みんなの力で労働基本権確立と民主的公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.149 2003年5月28日

連合官公部門連絡会


連合・連合官公部門が5.27中央行動
公務員法改正案の閣議決定阻止へ中央集会・議員要請実施

 連合と連合官公部門は5月27日、「閣議決定強行阻止」を目標に中央行動を実施した。この間、政府側は、「一方的に閣議決定しない」と約束してきた。しかし、現在、行革推進事務局は、今国会への法案提出を目論んでおり、われわれは、あくまでILO勧告を踏まえ、交渉・協議、合意に基づいて制度改革を進めるよう政府に求めている。中央行動では、午後4時過ぎから200人の組合員が参加して国会議員要請に取り組むとともに(要請書は別紙2)、午後6時から社会文化会館で中央集会を開催した。なお、午後5時15分から首相官邸で、レイバーサミットでの「労働組合声明」に基づく要請を主要課題に、小泉首相と笹森連合会長との「政労会見」が行われた。そのなかで、公務員の労働基本権の扱いについて、笹森連合会長は、「政府の最終決断の段階で、首相とのトップ会談の場を設けるよう」要請し、小泉首相は応じる意向を示した。

 中央集会は、民間組合からの参加も得て800人が参加した。宮入連合官公部門対策本部副事務局長の司会で始まり、北岡連合官公部門対策本部副本部長(自治労委員長)が集会議長に就任して進められた。
(笹森連合会長の主催者挨拶)
 主催者を代表して挨拶に立った笹森連合会長(連合対策本部長)は、1965年のILOドライヤー勧告以来の公務員制度をめぐる攻防に触れながら、政府が進める公務員制度改革について、@能力等級制度は明らかに勤務条件であり、労働基本権を制約したまま使用者権限が一人歩きすることは労働組合の存在意義からして許されない、A公務労働、行政サービスの効率化が求められている中で、天下り承認権限の大臣への移管は、キャリア優遇のお手盛り改革であり、世論に逆行する、と厳しく批判した。また、自民党の公務員制度改革委員会(野中委員会)が、「労働基本権問題で組合との話し合いがまとまらない」として政府に問題を投げ返したことで、「行革推進事務局を中心に法案の閣議決定との動きが加速されている」と指摘。「6月2日からのILO総会を前に暴挙は許されず、自ら労働側代表として出向き意見を述べる」と決意を示した。さらに、中央集会の直前に持たれた小泉首相との政労会見に触れ、労働基本権の扱いについて首相との会談を強く申し入れたことに対し、小泉首相からは、「この問題については、福田官房長官・坂口厚生労働大臣・石原行革担当大臣と相談し話し合いをしてもらい、最終的な場として政労会談に応じる」との意向が示されたことを紹介した。最後に、「21世紀の社会において、働く者と国民の双方から信頼できるという制度構築が問われている。労働基本権の確立なくしてその解決はない。闘いの正念場はこれからだ。共にがんばろう」と訴えた。

(3野党の連帯挨拶)
 次いで、民主党・自由党・社民党から連帯の挨拶を受けた。
◆川端達夫・民主党公務員制度改革対策本部長
 1千万署名など、かつてない運動の成果により、5月連休明けにも閣議決定という事態を阻んできた。国会の会期末を控え重大な時期にある。ILO勧告を無視し、労使協議での確認や国会答弁を反故にしてまで、閣議決定を強行しようとするのは何故か。大臣や官僚たちは自らの立場を守るためだけの事なかれ主義で、「大綱」見直しの勇気をもっていない。政治・行政の責任を果たしていない象徴的な事態である。国のありかた、行政のありかたを変える道筋が、公務員制度改革にかかっている。閣議決定を強行するなら重大な決意をもって臨み、3野党は結束してがんばりたい。
◆中西績介・社民党公務員問題対策特別委員会委員長
 公務員の労働基本権確立で野党3党が集会を開くなど、このように結束しているのは、かつてないことだ。この機を逃さず、労働基本権の確立に向け取り組む必要を感じる。いま、憲法を骨抜きにしようとする事態が進んでおり、公務員の労働基本権確立の取組みは、民主主義を守ろうとする国民に勇気を与えている。小泉政権は今回のILO勧告だけでなく、国際機関から勧告を受けた様々な人権問題について、未解決のまま放置している。長期的な課題を解決していくことは全労働者に勇気を与える。ともに闘い抜きたい。
◆山岡賢次・自由党政治・行革推進本部長
 いま、未曾有の不景気にある。キャリア官僚と自民党中心の政官業癒着が、この惨状をまねいた。こうした癒着構造に手をつけない政府の公務員制度改革は、絶対許せない。キャリア官僚の天下りもしかりだ。この間、政府は一方的な閣議決定をしない、十分話し合うと言ってきた。しかし、それは建前の話だ。また、法案を国会に出させてくれれば、あとは吊るし〈放置〉でもよい、という声も聞こえてくる。しかし、閣議決定が強行されれば、重大な事態になる。何としても閣議決定を阻止することが大切だ。ドサクサ紛れにやられたら、これまで何をしてきたか問われる。皆さんと結束してがんばる。

(基調報告)
 山本連合官公部門対策本部事務局長が基調報告を行い、この間の経過について、「行革推進事務局が3月28日に関係法律案の非公式協議を各府省と開始したことで、閣議決定に向けてのカウントダウンが始まった。このため、政府に『交渉・協議、合意に基づく制度改革』を求め、政府・与党対策に取り組んできた」と報告した。そのうえで、自民党が「労働組合との交渉決裂」を一方的に宣言して、大綱に基づく改革を強行する決断をしたことで、「法案提出の扱いは、政府・官邸に移った」との判断を示した。
 行革推進事務局が法案の今国会提出の動きを強めていることから、当面の取組み方針として、山本事務局長は、@6月2日から開催されるILO総会対策、A3野党共闘態勢の強化による国会、政治対策、Bマスコミ、世論対策の展開、C閣議決定阻止に向けての職場からの総決起行動、という4つの取組みをあげた。

 構成組織を代表して、国公総連・金谷書記次長と全水道・久保田中央執行委員が決意表明を行った。
 集会は、最後に、「労働基本権の確立と、国民本位の公務員制度を実現するため、闘い抜く」とのアピール(別紙1)を全造幣・湯本書記次長が提案し、満場の拍手で採択。丸山連合官公部門対策本部長(国公総連委員長)の音頭で団結ガンバローを三唱して、締め括った。

 対策本部では、閣議決定の強行を阻止するため、6月9日に再度中央行動を配置し、連合との共催で3千人規模の中央集会(芝公園)と国会請願デモを行うことを決めた。

霞ヶ関の中央省庁官庁街で早朝ビラまき行動実施

 対策本部は、5月23日と28日、中央省庁のある霞ヶ関一帯で、出勤時間に合わせ、2日間で1万枚のビラを配った。この行動には、各構成組織から延べ80人の組合員が参加、「公務員制度改革法案の閣議決定を阻止しよう」と訴えた。
 1回目のビラは、「ILO勧告無視・労働基本権制約の国公法改正案の閣議決定を許すな」との見出しで、「労働組合との交渉・協議、合意に基づく制度改革を」と訴え、現在、行革推進事務局が検討している公務員制度改革関連法案について、その問題点を解説している。2回目は、「閣議決定を阻止しよう」と呼び掛け、ILO勧告と外国の公務員の労働基本権を紹介している(ビラについては、連合官公部門のホームページに掲載)。


(別紙1)
アピール


 政府・与党は、公務員制度改革関連法案の今国会提出に向け、準備を進めており、透明で民主的な公務員制度改革を求める闘いは、最大のヤマ場を迎えている。
 この間、私たちは、政府に、@ILO勧告を受け入れ、労働基本権を確立した制度改革と、Aこの問題についての「協議の場」の設置を強く求めてきた。これに対し政府は、「制度改革は話し合いで決める。一方的に閣議決定しない」、「交渉・協議なしの見切り発車はしない」と約束してきた。坂口厚生労働大臣も、ILO事務局長に日本政府の方針として、「労働側と話合い、その結果を報告し、ILOの意見を踏まえて判断したい」と発言している。
 しかし、現在、政府は、行革推進事務局の意向を受け、今国会への法案提出を目指し、閣議決定の動きをみせている。ILO勧告を無視して、「労働基本権を制約したまま一方的に内閣と各府省大臣の人事管理権限を強める」という、政府法案の閣議決定・国会提出を、絶対に認めることはできない。
 私たちは、政府が閣議決定を強行せずに、あくまで労働組合との交渉・協議、合意に基づいて改革を進めるよう求める。このため、3野党との連携を一層強め、労働基本権を認めた公務員制度改革に取り組む。また、6月2日から開催されるILO総会で、勧告無視の日本政府の姿勢を厳しく追及する。さらに、キャンペーン行動に取り組み国民世論に訴える。
 私たちは、すべての労働者の連帯と国際労働運動の支援のもと、職場・地域から総決起し、公務員の労働基本権の確立と、国民本位の透明で民主的な公務員制度改革を実現するため、闘い抜くことを表明する。

2003年5月27日
連合・連合官公部門連絡会
閣議決定強行阻止!透明で民主的な公務員制度改革を求める5.27中央集会


(別紙2)
2003年5月27日


連合官公部門連絡会
代表委員 北岡 勝征
代表委員 榊原 長一
代表委員 石川 正幸
代表委員 橋爪利昭紀
代表委員 丸山 建藏


ILO勧告を受入れ、透明で民主的な公務員制度改革の実現を求める要請書



 日頃より、私たちの運動にご理解ご協力を頂き、心から感謝申し上げます。
 政府は、一昨年12月閣議決定した「公務員制度改革大綱」に基づき、「国公法・地公法」等公務員制度改革関連法案の閣議決定・国会提出に向けて準備を進めています。その内容は国民から批判の強い天下りを緩和するとともに、内閣及び各府省の使用者権限を強化する一方で、働くものの権利を大幅に制限するものとなっています。
 ILOは昨年11月、日本政府に対し「公務員制度改革大綱」を見直し、公務員制度をILO条約に適合したものとすべく、法改正に向け労働組合を含む関係者との実効ある協議を直ちに実施するよう勧告を行いました。
 私たちは、政府がILO勧告を誠実に受け入れ、国際労働基準を満たした透明で民主的な公務員制度の実現を要求しています。これに対して政府は、私たちに「一方的に閣議決定はしない。組合とよく話し合う」「交渉・協議なしの見切り発車はしない」と約束し、坂口厚生労働大臣は日本政府の方針としてILO事務局長に「労働側と話し合い、結果をILOに報告し、その意見を踏まえて決めることが重要」と発言しています。にもかかわらず、このような手続きを踏まずに推進事務局は一方的に閣議決定を強行しようとしています。
 ILO勧告を無視し、労働組合との交渉・協議、合意を抜きにした閣議決定を、私たちは認めることはできません。
 下記事項の実現に向け、特段のご尽力を頂きますようお願い申し上げます。



1.ILO勧告を踏まえ、交渉・協議、合意抜きに「国公法・地公法」等公務員制度改革関連法案の一方的な閣議決定を行わないこと。

2.政府は、ILO勧告を全面的に受け入れ、「公務員制度改革大綱」を見直し、公務員労働者に労働基本権を確立した改革案をとりまとめること。そのための協議の場を直ちに設置すること。

以上