織の総力を挙げて取り組んでいます。
 政府・行政改革推進本部は、去る6月29日、「公務員制度改革の基本設計」を公表しましたが、その中で、各府省の人事・組織管理体制を強化し、労働基本権制約の代償機能である人事院の役割を大きく後退させる考えを打ち出しながら、公務員労働者の労働基本権問題については結論を先送りしています。このため私たちは石原行革担当大臣に対して、労働基本権に対する考え方を提示するよう求めていますが、未だ考え方を示していません。政府・行政改革推進本部は、12月の「公務員制度改革大綱」の策定に向けて検討作業を進めていますが、「公務員制度改革大綱」では、改革に向けた法制化等の具体的内容、2005年度までの集中改革期間におけるスケジュール等を明らかにするとしており、公務員制度改革は大きな山場を迎えようとしています。
 本年6月のILO総会で、日本政府は公務員制度改革に関して「職員団体など関係者と誠実に交渉・協議してまいりたい」旨を表明していることに鑑み、公務員制度改革の具体的な制度設計にあたっては連合官公部門との交渉・協議に基づく合意によって、成案とりまとめを行うことは当然のことであると考えます。
 以上のことから、貴職におかれましては下記事項の実現に向けて最大限のご尽力を頂きますようお願い申しあげます。



一、労働基本権を確立し団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を実現すること。

一、新たな人事管理システムの設計に当たっては人事評価制度に係る「4原則(公平・公正性、透明性、客観性、納得性)2要件(苦情処理制度、労使協議制)」を実現すること。

一、キャリア制度を廃止し、「天下り」を禁止した民主的で国民に開かれた公務員制度とすること。


【行革推進事務局交渉の概要】
 対策本部は、5日午後1時から行革推進事務局と交渉し、結論が先送りされている「労働基本権のあり方」について見解を質した。交渉には、行革推進事務局側から西村事務局長、春田公務員制度等改革推進室長、高原参事官らが対応、対策本部側からは、企画委員の村瀬国公総連書記長・菰田全逓書記長・橋爪全郵政書記長、池田日教組副委員長、山本事務局長、宮入・轆轤両副事務局長らが参加した。
 冒頭、組合側は、「本日、大臣交渉を強く求めてきたが、実現できなかったことは遺憾なことである」とのべ、大臣交渉が行われず、労働基本権問題に対する大臣回答が示されなかったことに強く抗議した。そのうえで、早急に大臣交渉が実現するよう迫り、その日程を質した。
 これに対し西村事務局長は、「大臣も本日の会見の重要性は十分に認識していたが、政務関係の仕事がたてこみ、どうしても都合がつかなかった。明日(6日)にも会見に応じ誠実に対応するのでご了承願いたい」とのべ6日の大臣交渉を約束した。
 次いで組合側は、@労働基本権のあり方について、推進事務局として踏みこんだ回答を示してもらいたい、A12月の「大綱」策定に向けた作業スケジュールはどうか、B今後の交渉・協議は、単に意見を聞くだけでなく、組合との合意を必要とすることを確認すべきだ、と3点にわたって見解を求めた。
 こうした組合側の要求に推進事務局側は、次のような見解を示した。
@ 労働基本権のあり方については、現在までのところまだ結論がでていない。先日(10月31日)も、『労働基本権問題は人事・給与制度と密接に関連しており、また与党も強い関心をもっておりその動向も踏まえて結論をだすことになる』とのべたところだ。12月の「大綱」までの間に組合に提起して議論できるよう、できるだけ早く結論をだせるよう努力する。
A 明日(6日)の大臣との会見の場において、「新人事制度の具体案(仮称)」を提示したいと考えている。この具体案は、「大綱」の基本となるものと考えており、これをもとに更に関係者と議論を深めていきたい。
B 職員団体とは、これまでも誠実に対応してきたつもりであり、今後も、交渉・協議については引き続き誠意を持って対応したいと考えている。合意できたものについては制度設計に取り入れていきたい。
 こうした見解表明を受け、組合側は、「制度設計の前提として労働基本権問題できちんとした方向性を示すべきだ」と重ねて要求し、大臣交渉でさらに詰めることにして交渉を終えた。


【第6回対策本部会議の概要】
 第6回対策本部会議は、5日午前8時からKKRホテル東京で開催した。会議では、この間の政治対策について報告、11.5中央行動の取り組みについて確認するとともに、12月の「公務員制度改革大綱」策定に照準を合わせた「今後の取り組み」方針を決め、11月下旬から12月上旬に再度ヤマ場を設定して、大衆行動を配置することにした。
 会議の冒頭、連合の草野事務局長があいさつ、連合として発足した「公務員制度改革・特殊法人等改革対策委員会」(対策委員長・草野事務局長)を立ち上げた経緯をのべ、「労働三権の確立は官民全体の課題であり、連合あげて要求の前進にむけ努力したい。ともに手を携えて全力投球でがんばろう」と訴えた。
 対策本部役員の変更について提案され、大原本部長に代わって新たに丸山国公連合委員長が就任した。山本事務局長から10月以降の政党対策や推進事務局との交渉など一連の経過を説明、その中で、5日に予定していた石原行革担当大臣との交渉が6日にずれ込んだことと、その席で「新人事制度の具体案」の提示を受けることが報告された。
 「大綱」策定に照準を合わせた取り組みでは、あくまで、「労働基本権の確立を前提とした公務員制度改革の実現」をめざし、強い姿勢で諸対策に取り組むことで意思統一を図った。方針で示された@政府(官邸)との交渉、与党対策など政治対策の強化、A地方連合会規模の集会や民間組織への要請等地方での取り組み、B職場からの要請打電等の行動、などについては、12日に開催する企画委員会で具体化を図ることにしている。なお、推進事務局との交渉・協議については、「新人事制度の具体案」の正式提示をうけた後、本格的に進めることにした。

以上