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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.134 2003年3月5日

連合官公部門連絡会


公務員制度改革巡り参議院予算委で高嶋良充議員(民主党)が政府を追及
石原大臣が「労働基本権は中期的課題」と問題発言

 3月5日、来年度政府予算案を審議する参議院予算委員会が開かれ、民主党の高嶋良充委員が質問に立ち、ILO勧告への対応をはじめ政府が進める公務員制度改革に関して政府の姿勢を厳しく追及した。公務員制度改革問題については、衆議院に引き続き、参議院でも論戦が始まった。
 まず、高嶋委員は、天下り問題について、行政と業界の癒着を断ち切る必要から、天下りを厳しく規制すべきと主張し、今回の公務員制度改革でどうのような措置をとるのか、政府の見解を質した。これに対し石原行革担当大臣は、「内閣が責任をもって承認基準を作り、押し付け的な再就職は認めない」と答弁、その基準は政令で定める考えを示して、高嶋委員の「基準は国会の場で審議し法律で定めるべき」との主張に同意しなかった。
 ついで、高嶋委員は、ILO勧告に対する関係大臣の見解を質した。
 各大臣からは、「3月にILO理事会が開催されるので、現在、取りまとめ中である。従来の見解と異なる点についてILOに質したい」(坂口厚生労働大臣)、「政府の追加情報も含め、3月中には送りたい」(片山総務大臣)、「公務員制度改革の現在の作業状況を報告する」(石原行革担当大臣)との見解が述べられ、ILOに対し、3月中に政府見解を示す意向を明らかにした。
 また、小泉総理は、「ILOについては、尊重しており、国際機関としてその重要性を認識している。勧告については、担当省庁で協議し見解を取りまとめ中なので、それをみて判断したい。日本政府の立場の理解が得られるよう良く説明したい」と述べるなど、従来の見解表明にとどまった。
 高嶋委員は、2月24日に連合と官房長官が会見した際、「公務員制度改革は対決法案ではない。強行はしない」と官房長官が述べた点を捉え、「この発言の趣旨は、十分協議して組合との合意を得て法案をまとめる、との見解と受け止めてよいか」と確認を求め、組合側が求めている「労使協議の場」の設定について、政府が明確な見解を示すよう強く迫った。
 福田官房長官は「連合から申入れがあり、今後の議論の進め方はよく考えてみるが、職員団体とは話し合うことが必要と考えている。担当の石原大臣とよく話し合ってほしい。対決法案となって、あと機能しないとこまるという趣旨を述べた」と釈明した。
 石原大臣は、「労使協議については、公務員制度改革の担当である私のところで、真摯に対応したいと考えており、連合には、いつでも窓口は開いている、と伝えてある。能力等級制度について、事務方と話し合ってほしい」と述べ、いまだ、誠意ある協議を行う意思が固まっていないことを明らかにした。
 一方、この一連の質疑のなかで、石原大臣は、ILO勧告に対する認識として、「今回の勧告は、これまでのILOの考えと180度異なりびっくりした、というのが率直な印象だ。いま、公務員にスト権を付与して、国民の理解は得られるのか、東京都でのストに都民は拍手しなかった。外国の国際機関が拘束力のない勧告を行ったが、乱暴な意見だ。基本権は中期的に議論する課題だ。消防職員・監獄職員の団結権の付与を求めているが、消防職員には、いま消防委員会として機能し始めている。監獄職員は警察に準拠している」と述べ、労働基本権議論は中期的課題として先送りし、制約政策を維持したまま法案作業をすすめるとの見解を示した。これは、ILO勧告が公務員制度改革大綱の見直しを求めていることに対して、実質的に日本政府として受け入れられないとする態度を表明したこととも受け止められ、極めて問題のある発言を行ったことになる。
 一方で、「誠実に協議する」としながら、このようにILO勧告拒否の発言を行うところに、政府の暴論ともいえる真意と誠意のなさを如実に表しており、対策本部としては、この問題発言を引き続き参議院予算委員会や関係委員会の質疑を通じて追及していくことにしている。

以上