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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.132 2003年2月25日

連合官公部門連絡会


対策本部が石原行革大臣と交渉、「労使協議の場」設置を求める
「協議の場は政府全体として検討」と回答

 対策本部は、2月25日10時から、内閣府大臣室で石原行革大臣に会い、昨年12月18日の申入れ事項に対する回答を得るための交渉を行った。交渉には、対策本部側から丸山本部長(国公連合委員長)、北岡(自治労委員長)・榊原(日教組委員長)・橋爪(全郵政委員長)各副本部長、菰田企画委員(全逓書記長)、山本事務局長らが参加、行革推進事務局側から堀江事務局長、春田公務員制度等改革推進室長、高原参事官が同席した。
 石原大臣との交渉は、昨日の官房長官との会見を受ける形で、「労使協議の場」の課題を中心に行われた。組合側の申入れ事項は、@ILO勧告を全面的に受け入れ、「公務員制度改革大綱」を見直して、労働基本権を確立する方向で改革案を取りまとめること、Aそのため、労使協議の場を設定すること、の2点。
 冒頭、丸山本部長から、改めて先に提出した申入れ事項を説明し、回答を求めた。これに対し、石原大臣は次のような見解を示した。
@ 公務員制度改革の検討にあたっては、節々で組合側と意見交換していきたいと考えている。能力等級制度についても固まりつつあるので、皆さん方と議論していきたい。
A 申入れの趣旨をしっかりと認識し、率直な意見交換が重要と思っている。現在、大綱に基づいて国公法改正の検討を進めているが、前広に情報を提供し、話し合い、交渉していきたい。
B 「労使協議の場の設定」については、昨日の官房長官の発言にあるように、政府全体の問題として、検討したい。
 こうした見解表明を受け、大臣との間で次のようなやりとりが行われた。
(組合)問題はILOの勧告を踏まえてどう対応するかだ。
(大臣)ILO勧告については、「中間報告」と認識している。これまでの見解と180度変わってきており、ILOは日本の風習、慣行を考慮せずに、公務員制度のあるべき姿を思いのままつづったという感じを持っている。消防職員の団結権問題もしかり。素直に、ILO勧告どおりする、とはいえない。これが日本政府の立場だ。労働基本権の問題は、1、2カ月で結論がでるものではない。政党政治のもとで、与党のなかでも考えが違い、基本権の在り方は、将来の課題だ。今回は、「大綱」にある基本権制約のもとで制度設計を行い、次のステップとして、議論したいと考えている。ILOの趣旨は、非常によく分かるが、いま、ゼロからこの問題をやろうということは考えていない。1、2カ月で話がまとまると考えるのは、非現実的だ。
 公務で働く方々の代表である皆さんとは、いつでもお会いできるよう部屋のドアは開けてある。事務局とは、忌憚ない意見の交換をしていただきたい。
(組合)国の行政の在り方を決める公務員制度という分野では、連合に対応してもらい、国公法・地公法の改正で労働条件に直接影響を受けるわれわれに対しては、石原大臣及び推進事務局と交渉・協議して合意のもとに制度改革を進めるようにしてもらいたい。
 ILO勧告に対する総務省見解や関係閣僚の国会答弁は、われわれの認識とかなりのずれがある。大綱に基づいて法改正の作業を進める、というが、大綱については、採用試験制度、能力給、天下り等々、既に変わってきているではないか。ILOの勧告を踏まえ、大綱を見直すべきである。あわせて労使協議の場を設定すべきだ。
(大臣)制度とその運用の在り方については、事務局とよく論議してほしい。
(組合)事務局との協議を積み上げ、それをトップレベルの交渉に持ち上げ、そこでの合意をもとに制度改革を行う。すなわち、交渉・協議のうえに改正法案を作るということにして、一方的に強行することはしないでもらいたい。公務員制度という行政の基本をなす法案を対決法案として強行突破すべきでない。
(大臣)今回の制度改革では、人事院の代償措置制度も残されており、能力等級制度を導入しても基本権の制約を変える仕組みでなくてもいいと考えている。
 ILO勧告については、最終報告がでれば、政府の受け止め方は、当然かわるものと思う。事務レベルでは、基本権問題の扱いについての議論をしても難しいので、ステップアップした別のところで、相談させてもらいたい。この問題は、自民党にも、きちんとした議論をお願いしている。
(組合)基本的にわれわれと認識が異なっている。第1は、「大綱」は、内閣と各府省大臣の人事管理権限を強め、基本権制約の代償機関である人事院の機能を大きく縮小している。このまま、基本権を制約したまま使用者の権限が強まれば、公務員労働者は丸裸にされ、労働組合は解散に追い込まれてしまう。第2は、ILO勧告について、政府見解は納得できない。十分、日本の実情を調査したうえでの勧告である。第3は、ILO勧告は、労使協議のもとでの制度設計を求めている。合意なしに強行突破は許されない。
(大臣)丸裸というが、人事院の代償措置は残しており、勧告権もある。その意味で制度は、現行の制約のもとでクリアされている。基本権がなぜ、中期の課題かといえば、いま、公務員にスト権を与えても、国民は拍手しないだろう。もちろん、今回のILOの勧告については、公務員制度改革において、大きな出来事と認識している。
(組合)労働組合との協議の場を設定し、できるだけ詰めていく、そのなかで不一致点があれば、政治の場に持ち上げて詰める、という形をとる必要がある。
(大臣)協議の場の設定は、政府全体の話しとして、検討したい。互いに一致点を目指すようにしたい。本日を第一歩として、きちんと誠意を持って交渉・協議していく。

 以上のように本日の交渉における労働基本権に関する大臣見解は、根幹部分でわれわれと大きくくい違っており、到底認められるものではない。したがって、対策本部としては、このくい違いを十分突き詰めることを抜きにした交渉・協議の意味はないことから、既成事実化に手をかさないよう、大臣見解の撤回を求めることとした。

以上