みんなの力で、労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.66 2001年12月7日

連合官公部門連絡会


連合官公部門が12.7中央行動実施
寒風のなか中央集会に5,000人結集、一方的な「大綱」策定に反対し延期求める

 連合官公部門連絡会は12月7日、政府の「公務員制度改革大綱」の策定作業が大詰めを迎えるなか、労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を求めて統一行動を実施した。公務員連絡会を中心に、全国で時間外の職場集会が開催され、要求実現を求める集会決議が政府・行革推進事務局に送付された。中央行動では、連合との共催で午後6時から日比谷大音楽堂で中央集会が開かれ全国から5,000人が結集、寒風のなか国会請願デモを行った。これより先、午前中に石原行革担当大臣と交渉、「労働基本権は検討中」との不誠実な回答に抗議し「大綱」の延期を申し入れた(「対策本部ニュース・号外」参照)。この大臣交渉を受けて午後4時から第7回対策本部会議を開き、労働基本権を現状としたままの「大綱」策定に反対し、強い決意で臨むとの方針を決めた。

【12.7中央集会の概要】

 連合と共催で開いた中央集会には全国から5,000人が参加した。集会は午後6時に開会、橋爪対策本部企画委員(全郵政書記長)の開会あいさつの後、議長に石川対策本部副本部長(全逓委員長)を選出した。
 まず、主催者を代表して高木連合副会長は、緊急雇用対策実現、労働基本権の確立と民主的公務員制度改革の実現、十分な交渉・協議と合意に基づく「大綱」とりまとめの実現という官民全体の喫緊の課題について、以下のとおり連合の決意を述べた。
@ 10月の完全失業率が5.4%と雇用情勢が過去最悪の数字を更新しており、一層の悪化が懸念される。雇用創出こそが、最大の景気対策であり、連合は120万の雇用実現を要求し、安心・安全の社会の実現をめざす。
A 連合は、官公部門と連携しながら、この間、政労会見、官房長官への要請の取り組みを進めてきたが、労働基本権の確立なき公務員制度改革は、断じて認めるわけにはいかない。たたかいはまさに正念場であり、連合全体として力を合わせ、要求実現に向けて、取り組みを進める決意だ。
 つづいて、連合官公部門連絡会から「対策本部」を代表して丸山本部長(国公連合委員長)があいさつ、政府が進める公務員制度改革を厳しく批判し、以下のとおり決意を述べた。
@ 構造改革に伴うリストラなど、不安定雇用が増大している。民間も雇用と生活を守るたかかいを進めている。公務においても公務員制度改革は、現在、将来にわたる雇用と労働条件に関わる重大な課題であり、全力でたたかう決意だ。
A われわれは、労働基本権確立と民主的公務員制度の実現に向け、取り組みを進めてきたが、労働基本権の確立なき公務員制度の検討、キャリア制度・天下りの温存など、政府に改革の視点は何らない。また、能力等級に基づく信賞必罰の人事管理は、500万の公務員のみならず、関係団体、民間への影響ははかり知れない。労働基本権確立と民主的公務員制度の実現という取り組みの原則堅持にむけ意思統一をはかり、これから各職場、地域で職場集会の開催などたたかいを盛り上げたい。

 続いて、政党の代表から連帯のあいさつを受けた。
(民主党・羽田孜特別代表)
「まさに小泉内閣は、ビジョンなき改革と言わざるを得ない。実態は、自民党の古い体質そのものだ。公務員制度改革について官公部門と連携を深めてきたが、労働基本権を先送りするなど、政府の検討は、極めて不誠実な内容だ。公務員制度は、まさに正念場であるが、民主党としても国民に開かれ、納得性のある公務員制度の確立をめざす決意だ。」
(社民党・中西績介副代表)
「小泉内閣は、痛みを分かち合うというが、働く者に一方的に痛みを押し付けていることが明らかだ。労働基本権を確立した公務員制度を実現しなければならない。このたたかいは長丁場となるが、みなさんとともに社民党としても国会の場で取り組みを強めていく決意だ。」
(自由党・都築労働部会長)
「労働基本権は憲法に保障された基本的権利だ。政府と対等に交渉できるようにするのは当然のことだ。基本権を確立しない公務員制度も働く側に痛みを負わせるものである。労働基本権確立、天下りの禁止など、国民が期待する公務員制度改革を実現するために、みなさんと一緒に国会でがんばっていきたい」

 基調報告では、山本対策本部事務局長が、石原大臣との交渉内容と今後の取り組み方針を述べ、以下のように経過報告した。
@ 本日の石原行革担当大臣との交渉で明らかにされたとおり、労働基本権の確立を明確にせず、「大綱」原案の内示、月末の「政府決定」はあまりに一方的である。労働基本権を現状にし、交渉・協議に基づく合意なき「大綱」策定には、総力をあげ、断固として反対する決意だ。
A 今後の取り組みとして、労働基本権を現状にしたままの「大綱」に強く反対し、「年内の大綱」決定の延期を求めること、「大綱」決定を強行した場合、抗議集会をはじめILOへの提訴など強い決意で運動に取り組む。
決意表明では、国公連合・蜂巣中央執行委員、自治労・福山書記長、日林労・中西書記長が、職場・地域から取り組みをすすめる決意を述べた。
 集会は、別紙の「労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を求める決議」を採択した。
 最後に、榊原官公部門対策本部副本部長(日教組委員長)の音頭で団結がんばろうの三唱のあと、国会、自民党本部に向け、デモに出発。「緊急雇用対策を実現せよ」、「労働基本権を確立しよう」、「交渉・合意なき一方的な大綱策定反対」、「民主的な公務員制度確立」などのシュプレヒコールを響き渡らせた。国会では、出迎えた民主党、社民党の国会議員と熱いエールを交わし、ともに取り組みをすすめる決意を固め合った。


(別紙)

労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革を求める決議


 労働基本権を確立し公務員制度の民主的な改革を実現する取り組みは、政府の「公務員制度改革大綱」策定を目前に控え、極めて重大な局面に至っている。
 昨年12月に「新行政改革大綱」が閣議決定されて以降、この1年間、われわれは、21世紀社会にふさわしい公平・公正、透明で国民本位の公務員制度改革を求め、運動に取り組んできた。
 その要求の柱は、第1に、労働基本権を確立し、団体交渉に基づく賃金・労働条件決定制度を実現すること、第2に、キャリア制度を廃止し、「天下り」を禁止した民主的で国民に開かれた公務員制度とすること、第3に、労働組合との誠実な交渉・協議と合意に基づく公平・公正な人事・給与制度を確立すること、である。
しかし、「新人事制度の原案」が示され、「大綱」策定に向けて制度設計が具体化されつつある今日に至るも、その前提として、われわれが強く求めていた公務の労働基本権の確立について、政府・行革推進事務局は、前向きな見解を示そうとしていない。また、「原案」でも改革の理念はみられず、問題点として指摘してきたキャリア制度を維持したまま公務に「能力・実績主義的な人事管理」を導入し、「競争原理」を持ち込もうとする考え方が一層強調されてきている。
 労働基本権制約の代償機能としての人事院の役割を大きく後退・解体するなかで使用者の権限のみを強化・拡大しようとしていること、そして、「信賞必罰の給与・人事制度」を唱いながら、
 その前提となる評価制度について労使交渉が保障されていないこと──こうしたシステムが近
代的な労使関係として成立しないことは明らかである。
 このような政府・行革推進事務局の姿勢は、全く改革に値せず、単にキャリア官僚の優遇措置を目論んだ小手先の見直しとしか言わざるをえず、認めることはできない。
 「大綱」策定まで残された時間はわずかである。
 私たちは、当面する「公務員制度改革大綱」への対応に集中するとともに、あくまで労働基本権の確立を前提とした民主的な公務員制度の改革を実現するため、より一層の態勢強化をはかり、最後まで総力を挙げた取り組みを展開する。仮にも、賃金・労働条件決定制度が現状から動かないもとで「大綱」策定が強行される事態に対しては、断固とした対応方針で闘う決意であることを表明する。
 一方、特殊法人等の改革では国民生活への必要性の観点から事業内容を見直し、政府が責任を持って雇用を保障するよう強く求める。
 以上、決議する。

2001年12月7日

連合・連合官公部門連絡会
緊急雇用対策実現!
労働基本権確立・民主的公務員制度改革を求める12.7中央集会



【第7回対策本部会議の概要】

 午前中の石原大臣交渉での回答を受けて、今後の方針を確認するため、午後4時から総評会館で第7回対策本部会議を開催した。会議では、「労働基本権のあり方」について、未だに結論を示さない政府の姿勢を批判し、今後「強い決意」で臨むことを確認した。
 冒頭のあいさつで丸山対策本部長は、「民主的公務員制度改革を求めるわれわれの闘いは年内の『大綱』策定を目前に控えて大きなヤマ場を迎えた。あくまで労働基本権の確立を柱とした要求の実現をめざし、しっかり取り組みの意思統一をしよう」と訴えた。
 山本事務局長が、11月以降の政治対策などこの間の取り組み経過を報告、「大綱」取りまとめまでのスケジュールとして12月10日の週に「大綱」原案が示され、12月17日の週以降に閣議決定または閣議了解が想定されるなど政府・与党の動向が報告された。そのうえで、@政府、自民党の誠意のない態度に強く抗議し、労働基本権を現状としたまま使用者権限を一方的に強める内容の「大綱」原案には強く反対して、「年内の大綱決定」の延期を求める、A仮に「大綱」を一方的に決定した場合は、当日に抗議の中央集会・職場集会、打電行動等を行う、B今後の法制化に向けた作業に対して組織の総力を挙げた取り組みを進める、C連合との連携のもとにILOへの提訴なども検討する、などの方針を決定した。


連合兵庫官公部門連絡会が決起集会を開催
「大綱」策定が今月下旬と迫る中、各単産が闘いを強める決意固める

 連合兵庫官公部門連絡会は12月3日、神戸市教育会館で「労働基本権確立・民主的公務員制度改革を求める兵庫県集会」を開催、12単産235人が結集した。
竹本連合兵庫官公部門連絡会委員長は、あいさつのなかで「今回の公務員制度改革は国家公務員だけではなく地方公務員や国営企業公務員にも影響が出てくる。その中身は、一方的な人事管理を導入しようというものだ。公務員に制約されている労働基本権を確立することが重要である」と訴えた。
 連合兵庫北条会長代行からは、「連合兵庫としても公務員の労働基本権の確立と、団体交渉により賃金・労働条件が決定される国際労働基準を満たした公務員制度構築の取り組みを進めることが重要だ」と激励のあいさつを受けた。
 続いて丸山連合官公部門・対策本部長から今日の情勢と今後の闘い方について講演を受け、意思統一を固めた。講演では「政府がすすめる公務員制度改革は理念も何の改革かもはっきりしていない。『新人事制度の原案』は、これまでのわれわれの指摘に何ら応えていないばかりか、賃金・労働条件決定制度のあり方や労働基本権問題については触れず、結論は先送りされている。引き続き、国公・地公・国公現業5百万人の生活や労働を守っていくため、要求の実現に向けて交渉をさらに強めていく」と提起した。
 このあと、国公総連、政労連、自治労の仲間から、今日までの職場での取り組みと今後の闘いに向けて力強い決意表明があり、集会決議を確認し、竹本委員長の団結ガンバロウで集会を締めくくった。

以上