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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2021年度 公務労協情報 No. 28

2021人勧期要求で人事院職員福祉局長、給与局長と書記長クラスが交渉-7/28

~育児休業制度に関する意見の申出、不妊治療休暇の新設へ~

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、7月28日、人事院の合田職員福祉局長、佐々木給与局長との交渉を実施し、2021年人勧期要求に対する現段階における回答を引き出した。
 この日に行われた交渉経過は次のとおり。

<職員福祉局長交渉の経過>
 冒頭、吉澤事務局長が現時点での検討状況について回答を求めたのに対し、合田職員福祉局長は以下の通り回答した。

Ⅰ労働諸条件の改善について
1 長時間労働の是正等
(1)長時間労働の是正

 国家公務員の超過勤務については、平成31年4月から、人事院規則により、超過勤務命令を行うことができる上限を設定し、この人事院規則等の規定の下で、超過勤務の縮減に取り組んでいるところである。
 各府省において、人事院規則に定める上限を超えて超過勤務を命じた場合には、その要因の整理、分析及び検証を行わなければならないとしているところ、人事院としても、令和元年度における超過勤務に係る要因の整理、分析及び検証の状況について各府省からの報告を受け、勤務時間制度の担当課長が、33府省庁等の人事担当課長等から各府省における超過勤務の上限に係る制度の運用状況を聴取し、特例業務の範囲及び他律部署の指定状況について確認するとともに、長時間の超過勤務を行った職員に対する医師の面接指導等を徹底すること、各府省において正規の勤務時間外に職員に勤務をさせる必要がある場合は、適切に超過勤務を命じ、超過勤務手当を支給すること等について指導を行ったところである。把握した状況については、整理した上で本年3月に公表するとともに、各府省及び職員団体に共有している。
 人事院としては、引き続き、各府省における超過勤務の上限に関する制度の運用状況を把握した上で、特例業務の範囲や他律部署の指定の考え方について統一が図られるよう、各府省に対する指導・助言を行っていくこととしたい。また、本府省の他律部署を中心に、1箇月に100時間以上等の長時間の超過勤務を行う職員が存在することから、過労死等防止対策大綱において公務員についても目標の趣旨を踏まえて必要な取組を推進することが盛り込まれる予定であることも踏まえ、このような長時間の超過勤務を行う職員について、医師による面接指導等を徹底することや、人員配置・業務分担の見直し等を通じて超過勤務を必要最小限のものとすることについて、各府省を指導していくこととしたい。
 なお、超過勤務の縮減に当たっては、職員の勤務時間を適正に把握し、管理することが重要である。各府省においては、「令和3年度における人事管理運営方針」により、業務端末の使用時間の記録等を利用した勤務時間の状況の客観的把握を、原則として本年8月までに開始することとされており、人事院としても、その状況を踏まえつつ、客観的な記録を基礎とした超過勤務時間の管理を制度上の原則として示すこととしたい。
 また、超過勤務問題の背景として、定員の問題、国会対応業務の問題があり、これらについては、昨年までの報告においてもある程度踏み込んだ言及をしているところであるが、本年の報告においても更に言及することとしたい。

(2) 柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の研究
 テレワークを活用した柔軟な働き方の推進は、非常時における業務継続の観点に加え、育児、介護等のために時間制約がある職員等の能力発揮に資するとともに、ワーク・ライフ・バランスの観点からも重要であることから、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方について検討を行うため、有識者による研究会を設けることとしたい。なお、研究会においては、テレワークを行う職員の作業環境の整備や健康状態の把握、公務における勤務間インターバルの確保の方策等についても検討を行っていくこととしたい。

2 仕事と家庭の両立支援、心の健康づくりの推進等
(1)男性職員の育児休業取得の推進
 民間労働者については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律が改正され来年4月以降順次施行されるところ。国家公務員についても、男性職員による育児の促進や女性職員の活躍促進を更に進めるための方策の一つとして、育児休業の取得回数制限を緩和することが適当と認められることから、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正について、意見の申出に向けて、詰めを行っているところである。その内容としては、育児休業を原則2回まで(現行原則1回まで)取得可能とすることに加えて、子の出生後8週間以内に終了する育児休業を一般の育児休業とは別に2回まで(現行1回まで)取得できるようにすることを考えている。
 また、この意見の申出を行う措置に併せて、仕事と妊娠、出産、育児等の両立支援のため、人事院規則の改正等により、次の措置を総合的に講じることについて検討を行っているところである。
・子の出生後8週間以内の育児休業をしようとする場合における請求期限を2週間前までに短縮すること
・育児休業を取得しやすい勤務環境の整備に関する措置等を各省各庁の長に義務付けること
・育児参加のための休暇の対象期間を子が1歳に達する日まで拡大すること
 なお、非常勤職員の取扱いについては、後でまとめて申し上げる。

(2)不妊治療と仕事の両立支援
 不妊治療と仕事の両立支援については、
・本年1月から2月にかけて職員を対象としたアンケートを実施したところ、不妊治療を受けている職員が一定数おり、不妊治療と仕事の両立を支援する措置について、職員のニーズが一定程度あること、最も希望が多い治療の受け方は勤務時間中でも必要なときに通院し治療を受けたいとなっていたこと等が確認できたこと
・不妊治療のために使用できる特別な休暇等を措置している地方公共団体が一定数あり、有識者からも、仕事を続けながら治療を受けることができる環境の整備が重要であるとの意見があったこと
・不妊治療を受けやすい職場環境の整備は社会全体の要請であり、公務においても不妊治療と仕事の両立を支援する必要性は高いと考えられること
から、職員の不妊治療のための特別休暇(有給)を新設することしたい。
 休暇の期間は原則として1年につき5日、体外受精や顕微授精等の頻繁な通院が必要とされる治療を受ける場合は、更に5日を加えた日数の範囲内とし、休暇の単位は、1日又は1時間とする。あわせて、不妊治療を受けやすい職場環境の整備を図っていくこととしたい。

3 ハラスメント防止対策等
 ハラスメント防止対策については、各府省が円滑かつ効果的にハラスメント防止対策を実施できるよう、ハラスメント相談員用マニュアルや研修教材の提供等、各府省に対する支援を行っているところである。しかし、パワー・ハラスメントに関する苦情相談は多く、パワー・ハラスメントを理由とする処分事案等が依然として発生している状況にあるため、各府省のハラスメント防止対策の実施状況を把握し、必要な指導を行っていきたい。あわせて、ハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催、パワー・ハラスメントの研修用動画等の改訂・提供等を行うこととし、各府省においてハラスメント防止対策が円滑かつ効果的に実施されるよう、支援していくこととしたい。
 また、心の健康づくり等についても、オンライン相談の導入やストレスチェックの結果を用いたハラスメント等の予防のための方策を示す等の支援など、引き続き、必要な取組を進めてまいりたい。

Ⅱ非常勤職員制度等について
(非常勤職員の休暇について)
 職員の仕事と妊娠、出産、育児等の両立を支援することが一層求められており、妊娠、出産、育児等のライフイベントが生じ得ることは常勤・非常勤といった勤務形態で変わるものではないことから、非常勤職員についても休暇・休業に関する次の措置を総合的に講じることとしたい。
・男性の非常勤職員について、配偶者出産休暇(有給)及び育児参加 のための休暇(有給)を新設すること
・継続的な勤務が見込まれる非常勤職員を対象として不妊治療のための休暇(有給)を新設すること
・現在、非常勤職員の出産に際しては、人事院規則により、産前及び産後の期間に無給の休暇が措置されているところ、これらの産前及び産後の期間に係る休暇を有給とすること

(育児・介護休業法の改正内容を踏まえた措置について)
 本年6月の育児・介護休業法の改正内容を踏まえ、次の措置を講じることとしたい。
・非常勤職員の育児休業及び介護休暇の取得要件のうち「引き続き在職した期間が1年以上である」との要件を廃止すること、
 これに併せて、育児時間及び介護時間の取得要件のうち「引き続き在職した期間が1年以上である」との要件を廃止するとともに、子の看護休暇及び短期介護休暇の取得要件のうち「6月以上継続勤務している」との要件を「6月以上の任期が定められている又は6月以上継続勤務している」と改めること
・非常勤職員の育児休業の取得要件のうち、「子が1歳6か月に達する日まで」に、その任期が満了すること及び任命権者を同じくする官職に引き続き採用されないことが明らかでないとの要件について、非常勤職員が子の出生後8週間以内に育児休業をしようとする場合には、「子の出生日から起算して8週間と6月を経過する日まで」とすること
・子が1歳以降の一定の場合に取得することができる非常勤職員の育児休業について、夫婦交替での取得や、特別の事情がある場合の柔軟な取得を可能とすること

 回答に対し、吉澤事務局長は以下のとおり、職員福祉局長の見解を質した。
(1) 育児休業について
 〇民間における改正育休法において措置された出生時育児休業は、措置しないという認識で良いか。
 〇同じく、休業中就労の導入はないということで良いか。
 〇人事院として意見の申出をする以上、今後の予想できない政治情勢において、主体的な責任をもって法律改正まで行う努力を求めておく。
 〇非常勤職員に対する育児休業等の在職期間要件の廃止について、人事院規則事項として、地方自治体における対応を含め、民間法の施行時期に遅れることなく改正すべきと考えるが認識如何。

(2) 不妊治療休暇の新設について
 〇有給とすることは評価したい。一方で取得日数について、5日あるいは10日は短すぎることを指摘する。その上で、少なくとも今後、休暇取得状況等の実態を踏まえ、見直すべきと考えるが認識如何。また、先行して制度化している地方自治体における休暇との関係において、期間等が下回ることはないのか。
 〇休暇の名称について、取得しやすい職場環境の整備に資するという観点から、ネーミングの検討を求めておく。

(3) 非常勤職員の休暇について
 〇少子化対策・両立支援という観点からの改善については積極的に受けとめる。一方で、昨年の秋民調における民間の非正規労働者の休暇について、働き方改革の観点からの改善等、国家公務員に措置できる状況はなかったということか。また、新型コロナウイルス感染症対策関連の休暇等においては常勤、非常勤に差異なく措置がされてきたと認識しているが、少なくとも感染症等について、非常勤職員の病気休暇を有給とすべきではないか。総じた問題として、民間準拠を否定はしないが、民間と比較して高い取得率となっている男性の育児休業のもとでの民間法とは異なる内容の意見の申出、あるいは率先してと評価できる不妊治療休暇の導入など、社会的な課題への要請に公務が率先して対応するという観点から、引き続き、非常勤職員の休暇の改善に向けた対応を求める。

 これに対し、合田職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1) 育児休業について
 〇出生時育児休業を導入するのではなく、現在の育児休業において、出生後8週間以内に終了する育児休業を、一般の育児休業とは別に2回まで取得できるとする意見の申出を考えている。
 〇労使協定を前提とした休業中の就労は、国家公務員の法制度と相容れないことから導入しない。
 〇国会及び内閣に対して意見の申出が実施されるよう、人事院としてできることを最大限行っていく。
 〇非常勤職員の在職期間要件の廃止については、意見の申出全体に関する法改正が行われた後に、人事院規則で措置をしていくことになるが、ご指摘の施行日に関しては適切に対応してまいりたい。

(2) 不妊治療休暇の新設について
 〇不妊治療における通院においては、1日かかるものもあれば、1時間のものもあり、個人差はあるがかなりの部分についてはカバーされると考えている。他の先例があまりない中での制度化になるので、実際に職場での活用状況をみながら改善の余地等あれば対応してまいりたい。地方自治体における休暇日数との関係では、かなり、一番先端を走るものではないかと受け止めている。
 〇休暇のネーミングについて、同様の問題意識を持っているので制度化までに検討を進めてまいりたい。

(3) 非常勤職員の休暇について
 〇昨秋の民間調査を踏まえてどのような切り口からアプローチができるか、職員団体とも議論してきたが、本年は具体化に至らない。新型コロナウイルス感染症対策の休暇等については、昨年2月からいろいろな措置を講じてきている。その検討の中で、現在、社会全体として、非正規の処遇改善が図られていることも念頭に置きつつ、常勤職員と同様の措置とした。なお、新型コロナウイルス感染症対応といった局所的な対応が必要であったため迅速に対応できたが、他の疾病も含めて対応をする場合はより体系的な検討が必要となり時間が必要。また、病休については民間において有給が必ずしも措置されていないことから、民間準拠といった給与・勤務条件の原則といった点から難しい課題と認識しており引き続き検討が必要。

 また、交渉委員からはテレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方についての有識者による検討会について発言があった。
 
 最後に、吉澤事務局長から「長時間労働及びハラスメント対策の課題についても、超勤手当の全額支給や新型コロナウイルス感染症対策など、状況及び情勢の変化を踏まえ、人事院規則等の仕組みを整えたことがゴールでなく、あくまでスタートである。継続した議論、対応を求めておく。本日の議論を踏まえ、総裁からの最終的な回答に向け、要求全般に関するより積極的な検討を求める」と要請し、職員福祉局長交渉を締めくくった。

<給与局長交渉の経過>
 冒頭、吉澤事務局長が「先般、7月16日の非常勤職員の給与に関する指針の改正について、公務員連絡会として長年にわたって求めてきた課題でもあり、人事院の努力を多とする。これを機に、各府省の労使において、行政運営に欠くことのできない非常勤職員の果たしている役割をしっかりと踏まえ、常勤との権衡、あるいは非常勤職員の適切な処遇や給与について積極的な議論が行われることを期待したい。引き続き、人事院には、このような観点からの努力を求めておく。」と述べた後、現時点での要求に対する検討状況について回答を求めた。佐々木給与局長は、以下のとおり答えた。

1 勧告について
 人事院としては、公務員の給与等の適正な水準を確保するため国会と内閣に必要な勧告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たすこととしている。
 本年の勧告については、例年とおおむね同様の日程を念頭に置いて、鋭意作業を進めているところである。

2 官民較差について
 行(一)職員の平均年齢は、本年の国公実態調査によると昨年と比べて若干低下している。(43.0歳。昨年比△0.2歳)
 本年の民間企業における春季賃金改定状況について、現時点で発表されている各種調査結果を見ると、定昇分を含む賃上げ率は昨年を下回るものが多くなっており、厳しい状況にある。
 民間の一時金の状況を各種調査で見ると、昨年冬のボーナス及び本年夏のボーナスともに、対前年比で減少しており、極めて厳しい状況にあると認識している。
 官民較差及び一時金については、現在集計を行っているところであり、最終的にどのような結果となるか注目しているところである。

3 諸手当について
 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、皆さんのご意見もお聴きしながら必要となる検討を行ってまいりたい。

4 再任用職員の給与について
 再任用職員の給与については、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、定年引上げに伴い設けられる定年前再任用短時間勤務制等も含めた再任用制度の各府省における運用を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、引き続き、必要な検討を行ってまいりたい。

5 非常勤職員等の処遇改善について
 非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省において適正な給与の支給が行われるよう、必要な指導を行ってきているところであり、引き続き、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
 その一環として、任期が相当長期にわたり、かつ、常勤職員と職務、勤務形態等が類似する非常勤職員の期末手当及び勤勉手当に相当する給与の支給月数については、常勤職員と同等とすることが適当と判断し、この度、指針を改正したところである。

 回答に対し、吉澤事務局長は、次のとおり、勧告日、月例給について局長の見解を質した。
(1) 勧告日については、例年と同様の日程を念頭に作業とのことだが、8月第1週または第2週前半ということでよいか。
(2) 14日の審議官交渉から二週間が経過しているにもかかわらず、未だ「集計中」との回答は極めて不満だ。改めて、較差について再回答を求める。
(3) 官民較差が確定していないもとでは配分の議論もやりようがないが、ここ数年の民間との初任給格差は放置できない問題と考えている。現時点での認識如何。
(4) 官民較差が一定程度判明する然るべきタイミングで、改めて議論をすることで良いか。

 これに対し、佐々木局長は次のとおり回答した。
(1) 現段階では、確定的なことは申し上げられない。
(2) 春闘の各種集計状況等を見ると、一定程度賃上げがはかられたところもある一方で、なかなか厳しい状況のところもある。まだらというか、でこぼこがあるという状況のなかで、どういう数字になってくるかを見ているところ。
(3) 初任給の動向については、問題意識をもって見ている。基本的に較差が生じた場合に、プラスであれば、初任給近辺に重点を置き、マイナスの場合は、初任給近辺については逆に配慮するという基本的な考え方に則ってこれまで改定を行ってきていると認識しており、その考え方は変わっていない。
(4) 改めて、議論する機会を設定したい。

 次に、吉澤事務局長は、一時金について局長の見解を質した。
(1) 民間動向を見ると、とくに今夏は、業種によって増減の違いが大きい。このことが、本年の勧告にどういう影響を及ぼすのか認識如何。
(2) 冒頭の「極めて厳しい」という回答は、過去2009年、2010年のリーマンショック後の交渉における指摘以来となる。今年は、当時に匹敵するぐらい厳しいということか。

 これに対し、佐々木局長は次のとおり回答した。
(1) 月例給と同様に、かなり業種により、企業によって違いがあると認識しており、そのことが全体としてどういう形になってくるのかにつきる。いずれにしても、どういう数字が出てくるか見ていきたい。
(2) 具体的にリーマンショック時を念頭においている訳ではない。あくまで、昨年の冬、今年の夏の状況という、社会一般の情勢として、かなり厳しい状況にあるということ。
 
 吉澤事務局長は、一時金に関する民間実態は受け止めざるを得ないが、改めて、職員の生活を守る支給月数の確保が要求であり、次回に議論を継続すると指摘した上で、次に、再任用職員の給与について局長の見解を質した。
(1) 各府省における再任用職員の任用について、どういう官職に任用するかということについて特段の制限はないということで良いか。また、級の適用についても特段の規制はないということか。
(2) 定年退職時には、5級あるいは6級に在級という実態からしたときに、現在の再任用の級の格付けの実態は、圧倒的に3級となっている。あくまで、任用を前提にすれば、各府省において再任用職員は3級に相当する官職しか準備されていないという理解か。
(3) 平成10年の意見の申出における、再任用職員の給与の設計において、民間の60歳台前半層の年収を基本に、これを公務の6級を対象として措置されてきた経緯において、今日の実態は、つまり3級は運用に低位化されているのではないか。再任用職員に、その経験や能力を十分に生かし、活躍してもらわないといけないなかで、3級相当の官職しか用意していないのは、問題ではないか。
(4) 今後は、定年が引上げとなる職員、暫定再任用職員、定年前再任用短時間勤務職員という3つのカテゴリーの職員が、60歳台前半層において存在することとなり、給与上の観点から、バランスをはかる措置が必要ではないか。とくに「生活関連手当」の支給に関する要望が強いが、再任用職員の給与については、運用上低位に抑えられているとともに、活躍が期待される高齢層の職員全体における均衡という課題があることから改善を積極的に措置すべきと考えるが認識如何。

 これに対し、佐々木局長は次の通り回答した。
(1) 制度的に、どの級でないといけないということはとくに定められてはいない。任用される官職に応じて給与が決まることとなる。
(2) 職員の定年退職時の級は行(一)で6級、次に5級が最も多い。再任用については、フルタイムも短時間もいずれも行(一)では3級が一番多くなっている。再任用の方にどういった仕事をしてもらうかといった時に、人員構成、組織、ポストの関係があるなかで、省庁によって一定の幅があるが、トータルで見れば、3級を中心とした運用になっているということ。
(3) 制度発足当時は、4級から6級を想定されるケースとして、民間の水準を参考として設定した。その後、民間状況について調査してきたが、今の再任用の水準と民間の水準との間に大きな格差はないと認識している。
(4) 現在の再任用の処遇で良いのかという問題意識は持っている。具体的にいつまでにとは申し上げられないが、重要な課題であることは認識している。

 最後に、吉澤事務局長は「次回の交渉において、月例給及び一時金についての具体的な議論と要求に対する回答を求める」と指摘し、給与局長との交渉を締めくくった。