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労働基本権確立・公務員制度改革

対策本部ニュース

No.202 2008年4月4日

公務公共サービス
労働組合協議会


"国家公務員制度改革基本法案"の閣議決定を受け対策本部を開催−4/4
法案審議段階での取組みに全力を傾注することを決定し、「見解」を公表

 公務労協は、4日の定例閣議で「国家公務員制度改革基本法案」が閣議決定され、国会に提出されたことから、同日午後、第34回公務員制度改革対策本部会議を開催し、今後の対応についての基本的立場を確認し、取組み方針を決定した。
 具体的には、基本法案が、非現業職員に対する協約締結権の付与の方向性を明記しなかったことについて「断じて容認できるものではない」との認識に立って、労働基本権の確立をめざし、法案審議段階における対応を強化することとし、協約締結権付与の方向性、当事者が参加する検討機関、法改正と実施時期の明記を追求していくというものである。また、これからの取組みは国会段階に移っていくことから、連合に結集し、民主党などと連携するほか、情勢に応じ、中央行動や要請打電などの大衆行動の配置も準備していくことにしている。
 さらに、対策本部では、別紙1の「見解」を公表し、基本法案の内容について厳しく批判しつつ、今後、国会段階で「民主的公務員制度改革実現に向けて引き続き奮闘する」という決意を明らかにした。

 また、連合も、高木会長が参加した「「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会報告」が提言する改革の水準を満たしておらず、極めて不満である」という、別紙2の事務局長「談話」を公表した。


別紙1−対策本部の見解

国家公務員制度改革基本法案の閣議決定についての見解


1.政府は、4月4日の閣議で、「国家公務員制度改革基本法案」を閣議決定し、国会に提出することを決めた。この法案は、2月5日に報告された「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会報告」に基づいて、国家公務員制度改革を総合的に推進することを目的としたものである。

2.法案では、労働基本権のあり方について、「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討する」として、検討だけをすればいいという内容にとどまっている。これは、「一定の非現業職員について、協約締結権を付与する」として、使用者機関のあり方を検討することを要請した専門調査会報告及びそれを尊重するとした総合懇報告を全面的に無視するものであり、断じて容認できるものではない。
 また、公務労協が強く求めてきたキャリア制度の廃止については、T種試験は廃止するものの、新たに「総合職試験」を設け「幹部候補育成課程」と結びつけることにより、形を変えた「キャリア制度」の維持をめざしていることや、幹部職員の人事管理について、内閣の主導性確保を弱めたことなど、国民が求める公務員制度改革を骨抜きにしようとしている。

3.いま、日本社会は、地域、雇用・賃金、教育など様々な格差が拡大し、経済の低迷も重なり、社会的な危機に直面している。こうした危機の時代にあっては、国民の意思に基づき、内閣が責任を持って的確な政策を決定し、着実に実施することが求められる。行政の基盤となる公務員制度の抜本的な改革は、まさに喫緊の課題と言える。行政や公共サービスが、新たなリスクに直面している国民に安心と安定を保障するものへと改善する必要がある。しかし決定された法案は、府省割拠主義に基づく旧態依然とした公務員制度を温存し、時代の要請に背を向けるものでしかない。

4.公務労協は、この間、連合の「STOP! THE 格差社会」キャンペーンに結集し、良質な公共サービスキャンペーンを展開し、人々のニーズに合い、だれもが利用できる公共サービスの実現に取り組んできた。公共サービスを支える基盤である公務員制度の抜本的な改革を求める取組みを一体のものとして推進してきたものである。とりわけ、良質な公共サービスを確実に提供し、国民の期待に応えていくためには、労使双方が責任を持って行政や公共サービスを実施していくことが重要であることから、公務員に労働基本権を確立し、公務の労使関係制度を透明で民主的なものに抜本的に改革することをめざしてきた。
 連合と連携し、専門調査会や総合懇において、労働基本権の付与や公務員制度の抜本的改革を盛り込んだ報告の実現に取組んできたが、法案の内容はわれわれの要求に応えないばかりか、これらの報告さえ蔑ろにするものであり、公務員制度改革の流れに逆行するものに他ならない

5.法案が閣議決定されたことにより、今後の取組みの舞台は国会に移る。公務労協は、ILO勧告を満たした労働基本権の確立をめざし、少なくとも非現業職員への協約締結権について、@付与するという改革の方向性を明確にさせることA政府部内における検討ではなく労働組合が参加する検討の場を設けさせることB法改正や実施のスケジュールを明確にさせることを基本に、連合に結集し、民主党などと連携した取組みを一層強化していく。そして、民主的公務員制度改革実現に向けて引き続き奮闘するものである。

 2008年4月4日

公務公共サービス労働組合協議会
労働基本権確立・公務員制度改革対策本部



別紙2−連合事務局長談話

2008年4月4日


国家公務員制度改革基本法案の閣議決定についての談話


日本労働組合総連合会
事務局長 古賀 伸明


1.本日、政府は、国家公務員制度改革基本法案(以下、基本法案)を閣議決定した。この法案は、「公務員制度改革について」(2007年4月24日)および「経済財政改革の基本方針2007について」(2007年6月19日)の2つの閣議決定を踏まえて策定されたものである。しかし、法案は2月5日に福田首相に答申された「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会報告」(以下、総合懇報告)が提言する改革の水準を満たしておらず、極めて不満である。

2.具体的には基本法案では、「国家公務員の労働基本権の在り方については、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示してその理解を得ることが必要不可欠であることを勘案して検討する」としている。昨年の閣議決定においては、労働基本権について「改革の方向で見直す」ことが明記されていたが、政府は検討しさえすればよいことになっている。加えて、連合がかねてより提言していた責任ある使用者機関の確立には一切言及していない。これらは、「一定の非現業職員について、協約締結権を新たに付与する」とした行政改革推進本部専門調査会報告(以下、専門調査会報告)とその内容を「尊重する」と明記した総合懇報告に沿ったものではなく、加えて労働基本権の問題については連合としてILOに提訴しているところであり、容認できない。

3.また、総合懇報告では、キャリアシステムの廃止や幹部職員の内閣一元管理などを明確に打ち出したが、基本法案では、@T種試験を廃止するものの総合職試験と幹部候補育成過程の運用次第ではキャリアシステムが温存されること、A幹部職員を内閣人事庁と各府省の両方に所属させること、など改革の理念が曖昧にされており、問題である。

4.法案が閣議決定されたことにより、今後の取り組みの舞台は国会に移る。連合は、民主党などと連携し、基本法が少なくとも専門調査会報告と総合懇報告を満たすものとなるよう全力をつくすとともに、ILO勧告を満たした労働基本権の確立と民主的公務員制度の実現にむけ、取り組みを強める。

以 上