みんなの力で、労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.74 2001年12月25日

連合官公部門連絡会


「大綱」閣議決定に抗議し、緊急集会を開催
石原大臣宛の抗議文を採択し、推進事務局に抗議行動

【12.25 緊急中央集会の概要】
 本日、政府が「公務員制度改革大綱」の閣議決定を強行したことに抗議して、連合、連合官公部門連絡会は、東京・一ツ橋の日本教育会館で緊急抗議集会を開催した。この抗議集会は、午後1時30分から開会され、約300人が参加した。宮入対策本部副事務局長の開会あいさつの後、主催者を代表して対策本部から丸山本部長があいさつ、十分な交渉・協議を経ず、「大綱」を閣議決定した政府の姿勢を厳しく批判し、以下のとおり決意を述べた。
@政府は、「大綱」のとりまとめにあたって、6月のILO総会や度重なる交渉の場で「誠意ある交渉・協議」を行うことを約束してきた経過がある。こうした経緯を無視し、石原大臣が交渉も行わず、労働基本権のあり方についての回答を示さないまま、政府が閣議決定を強行したことは、われわれに対する重大な背信行為である。
Aわれわれは政府・自民党に対し、再三にわたり労働基本権のあり方を質してきた。それにもかかわらず、政府・自民党は労働基本権については、現行の枠組みを維持したままで、人事院の機能を各府省に移そうとしている。また、キャリア制度の温存、天下りの禁止を明記しなかったことなど、政府自らに都合の良い公務員制度改革と言わざるを得ない。
Bこうした情勢認識に立ち、民間組合も雇用実現にむけて全力で取り組んでいるが、自らの雇用と生活を守るという観点から、公務員制度改革を2002年春季生活闘争の重要な柱として位置付け、官民一体となって全力でたたかいを進めていく決意である。
 続いて、連合を代表して笹森会長が以下の通りたたかいの決意を述べた。
@本日の一方的な「大綱」閣議決定は、政府が、対等・平等という労使関係の原則を否定するという考えを表明したものであり、労働組合、労働運動に対する重大な挑戦と言わざるを得ない。このことを共通の認識として、重く受け止める必要がある。
Aこのため、労働基本権の確立については、官民をあげて、これからも全力でたたかいを進める。「大綱」の閣議決定に抗議し、ILOの場に提訴することなど、国際的な闘争も含めてたたかいを進めていく決意である。
 続いて、山本対策本部事務局長が、たたかいの現局面と今後の取り組み方針として、「『公務員制度改革大綱』閣議決定強行に対する抗議声明」(「対策本部ニュースNO73」で送付済み。)を提起した。そして、労働基本権の確立・民主的な公務員制度の抜本的改革をめざすという基本スタンスを改めて確認し、抗議声明を採択、全体の拍手で確認した。
 また、轆轤官公部門対策本部副事務局長が、石原大臣の交渉拒否と不誠実な態度に強く抗議するとともに、われわれへの謝罪とその責任を明らかにするよう求める、石原行革担当大臣への抗議文(別紙1)を提案し、全体の拍手で採択された。
 最後に、笹森連合会長の音頭で団結がんばろうを三唱し、行革推進事務局に向けての抗議行動出発の決意を固めるとともに石原大臣に対する抗議の意を示し、シュプレヒコールを響き渡らせた。

【行革推進事務局に対する抗議行動の概要】
 緊急抗議集会での提起をうけて、午後3時から集会参加者約100人が抗議団を編成し、政府・行革推進事務局への抗議行動を行った。
 抗議行動は、推進事務局のビルの1階会議室で行われ、対策本部からは各産別の書記長、山本事務局長らが、推進事務局の西村事務局長、春田室長らと対峙して机に座り、他の参加者はまわりを取り囲むように座り開始された。
 冒頭、山本事務局長が「本日の閣議決定に対して、われわれは、緊急集会を開いて抗議声明を確認した。『大綱』は、決定にいたる手順、内容のどちらをとっても不満であり、受け入れることはできない。政府の責任者である石原大臣がわれわれとの約束を守らず、閣議決定を強行したことは許せないことであり、信頼関係をゆるがすものだ」と強く訴えた。
 続いて、池田企画委員(日教組副委員長)が大臣に対する抗議文を読み上げ、西村事務局長に手交した。
 これを受けて、推進事務局西村事務局長は「本日の抗議文については、大臣に報告したい。私どもはこれまで誠実に交渉・協議をしてきたつもりだったが、基本権の件については与党内の議論もあり、組合に伝えるのが先週になってしまった。また、大臣は日程の都合があり、直接回答できなかった。来年からの制度設計ではこれまで以上に組合と交渉・協議していきたい」と抗議に対する見解を述べた。
 これに対して、抗議団は、@基本権のあり方について明確にした上で、「大綱」にむけて交渉・協議を行うと約束してきたのではなかったか、A石原大臣自らが直接回答を行うべきなのに、謝罪すらないのはどういうことかと口々に追及した。
 これらの抗議団の追及に対して、推進事務局側は、議論のすり替えや曖昧な答弁を繰り返したため、抗議行動は約1時間30分にわたって続けられた。そして、推進事務局側は、最終的に、「基本権のあり方について姿勢を明確にしてから大綱までの間に時間がなくて、組合との十分な交渉・協議ができなかったことは申しわけないと思っている」と大綱決定までの手続きに不備があったことを認め、本日の抗議の主旨に対する大臣の見解をできるだけ早く明らかにすることを約束したため、抗議行動を終了した。



連合、連合官公部門が共同記者会見
それぞれ「談話」「抗議声明」を発表

 連合と連合官公部門連絡会は、本日午後3時より共同記者会見を行い、連合は「『公務員制度改革大綱』の閣議決定に対する談話」(草野事務局長・別紙2)、連合官公部門連絡会は「『公務員制度改革大綱』の閣議決定強行に対する抗議声明」を発表した。
笹森会長は、「大綱」決定の問題として、@誠実に交渉・協議をするとしたILOでの公約を無視したものである、A労働基本権の制約を前提にしている、ことを指摘した。そして、今後の取り組みとして、@公務員制度改革を進めるためキャリア制度、天下り問題といった淀みにメスを入れることを求める、A公務員の労働基本権確立を求め、官公労・民間組合が一体となって取り組んでいく、BILO提訴など、国際的な場での闘いとして取り上げていく決意を述べた。
 連合官公部門連絡会からは、丸山対策本部長、大原副本部長が出席し、丸山本部長が「抗議声明」の趣旨と第8回対策本部会議で確認した今後の取り組み(「対策本部ニュースNO73」で既報)について説明をした。



別紙1

石原伸晃行政改革担当大臣の交渉拒否に抗議する


 石原大臣の交渉拒否と不誠実な態度に強く抗議する。
 石原大臣は、公務員制度改革大綱が閣議決定された本日まで、労働基本権の取扱いについての回答をついに示さなかった。大綱では、先進国に例をみない労働基本権を制約する立法政策を変えないまま、新しい公務員制度を設計している。
 われわれは、今回の公務員制度改革大綱にはいっさい合意できない。
 われわれは、労働基本権の取扱いが提示されない中では公務員制度改革案に対する実質的な交渉・協議は成り立たないことを強く主張し、このことは行革推進事務局も同意を示していた。
 だからこそ対策本部は、制度設計が具体化される以前から、労働基本権の取扱いを明示するよう石原大臣および行政改革推進事務局に強く求めてきたのである。しかし、この間、具体的回答は示されてこなかった。
 石原大臣は、11月6日の交渉で、「大綱までの間、議論ができるように早急に結論を出す」と回答したが、結論は示さず、大綱決定前の最後の交渉となってしまった12月7日の交渉でも、12月大綱決定は不変だとしつつ、労働基本権の扱いについて「非常に重要な問題であり、人事制度とも密接に関係していることから早く固める必要がある」とし「できるだけ早く結論が出せるよう努力する」と、大綱までに回答を示すことは明言している。
 こうした経緯があるにもかかわらず、約束は果たされなかった。
 制度設計の担当大臣で、この問題に係る責任者である石原大臣が、労働側の当事者であるわれわれとの交渉・協議を抜きに公務員制度改革大綱の策定を強行したことは、無責任であるばかりか、ILO総会で日本政府が約束した「労働組合との誠実な交渉・協議」を反故にしたものであって、重大な背信行為として厳しく糾弾されなければならない。
 こうした事態を引き起こした石原大臣に対して、改めて強く抗議するとともに、われわれへの謝罪とその責任を明らかにするよう求めるものである。

2001年12月25日

連合官公部門連絡会労働基本権確立・公務員制度改革対策本部



別紙2

2001年12月25日


「公務員制度改革大綱」の閣議決定に対する談話


日本労働組合総連合会
事務局長 草野 忠義


1.政府は、本日、現行の公務員制度の見直し方向を示した「大綱」を閣議決定した。この「大綱」をもとに2002年中には、「改正法案要綱」をとりまとめるとしている。
 「大綱」は、労働組合との交渉・協議も行わずに、人事院機能の縮小、内閣と各府省の人事管理権の強化、また、公務員の労働基本権の回復は行わないとしている。政府は、本年6月、ILO総会で「関係職員団体との誠実な交渉・協議に基づく検討」を公約した。これを反故にした今回の「大綱」決定は、到底認めることはできない。

2.連合は、公務員の労働三権の保障、労使協議に基づく公正・公平な新人事制度の確立、「キャリア制度、天下り廃止」等を求める「21世紀の公務員制度・労働基本権確立の基本要求」を本年5月にとりまとめ、「政労会見」、官房長要請、与野党への要請を通じ、労使協議による「民主的な公務員制度改革」の実現を求めてきた。

3.しかし、政府は、政府内での統一方針とりまとめを先行するとして、今回の「大綱」を労使協議なしに決定した。その内容は、労働基本権については「現行の制約を維持する」とする一方、代償制度である人事院の役割を大幅に縮小し、内閣と各府省の人事管理権限だけを強化する内容となっている。また、「信賞必罰」の考えに基づく能力・実績主義の新人事制度の導入をはかろうとしている。
 このように「大綱」は、労働基本権を認めず、一方的に人事管理の権限を集中・強化するものであり、ILO条約違反ともいえる内容である。能力主義の新人事制度についても、労働組合の意見を聞くことなしに上から押しつける制度導入である。また、「キャリア制度」「天下り人事」の廃止には全く手をつけていない。これでは、国民が求める民主的な公務員制度改革とは、到底言えない。

4.今後、政府は、「大綱」に沿って2002年中に国家公務員法改正の「法案要綱」をとりまとめ、2003年中には国会提出を目標としている。連合は、今後、労働基本権の回復と今回の「大綱」について、ILO提訴に向けて準備を進める。また、2002年中の「法案要綱」策定において、必ず労働組合との協議を実現し、労働基本権の確立と労使合意に基づく人事・処遇制度の実現をはかっていく。

以上