みんなの力で労働基本権確立と民主的公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.115 2002年10月18日

連合官公部門連絡会


連合事務局長らが衆参両院議長・副議長に要請
国会で広く議論し公正・透明な公務員制度改革案作り求める

 10月17日、草野連合事務局長をはじめ対策本部の丸山本部長、北岡・榊原・橋爪各副本部長は、衆参両議院議長・副議長に対し公務員制度改革大綱の撤回など署名の請願趣旨の実現に特段の努力を要請した。臨時国会への署名の提出に先立ち行われたもので、要請は、11時30分から参議院議長サロンで倉田寛之参議院議長・本岡昭次副議長に、ついで12時から渡部恒三衆議院副議長、12時45分から衆議院議長公邸で綿貫民輔衆議院議長に対して行われた。
 組合側は、衆参両院議長及び副議長に要請書(別紙1)を手渡し、「国会に1,000万人を超す『透明で民主的な公務員制度改革を求める請願署名』を提出するので、国民の声として重く受け止めてもらいたい」と述べ、請願事項である大綱の撤回と、国会の場で広く議論して公正・透明な公務員制度改革案を作るよう求めた。そのために、特別委員会の設置について検討を要請した。また、労働基本権の確立について、憲法の精神と国際労働基準に沿って抜本的に見直すよう強く求めた。
 こうした要請に対し、倉田参議院議長は、「要請の趣旨は承った。委員会審議では、皆さんの要望を伝える。この問題では十分議論がつくされることが大事と考えている」との見解を示した。また、綿貫衆議院議長は、「立法府として、皆さんの意見を含め様々な意見を聞いて対応することが必要と考えている」と述べた。
 なお、この要請には、民主党から参議院議長には、輿石東国会対策委員長、梁瀬進・谷林正昭両参議院議員が、衆議院議長には、佐藤敬夫国会対策委員長、山元勉衆議院議員(党公務労働問題懇談会事務局長)が同席した。


(別紙1)

2002年10月17日

衆議院議長
 綿貫 民輔 様

日本労働組合総連合会  
会  長 笹森  清

連合官公部門連絡会    
代表委員 北岡 勝征
代表委員 榊原 長一
代表委員 石川 正幸
代表委員 橋爪利昭紀
代表委員 丸山 建藏



公務員制度改革に関する要請


 日頃よりのご指導ご鞭撻に心から感謝申し上げます。
 国の基本的枠組みである公務員制度の改革は、広く国民的な議論と英知を結集し、合意に基づいて進められなければなりません。一部政治家と官僚によって密室で行われるとすれば言語同断です。
 私たちは、「公務員制度改革大綱」の撤回と、公務員の労働基本権を確立し、21世紀社会にふさわしい透明で民主的な公務員制度改革を実現することを求めています。「大綱」は、公務員の労働基本権を引き続き制限したまま、使用者の人事管理権限のみを強めようとしています。マスコミや各界有識者から厳しく批判されているように、依然として特権的官僚制度を温存し、国民から批判の強い天下りを自由化するなど政・官・業のゆ着を断ちきる仕組みがとられていません。国民が求めている改革に逆行しています。
 私たちは、政府が進めている公務員制度改革は国際労働基準に違反しているとしてILO(国際労働機関)に提訴しています。また、全国で請願署名運動に取り組み国民世論に訴えてきました。集約した署名数は10,456,117人にのぼり、臨時国会に提出することにしております。
 貴職におかれましては、署名に託された国民の意思を国政の場で真摯に受け止め、国会への請願事項である下記の実現に向けてご尽力して頂けますよう強く要請いたします。



一 「大綱」を撤回し、国民と労働組合が参加した公正・透明な公務員制度改革案を作ること。

一 T種試験採用者が優遇される特権的官僚制度を廃止し、政・官・業ゆ着を助長させる天下りを全面的に禁止すること。

一 公務員に労働基本権を保障し、対等・平等な労使関係制度を確立すること。

※ 参議院議長宛の要請書も同文のため略。


連合・連合官公部門が10.17中央行動実施
中央集会に全国から5,000人参加、まず地域・民間集約署名分を国会提出

 臨時国会の開会を翌日に控えた10月17日、連合と連合官公部門は「透明で民主的な公務員制度改革を求める10.17中央行動」を実施した。全国的に取り組んだ請願署名の提出と今後の取り組みの意思統一をはかるため持たれたもので、18時から日比谷大音楽堂で開催した「透明で民主的な公務員制度改革を求める中央集会」には、全国から5,000人が参加、大きな盛り上がりをみせた。18日には社会文化会館に250人が参加して署名提出集会を開いた。請願署名は、第1次集約(372万人分ですでに先の通常国会で提出済み)を含め目標を上回る10,456,117人にのぼった。参加者は、このうち、地域・民間組合から集約した130万人分を民主・社民・自由各党237人の紹介議員の部屋に出向いて手渡し、国会への提出を託した。

 中央集会の会場となった日比谷大音楽堂の舞台前面には、全国から集められた署名のなかから40箱・およそ80万人分が高く積まれた。
 集会は、18時から轆轤対策本部事務局次長の司会で始まり、北岡対策本部副本部長(自治労委員長)が集会議長に就いた。
 主催者を代表してあいさつに立った草野連合事務局長は、「1,000万人を超える署名を集約したことは運動の成果であり、これからの取り組みにあたって大きな力になる」と高く評価。そのうえで、「連合は11月のILO勧告がわれわれの主張を十分に取り入れたものとなるよう、官公部門のみなさんと一緒になって現地ジュネーブでの対策を最後まで怠りなく進める。公務員関係法案の国会提出には、民主党をはじめとする野党と十分に連携して、民主的な公務員制度の確立に向けた対策を取っていく」との考えを示した。そして、「連合運動の重点課題である、デフレ阻止・景気と雇用の回復、不払い残業の撲滅、パート・派遣労働者の均等待遇の3課題と公務員制度改革を結合させて、官民の力を合わせて全力で闘う」と決意を述べた。
 来賓として、中野寛成民主党幹事長、福島瑞穂社民党幹事長、広野ただし自由党行政改革・地方自治部会長があいさつ、次のように述べた。
中野民主党幹事長 政府の大綱は国民的な合意をへて決定されていない。天下りの大臣承認制、キャリア制度の容認、国際労働基準に拠らない労働基本権の扱い、人事院の権限縮小など、このままでは公務員の政治的中立性を侵し、労使関係を大きく歪める。衆参補欠選挙で7戦全勝して、小泉政権を退場させ、ほんとうの改革へのきっかけをつくるため、全力をあげる。
福島社民党幹事長 心からエールを送る。過日、ILO関係者が党を訪ねてきた。大綱について日本政府はILO基準をどう考えているか、と怒っていた。大綱のまやかしを皆さんとともに確認したい。小泉さんの言う3つのセリフには、「公」と「民」、公務員とは何か理解しているのか疑わしい。皆さんが責任を果たしている福祉や教育、森林関係、交通などの公共分野は、がたがたに崩されてしまう。
広野自由党行政改革・地方自治部会長 この10年、「公務員たたき」が続いている。これは間違っている。一部の官僚の不祥事で公務員全体が悪くいわれる。日本の公務員は民間労働者とともに合い補いつつ、日本の発展のため最前線で努力してきた。キャリア制度をなくし、労働三権を認めたほうがいい。いまの大綱では日本の21世紀はなくなる。早く小泉政権をやめさせよう。
 ここで、榊原副本部長(日教組委員長)・足立全水道委員長・橋爪副本部長(全郵政委員長)から3野党代表に署名簿が提出され、「請願の趣旨をいかして院内の闘いをよろしくお願いしたい」として、請願事項の実現を託した。
 ついで、山本対策本部事務局長が基調報告を行い、今後の取組みを次のように提起した。
@ 1,000万署名は、連合民間組合・地方連合会の支援、構成組織の総力をあげた取り組みで、みごと目標を達成できた。互いの健闘をまず評価したい。わが国の公務員労働者の労働基本権確立の闘いは、東北アジア、ひいては世界の公務員労働運動にも影響を及ばすという責務を負った運動である。
A 行革推進事務局は、労働基本権制約に代わる「相応の措置」について提示したきたが、その内容は、使用者権限の一層の拡大であり、人事院の代償機能を無に等しいものにするものだ。労働基本権のあり方をめぐって本格的な論戦に入ることになるが、11月22日には、ILO理事会で労働側に有利な勧告がなされると確信している。
B われわれは、政治の場で大綱の撤回を求め決着をつける、というスタンスで運動を進める。11月29日を全国統一行動日と設定し中央行動を配置する。それに向けて、1)地元国会議員へのはがき要請行動、2)各県での集会、3)全国からのブロック別上京行動を成功させよう。
 この後、決意表明に入り、まず、地域から署名運動を推進した立場から、近藤大阪府教組執行委員と松田連合長野副事務局長が登壇した。
 近藤氏は、「大阪では、23民間組合への要請オルグと市民への宣伝活動に取り組み、目標の14万人をほぼ達成できた。この運動の成果のうえに、地元議員へのはがき要請行動に全力で取り組みたい」と述べた。松田氏は、「長野では、地域での署名獲得の取り組みに力をいれ、目標を大きく上回る8.7万人の署名を集約できた。官公部門の20万人をあわせ連合長野にとって、かつてない署名数となった。この署名運動は、闘いの第1段階だ。いよいよ重要な局面に入る。当面、はがき要請行動に集中したい」と決意を示した。
 構成組織からは、北川全印刷副委員長、岡崎全水道組織部長、虎岡全農林中央執行委員がそれぞれ決意を表明した。
 集会では、「大綱の撤回に向けて、さらに運動を進めよう」とのアピール(別紙2)を三木国税東京青年部常任委員が提案、会場全体の拍手で採択した。宮入対策本部副事務局長が閉会のあいさつ。最後に、丸山対策本部長の音頭で「団結がんばろう」を三唱して、集会を締めくくった。


(別紙2)
アピール


 政府の「公務員制度改革大綱」の撤回と透明で民主的な公務員制度改革を求める国会請願署名運動は、目標の1,000万人を超え10,456,117人に達した。これは、連合民間組合及び地方連合会の支援・協力のもと、4ヵ月に及ぶ連合官公部門構成組織の総力をあげた取り組みと全国的な統一キャンペーン行動の成果である。
 この請願署名を私たちは、明日から開会する臨時国会に提出し、署名に託された国民の意思として、国政の場で真摯に受け止めるよう求めていくことにしている。
 大綱は、いま大きなほころびをみせてきている。民間有識者による「21世紀臨調」は、「キャリア・システムの廃止、閣僚による天下り承認制の見直し」を小泉総理に申入れ、日本行政学会も、「開かれた議論のないままの決定」に異議を唱えている。天下り問題の国民的批判の高まりのなかで、小泉総理が天下りにつながる早期勧奨退職制度の見直しを指示するなど大綱の矛盾が露呈し、1,000万署名の達成と相まって、私たちの運動は着実に広がりを示している。
 さらに、国際的な連帯・支援の輪も広がっている。連合と連合官公部門主催の「国際シンポジウム」に参加のため来日したILO理事及びICFTU(国際自由労連)をはじめとする国際労働組合組織の代表団は、日本政府と各政党に対し、「改革は国際労働基準に沿った内容で、民主的な形で行われるべきである」と強く要請した。 
 ILO結社の自由委員会は、私たちの提訴に対して11月上旬に事前審査を行い、22日頃の同理事会で報告書を採択して、日本政府への勧告を行う予定である。このため、労働側の訴えが受け入れられるよう、さらに国際的な働きかけを強めていく。
 闘いは、これからが正念場である。連合は、この秋、雇用改善・景気回復の全国総行動に取り組んでいる。私たちは、この運動と連携しながら、国会議員へのはがき要請行動と、11月下旬の地域ブロック別上京行動に取り組む。こうした行動を通じて、全国すべての地域で地元選出議員への働きかけを徹底し、これに続く1万人規模の11.29中央行動に総結集しよう。
国公法・地公法改正法案の提出が予定される来年の通常国会を最大のヤマ場に据え、署名に示された国民世論の支持に確信を持ち、「大綱を撤回し労働基本権の確立と民主的な公務員制度改革の実現」に向け、さらに運動を進めよう。

2002年10月17日
連合・連合官公部門連絡会
透明で民主的な公務員制度改革を求める10.17中央集会

以上