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公務公共サービス労働組合協議会 地方公務員部会
2024年度 公務労協情報 No. 10

地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/19

公務労協地方公務員部会は、2月19日に松本総務大臣に対して、2024春闘要求書を提出した。

【松本総務大臣への申入れの経過】
 交渉は11時40分から行われ、地方公務員部会からは古矢議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、古矢議長は要求書(資料1)を提出し、次のとおり述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう求めた。

(1)1月1日以降発生している能登半 島地震からの復旧・復興にあたり、 被災地では、相次ぐ余震や終わりの ない避難生活に苦しむ被災者も多く、 現在もなお深刻な状況が続いてる。 被災地の早期の復旧・復興に向け、 被災者の生活の再建を進めていく必 要がある。
(2)昨年から続く資源価格の高止まり や円安進行により物価は高騰し続けており、実質賃金が低下し続けている実態は、職員の生活にも大きな影響を与えている。厳しい状況が続く中、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、積極的な賃金の引上げ及び労働条件の改善とともに職員の確保が不可欠である。
(3)連合は、2024春季生活闘争方針において、すべての働く人の生活を持続的に向 上させるマクロの観点と各産業の「底上げ」「底支え」「格差是正」の取組強化を 促す観点から、賃上げ分3%以上、定昇相当分を含め5%以上の賃上げを目安とす るとしている。
(4)地方公務員部会としても、連合に結集し、2024春季生活闘争に全力で取組を進 めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力し ている職員の積極的な賃金引上げ等の実現をめざして取組を進めている。
(5)賃金・労働条件の改善をはじめとする2024年春季の要求を提出するので、その 実現に向け最大限の努力をいただきたい。

 これに対し、松本総務大臣は「公務労協地方公務員部会の皆様方におかれては、住民の皆様の暮らしを豊かに、夢を持てるようにするための地方自治の確立・発展のためにお力添えをいただくとともに、実際にこの役割を担っていただいている、自治体で働いている地方公務員の皆様のために活動いただいていることに敬意を表する。また、能登半島地震においても被災地の職員、そして応援に駆けつけていただいた職員の皆様にも使命感をもって現場でご尽力いただいていること、改めて感謝申し上げる。私どもとしても、これまでの災害対応でもそうだったが、今回は特に支援していただく方を支援しなければならないほど大変厳しい環境であると認識している。石川県知事とも「支援者の支援」という言葉を大切にしていこうとしている。総務省として、応援職員の宿泊場所に関する調整や支援等も行っている。本当に大変な中、現場でご尽力いただいている皆様にはどうぞよろしくお願いを申し上げる。ただいま、要請書を頂戴した文中にもあるが昨今の物価高を考えると処遇改善は私どもも働く皆様のために大事なテーマだと思っている。実質の処遇改善ということを思い込めいただいたと理解して検討の上、しかるべき時期に回答する」と述べ、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

(資料1)

2024年2月19日

総 務 大 臣
 松 本 剛 明 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 古矢 武士
( 公 印 省 略 )

要 求 書

貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、1月1日以降発生している能登半島地震からの復旧・復興にあたり、被災地では、相次ぐ余震や終わりのない避難生活に苦しむ被災者も多く、現在もなお深刻な状況が続いています。被災地の早期の復旧・復興に向け、被災者の生活の再建を進めていく必要があります。
 一方で、昨年から続く資源価格の高止まりや円安進行により物価は高騰し続けており、実質賃金が低下し続けている実態は、職員の生活にも大きな影響を与えています。厳しい状況が続く中、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、積極的な賃金の引上げ及び労働条件の改善とともに職員の確保が不可欠です。
 連合は、2024春季生活闘争方針において、すべての働く人の生活を持続的に向上させるマクロの観点と各産業の「底上げ」「底支え」「格差是正」の取組強化を促す観点から、賃上げ分3%以上、定昇相当分を含め5%以上の賃上げを目安とするとしています。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2024春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の積極的な賃金引上げ等の実現をめざして取組を進めています。
 つきましては、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2024年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。

1.2024年度の賃金改善について
 (1) 地方公務員の賃金水準を引き上げるために、所要の財源を確保すること。
 (2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議、合意を尊重すること。

2.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」への対応について
 (1) 「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について、地方公務員への対応措置の検討にあたっては、適宜必要な情報提供を行うとともに、「検討会」及び「給与分科会」の議論はあくまで参考とし、地方公務員部会との十分な協議を行うこと。
(2)地方公務員の給与制度の見直しについては、国の制度を画一的に強制することなく、地域の実情を踏まえた措置をはかること。
  ① 地域手当の検討にあたっては、「大くくりの調整方法」をはじめ支給率及び級地区分のあり方等、地域の実情を踏まえた自治体の裁量を尊重すること。
  ② 手当の支給水準が国の基準を超えている自治体に対して行われている「特別交付税の減額措置」については、ただちに廃止すること。
(3)給与水準については、新卒者、若手職員に重点を置きながらも、モチベーションの維持・向上の観点から、中高齢層職員及び再任用職員の給与水準も引き上げること。

3.能登半島地震の復旧・復興への対応
 (1) 復旧・復興に従事する自治体職員の安全衛生及び心のケアを含む健康管理に配慮するため、特段の措置を講ずること。
 (2) 復旧・復興に従事する職員等の継続的な人的支援及び要員の確保とともに、必要な財政的支援を行うこと。
 (3) 被災地の復旧・復興の中長期化を鑑み、継続的な支援体制を講じること。

4.労働時間、休暇及び休業等について
(1)公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理や時間外勤務縮減目標等の設定など、実効性のある時間外勤務縮減の具体策をはじめ、休暇・休業制度の拡充、労働時間短縮のための人員確保等の施策を構築すること。
 (2)職員の健康管理体制の充実、職場の安全衛生体制の確立、福利厚生の充実等について一層推進されるよう、地方自治体を支援すること。とりわけ、全ての職員へのストレスチェックの実施など、メンタルヘルス対策に万全を期すこと。
(3)地方自治体における各種ハラスメントの防止については、総務省「各種ハラスメント対策の取組状況調査結果」を踏まえ、規定及び基本方針等の明確化、職員への周知・徹底をはかるなど、必要な措置を講ずるよう対応すること。

5.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の待遇改善、雇用安定について
  臨時・非常勤職員制度について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏 まえ、雇用の安定、労働条件及び抜本的な待遇改善、休暇制度の改善等、関係法の 改正を含むさらなる制度改善に向けた見直しを引き続き検討すること。
(1)会計年度任用職員について、全地方自治体で期末手当及び勤勉手当を適切に支給するよう対応をはかるとともに、必要な財政措置を行うこと。
(2)引き続き、常勤職員との権衡の観点から、有給を基本とした各種休暇制度の改善を検討すること。

6.段階的な定年引上げについて
  定年の段階的引上げの実施に伴い生じる諸課題については、円滑な実施に向け、関係組合との十分な交渉・協議、合意に基づき対応するよう地方自治体に対し促すこと。
(1)段階的な定年引上げ期間中においても、計画的な新規採用を確実に実施するよう地方自治体を支援すること。
(2)職員の希望通りの再任用の実現と高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件の確保を求める。

7.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件の確保等について
 公共サービス基本法に基づく良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備をはかること。