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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.92 2002年6月6日

連合官公部門連絡会


能力等級制度と任用制度の関係を再協議(2次原案第3回交渉・協議)
等級格付と配置の関係が未整理であることを露呈

 対策本部は、6月5日午後3時30分から、「新人事制度の原案(2次)」をめぐる行政改革推進事務局と3回目の交渉・協議を行った。前回の任用制度に関わる交渉・協議で残されていた「任用制度の基本的考え方」について、能力等級制度との関係を含めて論議を行い、推進事務局は井上・高原参事官らが対応、対策本部から実務クラス交渉委員が参加した。
 能力等級制度と任用制度は人事制度の根幹であることから、それぞれの基本的位置づけと相互関係を追及したが、「なぜ能力等級制度を導入しなければならないのか」「新しい人事制度の下で、任用の基本はどうなるのか」という基本問題が一向に明らかにされず、これらの問題が人事制度の基本に関わるだけに、人事制度の検討と並行して進められている国公法の改正作業に疑問を抱かせることになった。
 冒頭、推進事務局側が、能力等級制度と任用の関係などについて、次の通り説明した。

(1) 能力基準は組織や業務の実態を踏まえ、典型的な職制、代表職務をイメージとして念頭において設定するもので、これは「能力の体系」ということになる。
(2) 能力等級に基づく能力本位の人材活用を、実際の職務遂行の場面において的確に行うための舞台装置として、求められる能力のレベルが同程度の職務の固まり(一群=職務遂行面での枠・箱)を「基本職位」として区分する。これは、「職務の体系」ということになる。
(3) 個々の職務は、当該職務に求められる能力のレベルを見て基本職位に分類する。
(4) 配置(任用)というのは、能力本位による人員の職への投入であり、@職務(ポスト)の欠員を起動力として、A欠員により新たな能力のニーズが発生することを踏まえ、B能力等級に基づき能力評価により適任者を配置することになる。その際、Ca各能力等級に格付けられた職員をこれに対応する基本職位の職務に配置することを原則とする。他方、Cb個々の能力・適性・経験等を有する職員をその時々の状況において特定のポストに配置する場合、機動的弾力的な対応も必要であることから、D能力等級と基本職位の関係を一定の範囲で弾力化する「特例的任用」を設ける。その例としては、管区機関7級課長を7級のままで本省補佐(基本職位V、5〜6級)に異動させる場合や集中育成課程にある職員について管理職としての経験を積ませるため本省5級補佐を5級のまま管区課長(基本職位W、6級)に異動させる場合などがある。

 説明に対し対策本部は、「能力で職務を分類するというが、今の職務・職階制の下における官職の序列に『能力』という言葉をつけただけで、能力に基づく分類とはいえない。能力等級制度が中心というのであれば、能力と職務の関係は断絶すべきだ」「特例任用は『例外』ということだが、これから新しい制度を設計するときはじめから『例外』を設けて、今とは大きく変えないことを前提にするという考えは根本的におかしい。まして、T種採用者を優遇するのは問題外。やるのであれば能力等級に応じた配置を徹底すべき」「等級格付けも配置も行政行為ということになるのではないか。であるとすれば、ともに不服審査の対象となるはずだ。降格を位置づけるので降任は位置づけないという考え方はおかしい」などと再度見解を質したが、推進事務局は明確な回答を示さないばかりか、「能力等級決定と配置(任用)の関係を整理するという問題はまだ残っている」と検討の実態が示され、基本的課題に関する検討が十分進んでいないことが明白となった。
 このため、対策本部は「基本中の基本が固まっていないのであれば、国公法改正の検討作業はできないのではないか」と作業の進め方に根本的な疑問があることを指摘するとともに、「なぜ能力等級制度を入れるのかという基本がいまだに不明であるし、任用制度の基本的考え方(官職への欠員補充)が変わるのかどうかについても、本日も明確な考え方が示されなかった。こうした作業のやり方は極めて遺憾であり、場合によれば交渉・協議はこれ以上先に進めない。再度明確な見解を求める」と再回答を求めた。
 引き続いて、今進められているUV種試験採用者と女性の登用促進と「管理職登用審査」の関係について質し、積極的に登用する方策を検討することを求めたが、推進事務局は「能力本位の登用を行うことを基本として進める」ということを繰り返すばかりで、課題の重要性に対する理解さえ示さなかった。
 その他、国会で民主党・高嶋参議院議員や楢崎衆議院議員等が、21世紀政治臨調提言に関わって大綱の天下り容認と小泉総理の在職期間の長期化発言の矛盾をつき、大綱の見直しを求めたことに対し、石原行革担当大臣が「早期退職慣行の見直しを事務局に指示した」と答弁したことから、その検討状況を質すとともに「在職期間の長期化」を盛り込むよう求めたが、推進事務局は「大臣からの指示はある。これから始めるところで、いつどのようなものを出すかは現段階でいえない」との見解を示すにとどまった。
 最後に、次回は、「能力等級と任用制度の関係の再整理」と「免職・降格の基準・手続き」について行うことを確認し、第3回の交渉・協議を終えた。

以上