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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 2

書記長クラス交渉委員が人勧取扱い等に関わり 内閣人事局人事政策統括官と交渉-11/18

公務員連絡会は、11月18日10時30分から、本年の人事院勧告・報告の取扱いに関する政府の検討状況を質すため、内閣人事局交渉を実施した。公務員連絡会は書記長クラス交渉委員が出席し、内閣人事局は堀江人事政策統括官らが対応した。
 冒頭、森永事務局長が、「本年の人事院報告・勧告、意見の申出がなされてから3ヵ月が経過したが、8月10日に提出した要求に関わって、本年の給与改定及び意見の申出に関する取扱いについて、現時点での検討状況を明らかにされたい。」と求めたのに対し、堀江統括官は次のとおり回答した。

1.8月10日に提出された要求書について、本日までの検討状況を回答する。
2.去る8月10日に人事院から国家公務員の給与についての勧告があったことを受け、同日、第1回の給与関係閣僚会議が持ち回りで開催され、11月12日に第2回の会議が開催されたところ。
本年の給与改定の取扱いについては、人事院勧告制度尊重という姿勢を維持しつつも、人事院勧告の実施については、国政全般の観点、特に現在検討が進められている経済対策等政府全体の取組との関係も見極めるとともに、本年度分の引下げ相当分については来年6月のボーナスから減額することで調整することも含め検討中であり、早急に結論が得られるよう努力してまいりたい。
3.また、育児休業の取得回数制限の緩和に関する意見の申出については、この意見の申出に沿って、必要な作業を進めているところである。

 これに対し森永事務局長は、給与改定について、次のとおり統括官の考えを質した。
(1) 人事院勧告を尊重するという、これまでの政府の姿勢は何ら変わっていないということで良いか。
(2) 今回の取扱いの検討にあたって、「とくに経済対策等政府全体の取組との関係を見極める」とした政府の考え方如何。仮に、本来12月の一時金での引下げ分について、その調整を来年6月に先送りしても、消費に回らず、6月の減額に備えて貯蓄に回ってしまうことが想定され、経済対策を理由として減額・調整を先送りすることには無理があるのではないか。
(3) 来年6月の一時金から減額することで調整することも含め検討中とのことだが、調整方法については、労働基本権制約の代償措置とされる人事院勧告どおりの取扱いとならないが、この点について政府の認識如何。

 これに対し、堀江統括官は次のとおり回答した。
(1) 変わっていない。
(2) 政府では新たな経済対策の検討を進めており、国家公務員の給与は民間給与に影響を及ぼすという観点から、経済対策も踏まえて検討をしているところである。来年6月の減額であれば経済対策の効果が発揮され、民間経済に対するマイナスの影響は緩和されるものと考えている。国家公務員の一時金が貯蓄に回るかどうかということではなく、民間に対してどのように波及するかという観点で議論をしているところである。
(3) 労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度の尊重という観点から、給与改定については、人事院勧告どおり改定するということが基本である。そのうえで、100年に一度の危機ともいわれる新型コロナウイルス感染症拡大により、経済的打撃を受けた企業や国民生活との関係を考慮する必要があるという異例の状況の中で、本年12月の一時金を来年6月分で調整することも含めて検討をしている。

 続いて、6月一時金での調整となった場合の政府の見解について次のとおり統括官の見解を質した。
(4) 国家公務員法では、国家公務員の給与等の勤務条件は、国会により社会一般の情勢に適応するように定めることとされている。今年は、総選挙を含めて政治的な国会の事情により、12月一時金の基準日である12月1日までに、12月一時金での調整を行うべく立法措置の機会を確保できなかったことが真相ではないか。仮に6月一時金での調整となれば、年度を超えた調整となるが、あくまで国会の事情に応じた例外的な措置であり前例とすべきではないと考えるが、政府の見解如何。
(5) 減額分の調整方法はどのようになるのか。また、減額調整の対象となる職員の範囲如何。
(6) 定年退職後に再任用された職員は減額調整の対象となるのか、職員の身分の継続性をどう考えるのか、また、その法的論拠如何。

 これに対し、堀江統括官は次のとおり回答した。
(4) 繰り返しになるが、今回の措置については極めて異例な100年に一度の危機のもとでの措置であると考えている。
(5) 具体的な調整方法については人事院と相談しながら確定していくが、基本的な考え方としては、本年度の引き下げ相当分を、来年6月に一時金を受給する人から減額をさせていただく。つまり、本年12月期に期末手当を支給され、かつ令和4年6月に支給される方から調整をさせていただきたいと考えている。
(6) 細部については人事院との相談になるが、令和4年6月に一時金が支給されない人からは調整をしないと考えている。

 続いて、独立行政法人等における取扱い、給与法の日程について次のとおり統括官の見解を質した。
(7) 独立行政法人等の個別法人の給与の具体的な支給基準については、労使交渉を経て各法人が自主的、自律的に定めていくこととなるが、本年度の給与改定に関する取扱いの閣議決定において、各法人に対して何らかの注文をつけることがないように求めておくが、政府の見解如何。
(8) 給与法改正法案の提出は、いつを予定しているのか。

 これに対し、堀江統括官は次のとおり回答した。
(7) 独立行政法人等の給与については総務省の所管になるが、総務省から国の状況について各省庁、法人に対して周知しているものと考えている。独立行政法人の給与決定方法については法律の定める仕組みの中で、国の状況を踏まえながら、各法人で適切に対応をしていただく。
(8) 政府方針が決定した後に、細部について一定の時間検討をさせていただいたうえで、法案を提出させていただく。

 その後、書記長クラス交渉委員から「国家公務員から独立行政法人に出向をする場合の一時金の調整の方法」について発言があり、統括官は「様々なケースが考えられるが、詳細については個別に検討をしたい」と回答した。ほかにも交渉委員から、「6月の調整について額で調整するのか月数で調整するのか」と発言があり、統括官は「詳細は今後である」と回答した。

 最後に、森永事務局長は、「現場では、新型コロナウイルス感染症が今後どのように推移していくのか先の見えない状況のもとで職員の必死の奮闘が続いている。職員の士気の確保をはかるためにも、勧告の取扱いの閣議決定にあたっては、謝意と激励などの明確なメッセージを発していただきたい。しかるべき時期に、大臣から、本年の給与改定の取扱いについて誠意ある、明確な回答を求めて、本日の交渉を終わりにする。」と述べ、本日の交渉を締めくくった。