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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 12

政府、人事院に2022春季要求書を提出-2/22

 公務員連絡会は2月22日、委員長クラス交渉委員が二之湯国家公務員制度担当大臣、川本人事院総裁にそれぞれ要求書を提出した。要求書では、賃金の引上げ、超過勤務の更なる縮減と適切な人員の確保、出生サポート休暇をはじめとする両立支援制度の周知の徹底などを求めている。今後、幹事クラス交渉、書記長クラス交渉などを配置し、3月下旬の回答指定日に向け、政府、人事院との交渉を重ねていくこととしている。
交渉の経過はそれぞれ次のとおり。

<人事院総裁交渉の経過>
 川本総裁との交渉は、10時30分から行われた。
 要求提出に当たって武藤議長は次のとおり述べ、今後十分交渉・協議を重ね、誠意ある回答を示すよう強く求めた。

 新型コロナウィルスについて、現在第6波による感染が全国に広がっている状況である。これに対し、公務・公共サービスの現場では、国民の信頼と期待に応えるべく、職員は高い使命感と責任感を持って懸命の努力を重ねている。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心・安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえる。
 一方で、政府も掲げているとおり、コロナ禍からの経済の回復は最重要課題であり、低迷する個人消費の拡大と、それを下支えする勤労者の賃金引上げが必要なことは明らかだ。今後人事院におかれても、是非ともこのような認識を持って夏の勧告に向けた作業をしていただくことを強く要望する。
 これから事務レベルでの交渉を積み重ね、3月22日には、総裁から、直接、春の段階の誠意ある回答を求める。

 続いて、森永事務局長が要求項目のポイントを説明し、回答日に向けた公務員連絡会との交渉・協議や要求への積極的な対応を強く求めた。

 これに対して、川本総裁は「皆さんからの要求は承った。公務を巡る情勢は厳しい状況にある。各要求事項については、今後、誠実に検討し、しかるべき時期に回答する」と応え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。

<国家公務員制度担当大臣交渉の経過>
 二之湯国家公務員制度担当大臣との交渉は、11時30分から行われた。
 要求提出に当たって武藤議長は次のように述べ、今後十分交渉・協議を重ね、誠意ある回答を示すよう強く求めた。

 新型コロナウィルスについて、現在第6波による感染が全国に広がっている状況である。これに対し、公務・公共サービスの現場では、国民の信頼と期待に応えるべく、職員は高い使命感と責任感を持って懸命の努力を重ねている。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心・安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえる。
 一方で、政府自らが掲げているとおり、コロナ禍からの経済の回復は最重要課題であり、低迷する個人消費の拡大と、それを下支えする勤労者の賃金引上げが必要なことは明らかだ。
 また、コロナ禍のもと推進されてきたテレワークのさらなる拡大や、「勤務間インターバル」の議論なども開始されているが、その前提には長時間労働や超過勤務の抑制と、手当の全額支給などがあるので、担当大臣として引き続きご努力をお願いしたい。
 さらに、非常勤職員については、この間さまざまな処遇改善も行われてきたが、常勤職員との均等待遇に向けて、賃金など一層の改善を求めておきたい。
 最後に、これから、事務レベルでの交渉を積み重ね、最終回答の際には、国家公務員の人事行政に責任を持つ二之湯大臣から、直接、春の段階の誠意ある回答を求める。

 これに対して二之湯大臣は、「公務員の方々が国民全体のために献身的に職務に当たられていることに対し、敬意を表する。ただいま、要求書を受け取り、要旨は承った。各要求事項については、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく」と応え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。


(資料1)


2022年2月22日

人事院総裁
 川 本 裕 子 様

公務員労働組合連絡会
議 長  武 藤 公 明
(公 印 省 略)

要 求 書

 貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、年末まで新規感染者数が低い水準で推移をしていた新型コロナウィルス感染症ですが、現在第6波による感染が全国に拡がっており、国民生活の基盤を担う公務・公共サービスの現場では、国民の信頼と期待に応えるべく、職員は高い使命感と責任感を持って懸命の奮闘を続けています。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心し、安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえます。
 一方で、コロナ禍からの経済の回復は最重要課題であり、低迷する個人消費の拡大と、それを下支えする勤労者の賃金引上げが必要なことは明らかです。
 公務員連絡会は、このような情勢認識に基づき、「人への投資」を積極的に求める連合2022春季生活闘争に結集し、「底上げ」「底支え」「格差是正」をめざして取組を進めます。貴職におかれましては、下記事項の実現に向けて、最大限努力されるよう要求します。

1.賃金要求について
(1) 2022年度賃金の引上げについて
2022年度の給与勧告に当たっては、民間賃金実態を精確に把握し、初任給をはじめ職員の賃金を引き上げること。なお、水準・配分・体系等について公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意すること。
(2) 社会的に公正な官民比較方法の確立について
官民給与比較方法については、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう改善すること。また、一時金についても、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
(3) 諸手当について
社会経済情勢の変化、職員の職務や生活実態を踏まえて改善することとし、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて進めること。
(4) 再任用職員について
再任用職員の給与制度については、その経済的負担、定年前職員との均衡を考慮して改善することとし、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づいて進めること。
(5) 退職手当について
退職給付制度の調査結果の公表、人事院の見解の表明にあたっては、公務員連絡会と十分に交渉・協議し、合意に基づいて進めること。

2.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度について、法律上明確に位置づけ、勤務条件等について、同一労働同一賃金及び常勤職員との均等待遇の原則に基づいて、関係法令、規則を適用すること。
(2) 非常勤職員の給与を1時間当たり「1,150円以上」とすること。また、国に雇用される労働者の最低賃金(高卒初任給相当)を定める人事院規則を制定すること。
(3) 期間業務職員制度について、当該職員の雇用の安定と待遇の改善がはかられるよう、適切な運用に努め、必要な改善措置を講じること。あわせて、常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき俸給表に位置づけること。
(4) 非常勤職員の休暇制度等について、常勤職員との均等待遇をはかるとともに、無給休暇を有給化すること。

3.新型コロナウイルス感染症対策について
 今後の感染状況等の推移を注視し、職員の感染防止、健康確保のため、公務員連絡会との交渉・協議を踏まえて、適宜、必要な措置を講じること。

4.労働時間の短縮及び休暇、休業等について
(1) ワーク・ライフ・バランスを確保するため、公務における年間総労働時間1,800時間体制を確立することとし、本年については、次の事項を実現すること。
 ①各府省に対して、適正な勤務時間管理を行うよう指導すること。また、本府省における在庁時間削減の取組についても、人事院として積極的に役割を果たすこと。
 ②超過勤務命令の上限を超えた場合における各府省による要因の整理・分析・検証の状況を把握した上で、各府省を適時適切に指導すること。また、各府省における「他律的業務の比重の高い部署の指定」の統一性の確保や上限規制の特例業務の厳格化を含め、超過勤務の状況の総点検を行い、これを踏まえ必要な対応策を講じること。
 ③1か月当たり45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する割増率については、民間企業の実態を踏まえた引上げを行うこと。
(2) ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度を改善・拡充することとし、休暇・休業制度の利用実態を検証し、制度の改善や環境整備に努めること。とくに、家族介護を理由とした離職を防止するため、介護休業制度を整備すること。
(3) 両立支援制度が円滑に活用できるよう、その周知をはかるとともに、育児短時間勤務、育児時間等について、子の年齢要件等取得要件を緩和し、その在り方を改善すること。
(4) 本格的な短時間勤務制度の具体的な検討に着手すること。
(5) 公務において、「勤務間インターバル」を確保すること。

5.障害者雇用について
 公務職場における障害者雇用については、雇用される障害者が、無理なく、かつ安定的に働き続けることができるよう、人事院としての役割を適切に果たすこと。

6.女性公務員の労働権確立について
(1) 公務における女性の労働権確立を人事行政の重要課題として位置づけ、必要な施策の確立をはかること。
(2) 女性国家公務員の採用・登用・職域拡大をはかるとともに、メンター制度の実効性を確保するなど積極的な役割を果たすこと。

7.高齢者雇用施策について
 2023年4月1日の段階的定年引上げの施行にあたって、その円滑かつ安定的な実現のための環境整備に向けて、人事院としての役割を果たすこと。

8.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。
(2) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(3) 心の健康づくりについては、勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいて、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策の着実な推進をはかること。
(4) ハラスメントの防止について、問題の重要性を認識し、一層有効な対策を着実に実施すること。とくに、パワー・ハラスメントの防止対策については、人事院規則10-16等に基づいた各府省の取組状況を把握し、必要な指導を行うこと。また、苦情相談、紛争解決における人事院の役割を着実に果たすこと。

以 上


(資料2)

2022年2月22日

内閣総理大臣
 岸 田 文 雄 様

公務員労働組合連絡会
議 長  武 藤 公 明
(公 印 省 略)

要 求 書

 貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、年末まで新規感染者数が低い水準で推移をしていた新型コロナウィルス感染症ですが、現在第6波による感染が全国に拡がっており、国民生活の基盤を担う公務・公共サービスの現場では、国民の信頼と期待に応えるべく、職員は高い使命感と責任感を持って懸命の奮闘を続けています。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心・安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえます。
 一方で、コロナ禍からの経済の回復は最重要課題であり、低迷する個人消費の拡大と、それを下支えする勤労者の賃金引上げが必要なことは明らかです。
 公務員連絡会は、このような情勢認識に基づき、「人への投資」を積極的に求める連合2022春季生活闘争に結集し、「底上げ」「底支え」「格差是正」をめざして取組を進めます。貴職におかれましては、下記事項の実現に向けて、最大限努力されるよう要求します。

1.働き方改革の推進及び賃金・労働条件の確保等について
(1) 働き方改革について、同一労働同一賃金原則に基づく非常勤職員等の待遇改善と雇用の確保、長時間労働の是正、高齢職員の一層の活用等を進めること。
(2) 公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、公務員等公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備をはかること。

2.2022年度賃金について
(1) 職員の2022年度賃金を引上げること。
(2) 超過勤務手当の全額支給を前提に、独立行政法人等を含めた公務員給与の改定に必要な財源を確保すること。

3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度の抜本的改善をめざし、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組を推進すること。当面、国家公務員の非常勤職員制度について、法律上明確に位置付け、勤務条件等について、同一労働同一賃金及び常勤職員との均等待遇の原則に基づいて、関係法令、規則を適用すること。
(2) 給与については、2021年7月に改正された「非常勤職員給与決定指針」等に基づき、各府省における実態を把握するとともに、着実な待遇改善が行われるよう各府省を指導すること。2022年度については「時給1,150円以上」を確保すること。また、給与の改定時期に関する職員への周知を始め、常勤職員と同様とすること。
(3) 出生サポート休暇、配偶者出産休暇・育児参加のための休暇の新設および、産前・産後休暇の有給化について周知し、取得しやすい職場環境の整備を行うこと。
(4) 期間業務職員制度について、当該職員の雇用の安定と待遇の改善となるよう、適切な運用に努め、必要な改善措置を講じること。あわせて、常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を「均等待遇の原則」に基づき抜本的に改善すること。

4.新型コロナウイルス感染症への対応について
 国民生活の安心と安全を支える基盤となる公務公共サービスに従事する職員の勤務条件等の確保と職場環境の整備をはかること。

5.労働時間、休暇及び休業等について
(1) ワーク・ライフ・バランスを確保するため、公務における年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の改善・拡充などを実現すること。
(2) 政府全体として超過勤務縮減のための体制を確立し、使用者の責務として各府省における取り組み状況を把握し必要な措置を講じるとともに、真に実効性のある超過勤務の縮減策を直ちに実行すること。
(3) 公務における本格的な短時間勤務制度の具体的検討に着手すること。
(4) 新型コロナウイルス感染症、大規模な自然災害への対応等も踏まえた適切な人員を確保すること。
(5) 公務において、「勤務間インターバル」を確保すること。

6.障害者雇用について
 公務職場における障害者雇用については、法定雇用率の達成を遵守するとともに、雇用される障害者が、無理なく、かつ安定的に働き続けることができるよう、政府としての役割を適切に果たすこと。

7.女性公務員の労働権確立について
(1) 公務における女性の労働権確立を人事行政の重要課題として位置付け、政府全体として積極的に取り組むこと。
(2) 「国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進のための取組指針」に基づく各府省の行動計画の着実な実施に向け、積極的な役割を果たすこと。

8.高齢者雇用施策について
 事務・事業の円滑な遂行を実現するため、定年の段階的引上げが完成するまでの間、2013年の閣議決定に基づき、フルタイムを中心とする職員の希望通りの再任用を実現すること。また、必要な定員を確保するとともに、定員の弾力的な取扱いなどについて公務員連絡会と協議すること。

9.福利厚生施策の充実について
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握に基づき、その抜本的な改善・充実をはかること。
(2) 「国家公務員健康増進等基本計画」の着実な実施をはかるため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。
(3) 心の健康づくりについては、管理職員の意識改革はもとより勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策を着実に実施すること。
(4) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(5) ハラスメントの防止について、問題の重要性を認識し、一層有効な対策を着実に推進すること。とくに、パワー・ハラスメントの防止対策については、人事院規則10-16に基づき政府全体で取り組むこと。

10.公務員制度改革について
 ILO勧告に則り、国家公務員制度改革基本法に基づく自律的労使関係制度を確立するため、国家公務員制度改革関連四法案(2011年6月3日国会提出)における措置について、国家公務員法等改正法案の附帯決議(2014年3月12日衆議院内閣委員会及び同年4月10日参議院内閣委員会)に基づき、公務員連絡会との合意により実現すること。

11.その他の事項について
 国が民間事業者等に業務委託や入札等により、事務・事業の実施を委ねる場合においては、公正労働基準の遵守を必要条件とすること。

以 上