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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.78 2002年2月26日

連合官公部門連絡会


連合とともに本日ILO結社の自由委員会に共同提訴
日本政府にILOの諸原則に違反する「大綱」の撤回求める

 連合と連合官公部門連絡会は、本日8時から連合三役会議及び「対策本部」第15回書記長会議をそれぞれ開催し、「日本政府が進める公務員制度改革が結社の自由やILOの諸原則に違反している」として、ILO結社の自由委員会に提訴することを決定、本日付けで連名の共同提訴状を送った。
 これを受け、16時から記者会見を行い、「公務員の労働基本権に関するILO提訴についての事務局長談話」(別紙)を発表した。会見の席上、笹森連合会長は、「ILO提訴については、連合として初めてのことであり、強い決意で取り組む」との考えを示した。
 今回のILO提訴は、ICFTU(国際自由労連)、PSI(国際公務労連)、EI(教育インターナショナル)、UNI((ユニオン・ネットワーク・インターナショナル)、ITF(国際運輸労連)、IFBWW(国際林産建設労働組合連盟)など、国際労働組織が共同提訴人となり、多くの労働組合の支援の
もとで行われた。G8のナショナルセンターが国際労働組織と共同提訴するのは初めてのケースで、ILOもこの提訴を極めて重く受け止めている。
 提訴状では、提訴理由として、@現行の日本の公務員法制がILO87・98号条約に違反していること、A閣議決定された「公務員制度改革大綱」が決定手続きやILOが指摘し続けてきた「不適切な代償措置・機能」を一層悪化させていること、をあげている。
 なお、結社の自由委員会は3月・5月・11月の年3回開催されるが、本年12月にも国公法改正法案要綱の閣議決定が予定されることから、11月開催の結社の自由委員会で提訴が審議され、「日本の公務員制度を国際基準に沿って改めることを求める勧告」が出されるよう強く求めている。


対策本部第15回書記長会議を開催
ILO対策や署名運動など今後の取り組み方針を確認

 対策本部は8時から東京都内で第15回書記長会議を開催し、公務員制度改革に対する当面の方針を確認した。運動の基本的スタンスを「大綱の撤回」におき、そのため職場からの大衆行動、国会闘争・政治対策、国際・ILO闘争、などに全力をあげることとした。重点的な取り組みとして、@連合と共同でILOに提訴するとともに、共同提訴人である関係国際労働組織の代表を国内に招いてシンポジウムの開催や、政府・政党への申入れを実施する、A4月から一斉に国民的規模の一大署名運動に取り組むことを決めた。



<別紙>

2002年2月26日


公務員の労働基本権に関するILO提訴についての談話


日本労働組合総連合会
事務局長 草野 忠義


1.本日、連合は、連合官公部門連絡会との連名で、ILO「結社の自由委員会」に対し、「日本政府が、日本の公務員制度をILO 87号および98号条約を正しく適用した制度に改めることを求める」提訴を行い、また、その結論を本年11月予定の結社の自由委員会において示すよう求めた。
 今回の提訴では、ICFTU(国際自由労連)、PSI(国際公務労連)、EI(教育インターナショナル)、UNI(ユニオン・ネットワークインターナショナル)、ITF(国際運輸労連)など、国際的な労働組合組織が共同提訴人となり、多くの労働組合が確たる支援を約束している。

2.現行の日本の公務員法制がILO条約に違反し、国際労働基準に適合していないことは、ILO結社の自由委員会等の度重なる報告・勧告で明らかになっている。しかし、日本政府は、これらILOの再三にわたる批判と改善勧告を無視し、何らの改善措置もとらず、今なお労働基本権制約の法制度を維持している。
 その上、昨年12月25日に閣議決定した「公務員制度改革大綱」は、労働基本権について「現行の制約を維持」する一方、制約の代償制度としての人事院の役割を大幅に縮小し、使用者としての政府の人事管理権限のみを強化する内容となっている。しかも、この閣議決定は、当該労働組合との十分な交渉・協議を経ずに一方的に行われており、@決定に至る手続き、A決定内容の両面に亘り、結社の自由をはじめとするILOの諸原則に対する違反状況を更に悪化させるものである。

3.G8の一員である日本政府が、これ以上国際労働基準に違反することは、国際社会における日本の役割からして、許されるものではない。日本政府はこのILO提訴を真摯に受け止め、結社の自由委員会の審議に誠実に対応すべきである。
 また、われわれは、ILOが迅速・公平な審議を行い、日本政府に対して適切な勧告を行うことを強く希望する。

4.連合は、連合官公部門連絡会とともに、公務員の労働基本権の回復、労使協議に基づく公正・公平な新人事制度の確立、特権的な「キャリア制度、天下り」廃止等を政府に再三申し入れてきた。しかし、政府はこれらを全く無視し、「大綱」に基づいて国家公務員法、地方公務員法等の改正作業を進め、2003年々頭の国会に改正法案を提出する方針としている。
 連合及び連合官公部門連絡会は、このILO提訴を機に、「大綱」の撤回と国民本位の公務員制度改革を求める取り組みをさらに強めていく。

以上