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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 23

民間退職給付の調査等に関わり人事院交渉-4/13

 公務員連絡会は、13日13時30分から民間退職給付の調査等に関わり人事院給与局長交渉を実施した。この交渉は、人事院が退職給付の官民比較結果に基づく見解表明を行う場合には、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づいて進めるよう求めてきたことを踏まえ実施したもの。公務員連絡会は書記長クラス交渉委員が交渉に臨んだ。

冒頭、森永事務局長が、民間企業の退職給付制度等の調査結果の公表と見解表明に向けた検討状況を質した。

 これに対し、佐々木給与局長は以下のとおり回答した。
○ 令和3年7月、国家公務員の退職給付制度を所管している内閣総理大臣及び財務大臣から人事院総裁に対し、民間の退職金及び企業年金の実態調査の実施と見解の表明についての要請があった。
○ これを受けて、本院は、職員の給与等を担当する専門機関として、平成18年、平成23年及び平成28年に政府からの要請を受けて調査を実施した経緯があることなどを踏まえ、退職給付(退職一時金及び企業年金)の調査を行ったところである。
  現時点での状況についてお答えする。
 ① 昨年12月28日に調査期間が終了し、現在、調査の集計の整理・分析を行っているところ。4月18日の週を目途に内閣総理大臣、財務大臣に調査結果と見解を示せるよう作業を急いでいる。
 ② 民間企業の退職給付の調査については、標本企業7,562社のうち、回答のあった3,677社について集計を行っており、十分信頼できる調査結果が得られたものと考えている。標本企業から調査時において企業規模不適であったもの等を除いたものに対する回答割合は50.0%であった。
 ③ 調査に当たっては、過去3回の調査と同様、企業規模50人以上の企業を対象とし、退職給付支給額については、勤続20年以上で退職した大卒又は高卒の事務・技術関係職種の常勤従業員を対象としている。
④ 退職給付の官民比較に当たっては、退職事由別、勤続年数別に退職給付額を対比させ、国家公務員ウエイトでラスパイレス比較を行っている。
 ⑤ 比較の結果については、鋭意集計中であり、まだ申し上げられる状況にはないが、前回調査結果を受けて退職手当法が改正され、公務の水準も引き下がっている状況において、公務が上回るとしても、それほど大きな差にはならないものと見込まれる。

 これに対して森永事務局長は、以下のとおり質した。
(1)退職給付の水準は、退職後の職員及び家族の生活設計に大きく影響するものであり関心も極めて高いことは言うまでもない。しかしながら、今日の段階において、「公務が上回るとしても、それほど大きな差にはならない」という曖昧な回答に止まっていることは遺憾である。「それほど大きな差」というのは、どの程度のものか。もう一歩踏み込んだ再回答を求める。
(2)退職給付調査の完了率が50.0%であり、前回の完了率より落ち込んでいることに対する認識如何。
(3)退職給付制度がある企業数について、過去3回の調査においては、90%を超えていたが、今回の調査結果如何。
(4)民間企業の退職一時金及び企業年金の各制度の状況について、前回調査と比較して変化した点があれば明らかにされたい。また、退職一時金と企業年金の割合は前回と比較してどのような状況か。
(5)企業年金原価額の算出方法は前回調査と同様か。換算率について、厚生労働大臣告示により定められている企業年金の最低積立基準額算出の割引率は前回調査年度の1.90%から0.81%に下がっているが与える影響如何。
(6)国家公務員の定年退職者等を取り巻く環境として、給与等の取扱いを含め、前回調査と比較して変化はあるか。
(7)今回の「公務が上回るとしても、それほど大きな差にはならない」との、官民比較結果を踏まえて、人事院の見解の内容如何。

 これに対し佐々木給与局長は、以下のとおり回答した。
(1)その点も含めて、まだ申し上げられる状況にはない。
(2)前回の調査の完了率を下回る数字であるが、個人別の退職給付支給額については前々回の調査と同程度のデータを得られており、統計的には十分信頼できる調査結果と考えている。
(3)退職給付制度がある企業の割合は92.3%であり、過去の調査と同程度である。
(4)企業年金がある、または企業年金と退職一時金を併用している企業の割合は減少している。他方で退職一時金がある企業は増加している。企業年金の中でみると、確定給付企業年金と確定拠出年金の割合が増加しており、厚生年金基金が減少している。厚生年金基金の減少については厚生年金保険法等の一部改正により平成30年度末まで他の企業年金への移行措置や特例的な解散制度の導入が行われており厚生年金基金の数が減少し、別のものに置き換わるといったことが影響していると考えている。また退職一時金と企業年金の割合について、退職一時金が4割、企業年金が6割と、企業年金の割合がやや多いが、そのウェートについて退職一時金が増え、企業年金が減るといった傾向がみえている。
(5)同様である。厚生労働大臣告示による企業年金の最低積立基準額算出の割引率は毎年変わる。割引率は官民双方共通に適用され、率が変わっても官民どちらにも同じように適用されるものであり、適切であると考えている。
(6)退職手当の水準自体が引き下げられているほか、55歳超職員の標準の勤務成績での昇給停止、高位の号俸から昇格した場合の俸給月額の増加額を縮減など、高齢職員の給与水準上昇の抑制措置がとられており、到達する俸給月額の水準自体が一定程度抑制されていることによる影響もあると考えている。
(7)現在、鋭意調査結果の集計中であり、集計結果を踏まえてお示しする。

 最後に森永事務局長が、「繰り返しになるが、この課題は、退職後の職員及び家族の生活設計に大きく影響するものであり組合員の関心も極めて高い。来週の見解表明に向けては、今日のやり取り等も踏まえて慎重に対応するよう求めておく」と強く要望し、本日の交渉を終えた。