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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.90 2002年5月27日

連合官公部門連絡会


「2次原案」の第1回交渉・協議で能力等級制度などを論議
職務か能力か−相変わらず不明確な新人事制度の基本

 対策本部は、5月24日午後3時30分から、「新人事制度の原案(2次)」をめぐる行政改革推進事務局との第1回目の交渉・協議を行った。これは、15日の企画委員クラス交渉で、推進事務局の西村事務局長が「2次原案について、実りある交渉・協議を行う」と約束したことを踏まえたもので、推進事務局は高原・井上参事官らが対応、対策本部から岩本・岩岬両事務局次長ら実務クラス交渉委員が参加した。
 冒頭、対策本部は「労働基本権制約に係る相応の措置」及び行政職以外の職種の取り扱いについて、余裕を持って論議できるようできるだけ早く提示するよう求めたが、推進事務局は「法制上の検討や関係省庁との論議も必要であることから、現段階ではいつまでに示すとは約束できないが、できるだけ早期に示したい」との見解を示すにとどまった。
 対策本部は引き続き、能力等級制度について、次の通り推進事務局の見解を質した。
(1)提案されている能力等級制度は、その基本について「職務か能力か」「仕事か人か」の整理がついていない。能力等級制度といっているが現行の組織段階・役職別職務分類を読み替えただけの職務中心主義ではないか。職務遂行能力基準も今の役職段階を前提にしているではないか。能力等級制度に基づく任用・給与制度は能力主義でも何でもないのではないか。仮に能力を基準とするということになると不透明性が出てくるので、国民との関係では透明性を確保できる職務主義であるべきだ。
(2)1次案では9等級制であったが、今度は8等級制。どうして8等級制でなければならないのか、その根拠を明確にすること。
(3)等級別の人員枠は誰が決めるのか。また、勤務条件と受け止めてよいか。人事院が意見の申出を行うとしているが、決定過程においてそれが意味(拘束力)を持たなければ憲法違反だ。内閣が決定主体となることにはわれわれは反対。
(4)昇格については、人事管理権者が「総合的に考慮して判断」するというのでは、結局客観的な基準がないことから、運用は年功になってしまうのではないか。また、昇格で給与が決まるのであれば勤務条件であり、交渉事項であることを明記すべきだ。
(5)「能力等級表を異にする異動」について、「必ずしも能力等級によって職員の基本的地位や処遇が維持されているとは判断できない」と書いてあるが、どういう意味か。また、なにを基準に対応関係を決めるのか。
 これらに対して推進事務局は次の通り見解を示した。
(1)職務主義との批判を踏まえ、能力を基本とした制度として設計している。その背骨は、等級別の職務遂行能力基準である。それに基づいて能力を評価し、能力を発揮するにふさわしい職務に配置するということである。その逆ではない。現行の役職を前提としているというが、「能力」はやはり「職務遂行能力」であるので、公務に存在する課長、補佐、係長という典型的職務段階をイメージしてどういう能力が求められるかを書き込んだもので、自立した能力基準である。職務と全然関係のない人事制度というのはない。しかし、あくまで能力に着目した制度であり、その能力を発揮してもらうための制度である。
(2)絶対に8等級制でなければならないということではないが、あまり数が多いと能力間の距離が短くなって、能力基準の区分が曖昧になるので、一番妥当なところとして設定したものである。
(3)人員枠は予算と一体のものとして、最終的には国会が決めるが、政府予算案を決めるという意味では内閣である。内閣(=政府)のなかで、どう分担するかはこれから検討したい。勤務条件性はあると考えているが、それだけではなく、公務遂行に必要な能力ある人員を確保するという面もある。勤務条件性はあるので、「相応の措置」にふさわしいよう人事院が意見の申出を行うことができるようにし、内閣は最大限尊重するることにしている。
(4)能力基準を明確に定め、マニュアル作成や評価者訓練を徹底することなどで、いい加減なもの(年功)にはならないと考えている。昇格は人事管理権者の判断だが、給与も上がるので勤務条件性はある。勤務条件性はいろいろなところにあるので、個別には書いていない。
(5)異なる俸給表間を異動する場合にどうするかということで、今検討しているところである。
 以上の見解を踏まえ、さらにやりとりを行ったが、行革推進事務局からはこれ以上の明確な見解は示されなかった。今回の新人事制度の基礎である能力等級制度について、職務分類との関係などその意義や基本的考え方が相変わらず不明確であることから、対策本部としては「能力等級制度の考え方には問題が多すぎ、われわれとしては賛成できない。さらに、『相応の措置』で代償機能が低下することになれば制度設計自体容認できないものとなる」と態度を表明し、今後もさらに問題点を追及していくこととし、第1回の交渉・協議を打ち切った。
 なお、今後、実務クラスにおける交渉・協議は、任用、給与、評価などの課題ごとに5〜6回程度行うことを相互に確認した。第2回目は「任用制度」「免職・降格の基準・手続き」について今週末に行う予定。

以上