みんなの力で労働基本権確立と民主的公務員制度改革を実現しよう

労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.167 2004年6月24日

公務公共サービス
労働組合協議会


連合「公務員制度研究会」が「中間報告」を答申

内閣主導体制の構築と労働基本権確立等提言

記者会見の様子  連合「公務員制度改革に関する研究会」(座長・西尾勝国際基督教大学大学院教授)は6月23日、公務員制度改革に関する提言を「中間報告」として取りまとめ、連合会長に答申した。
 報告は、「信頼できる行政」の確立に向けた抜本的な改革と当面実現すべき課題を提言。官僚主導体制に代わる内閣主導体制の構築と、労働基本権の保障など国際労働基準に沿った近代的な公務労使制度の確立を打ちだしている。
 本報告の公表に相前後して、年金保険料・支給額の試算結果や出生率低下のデータが隠匿されていた事実が発覚するなど、行政と公務員に対する国民の不信・憤りが頂点に達している。こうした状況について、報告は、まず、現行公務員制度の問題点として、「政・官・業の利権構造に組み込まれた行政とそれを支える公務員制度は機能不全を露呈している」と指摘、「国民に信頼される公務員制度への改革が焦眉の急」との考えを示している。
 そのうえで、抜本的な改革の柱として、@幹部公務員の任用の内閣一括管理、AT・U種試験区分の統合などキャリアシステムの廃止、「天下り」の規制強化、B納得性ある新たな評価制度の導入と能力・業績重視の人事・給与制度の確立、C一般職公務員の労働基本権全面保障と労使協議制の導入、D人事管理庁(仮称)の設置と人事院の改組、E男女平等参画の観点からの問題点の点検、などを掲げている。
 また、当面の改革として、「労働基本権付与の道筋の明示」「新たな評価制度について職員団体の参加・関与の保障」「天下りの幅広い規制」を強く求めている。
 同研究会は、昨年11月に、行政学・行政法・労働法学者及び弁護士の9名の専門家により発足、連合から諮問された「公務員制度のあるべき案」について、これまで13回に及ぶ論議を重ねてきた。23日開催の第14回研究会で「中間報告」として答申することを正式に確認した。なお、研究会は、一時休会とするが存続させ、制度改革の進捗をみながら必要に応じ再開することにした。
 「中間報告」を取りまとめの際の討議素材として提示された「労働法関係グループ報告」については、今後、具体的な公務労使関係制度を検討するうえで、参考とすべき一つの貴重な到達点であることから、資料として公表することが確認された。

 午後6時30分から報道各社との記者会見が行われた。これに先立ち、西尾座長が笹森連合会長に「中間報告」を答申、手渡した。記者会見では、西尾座長が答申内容を説明した。連合・公務労協は、「中間報告」に対する見解(別紙参照)を示すとともに、笹森会長は、「中間報告」を取りまとめた委員の労苦に謝辞を示すとともに、次のような考えを述べた
@団体交渉権の獲得とあわせ、それに対応できる労働組合の存在が必要だ。このため、全府省に連合の旗を掲げた労働組合組織を作ることを必ず達成しなければならない。
A政府・与党が公務員制度改革を「能力等級制」の導入と「天下り」への対応に限定して事態を収束させるなら、許されない。
B連合は「中間報告」を真摯に受け止め、政労協議の場を通じ、公務員制度の抜本的改革を成し遂げるため全力をあげる。公務員の労働基本権については、ILO勧告がだされており、その帰趨はアジア諸国にも影響を及ぼす課題であることから、総力をあげて取り組んでいく。

 公務労協「対策本部」は、6月30日に対策本部会議を開き、@公務員制度改革に関する民主党・社民党との政策協議やマスコミ対策、A組織内の教宣・学習活動など、「中間報告」を踏まえた今後の取組みについて、具体化することにしている。

 中間報告(一太郎版) pdf版
 労働法関係グループ報告(一太郎版) pdf版


(別紙)

公務員制度改革に関する研究会「中間報告」について

2004年6月23日
日本労働組合総連合会
公務公共サービス労働組合協議会


1.本日、「公務員制度改革に関する研究会」(座長・西尾勝国際基督教大学大学院教授)は、「信頼できる行政」の確立に向けた公務員制度の抜本的な改革と当面実現すべき課題をまとめた「中間報告」を答申した。
 本報告は、連合が昨年11月に諮問した「公務員制度のあるべき改革案」について、行政学・行政法・労働法学者及び弁護士の9名の専門家により、13回に及ぶ研究会を重ね、「中間報告」として取りまとられたものである。
 連合は、本報告を取りまとめて頂いた研究会委員の各氏に深く感謝する。

2.本報告は、行政と公務員に対する不信の一掃が急務であるとして、「公正・中立な行政と公務員制度」、「国民のための新しい公務員像の確立」を求め、幹部公務員の任用の内閣一括管理など官僚主導体制に代わる内閣主導体制の構築と労働基本権の保障などを求めている。
 公益より省益と保身優先の行政、官僚の「天下り」再就職問題、政・官・業の癒着は、国民の強い批判の的となっている。報告は、こうした点を厳しく批判し、時代の変化に対応した有効で効率的な国民のための行政と民主的で透明な公務員制度への抜本的改革の断行を求めている。

3.本報告の公表に相前後して、国民生活に死活的な影響を与える年金制度改革に関連して、保険料・支給額の試算結果や出生率低下のデータが隠蔽されていた事実が発覚した。行政と公務員に対する国民の不信と憤りは頂点に達している。行政と政治の関係、行政の公正・中立性の確保、公務員の職務権限と責任の所在を明確にすること等、本報告が求める公務員制度改革が待ったなしであることを重ねて示している。また、こうした事態を内部からチェックし得ていない労働組合の社会的責任も厳しく問われている。

4.政府・与党が、「50年ぶりの抜本的な改革」を謳いながら、公務員制度改革を「能力等級制」導入と「天下り」への対応に限定し、事態を収束させようとするならば、国民の期待を裏切るものであり許されない。
 連合は、これまで「21世紀の公務員制度・労働基本権確立の基本要求」を掲げて取り組んできたが、本報告によって、そこに確かな芯を通すことができた。
 連合・公務労協は本報告を真摯に受け止め、公務員制度改革に関する政労協議の場を通じ、抜本的な改革を成し遂げるために引き続き全力をあげるものである。

以上