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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.91 2002年6月3日

連合官公部門連絡会


任用制度も基本が不透明(2次原案第2回交渉・協議)
昇格優先で人事管理権者の裁量で配置する制度に変更

 対策本部は、5月31日午後3時30分から、「新人事制度の原案(2次)」をめぐる行政改革推進事務局と2回目の交渉・協議を行った。24日の能力等級制度に続くもので、今回は「新任用制度」をめぐって行われ、推進事務局は井上参事官らが対応、対策本部から実務クラス交渉委員が参加した。
 対策本部は、新任用制度について、次の通り推進事務局の見解を質した。

1.任用の基本的考え方
(1)「能力等級制度を基礎とした新たな任用制度」とは一体どういう制度か。 職務・職階制は廃止するということだが、「官職への欠員補充」という現行の任用制度の基本的考え方は維持されるのか、変わるのか。
(2)新たな制度の下での採用は「行政行為」か、「労働契約」か、それとも「任官補職」なのか。
(3)新たに「配置」と位置づけているが、その場合、昇任・降任の処分性はどうか。
(4)公務員制度の根幹をなす任用を変えるというのであれば、行政学者の意見を聞く必要があると思うが聞いたのか。
2.職務分類について
(1)提案されている職務分類は、職階制そのものの考え方ではないか。
(2)職務分類に関わる「あらかじめ定められた明確な基準」は誰がどう定めるのか。職務分類の勤務条件性からして各府省と組合の交渉を経て決めるべきではないか。また、府省間の統一性確保はどうするつもりか。
(3)重複分類は、能力等級制度の趣旨に反するなど極めて問題が多いのでやめるべきだ。
3.任用制度の中身について
(1)能力等級制度の基で昇格が重要な意味を持つ中で、昇格は人事管理権者が「総合的に考慮」するということで、評価が直接昇格に結びつかないのであれば、別途昇格基準を定める必要があるのではないか。
(2)「特例的な任用」とは一体何か。能力等級制度に反する仕組みではないか。T種採用者を優遇する狙いがあるのではないか。必要というのなら具体例を示すべきだ。
4.管理職等の厳正な登用審査
(1)「集中育成課程」と「管理職登用審査」はどう関係するのか。
(2)審査手続きしか提案されていないが、職場で納得されるような客観的な登用基準を定めるべきではないか。
(3)今進めているU・V種採用職員、女性の登用はどのように配慮されているのか。

 これに対し推進事務局側は、次の通り見解を示した。
1.任用の基本的考え方
(1)公務員制度上の任用は「採用」と従来の昇任、2次原案でいうところの「配置」がふくまれるが、その全体は国公法の改正作業の中で固まっていくことになる。ポスト、職があってそこに人を就ける制度とすることは変わらない。成績主義の原則、能力の実証を行うことは前提であり、変えない。
(2) 従来通り「行政行為」であり、「労働契約」とか戦前のような「任官補職」ではないと考えている。
(3)昇任・降任の基になる基準は能力等級で行うので昇任・降任は位置づける必要はないと考えている。「配置」として人事管理権者の裁量権の範疇である。これまでは昇任→昇格という関係であったが、今後は昇格→昇任(配置)という関係である。なお、その場合でも公務はあらかじめ職務が決まっているので、職に人を就ける行為は厳然としてある。しかし、これまでは能力の実証と職が上がっていくことが一体のものであったが、今後は能力等級の格付けと配置に分かれるので構造的に違っててくる。
(4)行政学者の意見は聞いていない。
2.職務分類について
(1)職務分類は能力等級に対応する基本職位を設定している中で、個々の職務を基本職位に特定する行為を通じてそれぞれの能力等級に格付けされた者をどういう職務に配置できるか示すものである。特定することで能力等級に格付けされた人の能力を活用し得る職務に就けることが可能になる。
(2)「あらかじめ定められた明確な基準」をどこが決めるかはまだ検討中である。勤務条件性の有無については、申し上げられない。
(3)重複分類については、今ある個々の官職の実態を見たときその統一性を保つ必要があることから設けるものである。
3.任用制度の中身について
(1)「あらかじめ定める基準」によって昇格候補者を絞っていくことになるので、それとは別に昇格基準を設ける必要はないのではないか。なお、誰がどう定めるかは検討中である。
(2)「特例的な任用」については、次回までに具体的に整理してお示ししたい。
4.管理職等の厳正な登用審査
(1)集中育成課程にあって、地方機関の管理職になっている者等の登用審査の取扱いなどについては、次回整理してお答えしたい。
(2)登用審査については、能力評価や業績評価の方で基準は十分定められているので、さらに基準を設けるということではなくて手続きの問題として検討しているところである。
(3)U・V種、女性の登用問題について特に意識して検討したわけではないが、能力本位の人事をやっていくということの中にその趣旨は入っている。全体が成績主義的な運用になっていくので、登用は促進されるものと思っている。

 これらの見解に対し、「提案されている任用制度はこれまでの制度の基本を大きく変えるものである。それなのにあたかも制度の基本は維持するかのように説明するのは無責任だ。きちんと整理して説明すべきだ」「非常勤職員や上級幹部職員には能力等級制度は適用しないが、任用という仕組みは維持されている。そこはどう考えているのか」「重複分類とか特例任用は能力等級制度の趣旨に反するものであるし、T種採用職員を優遇する狙いがあるのではないか。実態を踏まえてということであるが、新しい制度を作る目的は問題のある実態を変えていくことにあるはずで、実態を踏まえるというのでは議論が反対だ」などと、重ねて追及したが、今回も明確な見解は示されなかった。このため、次回は本日の交渉で先送りになった@任用制度の整理、A重複分類、特例的任用の具体例に提示、B集中育成と登用審査の関係等明確な見解を示させるとともに、新たに「免職・降格の基準・手続き」「新給与制度」について交渉・協議することとし、本日の交渉・協議を終えた。

札幌で2,500人参加し全道総決起集会
地域の署名目標15万筆達成へ総力、街頭宣伝活動を強化

 札幌で5月28日、「政治腐敗糾弾・民主的公務員制度確立・健保法廃案・有事法制成立反対!5.28全道総決起集会」が行われた。連合北海道と連合北海道官公部門連絡会及び連合石狩地方協議会の共催によるもので、札幌大通り公園の会場には、「変えよう信頼できる行政に」と染め抜いたのぼり旗が並び、官公部門の組合員を中心に2,500人が詰めかけた。
 集会の冒頭、主催者を代表して挨拶した笠井連合北海道会長は、健保法・有事関連3法案の成立阻止を訴えるとともに、政府が進める公務員制度改革について、「政官財ゆ着を断ち切る内容になっておらず、また、労働者の権利を侵害するものだ」と指摘、厳しく批判した。そのうえで、「連合北海道の総力を結集し、要求を実現しよう」と訴えた。
 道官公部門の星副議長は、「連合に結集する官民を問わない多くの仲間が政府『大綱』の撤回に向け、1千万署名に協力していただいている。道官公部門として悔いの残らないしっかりした闘いを組む」と決意をのべた。
 来賓として民主党北海道・佐々木秀典幹事長があいさつ、「民主的な公務員制度確立を求める決議」など2本の決議を採択した。集会後、参加者は市内をデモ行進し、「民主的な公務員制度の確立」を訴えるシュプレヒコールは、夕闇の街中に響き渡った。
 北海道では、すでに(5月9日の会議)、連合北海道と同官公部門全体で署名運動に取り組むことを確認し、運動を進めている。この日の総決起集会は、その先陣として開催されたもの。
 連合北海道公務員制度改革対策委員会は、道民世論を喚起させるキャンペーン行動として、@1千万署名活動の強化、A道内14地方協議会における地区集会・学習会の開催、B6月を中心に街宣車などを利用した街頭宣伝活動の実施、C連合北海道国会議員団会議(地方議員を含む)への要請、D民主党北海道への要請、などに取り組むことにしている。
 署名活動では、官公部門の全組合が当初目標の達成に全力をあげるとともに、地域・民間組合の目標を全道で15万筆に引き上げ、民間労働組合への要請を行いながら、目標達成をはかることにしている。

以上