TOP 公務労協情報 2022春季生活闘争中央行動を実施-3/15
公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 19

2022春季生活闘争中央行動を実施-3/15

 公務員連絡会は15日、2022春季要求の実現をめざして中央行動を実施した。東京都に「まん延防止等重点措置」が実施されていることから、人事院前での支援行動、また全国からの組合員の参加は見送られたが、3年ぶりに全電通会館で開かれた中央集会には、各構成組織の専従役員を中心とした約50人が結集した。賃金の引上げ実現に向け連合の取組に結集するとともに、非常勤職員の待遇改善、超勤縮減施策の具体化などをめざし、回答指定日に向け闘う決意を固めた。

武藤議長による団結がんばろうで意思統一を図ると
ともに書記長クラス交渉委員を激励

 中央集会では、冒頭、主催者を代表して武藤議長が「2月24日にロシアがウクライナへ侵攻して以降、子どもを含め多くの民間人が犠牲となっている。プーチン大統領は原発への攻撃や核兵器の使用も示唆するなど、戦火は益々エスカレートしており、一刻も早い停戦とロシア軍の速やかな撤退に向け、岸田首相をはじめ全世界の首脳はあらゆる努力を模索しなければならない。また、新型コロナのパンデミックにより全世界の死亡者が600万人を超えるなか、国内においても第6波のオミクロン株による死者数はデルタ株より増加しており、オミクロン株の特性を踏まえた具体的な対策が必要となっている。このようななか、保健所や医療機関で働く仲間の皆さんは、感染者への対応や対策に連日不眠不休で取り組んでおり、心から敬意を表するとともに、公務・公共サービスの重要性が益々高まっていることの証左と言える。他方、2021年10~12月期のGDPは、前期比1.3%増、年率換算で5.4%増となっている。緊急事態宣言の9月の解除を受け、プラス成長は2四半期ぶりとなり、年間でも1.7%増であるが、5%を超える欧米との差は依然大きい状況にある。また、コロナ禍に加え、ウクライナ情勢による原油高や食料品の値上げなどの物価上昇により先行きは不透明な状況にある。2022春闘において、連合各構成組織は、明日16日の先行大手組合による集中回答指定日を中心に、今週が第1弾の山場となっている。要求が貫徹している組合がある一方で、新型コロナの影響で業績不振にあえぐ航空や観光・飲食業界などの組合では極めて厳しい状況が予想される。引き続き、民間組合を支援しつつ春闘相場の引き上げに寄与することが必要だ。公務員連絡会は、2月22日に川本人事院総裁と二之湯国家公務員制度担当大臣に要求書を提出して以降、それぞれの職場で昼夜職務に全力を尽くしている組合員の労苦に報いるため、賃金引き上げをはじめとする労働条件の改善に向け、各級段階での交渉・協議、人事院地方事務局への対応、各構成組織の取組などを積み上げている。 特に、賃金に関しては、初任給水準の改善・若手を中心とした官民格差の是正と定年引上げ後もにらんだ再任用職員の給与の改善が課題となっている。本日は、この後、書記長クラスによる交渉が行われるが、22日の川本総裁と23日の二之湯大臣との委員長クラスによる最終回答に向け、闘争態勢を堅持しつつ取組を強化しなければならない。解決・改善しなければならない課題は山積しているが、公務員連絡会は民間春闘を盛り上げ、全国の仲間の皆さんとともに本日の行動を貫徹することを確認し合おう。」と強く訴えた。

 このあと基調提起に立った森永事務局長は、「冒頭、2月1日に国会に提出された給与法等改正法案及び育休法等改正法案の国会審議の動向について報告する。両法案は、3月9日の衆議院内閣委員会で一括審議・採決を経て、10日の衆議院本会議で可決され、今後は、参議院で審議が進められる。昨日の内閣人事局との交渉においても、給与法等改正法案は、異例となる年度を超えた調整・減額という措置を講じているが、今回の措置は、特殊の状況下におけるあくまで例外的な調整の措置であり、少なくとも今後の前例としないことが不可欠であることを強く指摘し、民間準拠による公務員給与に対する社会的評価という観点も踏まえ、国会審議等を通じて、政府として、十分な説明責任を果たすことを強く求めたところ。引き続き、両法案の成立に向けて国会対策を強化していく。春闘情勢について、連合の春季要求の集計状況を見ると、昨年の要求水準は上回っているものの、コロナ禍前の水準には戻っておらず、報道を見る限り、業種・企業によって状況が大きく異なっている。今週が連合の集中回答ゾーンであり、本日から17日がヤマ場となるが、既に自動車大手で賃上げと一時金で満額回答がなされるなど、民間組合の奮闘に心から敬意を表したい。しかしながら、ウクライナ情勢を巡って先行き不透明な状況下で今後の経済に与える影響も危惧されるところであり、今後の民間組合の妥結状況等を注視していく必要がある。公務員連絡会における春闘について、実質的な賃金の決着は、人勧期、確定期に譲らざるを得ないが、昨日の交渉において、政府からは、2022年度の給与改定については、人事院勧告を尊重するという基本的な姿勢は変わりないことを確認している。この後の人事院との交渉では、官民給与の比較方法・企業規模については変更がないこと、また、民調のスケジュールは例年どおりの時期で行うことなどを明確にさせることとしている。また、賃金改善要求では、初任給を中心とする若年層における民間賃金との格差解消や再任用職員の給与制度の改善について、人勧期に向けて人事院との間で一定の認識共有をはかる。なお、喫緊の課題となる退職手当については、調査の結果を受けた人事院の見解表明に当たっては、前広な情報提供と十分な協議を求めることとする。さらに、2023年度からの定年引上げに向けた計画的な取組の推進や超過勤務時間の縮減に向けた職場における取組の具体化、非常勤職員の待遇改善などについても、各構成組織の労使交渉の場で積極的に議論をすすめていただきたい。春闘もこれからが本番となるが、中小及び地域民間構成組織、独立行政法人等関係組合の交渉強化に連帯し、すべての労働者の処遇改善を実現するため、連合、公務労協に結集し、取組を強化することをお願いし、基調提起とする」と提起した。

 構成組織決意表明には、髙嶋国公連合・全財務書記次長、八巻自治労労働条件局長、丹野日教組政策局長が、それぞれの取組課題を報告し、全力で闘い抜く決意を述べた。

 最後に、人事院前交渉支援行動の代わりとして、武藤議長の発声による「団結がんばろう」で、集会を締めくくった。

 この日に行われた人事院職員給与局長、職員福祉局長との交渉経過は次のとおり。

<職員福祉局長交渉の経過>
 合田職員福祉局長との交渉は、14時30分から行われた。
 森永事務局長が、現時点での回答を求めたのに対し、合田局長は以下のとおり答えた。

1.労働時間の短縮、休暇等について
 国家公務員の超過勤務については、平成31年4月から、超過勤務命令を行うことができる上限を人事院規則で設定している。その際、勤務時間管理については、超過勤務の運用の適正を図るため、課室長等による超過勤務予定の事前確認や、所要見込時間と異なる場合の課室長等への事後報告を徹底させるとともに、超過勤務時間の確認を行う場合は、課室長等や周囲の職員による現認等を通じて行うものとし、客観的な記録を基礎として在庁の状況を把握している場合は、これを参照することもできる旨を職員福祉局長通知で規定したところである。
 なお、各府省においては、「令和3年度における人事管理運営方針」により、勤務時間の状況の客観的把握を開始することとされており、人事院としても、これを受けた各府省における運用実態を踏まえた上で、客観的な記録を基礎とした超過勤務時間の管理を制度上の原則として示すことを予定している。
 各府省において、人事院規則に定める上限を超えて超過勤務を命じた者がいた場合には、その要因の整理、分析及び検証を行わなければならないこととしている。この超過勤務の上限の運用状況等について、昨年12月から勤務時間制度の担当課長が各府省人事担当課長等からヒアリングを行い、各府省における令和元年度の結果と比較した分析や、昨年度のヒアリング時に聴取した取組内容の進捗等について聴取している。また、上限を超えて超過勤務を命ずることができる特例業務の範囲や、他律的業務の比重が高い部署の指定の考え方について統一が図られるよう指導を行うとともに、医師による面接指導等を徹底することや、人員配置・業務分担の見直し等を通じて超過勤務を必要最小限のものとすることについて指導を行っているところである。
 引き続き、制度の適切な運用が図られるよう、必要な指導等を行ってまいりたい。
 なお、上限の基準別に上限を超えた職員の割合、上限を超えるに至った業務の内容などについては、職員団体の皆さんにも、近く情報提供することとしたい。
 勤務間インターバルの確保については、昨年7月に変更が閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」において、民間における勤務間インターバル制度の導入企業割合等について数値目標が設けられていることも踏まえ、本年1月から開催している「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」(座長:荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)において、公務における勤務間インターバル確保の方策についても検討を行っていくこととしている。
 なお、本年2月28日に開催した第2回研究会においては、職員団体からのヒアリングを行ったところであり、引き続き、職員団体の皆さんの意見も聴きながら適切に検討を進めていくこととしたい。
 両立支援制度を含む職員の休暇、休業制度については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところであり、引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
 昨年8月の意見の申出を踏まえた育児休業法改正法案は今国会において審議が行われており、今後、参議院での審議に入るところ。人事院としても、法案成立に向けて、努めてまいりたい。なお、民間育介法において今年4月から措置される措置に対応した非常勤職員の取得要件緩和については、2月17日に関係人事院規則を公布した。この改正規則では、本年4月から各省各庁の長等に対して育児休業を取得しやすい勤務環境の整備に関する措置等を義務付ける措置も盛り込んでおり、これに伴い、平成30年3月に本院が発出した「仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」の改正を行ったところ、これらの内容が各府省において徹底されるよう周知に取り組んでいく。
2.非常勤職員の休暇について
 非常勤職員の休暇制度等については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化(令和4年1月施行)などがある。
 今後も、引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。
3.障害者雇用について
 障害を有する職員が自らの希望や障害等の特性に応じて、無理なく、かつ、安定的に 働くことができるよう、平成30年12月にフレックスタイム制の柔軟化等を実現するための人事院規則等の改正(平成31年1月施行)を行うとともに、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
 このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っており、今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。
4.健康・安全の確保等について
 ハラスメント防止対策について、人事院は、令和2年4月、パワー・ハラスメントの防止等の措置を講じるための人事院規則を制定し、あわせて、セクシュアル・ハラスメント及び妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る人事院規則についても、所要の規定の整備を行い、同年6月に施行した。これらの人事院規則においては、ハラスメントの防止等のための各省各庁の長の責務や、研修等の実施、苦情相談への対応等が定められているところ、人事院はこれまで、研修教材の作成・提供や、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催など、各府省に対する支援を行ってきている。また、各府省における各種ハラスメント相談員の選定方法、配置の基準等について、担当者がいくつかの府省からヒアリングを行ったところであり、引き続き、課題の把握、必要な指導等を行っていきたい。今後も、各府省のハラスメント防止対策の実施状況を把握するほか、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーを引き続き開催し、研修用教材の改訂等を行うなど、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、必要な支援・指導を行ってまいりたい。また、苦情相談を含めた公平審査制度において、パワー・ハラスメントに関する事案についても人事院の役割を果たしてまいりたい。
 新型コロナウイルス感染症への対応については、これまで、感染拡大防止に資するよう、職場における感染拡大防止対策の周知、柔軟な時差出勤のための勤務時間割振りの特例措置、出勤困難な場合の特別休暇の取扱いに関する通知の発出、予防接種を受ける場合等における職務専念義務の免除などの対策を講じてきたところである。今後とも、感染状況等を注視しつつ、必要な対応を行ってまいりたい。

 回答に対し、森永事務局長は「春季要求事項に入る前に、現在、国会に提出されている「育休法等改正法案」は、3月9日の衆議院内閣委員会での質疑採決を経て、10日の衆議院本会議で可決され、今後は、参議院で審議が進められる。引き続き、法案成立まで、人事院として主体的な責任をもった対応をお願いする。なお、法改正後の人事院における、人事院規則をはじめとした措置の検討にあたっては、われわれとの十分な協議を求めておく」と述べたうえで、以下の課題について、職員福祉局長の見解を質した。

(1)非常勤職員の処遇改善について
 休暇・休業制度については、この間、公務員連絡会と人事院との協議の場において、現状の認識共有を含めて大変良い議論を積み重ねることができ、結果として多くの改善につながったと私どもとしては、評価している。引き続き、非常勤職員の待遇改善に向けて議論を継続していきたい。
 その上で、現状において、働き方改革の観点から、今夏の改善に向けて検討を行っている個々の休暇等はあるか。また、改善に至らない理由如何。
(2)超過勤務の縮減について
① 令和3年度における人事管理運営方針において、『勤務時間の見える化』に向け て、職員の在庁時間について、原則として令和3年8月までに客観的把握を開始することとされていたが、人事院として各府省庁の実態把握如何。また、各府省の実態を踏まえた人事院としての対応如何。
② 令和2年度の各府省における「上限を超えて超過勤務を命じた状況」は令和元年度と比較をして改善がはかられたのか状況及び認識如何。
また、取りまとめ結果については、情報提供するとのことだが、いつ頃になるか。その際、十分な説明と意見交換の場を求めておく。
③ 昨年の公務員人事に関する報告において、超過勤務手当の適正な支給について、あらゆる機会を通じて各府省に対する指導を行っていくとしていたが取組状況如何。また、長時間労働の是正に向けた指導を徹底するための体制整備として、職員福祉局職員福祉課に「勤務時間調査・指導室長」を令和4年度から配置する予定と承知しているが、その意義如何。
(3)2月28日に行われた、人事院の「テレワーク等の働き方に対応した勤務時間制度
等の在り方に関する研究会」において、公務員連絡会へのヒアリングの機会をいただき、感謝申し上げる。
 当日は、現状の職場実態、それを踏まえた働き方のあり方など、現時点における考え方を説明させていただき、委員各位と有意義な意見交換ができた。
最終的には、来年6月頃に報告を取りまとめるスケジュール感と伺っているが、引き続き、様々な場面を通じて議論をさせていただく。
 その上で、第1回の議事録を見ると「今年の6月頃の第4回に、それまでの議論を集約して早期に講ずべき事項というものについて方向性が一致するようであれば、中間報告のようなものをいただくことを考えている」とのことだが、現状においてどのようなことを想定しているのか。

 これに対し、合田職員福祉局長は次のとおり回答した。

(1)非常勤職員の休暇については、昨年夏の段階で「出生サポート休暇」新設をきっかけとして、妊娠、出産、育児に関する休暇をパッケージとして措置をしたものである。今年1月より付与されているが、実際に休暇を必要としている職員が取得できるように、職場の管理者に対応を求めていく。また、職員に対しても、どういった制度が利用できるのかの理解を進めていきたい。
 非常勤職員の休暇制度において、基本的考え方は、非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等も考慮するというもの。今までも職員団体と意見交換等を行ってきたが、お互い知恵出しをしながら進めていければと考えている。
(2)労働時間の短縮及び休暇、休業等について
① 基本的に、客観的把握の状況としてシステムの整備状況をふまえながら、整備できているところにはそれを客観的把握の基礎とすることを考えている。
平成31年2月1日発出の職福局長通知では、超過勤務の適切な把握として、課室長等による超過勤務予定の事前確認や終業見込時間の課室長等の事後報告を徹底させる、客観的な記録を基礎として、在庁状況を把握している場合はこれを参照することができる、とし、事前確認や事後報告を徹底しているが、システムが整備されている場合にはこれを参照して超勤を把握することができるよう、局長通知を改正しようと作業を進めているところである。
② 令和2年度における、上限を超えた状況について、要因は、調査票の形で各省から提出を求め、分析を行い、「どういう取組をして超えたのか」を課長レベルで指導している。令和2年はコロナ対応が非常に多かったため、上限を超える職員が増加したと認識している。要因の分析はもう少し時間が掛かるが、超えた職員の人数、パーセンテージについては近く共有できる。
 ヒアリングにおいて、超過勤務を改善しないといけないという認識は、すべての省庁が持っている。省庁によっては大臣も関与したうえで、局、課において超過勤務の縮減に向けた取組を行っている。しかし昨年8月の勧告・報告で述べたように、行政部内だけでは対応できず、長時間の超過勤務に及んでいるケースもある。そういった場合においても健康管理をしっかりと行う等の対応をする必要がある。また、国会のご理解も含め、全体で超過勤務の縮減に向けて取り組んでいく。
③ 超過勤務手当の支給については、国会の場でも質問されたが、勤務時間外の勤務は命令の下で行わせ、手当を支給するということは法律上の義務である。必要な分は予算要求をする必要があり、来年度の予算では、措置がされるものと認識している。また、新しく4月からできる「勤務時間調査・指導室長」については、超過勤務手当の支給状況について、監査の場なども利用して、取組をいっそう強化していくことを考えている。
(3)第2回研究会のヒアリングに参加いただき感謝申し上げる。今後の研究会の議論を踏まえ、人事院の施策の展開を考えながら、今年の夏の段階で骨格が定まったものに関しては、報告等で言及することも考えたい。

 最後に、森永事務局長から「本日の議論も含めて、22日には、要求に沿った積極的な回答を求める」と強く要請し、職員福祉局長交渉を締めくくった。

<給与局長交渉の経過>
 佐々木給与局長との交渉は、15時から行われた。
 森永事務局長が、現時点での回答を求めたのに対し、佐々木局長は以下のとおり答えた。
1.賃金要求について
 最近の経済情勢についてみると、2月の月例経済報告は、景気は「持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。」と基調判断を引き下げており、先行きについては、「持ち直していくことが期待される。ただし、感染拡大による影響や供給面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。」等としているところ。また、1月の景気動向指数の速報においては、「足踏みを示している」との基調判断を示しており、今後の景気の動向を注視している。
 次に雇用情勢についてみると、本年1月の有効求人倍率は1.2倍と昨年同月比で0.12ポイント上昇し、また、完全失業率は2.8%と昨年同月比で0.2ポイント低下している。
 今年の春闘について、連合は、賃上げ要求について「産業の『底支え』『格差是正』に寄与する『賃金水準追求』の取り組みを強化しつつ、これまで以上に賃上げを社会全体に波及させるため、それぞれの産業における最大限の『底上げ』に取り組む。賃上げ分2%程度、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度の賃上げを目安とする。」との目標を掲げ、その実現に向けて取組を進めることとしているものと承知している。
 経団連は、「業種や企業による業績のばらつきが拡大する中、2022年の春季労使交渉・協議においては、業種横並びや一律的な賃金引上げの検討ではなく、各企業が自社の実情に適した賃金決定を行うとの『賃金決定の大原則』に則った検討が重要となる。『成長と分配の好循環』実現への社会的な期待や、企業の賃金引上げの環境整備に向けた政府の支援策をも考慮に入れながら、企業として主体的な検討が望まれる。」とした上で、「基本給においては、制度昇給(定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給)や、賃金水準自体を引き上げるベースアップについて、各企業が自社の収益状況に基づいて検討する必要がある。」としているところである。
 経済情勢が不透明感を増す中で、順次行われる経営側からの回答の動向を注視していくこととしている。
 いずれにしても国家公務員の給与について、人事院としては例年と同様、情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査した上で、その精確な比較を行い、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしている。
 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、必要となる検討を行ってまいりたい。
 再任用職員の給与については、これまでも適時見直しを行ってきており、引き続き民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、定年引上げに伴い設けられる定年前再任用短時間勤務制等も含めた各府省における再任用制度の運用状況を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、再任用職員の給与の在り方について必要な検討を行ってまいりたい。
2.非常勤職員の給与について
 非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省において適正な給与の支給が行われるよう、必要な指導を行ってきている。この指針は、これまで2度改正し、期末手当及び勤勉手当に相当する給与の支給に関して取り組むべき事項を追加するなどの見直しを行い、現在、これに基づく各府省の取組が進んでいるところであり、引き続き、職員団体の皆さんの意見も聞きながら常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
3.高齢者雇用施策について
 人事院においては、各府省等及び職員団体からの意見等も踏まえつつ検討を行い、令和4年2月18日に定年の段階的引上げに伴う規則の制定・改正等を行ったところ(令和5年4月1日施行)である。人事院としては、高齢層職員の能力及び経験の本格的な活用に向けて、定年の引上げが円滑に行われるよう、規則等の内容を周知するなど、必要な準備を進めていくこととしている。

 回答に対し、森永事務局長は「春季要求事項に入る前に、現在、国会に提出されている『給与法等改正法案』は、3月9日の衆議院内閣委員会での質疑採決を経て、10日の衆議院本会議で可決され、今後は、参議院で審議が進められる。引き続き、民間準拠による公務員給与に対する社会的評価という観点から、人事院においても、万全な対応を求めておく」と述べたうえで、以下の課題について、給与局長の見解を質した。

(1)賃金要求について
① 春闘情勢については、連合春季要求の状況を見ると、2021年よりは要求水準を上回っているが、コロナ禍以前には戻っていない。また、報道によれば、業種、企業によって状況が異なることが見て取れる。明日が集中回答日となるが、自動車大手等では、月例、一時金ともに満額回答という報告がなされている一方、ウクライナ情勢など先行き不透明な経済状況下での人事院としての認識如何。
② 官民給与の比較方法・企業規模については、変更がないということでよいか。また、職種別民間給与実態調査のスケジュールは例年どおりの時期に行うことで準備を進めているということでよいか。
③ 初任給を中心とする若年層における民間賃金との格差の解消は、喫緊の課題であると認識しているが、昨年の人勧期の給与局長との経過も踏まえて、改めて、人事院としての認識如何。
④ 諸手当について
人事院において、テレワーク(在宅勤務)に関する手当を導入している民間企業等に関するヒアリングを実施したと承知しているがその状況如何。また、令和4年度民調に向けて調査項目の検討・調整を行っていくとのことだがその検討状況如何。
⑤ 定年引上げ後の60歳超職員の給与との整合を含めた再任用職員の給与の改善については、2023年度(令和5年度)からの定年引上げに向けた課題となるが、この間、要求している手当の支給など、できるところから改善していくべきと考えるが認識如何。
⑥ 退職手当については、既に、民間の退職給付制度の調査が終了し、集計・分析等の作業を行っていると承知しているが、現状明らかにできることはないか。改めて、調査の結果を受けた人事院の見解表明にあたっては、前広な情報提供と十分な協議を求めておくがよいか。

 これに対し、佐々木給与局長は次のとおり回答した。

(1)賃金要求について
① ウクライナ情勢は、今後様々なところに影響が出てくるものと考える。春闘の経過も注視していくが、これから夏にかけて、賃金、ひいては国の経済がどうなっていくか、今まで以上に注意深く見ていきたい。
② 比較方法、企業規模とも、現時点では現行方式が妥当と考える。スケジュールについても、例年どおりで進めるよう、準備を行っている。
③ 民間との格差は認識している。一昨年、昨年は民間との官民較差が小さかったことから、初任給についても格差解消できないまま今年に至っている。昨年の人勧期のやり取りで示した問題意識は引き続き持っている。
④ 昨年民調で調査し、在宅勤務手当について個別企業からのヒアリングを行った。また、今後、各府省においてもテレワークについて費用負担等のヒアリングを行っている。今年の民調でも、在宅勤務手当について、改めて把握する方向で準備をすすめている。
⑤ 暫定再任用及び再任用短時間勤務職員については、現行の再任用職員の給与を基本に措置されることになる。再任用職員の給与については、手当等をはじめ各府省からも改善要望が出ており、必要な検討を行ってまいりたい。
⑥ 現状では、先日の審議官の会見のとおりである。前回の調査では、4月19日に結果及び見解が公表された。今回もそれと同じくらいの時間を要するものと見込んでいる。
 次に、森永事務局長は以下の課題について、給与局長の見解を質した。

(2)非常勤職員等の雇用・労働条件の改善について
 一時金については、昨年7月の「非常勤職員の給与に関する指針の改正」を踏まえ、公務員連絡会における春闘期の取組として、関係構成組織において、期末・勤勉手当の支給実態を把握し、待遇改善に向けて労使交渉の場で積極的に議論することとしている。人事院には、今年6月の一時金の支給状況を踏まえて、各府省の状況等について必要なフォローアップを行うよう求めるが、先の回答では「今後、いずれかの段階で確認を行っていく」とのことだったが、いつ頃を想定しているのか。
(3)高齢者雇用施策について
 昨年6月の国公法改正を踏まえ、人事院におかれては、6月に「定年の段階的引上げに関する措置の概要(案)」、その後12月には、「定年の段階的引上げに伴う人事院規則の制定等に係る措置要綱(案)」について策定され、それぞれ、担当課においては、多忙ななかにあって、公務員連絡会に対する説明の場、また、質問要望等に対して対応いただいたことには改めて感謝申し上げる。
 2月18日には人事院規則の公布及び各種通知の発出等が行われ、今後は、各省段階において環境整備をはかっていくこととなるが、引き続き、人事院として円滑な実施に向けて役割を適切に果たしていただきたい。
 その上で、定年引上げに関わる人事院規則の公布及び各種通知等の発出は全て完了したという理解で良いか。

 これに対し、佐々木給与局長は次のとおり回答した。

(2)非常勤職員等の雇用・労働条件の改善について
 各府省の状況把握について、具体的にいつとは申し上げられないが、随時、各省には指導等を行っていきたい。
(3)高齢者雇用施策について
 定年の段階的引上げに関して、規則の改正、通知など基本的なものは全て出し終えた。各府省への個別の通知が、若干残っているのみである。

 最後に、森永事務局長から「今夏の人勧期に向けて、春季要求事項について一定の認識共有をはかることができたものと考えるが、22日の総裁回答がわれわれの要求内容に則した内容となるよう、積極的な回答を求める」と要請し、給与局長交渉を締めくくった。