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シンポジウム

2012年11月13日開催
シンポジウム「ともにつくる『公共サービス』」

 2012年11月13日、東京・新宿区の早稲田大学大隈記念講堂小講堂で、シンポジウム「ともにつくる『公共サービス』~不安社会からの脱却に向けて~」(主催:早稲田大学メディア文化研究所公共ネットワーク研究会、協賛:公務労協)が開催され、大学生を中心に、高校生や研究者、公務労働者など全国から約230人が参加しました。
 この日のシンポジウムは、これまでの研究会における研究成果の1つとして、またさらに今後の研究に活かしていくべく開催されたもので、基調講演やパネルディスカッションを通じて、社会不安が極度に強まっている今日、真に社会のセーフティーネットとなりうる公共サービスの再構築を急がなければならない現実を捉え、公共サービスをどのように理解し、さらなる充実のためにどうすることが必要なのか、など議論を深めました。

ショートリポート

第1部 基調講演
第1部では、早稲田大学メディア文化研究所長である片木淳早稲田大学公共経営大学院教授が、「ドイツの『市民自治体』構想と公共サービス」と題して基調講演を行い、ドイツと比較して、日本における今後の公共サービスのあり方を議論する上で参考にすべきではないかと提起しました。
第2部 パネルディスカッション
第2部では、基調講演やファシリテーター役の評論家の荻上チキさんが、本シンポジウムで「公共」の影響力と今後のあり方等について問題提起したことを受け、公務労協の加藤良輔議長ら4人のパネリストが、現在の社会状況を踏まえ、ともにつくる「公共サービス」の必要性とそれを実現するための解決策について議論を交わしました。
第3部 会場を交えてのディスカッション
第3部では、白熱した議論を受けて、参加者の学生などからファシリテーターやパネリストに対して、「『公共』とはなにか?」という質問やパネリストがあげた事例に関する質問等、議論を交わしました。ファシリテーターの荻上さんの鋭い振りにパネリストが圧倒される一幕もありました。

ファシリテーター

荻上チキ (評論家)
1981年生まれ、評論家。
社会学者・芹沢一也、経済学者・飯田泰之とともに株式会社シノドスを設立。メールマガジン「αシノドス」、ニュースサイト「シノドスジャーナル」編集長。主な著書に、「ウェブ炎上」(ちくま新書)、「ネットいじめ」(PHP新書)、「社会的な身体」(講談社現代新書)、共著に「いじめの直し方」(朝日出版社)ほか。

パネリスト

本田由紀 (東京大学大学院教育学研究科教授)
教育学博士。
1994年から日本労働研究機構(現労働政策研究・研修機構)研究員として数々の調査プロジェクトに従事。2001年東京大学社会科学研究所助教授を経て、2008年から現職。専門は教育社会学。専門は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行う。とくに、教育から仕事への移行をめぐる変化について指摘と発言を積極的に行っている。主な著書に、「若者と仕事」(東京大学出版会)、「『ニート』って言うな!」(共著、光文社新書)ほか。
木村俊昭 (東京農業大学教授、内閣官房地域活性化伝道師)
1984年小樽市に入庁。「ガラスの街・小樽」としてのブランド化などに成功した手腕を買われ、2006年より内閣官房地域活性化統合事務局企画官として出向。地域活性化に関する政策、調査・研究などを担当。09年から農林水産省大臣官房企画官として、地域の担い手の育成、地域ビジネスの創出、地域と大学との連携、農商工連携、6次産業化などを担当。主な著書に、「『できない』を『できる!』に変える」(実務教育出版)ほか。
林田吉司 (あしなが育英会東北事務局長)
大学時代、街頭募金の交通遺児育英会募金に従事、卒業後は財団法人交通遺児育英会職員、主に遺児の大学生と起居を共にする生活を経た後、あしなが育英会事務局長。阪神大震災遺児のケアハウス「神戸レインボーハウス」初代館長、東京にある「あしなが心塾レインボーハウス」館長などを歴任。現在は東北地方での「レインボーハウス」開設に従事。
加藤良輔 (公務公共サービス労働組合協議会議長)
1975年から神奈川県内の教職員として勤務。2004年から神奈川県教職員組合の書記長を5年、副委員長を2年、執行委員長を5年歴任。12年4月より日本教職員組合中央執行委員長(14代目)を務め、公務公共サービス労働組合協議会議長を兼任。12年10月から世界170カ国以上の教職員で構成する教育インターナショナル(EI)の執行委員に就任。