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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 30

人勧期要求をめぐり連絡会幹事クラスが人事院交渉-7/13

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は7月13日13時30分から、2022年人勧期要求に関わり、大滝人事院職員団体審議官との交渉を実施した。交渉冒頭、高柳副事務局長が「6月20日に本年の人事院勧告に関わる要求書を人事院総裁に提出した。要求に対する現時点での回答を伺いたい」と求めたのに対し、大滝審議官は「令和4年勧告期要求について、現段階における検討状況についてお答えする」として次のとおり回答した。

1.勧告等について
(1) 勧告作業について
  今年の職種別民間給与実態調査は、4月25日から6月17日までの期間で実施したところであり、現在集計中である。
  本年も労働基本権制約の代償機関として、人事院としての責務を着実に果たすよう、国家公務員の給与と民間企業の給与の精緻な調査に基づき、その精確な比較を行い、必要な勧告、報告を行いたいと考えている。
(2) 賃金の改善について
  月例給与・一時金については、現在、民調結果を集計中であり、今の段階では何とも言えない状況である。
  本年においても民調の結果に基づき、適切に対処したいと考えている。
(3) 諸手当について
  諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、必要となる検討を行っていくこととしたい。
(4) 再任用職員の給与について
  再任用職員の給与については、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、定年引上げに伴い設けられる定年前再任用短時間勤務制等も含めた再任用制度の各府省における運用を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、引き続き必要な検討を行っていくこととしたいと考えている。

2.新型コロナウイルス感染症への対応について
 新型コロナウイルス感染症への対応については、これまで、感染拡大防止に資するよう、職場における感染拡大防止対策の周知、柔軟な時差出勤のための勤務時間割振りの特例措置、出勤困難な場合の特別休暇の取扱いに関する通知の発出、予防接種を受ける場合等における職務専念義務の免除などの対策を講じてきたところである。今後とも、感染状況等を注視しつつ、必要な対応を行ってまいりたい。

3.労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮等について
(超過勤務の縮減、上限規制について)
  各府省においては、人事院規則に定める上限を超えて超過勤務を命じた場合には、その要因の整理、分析及び検証を行わなければならないとしており、その結果を活用して超過勤務の更なる縮減に向けて取り組んでいる。人事院としても、各府省の令和2年度の整理、分析及び検証の状況について報告を受け、それを踏まえて、昨年11月から本年3月にかけて、勤務時間の担当課長が各府省人事担当課長等にヒアリングを行った。その際、特例業務の考え方や、他律的業務の比重が高い部署の指定の考え方、業務の状況を踏まえた指定の見直しについて、各府省における運用の統一がより図られるよう、指導・助言を行ったところである。超過勤務の上限を超えた職員等については、各府省から把握した状況を整理した上で、本年5月に公表するとともに、各府省や職員団体に共有している。
  また、本年4月1日に、超過勤務の縮減に向けた指導を徹底するため、勤務時間調査・指導室を新設した。各府省における超過勤務の実状を把握し、超過勤務の上限規制が適切に運用されるよう、指導・助言を行うこととしており、6月から実施している。
  引き続き、令和3年度に上限を超えて超過勤務を命じた場合における各府省による要因の整理、分析及び検証の状況を把握するとともに、制度の適正な運用に向け、勤務時間調査・指導室を通じて、各府省への指導・支援を行ってまいりたい。
(テレワークをはじめとする労働の柔軟化について)
  本年1月から、学識経験者により構成する研究会を開催し、各府省の運用状況や民間の動向等を踏まえつつ、フレックスタイム制の柔軟化や勤務間インターバル確保の方策など、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方について検討を行ってきている。7月12日には、フレックスタイム制及び休憩時間の柔軟化について、職員団体の皆さんの意見も踏まえて、中間報告が行われたところである。
  また、テレワークに関する給与面での対応については、令和3年の勧告時報告において、人事院として研究を進めていく旨述べたところ。その後、人事院では、既に在宅勤務手当を導入した民間企業に対するヒアリングや、公務におけるテレワークの実態等を把握するための各府省ヒアリングを実施したほか、本年の職種別民間給与実態調査においても、民間企業における在宅勤務手当の支給状況等について調査を行っている。これらの結果も踏まえ、引き続き検討を進めてまいりたい。
(休暇制度等の改善について)
  本年1月から出生サポート休暇を新設したことや、本年4月から各省各庁の長等に対して育児休業を取得しやすい勤務環境の整備に関する措置等を義務付けたこと等に伴い、本年3月、「仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針」の改正を行い、「妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援制度の活用に関する指針」として発出したところであり、これらの内容が各府省において徹底されるよう周知に取り組んでまいりたい。
  出生サポート休暇については、制度導入当初の周知啓発の重要性にも鑑み、取得したい職員が取得できるよう、各府省への指導や周知啓発等に取り組むこととし、各府省の実態の把握等については、今後必要に応じて検討してまいりたい。
  職員の休暇については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところであり、今後も社会情勢等を踏まえつつ、制度の改善や環境整備に努めていきたいと考えている。
  また、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正に伴う人事院規則等の改正の10月1日施行分については、本年5月、各府省・職員団体に措置要綱案をお示しし、意見をお聞きした上で、本年6月、人事院規則等を公布・発出したところである。
(2) 障害者雇用について
  障害を有する職員が自らの希望や障害等の特性に応じて、無理なく、かつ、安定的に働くことができるよう、平成30年12月にフレックスタイム制の柔軟化等を実現するための人事院規則等の改正(平成31年1月施行)を行うとともに、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
  このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っている。今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。
(3) 女性国家公務員の採用等の推進について
  女性職員の採用・登用の拡大等については、政府全体で取組が進められており、人事院としても、女性を対象とした人材確保活動や女性職員の登用に向けた研修、両立支援策、ハラスメント防止対策等により各府省の取組を支援してきている。
  人事院としては、今後とも、各府省の具体的な取組が進むよう支援していきたいと考えている。
(4) 福利厚生施策について
(心の健康づくり対策について)
 心の健康づくりについては、これまでも研修の充実・強化、心の健康相談室の運営、ストレスチェック制度の実施など、様々な取組を行い対処してきたところである。引き続き心の健康づくり対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えている。
(ハラスメントの防止について)
 人事院は、令和2年4月、パワー・ハラスメントの防止等の措置を講じるための人事院規則を制定し、あわせて、セクシュアル・ハラスメント及び妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントに係る人事院規則についても、所要の規定の整備を行い、同年6月に施行したところである。これらの人事院規則においては、ハラスメントの防止等のための各省各庁の長の責務や、研修等の実施、苦情相談への対応等が定められているところ、人事院はこれまで、各府省における取組状況を把握しつつ、研修教材の作成・提供や、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーの開催など、各府省に対する支援を行ってきているところである。今後も、各府省のハラスメント防止対策の実施状況を把握するほか、各府省のハラスメント相談員を対象としたセミナーを引き続き開催し、研修用教材の改訂等を行うなど、各府省においてハラスメント防止対策が適切に実施されるよう、必要な支援・指導を行ってまいりたい。また、苦情相談を含めた公平審査制度において、パワー・ハラスメントに関する事案についても人事院の役割を果たしてまいりたい。

4.高齢者雇用施策について
  人事院においては、各府省等及び職員団体からの意見等も踏まえつつ検討を行い、令和4年2月18日に定年の段階的引上げに伴う規則の制定・改正等を行ったところ(令和5年4月1日施行)。人事院としては、高齢層職員の能力及び経験の本格的な活用に向けて、定年の引上げが円滑に行われるよう、規則等の内容を周知するなど、必要な準備を進めていくこととしている。具体的には、各府省等に対し、60歳以降に適用される任用、給与、退職手当の制度をとりまとめた情報提供パンフレット等を作成し、提供するとともに、地方機関も含めた人事担当者等を対象に制度説明会を実施するなどしているところ。
  また、定年引上げに係る国家公務員法改正法附則で検討事項とされた給与制度の検討に当たっては、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、民間企業における状況等や公務の人事管理の状況等を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、検討してまいりたい。
  
5.非常勤職員制度等について
(1) 非常勤職員の給与について
  非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省において適正な給与の支給が行われるよう、必要な指導を行ってきている。この指針は、これまで2度改正し、期末手当及び勤勉手当に相当する給与の支給に関して取り組むべき事項を追加するなどの見直しを行い、現在、これに基づく各府省の取組が進んでいるところであり、引き続き、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
  これまでも、指針に基づく各府省の取組状況等については、定期的にフォローアップを行っているところであり、昨年7月に改正した特別給に相当する給与の支給月数に係る取扱いについても、具体的な時期や方法等については未定であるが、今後いずれかの段階で確認することを考えている。
(2) 非常勤職員の休暇等について
  非常勤職員の休暇制度等については、業務の必要に応じて、その都度、任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化(令和4年1月施行)、育児休業、介護休暇等の取得要件の緩和(令和4年4月施行)、子が1歳以降の育児休業の取得の柔軟化(令和4年10月施行)などがある。
  今後も、引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。
(3) 期間業務職員制度について
期間業務職員制度は、従来の日々雇用の非常勤職員の在り方を見直すため、職員団体をはじめ各方面の意見等を踏まえ、平成22年10月に導入したものであり、人事院は、各府省において、本制度を設けた趣旨に則った適正な運用がなされるよう、制度の周知徹底や指導助言を行うなどして取り組んでいる。

 高柳副事務局長は回答を踏まえ、5点の課題についてさらに人事院の見解を求めた。

1.いま説明があった通り、本年の民間賃金実態調査については、コロナの影響による調査の遅れなどの問題もなく、予定通り終了したものと承知している。
その上で、協力事業者の数や回収率など、いずれの項目も例年並みあるいは当初想定した程度の数値は得られたと理解して良いか。一方、国公の実態について、平均年齢など特徴的な点は何かあるか。
 さらに、現時点で勧告の時期について、イメージはあるか。通常通りのスケジュール感であると想定しておいて良いか。

2.月例賃金について、要求書提出時に武藤議長からも申し上げた通り、本年の春季生活闘争の結果は、連合・経団連ともに、近年にない水準を達成している。また、6月には印刷局・造幣局の中労委での調停作業が行われ、引き上げの調停案が示され、労使ともに受諾したところであり、これも近年にない水準である。
 このように、国家公務員給与の引き上げの社会的環境は十分に整っていると考えているが、一方で、5月の消費者物価指数が、2か月連続で前年比2%を超える上昇となるなど、国民の生活は強く圧迫を受けているのが今日の実態である。
従って、国家公務員の給与について、仮に現状維持だとすれば、実質的な引き下げとなってしまうし、また、地方公務員や地域の民間労働者などにも多大なマイナスの影響を与えるということを指摘しておきたい。そのような認識のもと、一時金も含めた引き上げ勧告を行うことを強く求めておきたい。

3.国公初任給の民間との格差について、この間私どもは、有為な人材の確保という観点からも放置できないという見解を示し、昨年来人事院も、問題意識を持っているとの認識を示してきているところ。本年の官民較差は未だ不明であるとしても、この10年近く、民間との水準差は一貫して続いており、いずれにしても何らかの手立てが必要であると思うが、認識如何。

4.高齢層職員の給与関連で2点お聞きする。
(1)再任用職員の給与関連について、来年春以降は、60歳台前半層において、定年が引き上がる職員、暫定再任用職員、定年前再任用短時間勤務職員が存在する形となる。一方、現行の再任用制度においても、私どものみならず、各府省当局からも、生活関連手当の支給などの要望も少なくないものと認識している。
 そもそも再任用制度は、制度発足当初と位置づけも大きく変わっているし、この間新たに支給されることになった手当なども存在している。改めて高齢層職員全体のバランスをはかる措置が必要ではないかと考えるが、この点について、見解をお聞かせいただきたい。

(2)改正国公法附則16条に示された給与制度の検討について、内容の重要性から言っても、2031年の直前に整備すればよいという話ではないと認識している。この点について、スケジュール的なものも含めて、現段階での考えをお聞かせいただきたい。

5.手当関連について、「必要な検討を行う」との回答であったが、具体的に4つほど伺いたい。
(1)本年の民調において実施した在宅勤務関連手当の支給状況等について、調査結果から得られた傾向など、現時点で示せる点はないか明らかにされたい。関連して、審議官から報告いただいた通り、昨日のテレワーク等の研究会では、私どもの意見も踏まえた形で、「中間報告」がまとまったものと承知している。勧告時報告以降、人事院規則の改定等の作業が行われるものと推察しているが、一定の案がまとまった段階で、改めて私どもの意見を聞く機会を予め求めておきたい。
(2)人事院規則で10年ごとの見直しが明定されている地域手当について、前回の見直しは、2003年から2012年までの厚労省の調査データに基づき、2014年の勧告で支給地域の見直し等が行われたものと承知している。地域手当のあり方については、私どものみならず、各方面からの要望等も少なくないものと認識しているが、現時点での認識・見解をお伺いしたい。
(3)寒冷地手当について、4月に気象庁が「メッシュ平年値2020」を公表したが、新たなデータに基づく支給地域や水準の見直しなど、現時点での認識・見解をお伺いしたい。
(4)扶養手当、特に配偶者手当のあり方について、政府の懇談会の報告等でも問題意識が示されている。2016年にも見直しがされたところであるが、現時点での認識・見解をお伺いしたい。

 これに対し、大滝審議官は以下の通り回答した。
1.職種別民間給与実態調査、国家公務員給与等実態調査については、いずれも予定どおり調査が終了し、現在、集計等を行っているところである。
 このように、職種別民間給与実態調査、国家公務員給与等実態調査の集計等を行っている状況であるので、勧告の時期について、現時点でお答えすることは困難である。

2.春闘情勢や物価の上昇等を踏まえた引き上げ勧告の要請に関しては、繰り返しになるが、民間準拠(職種別民間給与実態調査の結果)に基づき適切に対応することが人事院の基本姿勢である。職員団体の皆さんからこのような要求があるということについては真摯に受け止めたい。

3.初任給については、職種別民間給与実態調査で把握した民間初任給の状況を集計しているところであり、得られた結果も踏まえて、適切に対応してまいりたい。

4.(1)再任用制度を取り巻く状況が制度発足当初に比べて変わってきていることはご指摘のとおりであり、これまでも平成27年4月から単身赴任手当を支給するなど、必要な見直しを行ってきたところである。
 人事院としては、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、定年引上げに伴い設けられる定年前再任用短時間勤務制等も含めた各府省における運用を踏まえて、職員団体の皆さんのご意見も聞きながら、引き続き再任用職員の給与の在り方について必要な検討を行ってまいりたい。
(2)改正法附則で検討事項とされた給与制度の検討に当たっては、現段階でスケジュールのようなものをお示しすることはできないが、民間企業の状況や公務の人事管理の状況を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聞きながら検討していくという人事院のこれまでのスタンスに変わりはない。

5.(1)在宅勤務関連手当の支給状況を含め、本年の民調結果については、現在集計中であり、現時点でお示しできるものはない。また、テレワーク等の研究会に関連して、勧告時報告以降、一定の案がまとまった段階で、改めて、意見を聞く機会を求めておきたいとのことだが、ご要望は承った。
(2)地域手当の在り方については、各方面から様々なご意見・ご要望をいただいている。他方、地域手当は、地域の民間賃金水準を国家公務員給与に適切に反映させるための手当であり、国民の理解を得るためにも、客観的なデータに基づいて統一的な基準により定めることが必要であると考えている。御指摘のとおり、地域手当については、支給地域等を10年ごとに見直すことを例とする旨規定されており、次回の見直しに向けて、必要な分析・検討を進めてまいりたい。
(3)本年4月に気象庁が「メッシュ平年値2020」を公表したことは承知している。寒冷地手当については、平成27年度に支給地域等の見直しを行ったところであり、地域手当等と異なり見直し時期に関する法令の定めはないが、今後、新たなデータの内容等について分析を進め、必要な検討を行ってまいりたい。
(4)国家公務員の扶養手当については、民間準拠の原則の下、民間企業の家族手当の支給状況等を踏まえて必要な改定・見直しを行ってきている。配偶者に係る扶養手当については、平成28年勧告に基づき、手当額を6,500円とする等の見直しを行ったところであるが、同年の報告において、「税制及び社会保障制度の見直しの状況や民間企業における配偶者に係る手当の見直しの状況に応じ、国家公務員の配偶者に係る扶養手当について、必要な見直しを検討していくこととしたい」と言及した。引き続き、民間企業における動向等について注視しつつ、必要な検討を行ってまいりたい。

 さらに、高柳副事務局長はその他の労働条件等について、2点の課題について人事院の見解を求めた。

1.回答にあった、5月25日に公表された各府省における「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等について」によれば、2019年度と比して、コロナ対応による超過勤務が計上されたことを考慮する必要はあるものの、全ての項目において「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合」は増えている。また、昨年秋に私どもが実施した「生活実態調査」においては、サービス残業があったと回答した職員が14.2%と前年からほとんど改善しておらず、引き続き大きな課題が残されている実態も明らかとなっている。
 新設された勤務時間調査・指導室が十分な役割を果たすことを期待するが、人事院規則も踏まえながら、他律部署の指定における全府省統一的な基準の明確化や特例業務の範囲の厳格化等が求められていると考えるが認識如何。

2.非常勤職員に関して2つお尋ねしたい。
(1)回答にあった「非常勤職員の給与に関する指針」に基づき、今般の給与法の改正を踏まえ、本年6月期の一時金についても、常勤職員と同等とみなされる非常勤職員については、削減措置がなされたものと認識している。
 「特別給に相当する給与の支給月数に係る取扱いについても、今後いずれかの段階で確認することを考えている」とのことであるが、指針を示した主体として、人事院は、各府省の支給状況について、調査し、全体を把握する必要が当然にあると認識する。その上で、問題点があれば、各府省を指導する必要があると思うが認識如何。また、調査結果については、私どもにも情報提供をしていただきたい。
(2)両立支援に関わって、本年1月1日実施分、4月1日実施分、そして10月1日に施行される予定の分があると認識している。引き続き、各府省が誤った運用を行わないよう指導し、また当該職員への周知を促す等を精力的に行っていただきたい。
 また、この間各種休暇制度については、相当改善されてきたとは認識しているが、無休である休暇の有給化など、更なる常勤職員との均等待遇が必要である。この点について、強く求めておきたい。

これに対し、大滝審議官は以下の通り回答した。
1.超過勤務の削減という課題に関して、例えば、特例業務については、各府省における整理・分析・検証の結果を取りまとめてみると、多くは各府省共通の類型に含まれている。
他方で、各府省固有の特例業務については、各府省における業務の特性の違いに由来するのでやむをえない面もあるが、各府省において説明責任を果たす観点から、範囲を最小限のものとするよう指導している。
 また、「他律的な業務の比重が高い部署」(他律部署)の指定については、一部の府省において、人事院の指導を受けて、他律部署の指定の見直しを行い、その割合を引き下げた例もあることから、引き続き指導・助言を徹底してまいりたい。

2.非常勤職員の給与に関して、指針に基づく各府省の取組状況等については、機会を捉えて各府省から状況を聴取し、必要な指導を行ってきているところである。人事院が行うフォローアップは、各府省の取組状況を把握し、必要な場合には指導を行うことを目的として行うものであり、公表を目的としたものではないことから、この結果をそのまま提供することは困難であることはご理解いただきたいが、人事院としても、各府省の取組状況を把握していくことは重要であると考えており、引き続き、昨年の改正部分に係るフォローアップも含め、適切に対応してまいりたい。また、両立支援制度の周知や休暇制度のご要望についても、担当部局ときちんと共有することとしたい。

 また、各交渉委員からは、「在宅勤務に係る手当について、本年の勧告に向けて措置する、しないという点も含めて検討しているという認識でよいか」、「物価上昇局面により組合員の生活は大変厳しい。初任給、若年層における民間との格差解消も含め、あらためて月例給、一時金の引上げを求める」、「地方における燃油の高騰等も踏まえた各種手当の見直しをお願いしたい」、「新幹線通勤に関する手当について改善が進まない理由は何かあるか」と発言があった。これを受け、大滝審議官は「在宅勤務手当については検討中である。それぞれの手当について問題意識は承知した。皆さんからいただいたご意見、ご要望についてはしっかりと受け止めたい」と回答した。
 最後に、高柳副事務局長が「26日には給与局長、職員福祉局長との交渉が行われる予定である。勧告も間近に迫った時期であり、その際には、さらに具体的かつ突っ込んだご回答をいただくことを最後に要望しておきたい」とし、本日の交渉を締めくくった。