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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.58 2001年11月16日

連合官公部門連絡会


対策本部が「新人事制度原案」をめぐって交渉(その2)
制度の基本となる「能力等級制度」の問題点を追及、「人員枠」等は基本権と合わせ議論

 「対策本部」は、11月16日10時30分から行革推進事務局との間で、「新人事制度の原案」について2回目の交渉を実施した。交渉は、「行政職に関する新人事制度の原案」のうち、制度の基本となる「能力等級制度」について行われ、「対策本部」から山本事務局長及び公務員連絡会書記長クラスが参加、行革推進事務局側は、春田公務員制度等改革推進室長、高原・井上両参事官らが対応した。
 冒頭、山本事務局長から、「能力等級制度は、任用・給与・評価の基盤とされているが、そもそも職務・職階に基づく現行の給与制度のどこに問題があるのか、あるとすれば、それは制度自体の問題と認識されているのか、あるいは、運用上に問題があるのか、明確に考えを示してもらいたい。そのうえで、新人事制度の必要性について説明願いたい」とのべ、新たに能力等級制度を導入する理由を質した。
 これに対し春田室長は、次のように見解を示した。
@ 能力等級制度については、「基本設計」で導入の理由と方向性を明確に示している。そこで は、「現行の任用の基準が官職に求められる職務遂行能力の面から明確に定義されていないこ とが、これまでの採用試験区分や採用年次に基づく硬直的な人事管理の要因となっている。こ のため、役職段階ごとに必要とされる職務遂行能力基準を明確にして、これをベースにおいて 能力評価をきちんと行い、任用・給与の基準として活用して能力本位の任用・給与を実現した い」との考えを提示している。
A 職務給を原則においた現行制度では、人の能力を的確に評価してそれに基づく処遇をきちん と行うという仕組みになっていない。上位級への昇格に「必要在級年数」等の基準があるが、 それは人の能力を評価するものではない。能力・成果を反映させる制度として十分には機能し てないことから、それを乗り越えるために新しい制度を導入したいと考えている。現行制度の もとでの運用上の改善には限界がある。
 こうした見解を受け、次のようなやりとりが行われた。

組合 この説明では、なぜ新制度が必要なのか理解できない。能力・実績主義というのなら、公制調答申に基づいて新たな評価システムについて制度官庁から具体化に向けた方向が示されており、現行制度のもとでも能力評価を組み込んだシステムが可能と思うがどうか。
推進事務局 現行制度に組み込ませてどこまで成果が上がるのか、本当の意味の能力・実績主義の任用ができるのか、十全なものとはならないと判断した。能力等級制度をベースにおいて、評価に基づいて能力・業績を任用・給与面に端的に反映できる制度にしたいと考え、思想転換をはかる必要があった。
組合 職務給の原則を廃止するとしているが、現行の「職務の複雑・困難、責任の度合い」に基づいて級への格付けを行う仕組みを、どう変えようとするのか。「役職段階に求められる職務遂行能力」ということでは、現行の職務給との違いが不明だ。
推進事務局 新制度は、「人」に着目して、その者が発揮した職務遂行能力をきちんと「クラス分け」して任用するという仕組みにしたいと考えた。
組合 能力等級表は、「組織(組織段階)」「職務(基本職位)、代表職務)」「能力(職務遂行能力基準)」の3つの側面から、等級を構成する制度となっているが、これらの3要素間の関連性が不明確である。何を基準、根拠においているのか。
推進事務局 まず、「基本職位」を設け、本府省なら4段階に分けて、そこに代表職務〈係員、係長、課長補佐、企画官・課長〉を当てはめ、係長など1つでくくれないところは複数の等級に区分した。組織段階は、4段階〈本府省、管区機関、県単位機関、地方出先機関〉に区分し、それぞれの仕事の「役まわり」に対応する「求められる能力」のレベルを分類してまとめた。
組合 組織段階区分は、現行の組織上の秩序をなぞっただけで、分類基準が不明確で納得できない。この分類基準は誰が決めるのか、法律事項とするのか。
推進事務局 組織段階については、仕事の中身を精査して決めていくことになる。等級構造に記載したものは「イメージ」として示したものであり、その扱いは労働基本権のあり方の議論とも重なる部分があるので、そうした議論も踏まえて具体化させていきたい。
組合 同一の基本職位における能力基準は、たとえば、係長の場合、「基本的業務(3級)」「応用的業務(4級)」「専門的業務(5級)に区分されているが、何を持って業務を分類するのか。
推進事務局 同じ係長でも職務に求められる能力は異なるので、3〜5級の間で当てはめることが必要と判断した。
組合 能力基準について府省共通の基準を定めるとしているが、、これを誰が定めるのか。能力等級表の各等級ごとに設定される「人員枠」については、勤務条件性を有する。「同一職位の職務分類」も同様と考えるがどうか。
推進事務局 基本権のあり方との関係もありまだ固まっていない。「人員枠」等については勤務条件上の課題と考えており、基本権の議論を見据えながら提起させてもらう。

 以上のやりとりからも分かるように、推進事務局からは、能力等級制度について十分納得できる説明が得られなかった。対策本部では、19日に本日の課題と「任用・給与制度」について引き続き交渉することにして、交渉を締めくくった。

以上