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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.67 2001年12月10日

連合官公部門連絡会


「原案」の幹部集中育成、上級幹部職員等と、「大綱」日程等で交渉
「基本権を含んだ大綱原案の早期提示」を要求

 「対策本部」は12月10日午前8時30分から、行革推進事務局との間で、「人事制度の原案」に関わる5回目の交渉を行うとともに、月内にとりまとめが予定されている「大綱」について、基本権の取り扱いを含め早急に提示し、「誠実な交渉・協議」を保障するよう強く求めた。その概要は以下の通りであるが、推進事務局は、「大綱は月内に取りまとめたい」「早期に提示できるよう努力する」との見解を繰り返すにとどまり、明確な約束はなされなかった。
 交渉は、「人材育成」「本府省幹部候補職員集中育成制度」「組織目標・行動基準」及び「上級幹部職員制度」について行われ、「対策本部」から、山本事務局長及び書記長クラスが出席、行革推進事務局側は、春田公務員制度等改革推進室長、高原・千葉両参事官らが対応した。
 「原案」では、「人材育成」について職員一人一人の人材育成計画を設定すること、「本府省幹部候補集中育成制度」についてはT種採用者を中心に補佐段階まで特別に扱って幹部候補を育成していくことを制度化すること、「組織目標・行動基準」では組織の目標や行動の基準を示すことで行政サービスの質の向上と業務の効率化をめざすこと、「上級幹部職員」では指定職に変えて新たな制度を設け年俸制を採用すること、などを提案している。
 これらについて、「対策本部」は以下の通り問題点を追及した。
@ 人材育成コースの選択に当たっては、本人の希望を尊重すべきである。
A T種採用者の特別扱いを制度化する集中育成コースには反対である。撤回すべきである。
B 組織目標・行動基準は現行の国公法の服務規程や倫理規定との関係が不明確である。
C 上級幹部職員だけ、能力等級制度を適用しないのは問題である。大臣に近いところで仕事をするのであれば政治的任用職にすべきであり、さもなければ一般の職員と同様、能力等級制度を適用し、能力・実績主義を徹底すべきである。
D 今回の改革では降格を伴わない降任は分限処分でないというが、分限制度はどうするつもりか。
 これに対し推進事務局は次の通り見解を示した。
@ 人材育成コースの選択は、面談の中で本人の希望を聞いて参りたい。
A 現在の制度の反省の上に立って、集中育成課程をもうけることで、その間に幹部としての能力を育成しようというものであり、不適格な者ははずすという厳しい制度である。
B 組織目標はまさに今回の改革がめざすもの、すなわち何が目標とならねばならないのか組織としても明確にするということであるし、行動基準はどう仕事をするべきか示すものであり、評価にも反映することで整合性を確保するものである。法律に規定したい。
C 上級幹部職員は、その時々の重要施策や時々の職責に相応しい人を適材適所で就けるものであり、個別の職責を評価することから、能力等級制度は適用できないことから設けたものである。能力等級制度は適用しないが、別の物差しで能力・実績主義は貫徹されると考えている。
D 分限制度については、公正な処分を担保できる制度を検討して参りたいと考えている。

 これらの見解について、「対策本部」は、とりわけ上級幹部職員について「現行の給与上の区分である指定職について、能力等級制度を適用しない新たな制度を作って特別扱いする理由が分からない。推進事務局が、これまで能力等級制度は行政(一)以外の職種にも適用したいといっていたことと違う。撤回するか、政治的任用職とするか、課長以上で管理職としてくくって、補佐以下は基本権を与えて交渉で勤務条件を決定するかのいずれかではないか」と重ねて迫ったが、「能力等級制度を適用する官職と役回りが違う。職責と成果で厳しく判断する。身分保障は必要だ」などの見解に終始し、明確な位置づけは示されなかった。
 そのため、「対策本部」は、個別の議論を打ち切り、月内に予定されている「大綱」とりまとめについて、@今行っている交渉・協議は大綱の中にどう反映されるのか、A労働基本権や人員枠の扱いはいつ示されるのか、B大綱原案の提示後、「誠実な交渉・協議」を保障してもらいたい、と「大綱」に向けたスケジュールと誠実な交渉・協議を約束するよう強く求めた。
 これについて、推進事務局は、「労働基本権の在り方については結論が得られていないので、基本権以外の部分だけでも「大綱」原案として先に(今週中)示したいと考えているし、月内の大綱決定の前に基本権の問題を前広に示し、みなさんと相談しながら決められるようにしたい。みなさんとは十分話し合える時間を確保できるよう努めたい」との考えを示すにとどまり、基本権や人員枠の取り扱いをいつまでに示すのかはいっさい明確にしなかった。
 このように、推進事務局が今週中に提示を予定する「大綱」原案においても労働基本権のあり方を示さない姿勢が示されたことから、「対策本部」は「これでは誠実な交渉・協議にはならない。基本権がどうなるか示されない限り、基本権抜きの大綱原案について、いい悪いの判断はできない。早急な提示を求める」ことを重ねて迫り、本日の交渉を打ち切り、11日には、人事制度以外の「検討項目」の交渉・協議を行うこととした。

以上