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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.116 2002年10月23日

連合官公部門連絡会


行革推進事務局が評価の「試行」の考え方を提示
「試行」の枠組みは今後交渉・協議し、合意に基づいて実施することを確約

 行革推進事務局は、10月23日、連合官公部門連絡会に対して、@試行にむけたスケジュール、A試行内容の当面の検討体制(勉強会の開催)、B主要検討課題、などを主な中身とする「評価制度の検討の進め方について(案)」(別紙)を提示し、内容について説明した。
 これに対して、連合官公部門連絡会は、新人事制度のもとでの能力・業績評価の試行の実施は、あくまでも組合との十分な交渉・協議と合意が前提であることについて約束を求めたところ、行革推進事務局が、「100%は無理であるが、大枠については合意した上で試行に入りたいと」と確約したため、今後、試行の枠組みに関わる交渉・協議に入ることを確認した。また、本日提示された考え方には試行のスケジュール等しか書かれておらず、評価の試行をどのように行うかの提起がなかったため、「具体的な中身が示されないままスケジュールだけを示されても交渉・協議には入れない。いつ試行の枠組みを提起するのか」と質したところ、「11月中には提示できると思う」との回答が示されたため、その段階から交渉・協議に入ることを相互に確認、交渉・協議の時間を確保するために早急に具体的な中身について示すよう求めた。

 本日の交渉は、10時から行革推進事務局で行われ、行革推進事務局から鈴木参事官らが対応し、連合官公部門連絡会からは、対策本部実務交渉メンバーが参加した。
 冒頭、鈴木参事官が、「評価制度の検討の進め方について(案)」を提示し、@2003年4月を目途に全府省の行政職の一部を対象に評価制度の試行に入りたいと考えている、Aそのためには、年内に共通の枠組みを固め、1月から3月は各府省での準備期間に当てる必要がある、B試行では、任用・給与等には反映しないこととする、C各府省等に評価についての理解を深めてもらう目的で民間の事例についての勉強会を立ち上げたいので組合の皆さんも参加してほしい、などその内容について説明した。
 説明に対して、対策本部側は、まず、本日の交渉の性格について確認を行い、行革推進事務局は、「本日については説明会である」とし、「今後、全体像を示し、その後、協議に入りたい」と答えた。そのため、組合側は、「2003年4月に試行を開始すると一方的にスケジュールを決めているが、試行の中身が示されないと交渉・協議に入れないし、試行に入る、入らないも含めて交渉・協議の対象である」として、組合側との交渉・協議・合意にもとづき、その上で試行に入ることを約束するよう求めた。
 これに対して、行革推進事務局は、「細部についてはともかく、大枠については、合意した上で試行に入るのが前提である」と答えた。そのため、組合側は「それは合意しない限り試行は強行しないという意味として受け止める」と重ねて質したのに対して、参事官は「組合が反対しているのに試行には入れないと考えている」として、試行は合意を得て実施すると確約した。
 続いて、組合側は今回の試行の目的について、@評価制度の試行と国公法改正案の作業との関係はどう整理するのか。施行の結果を踏まえてということであれば国公法改正案は通常国会に間に合わないのではないか、A新しい人事制度−能力等級制度や給与制度についてもわれわれと交渉・協議中であり、具体的なところも固まっていない。また、評価制度自体も検討中でわれわれに具体的なイメージさえ提起できていない段階で、いったいどのような試行を行うのか。これまでの総務省や人事院の評価の議論とは全く異なり、能力等級制度のもとでの評価は仕事の配置や給与の格差に直接連動するものであり、その具体的な姿が固まらないで試行などできないのではないか、B新評価制度は、まず実施するスケジュールを決める方式ではなく、過去の経緯を含めもっと慎重に議論し、公務員の理解を得てから実施すべきではないのか、と質した。
 質問に対して行革推進事務局は、@評価制度は新しい人事制度の前提となっており、その前提のもとで、具体的な制度をどのようにしていくかということである。今回の試行が国公法改正案の条文規定に影響があるということではない、A新しい人事制度の全てが決まっていなければ試行に入れないというわけではない。評価の試行をやり、新人事制度の任用や給与に活用できるのかどうかを含め、資料を得たいということだ。すでに2次原案でかなりのことは示してある、B慎重にというが、全体で5年間という移行期間は短いものではない、と答え、試行は可能との見解を変えなかった。組合側は、「われわれは能力等級制度に基づく新人事制度自体に疑問を投げかけ、議論をしている。そのなかで能力等級制度をやるための評価の試行に賛成することができるのか。少なくとも、能力等級法や新給与法の姿が固まった段階でなければ、試行といえども職場を混乱させるだけだ。大綱から5年であって、新国公法や能力等級法が固まってからではない。過去の勤評の経緯を考えれば、新制度が発足するとすれば、その時点では能力開発や配置から活用し、みんなの信頼を得てから任用・給与等に活用するというのが常識的な考え方だ」と、重ねて行革推進事務局の見解を求めたが議論は平行線となった。
 また、組合側が「われわれは評価に当たっての4原則2要件を主張している。それが新評価制度にどのように具体化されるのかも現段階では回答がない」とし、とくに評価に対応した苦情処理制度、労使協議制度などの検討について質したのに対しても、推進事務局は「それは評価のシステムではなく全体の人事制度の設計の中で話し合われる事項」だとし、回答をさけた。
 そのため組合側は、「評価を実施するか否かを含め交渉・協議の対象であり、具体的な中身が示されないままスケジュールだけを示されても交渉・協議には入れない。評価の試行の枠組みについてはいつ提示するのか」と質したのに対し、行革推進事務局側は「今日示したものは固まったものではなく、その考え方を含め交渉・協議したいということだ。11月中には、能力評価の能力等級基準、業務目標の設定方法などの評価の試行の枠組みを提示できると思う」としたため、その枠組みの提示を受けて評価の試行に関わる交渉・協議を開始することを相互に確認した。
 さらに、評価制度の勉強会については、「説明を聞いても趣旨・目的がはっきりしない。いまごろ、民間の事例の勉強をするということ自体がおかしいではないか。やるのであれば、公務員の評価についての審議会や研究会を設けるべきではないか」と質したが、明確な見解は得られなかった。この勉強会への対策本部の参加の可否については、24日に予定される室長交渉を踏まえ判断することとしている。

 対策本部としては、去る16日に提示された「主語入れ」文書と労働基本権問題に関わる交渉・協議と、本日提示された評価の試行についての交渉・協議とを、今後の行革推進事務局との交渉・協議の重点課題に設定し、全力で交渉・協議を進めていくこととしている。その第1弾として、明日(24日)午前1時から春田室長と書記長クラスの「主語入れ」文書に関わる交渉・協議が行われる。



<資料>

評価制度の今後の検討の進め方について(案)

平成14年10月
行政改革推進事務局

1.試行に向けたスケジュール
 平成18年4月から評価制度を含む新人事制度が実施されることを前提にスケジュールを逆算すると、次の通り、平成15年度には評価制度の試行を開始して、主要な課題から検証を行っていくことが不可欠である。

平成15年度 部分試行【主要課題の検証】(行政職中心・全府省・一部職員)

平成16年度 本格試行【制度設計の完成】(全職種)

平成17年度 全面試行【運用のための微調整】(全職員)

平成18年度 新制度実施


 これを前提とすれば、年内を目途に平成15年度に実施する試行の内容を固め、平成15年1月から3月までの間に各府省に於いて準備作業を行う必要がある。
 なお、評価制度の試行は、現行制度による勤務評定とは独立に実施するものであり、任用・給与等には反映しないものとする。

2.試行内容の当面の検討体制
 評価制度に関する関係者の理解を深め、試行に向けた諸作業の基礎とするため、民間シンクタンクの専門家による講演会(数回)を開催し、各府省及び職員団体(中央)に参加を呼びかける。
 行革事務局としての試行案の全体像を検討のたたき台として各府省及び職員団体(中央)に提示し、協議・意見交換を行う。
 試行の枠組みについては、年内に大方の合意を得て、年明けからは各府省における準備作業を進めることを目標とする。

3.主要検討課題
 これまでの各府省及び職員団体との協議等を通じ明らかとなった評価制度に関する主要な検討課題は、次のとおりである。
@ 能力基準
 ・職種別、組織区分別、等級別の能力基準の内容
 ・組織区分の在り方
 ・(ラインではない)スタッフの能力基準はどうするのか。
 ・能力基準の補足・具体化をどのようにして行うのか。
A 業務目標及び困難度の設定
 ・どのようにして業務目標を組織目標との有機的関連において設定するか。
 ・多様な職種がある中で、どのようにして実効的な業務目標を設定するか。
 ・具体的な困難度の設定の方法
B 評価段階の決定方法
 ・能力評価における個別項目及び総合評価の評価段階の決定基準
 ・業績評価における業務目標の達成度及び総合評価の評価段階の決定基準
 ・どうやって各評価段階についての評価者の価値観の共有化を図るのか。
C 面談及びフィードバック等
 ・フィードバックすべき「必要な範囲」は何か。
 ・評価者と被評価者が事実認識や評価結果について合意できない場合にはどうするのか。
 ・評価者は、被評価者に対し、どこまで評価の説明義務を負うのか。
 ・評価についての職員の苦情を処理する仕組みを具体的にどのように設計するのか。
D 任用、給与、人材育成への活用方法
 ・複数の能力評価の高い昇格候補者の中から昇格者を選抜する際の基準
 ・基本給(加算部分)、業績手当(業績反映部分)決定における業績評価以外の考慮要素
 ・評価を具体的に人材育成にどう活用していくのか。

以上